茶と華と(9)

それからしばらく家元夫人に付いて修行とやらをした後、あいつは牧野家へ帰って行った。誰も居なくなったゲストルームを見て、なぜかため息がでる。「なーーんか、静かになったな」「そうですね。若宗匠も随分と楽しそうにお過ごしでしたからね。お寂しいでしょう?」「・・・別に寂しかねーよ」弟子の一人が変なこと言うから、柄にもなく少し顔が火照る。楽しそうにみえたんか?いや、楽しかったかもしれねーな。ま、幸い仕事は山...

茶と華と(8)

会場にエスコートして入ると一瞬どよめきがあがる。俺は慣れてるけど、これは俺にじゃない。初めてこういう場に出るこいつの美しさにっ・・・てことだろうな。こりゃまた、大変だ。****さっきからすごいんだけど!会場にいる女性の、私を見る目がすごくて怖い・・!何なの?私が何かした?もしかして、総二郎さんと居るからなのかしら?この人、本当にモテるんだ。そうだよね・・・。でも、怖くて総二郎さんの手が離せない!こんな...

茶と華と(7)

その交流会の当日、行われるホテルの最上階に部屋をとった。変な意味はないが二次会まで行われるような大がかりなパーティの場合、着替えのために部屋を取るのは珍しいことじゃない。なのに、こいつは「どーいうつもりっ?へっ・・部屋なんてとって!!しかもなんで同室なのよっ!!」「あのなぁ・・・て、面倒くさいやつだな、ホント。こんなときは準備のために部屋用意すんのは当たり前なの。同室なのはしらねーよ、家元が気を利...

茶と華と(6)

西門の家に来て10日たった・・・もともとが似たような風習の家に育ったから、お茶に関すること以外はさほど困らなかったけど・・・むしろ総二郎さんとの会話に一番困るかもしれない。ずっと花に囲まれて育ったし、学校は大学まで全部女子校だったし、とにかく男性から隔離されてるってくらいの生活だったからなぁ・・・曾お爺さまの代の間でのお約束とか?とっくに時効じゃないかってくらい昔の話だけど、ずっとこの西門にお嫁に...

茶と華と(5)

次の日、お茶会があるというので家元夫人について準備のお手伝いをしていた。さすが、西門本邸で行われるだけあってお客様の顔ぶれもすごいし、茶懐石のお支度も大変そう・・・。お弟子さんが、急用で家元夫人を呼びに来たので一人で今から着る着物を用意していた。「昨日はびっくりしたなぁ・・・。あんな人っているんだね・・・・」総二郎さんもすごいイケメンなんだけど、あの柔らかい感じが今までになくて・・・こういうの恋っ...