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母さんが牧野に持たせた荷物の中にはあの指輪の小箱が入っていた。
今日、牧野に渡したかったペアのアニバーサリーリング。

目の前で変な顔してる牧野に隠れてそこに同封されてる母さんのメモを広げた。


『今年だけですからね?
せっかく頑張って作ったみたいだからさっさとプレゼントしちゃいなさい!
仕方ないから会議はレオ達に任せてもいいわよ?
つくしちゃんにも休暇を取らせたから19日には出勤できるように帰ってきてね。
それまではお好きなところでどうぞご自由に!』



でも、どうしてわかったんだろ。オーナーにでも聞いたのかな・・・それにしても勝手に俺の引き出し開けるだなんて最低だよね!

まぁ、今回は許すけど!そのメモはさっさと包みの中に戻して牧野の手をとってロビーの窓側の席に案内した。ここからだと目の前の海がよく見えてて景色が良かったから。そこにドリンクとケーキを運んでもらうと嬉しそうにそれを眺めてた。


「牧野、悪いんだけどあと30分ほどここで待ってて?仕事を片付けてくるから」
「え?う、うん・・・わかった。ここで待っとくね!」


時間はもうすぐ正午。

急いで会議室に戻ってあと僅かだけ残っていた午前中の話し合いに参加して、その後急いで部屋に戻って服を着替えた。レオには悪いけど明日までの会議の代行を頼んで、ジャケットのポケットにはあの箱を入れて、牧野の待つロビーに向かった。

「牧野。お待たせ!ねぇ・・・少し散歩しない?この季節でもここの海は気持ちいいからさ」
「あれ?スーツ、どうしたの?午後からの大事なお仕事は?」

「今からだよ。それはホント!ね、行ってみようよ!」
「へっ?あぁ、海ね、うん。いいんだけどお仕事・・・」

当然何が何だかわかっていない牧野を連れてホテルの目の前のプライベートビーチに向かった。

地中海と山に挟まれた土地だからそこまで寒くなくて、さすがに泳ぐ人はいないけど海の色は綺麗だ。その海岸を二人で歩いていた。牧野は初めは不思議がってたけど、もうすっかりリゾート気分になってて砂浜を小走りしたりして遊びだした。

「類ーっ、気持ちがいいねぇ!2月だなんて思えない!」
「あはは!今日は特に天気がいいから良かったね!」


そして小さなベンチを見つけて、そこに二人で座った。


「ね、牧野・・・目、瞑って?」
「えっ?なんで?」

「いいから!目を瞑ってくれない?で、手を出して?」

いま、何か別の事を想像したね?クスッ・・・それはまた後でね。
牧野が眼を瞑って両手を出したから、その上にポケットから出した箱をそっと置いた。


「目、開けていいよ」

「・・・なに?何か置いた?・・・・・・あれ?」

牧野は自分の手の中にある黒い小箱にキョトンとしてる。
「開けてみて」って言うとゆっくりその蓋を開けた。


「うわあぁ!・・・・綺麗!これって・・・」
「俺からのバレンタインのプレゼント。フランスってね、男性から女性に愛を囁く日なんだよ?知らなかった?」

「・・・ホントに?これ、私に?」
「牧野以外の誰にあげるの?これはね、牧野を俺が守っていくっていう意味で作ったんだ。牧野の誕生石を俺の誕生石が一周してるの。気に入ってくれた?」

「うん・・・凄く嬉しい!ありがとう。でも私からはまだ何もしてあげてないのに・・・」
「ん、そんなのいいんだって。これからも宜しくね・・・牧野」


この後、牧野には俺が、俺には牧野が指輪をはめて二人でお揃いのリングをニースの太陽に翳した。


***


「それじゃ、お母様に騙されたの?ホントに?・・・類、何も忘れ物してないの?!」
「うん、してないよ。この指輪は14日に渡せそうにないから置いていっただけ。本当は2人で旅行に行った時に渡したくてね。それで牧野に無理言ったんだもん。でも、デザートコンテストの方が俺より良かったみたいだからさ・・・我慢したんだ」

そう言うと慌てて両手を振って「そうじゃないのよ!」って否定してたけど!

牧野から聞いた話が全部母さんの芝居だって話をしたら目を大きくして驚いてた。
どんな風にあの人が騒いだか目に見えるようだよ。きっとすごい勢いで喋って屋敷から牧野を追い出したんだろうね!

「それであんなに急がせたの?携帯の電源切れって言ったのは類と連絡取らないようにするため?それで私を驚かせたかったのかしら」
「クスッ・・・そんなことも言ったの?確かに連絡取ったら一発でわかっちゃうもんね!でも、渡せて良かった。牧野には悪かったけどね。シェルブール、行きたかったよね?」

「ううん。類がニースに行ったあとね・・・やっぱりすごく寂しくて涙が出ちゃった!1人でいても楽しくなかった・・・だからあのまま行ってもきっと勉強になんかならなかったわ。頭の中に類しかいなかったかも・・・」
「ホント?・・・あれだけ行きたいって言ったじゃん。やっぱり寂しかった?」

「うん、寂しかった・・・会いたかった」


そう言いながら俺の首に手を回して抱きついてくる・・・いつもはこんなことしないくせに。本当に寂しかったんだね。
良かった・・・俺だけじゃなくて。

誰もいないビーチのベンチでそっと牧野にキスをした。


**


それからニースに2泊して、16日には行きたかったモン=サン=ミシェルを訪れた。
その修道院の神秘的な姿に牧野は感動して、夕方ライトアップされた時には泣きながら見てたっけ。

その後にロワールの古城巡りをした。ここには森の中に沢山の城があって、少し現実から切り離されたように感じる土地だ。

「わぁ!凄い綺麗なお城がある!憧れるなぁ・・・昔はあそこにお姫様が住んでたんだね!」
「そうだね。じゃあ、牧野もあそこでお姫様になる?来年・・・再来年かな?ロアワールでしようか?」

「え?何をするの?」
「俺達の結婚式・・・この辺の古城で結婚式、出来るんだよ?帰ったら予約しようよ」


俺はすぐにでもいいよ。今すぐ・・・このまま行って式を挙げたいくらいだから。
「お父さんに聞かなきゃ!」って牧野の返事には大笑いしたけど。


ロアールにも2泊してパリに戻ったのは18日の夜遅くだった。


*********


今日も帰ったら母さんが玄関で仁王立ちして出迎えてくれた。
執事の三浦もクスクス笑いながら母さんの後ろから俺達を見てるし。でも・・・許可したの、母さんだからね?

それなのにそこまで恐ろしい顔して待ってなくてもいいんじゃないの?って言いかけて・・・取り敢えず黙っておいた。

「本当に18日の夜まで遊ぶとは思わなかったわ!呆れた子達ねぇっ!・・・今日は早く寝なさいよ?明日からガンガン働いてもらうわよ!二人ともいいわね?!」

「ご、ごめんなさい!お母様!」
「ちゃんと働くよ。守りたい人がいるからね。・・・ありがと、母さん」

「あら、類からそんなこと言われるの、何だか気持ち悪いわ!ふふっ・・・楽しかったのなら良かったわね!」



早く寝ろだなんて子供じゃあるまいし・・・もちろんこの日も牧野のことは離せなかった。
仕方ないよね・・・大好きなんだから!

牧野からのケーキは19日にまで伸びちゃったけどね。


スヤスヤと寝息をたてて俺の腕の中で眠る牧野・・・。
今日の寝言はなんだろうね。それをこれからもずっと楽しみにしてるよ。


Joyeuse Saint Valentin♥世界中の恋人達に素敵な思い出を!


fin.



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2018/02/16 (Fri) 05:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

kyoro様 こんにちは!

コメントありがとうございます。
少し連載が冷え込んだ話しになっているので甘々にしてみました(笑)

パパですか?どうなんでしょうねぇ!
きっと応援してますよ。って言うか、多分お母様に反対意見を出せないパパさんのイメージです。
お母様がいいと言えばいい!って感じ(笑)

ホワイトデー・・・この2人はもう書けないので何か考えようかと思っています。
1ヶ月しかないから困ってるんですけど💦何とか・・・出来るかな(笑)

今日もありがとうございました。

2018/02/16 (Fri) 11:28 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/20 (Tue) 12:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あっはは!鬼って!類ママがラムちゃんの格好して待ってたら可愛かったかも?
親のキャラが面白いとお話しって書きやすいですよね。
このママさんは好きです。

超甘えんぼの類もおそらく私の中の「雪」の反動ではないだろうか・・・。
片方で殺人事件が起きそうだったのに、もう一つで激甘。総ちゃんではあっちはシリアスなのにこっちはR(笑)みたいな!

書く方も読む方もこんがらがる一週間でした。すまない・・・(笑)

2018/02/20 (Tue) 20:01 | EDIT | REPLY |   

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