『花沢城物語・特別編~露天風呂の愉しみ方♥~(後編)』 byR&GPS
数日後の仕事中、建設部の水回りの責任者が難しい顔をして執務室に現れた。
「……類様、ご相談が…」
「どうしたの?そんな難しい顔して…」
「あの……バルコニーの露天風呂についてなのですが……」
「あ♪楽しみにしてるんだ、進んでる?」
「設計図の方は出来ましたが……」
「出来たの?見せてよ♪」
流石としか言えない様な設計図だ、これの出来上がりが楽しみになって来た。
……ここで……アレコレ❤️……うん、楽しみ🎵
「凄いね♪楽しみにしてる。…いつ頃出来そうなの?」
「工事そのものは然程掛かりません、十日程でしょうか……でも…」
「……ん?何か問題あるの?歯切れ悪いね」
「露天風呂と言う事でしたので、この様な設計にさせて頂きましたが…如何せん設置場所がバルコニーですし、温泉を汲み上げるポンプが大型になります……」
「大型ポンプってどれくらいするの?保育料から賄えない額?」
「いえ、そちらは大丈夫です。…それから…」
「………まだ、あるの?」
「まずは、タニシの水槽を移動して頂いて…」
「うん、それはリビングに…」
「それから…」
「もっとあるの?」
「屋根と言いますか…囲い等は…如何いたしますか?」
…………う~ん……折角の露天風呂に屋根は要らないよね?雨の日には、態々入らないし。
囲い?あの高さだから覗かれるなんて事も無さそうだし、
……使用時間は…まぁ、夜だもんね🎵
うん🎵要らない🎵🎵
「屋根も囲いも要らないよ」
「……そうですか…では、この設計で進めさせて頂きます」
「うん🎵宜しくね」
タニシの水槽の移動及びリビングへの設置、バルコニーの補強などで、当初の予定が数日ずれ込んだが、あれから二週間後の今日、
露天風呂の完成に至った。
入り口には、表が『使用可』裏が『使用中』の札が掛かっている。
雰囲気は、バッチリ🎵…楽しみで楽しみで仕方ない🎵🎵
俺は建設中に何度か覗きに来たけど、つくしには内緒だもんね。
仮のリビングルームまで用意して作った甲斐があったかも🎵
喜んでくれるかな🎵🎵
さっ、善は急げっていうし!
つくしに御披露目しなきゃっ🎵
って事で早速つくしを呼んで来た。
「きゃーっ、ステキ~~🎵
類ったら私に内緒でお風呂を作ってたのね!!」
「ふふっ、気に入った?」
「うんっ、すっごく🎵
でもちょっと贅沢じゃない?
温泉まで行く手間が省けて私は楽だけど、珀達を洗う為のお風呂でしょ?」
「………………」
ねぇ…つくし……
動物達に感化されすぎなんじゃないの?
わざわざSP達の為にバルコニーに露天風呂なんか誰が作るの……?
「ふふっ、類ってばやっぱり優しいよね~~🎵そういうところ大好きだよ💖」
「そ…そう?…………よかった……」
なんかさ……俺 ひとりで浮かれてバカみたい……?
いやいやいや……
こうなったら夜になるのを待って…きちんと分からせてあげるべきだよね??
***
「ねっ、ねっ、類🎵これ、ありがとうね!
私こういうシンプルで暖かいの持ってなかったからすっごく嬉しい🎵」
「よ……よかったよ……」
ベッドに上がって座り込むつくしの前には沢山の箱、箱、箱!
で、その中から出てきたのは小栗自慢の味も素っ気もない…色気もない……俺にしてみたら残念でしかない物ばかり……。
でも肝心のつくしは気に入ったみたいで……当分はこのオンパレードかもしれない………。
いやいやいやっ!!
それはダメ!絶対ダメっ!!
うんっ、そうだ🎵
ここは気分を変えて露天風呂に行こう🎵🎵
ここは誰の為に造ったのかはっきりきっぱり分からせてあげなくちゃ🎵
ふふっ、楽しみだな~🎵
「じゃ、つくし…露天風呂に行こうか?」
「えっ?もう夜だよ?珀達は寝てるんじゃない?」
「くすっ、本気で珀達の為の露天風呂だと思ってるの?そんな訳ないでしょ?」
「……………え?まさか……?」
「そう、俺達専用の露天風呂だよ?さっ、行こう❤」
「で、でも…そこには囲いも屋根も……」
「そんなものどうして要るの?誰も来ないんだから要らないよ……おいで、つくし」
アタフタしてるみたいだけど、そのうち覚悟を決めたみたいでせっせとお風呂セットを用意し始めた。
そんなのいいのに……って思うけど初日だから仕方ないよね。
そのうえ「類、先に入って待ってて?」なんて赤い顔して言われたら……くすっ!つくしもその気になったんだ?
そうして先に露天風呂に入って待機。
勿論俺のアレもスタンバイOK!つくしに言わずに飲んだ栄養ドリンクは2本❤
すーーーーーーーーっごく楽しみ♪♪
カラカラってテラスの窓が開いた音がしてつくしが来たことが判った。
そうして「お邪魔します……」なんて言って露天風呂に入って来た。
俺は焦ってるみたいに思われたくないから、余裕を見せて振り向かない。
そうしたらお湯を身体に掛ける音が聞こえてきて、次にはちゃぷん、と風呂の湯が揺れた。
「…………うわ、気持ちいい……」
「うん、気持ち良いね。つくし……もう少しこっちにおいで?」
「……うん!」
「ほら、もう少し……」
「あっ、類……そんなに……」
「いいじゃん……誰も見てないし」
すぐ横まで来たつくしの腕を掴んでもっと近づけて、次にはひょいっと抱きかかえて俺の足の上に座らせた。
そうしたらつくしの可愛い胸は俺の目の前❤
驚いて両手で隠したけど、そんなの無駄だから♪
「やんっ……類ったら」
「どうして?こんなに可愛いものが目の前にあるんだよ?
そしてこれは俺のもの……だろ?」
「あんっ……そんな……」
「ダメだよ、つくし……俺達夫婦なんだからこのぐらい当たり前だろ?」
ホーホー……
ホーホー……
………………ん?何の声?
つくし……じゃないよね?
つくしの胸にペロッとした途端に聞こえた声に一瞬嫌な予感がした。
でもつくしは俺にしがみついて震えてるし、このままいい感じで楽しめそうだし……うん、気にしない。
「……あぁっ、類ったら」
「隠しちゃダメだって……ほら、足もちゃんと広げて……」
ピィーーーピィーーー……
ピィーーーピィーーー……
「あれ?何の声?」
「つくし、聞いちゃダメ!こっちに集中して!」
「でも……あっ、やぁっ……待って、類」
「待てない!(待っちゃダメな気がする!すごく嫌な予感が……)」
「……ツクシチャン、ダイスキ♪ピィ❤」
ああああああーーーーっっ!!!!
やっぱりかぁーーーっ!!!
気が付かないようにしようと思った!
聞かなかった事にしようと思った!!
絶対に目を向けないって決めてた!!!
でもやっぱり此奴らかーーっ!!💢💢💢
つくしの向こう側、バルコニーの端っこに目をやると、そこに居るのは
蒼穹に疾風、和泉の守に陸奥の守!おまけに朝陽っ!!💢
総二郎んちのお邪魔虫軍団!!
「あっ!なーんだ、蒼ちゃん達だったの~!おいでおいで、一緒にはいろ?」
ホーホー♪
ピィーーーピィーーー♪
「ツクシチャーーン♡」
「あっははは!気持ち良いでしょう?いつでも来てねぇ❤」
「……………………💢」
あぁ、俺が馬鹿だったさ!!
浮かれすぎてて忘れてたよ、此奴らの存在そのもの!!
田村ーーーっ!!
大至急屋根と囲い頼むーーーっ💦
おしまい♨
皆様、こんばんは!
如何でしたか?保育料の使い道・・・いやいや、類君そうじゃないでしょ?って感じでしたね💦
今回もりお様の誘導をグインと変えて、GPSらしく締めくくりました!
うふふ、楽しかったです~!!
それでは明日はりおりお様のお部屋だけの花沢城、お楽しみ下さいね❤
それでは来週の火曜日、いつもの時間にお会いしましょう~!!
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