天邪鬼な乙女の恋心・5 LastStory

仕事中、カレンダーを見て金曜日を指でなぞる・・・もうそれは明日なんだけど。類になんて言葉をかけたらいいのか・・・答えなんてわかってるんだけど今更それを言う勇気が出るんだろうか。なんて事を考えながら、適当に仕事を終わらせてしまった。そして帰り道はあの喫茶店の前を通る・・・今日はそれだけでもドキドキしてしまう。窓の外から店内を覗いたらマスターが私に気がついて手を振ってくれた。私もつられて手を振り返す・・・この前類...

天邪鬼な乙女の恋心・4

類の上着を握り締めたまま向かい合ってお互いの顔を見ていた。類は今日再開してから初めて真剣な顔をして・・・私は多分一番驚いた顔になってるはずだわ。覚えているなんて・・・あの時のことを覚えているなんて思わなかったから。だって私以外にも沢山人がいたのよ?F3だけじゃなくて野次馬もいたし・・・花沢の家の人もいたのよ?一番端で目立たなかったはずよ?「牧野はあの時・・・俺が仕事でフランスに行くって言ったのに変な言葉を残し...

天邪鬼な乙女の恋心・3

雨が結構ひどく降っている。マスターが貸してくれた男物の傘がいくら大きくても私たち2人が入っていたら外側が濡れてしまう。そんな雨の冷たさよりも類の腕に触れている内側の方が熱くて・・・少し離れようかと思ったら急に類の手が後ろから回ってきて、私を引き寄せた。「ちょっと・・・!類・・・そんなにしたら類の方が濡れちゃうんじゃない?」「え?そう?・・・でも、牧野が濡れるよりいいから・・・もう少し近づいてよ!傘が差しづらいか...

天邪鬼な乙女の恋心・2

「牧野・・・3年前に戻らない?」「は?3年前って・・・類がフランスに行った時じゃない・・・あの時になんて戻りたくないわよ!」どうしてそんな頃に戻らないといけないのよ・・・あの時はこれまでの人生で一番最悪な時期だったのよ?類はいなくなるし、みんなとも会わなくなって1人になるし・・・就職は厳しくて小さな会社しか受からなかったし。そんなときでも貴方はフランスで楽しんでいたんでしょう?「牧野の3年間を知りたいだけだよ?...

天邪鬼な乙女の恋心・1

「もう終わりだね・・・これ以上は無理だよ。ごめんね」何度目かの恋がこの言葉で終わっていく。今日もそうだった・・・この彼とは3ヶ月も付き合ってないのに。結局恋人らしいことなんて何もないまま終わってしまう。いいえ・・・終わらせているのかもしれない。「ううん・・・いいのよ。私こそ勇気が出なくてごめんね。それじゃあ・・・元気でね」心にもない言葉で、いかにも傷ついてないかのように演技をする。そして、違う女の人が待っている...