Sister Complex (73)

高城のパーティーが終わってから数日間、以前と変わらないごく普通の生活が続いた。必要以上に自宅では話さない毎日・・・再び「お兄様」と呼ばれる事にも慣れてしまった。父さんは日本で片付けなくてはならない仕事もほぼ終えたらしく、そろそろフランスに戻って向こうの新事業起ち上げの準備に入るようだ。そうなると渡仏は近い・・・しきりにフランス本社とテレビ会議を行っていた。「それではプランタンの支配人との接触は可能になっ...

10月の向日葵 (12)

「返事は次に会うときでいいよ。今までだって20年近く待ってるんだから急がないからね」「で・・・でもさ、私はそんな・・・」花沢類は人差指で私の唇を塞いだ・・・彼の指が私の口に当たってるかと思うと流石に顔が熱くなる!慌てて後ろに下がって指を離したら少し寂しそうに笑った。「今日はこの後予定があるんだ。悪いけど、うちの車で送るからそれで我慢してくれる?本当は俺が送りたかったんだけど」「ありがとう。類も大変なんだね...

Shall We Dance? (5)

本当に偶然だったんだ。小さな公園であきらが牧野を抱き締めているところを見てしまうなんて。あれからどうなったかが心配でこっそり美作に来てみたら、あきらが運転する車が門を出るところだった。車内はよく見えなかったけど、助手席には誰もいなかった・・・それにあいつが運転すること自体が珍しい。牧野に何かあったんだ・・・すぐにそう思った。あきらの車は小さな路地に入っていった。もちろん走ってもすぐには追いつけないんだけ...

Sister Complex (72)

ダンスが終わって今度はあきらの所に戻ると嫌味にも手を叩いて迎えてくれた。「やっぱり俺の方が踊りやすかっただろ?でも、苦手っていう割にはつくしちゃん、上手だと思うよ?練習頑張ったんだな!類と練習してるの?もし今より上手になりたいなら美作においで?教えてあげるよ」「大丈夫!類のレッスンだけで十分だわ!こう見えて厳しいんだから・・・外国では踊る機会が多いからって、怒られてばっかりなの。美作さんの足を3回も踏...

10月の向日葵 (11)

フランスから花沢類が帰ってくると連絡があったのは2日前。総ちゃんにではなく私にいつも連絡があるから、それが気に入らないらしい総ちゃんは類の話を聞こうとはしなかった。出来たら一緒に食事にでもって誘うのに「俺は連絡ねぇ」の一言で逃げられてしまう。わざと忙しいふりして私を避けるような態度をとるのも大人げないと思うんだけど、人の目のある所では声もかけにくい。相談しようと近寄る度に、踵を翻して私に背中を向け...

Sister Complex (71)

つくしがテラスから戻ってきた。少しだけ悲しそうに見えるのは気のせいだろうか、俺の姿を見つけて真っ直ぐこっちに向かって来た。そんなつくしを笑顔で迎えてあげる・・・そうしたら少しつくしも微笑んで真横まで戻ってきた。「なんだその顔は!ホントにこの兄妹は見ていてこっちがイヤんなるよ!そこまで仲良くなくてもいいだろうに!」「あきらだって妹見たらこうなるだろ?同じじゃない」「俺の妹は小さいから可愛いんだよ!つく...

10月の向日葵 (10)

「総ちゃん。お待たせ・・・遅くなってごめんね」部屋の前で声をかけたら、ガチャって音がしてドアが開いて、服を着替えた総ちゃんが出てきた。手に持っているのは車のキーだけ、ジーンズにジャケットを羽織ってるだけの総ちゃんを見たら何故か安心した。この格好だと私を送ってくれた後、夜の街には出掛けて行かない・・・私の知らない女の人の所には行かないだろうって思うから。「なんだよ・・・変な顔して。俺のどこか変か?」「ううん...

Shall We Dance? (4)

<sideAKIRA>「美作さん・・・放して?」「・・・ごめん。悪かったよ・・・」牧野は俺を突き飛ばしたりなんかしない。胸に抱かれたまま小さい声で、謝るように呟いてきた。抱き締めていた手を放すと静かにゆっくりと、俺の胸の中から出ていく。「私が花沢類と踊ってるときに何を考えてるかって・・・綺麗に踊りたいって考えてるよ」「じゃあ、俺と踊る時はどうなんだ?」「美作さんと踊る時も同じだよ。綺麗に踊りたいってことしか考えてない...