喧嘩するほど仲がいい?(126)
秋になってから朝夕が少し肌寒くなってきた頃、つくしの着物も仕上がって西門に届けられた。それと同時に初釜用の着物をお袋は嬉しそうに注文する。祝いの着物に相応しく、上品で華やかな晴れの日の着物。当然のように「西門の紋を入れるように」と指示を出していた。まだ後援会の了解も得てないのに・・・とは思うが、極数名の幹部を除いてつくしの評判が良かったからだろう。まだ自分の身内から俺の嫁を選ばせたいと思っている連中...
雨が連れてきた恋 (11)
花沢類の口元には酸素マスク、右腕には点滴、左腕は包帯が巻かれ、ベッドの横には心電図を始め色んなモニタリング機器が並び、それらが小さな音を立てていた。病衣の胸元からは数本の管が伸びてて額にはガーゼが当てられてる。首にも包帯があった・・・体中にはそんな傷が沢山あるんだろうか。顔は・・・額以外にはそんなに傷らしいものはなかった。すごく綺麗な寝顔のままそこに横たわっていてそれが逆に怖かった。このまま・・・目を開け...
隣の部屋の彼 (79)
パトカーと消防車と野次馬と・・・まだ燻ってる煙を見ながら呆然と店の前に立っていた。2階へ上がる階段にはKEEPOUTのテープが張られ、店全体にも現場保全のためブルーシートが掛けられるんだろう、すぐ横で準備が進められていた。少しずつ人が帰っていく・・・炎は確かに見えないけれどもの凄い匂いが付近一帯を覆っていた。俺の横には涙を流す牧野がいて、その向こうには俺と同じ顔をした橋本さん・・・何が起きたか全くわからなかった。...