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久しぶりに平日にお休みをもらえた。

だからこの日は普段出来ないことをしようと思って、キッチンまわりのお掃除や洋服の整理をしていた。
アメリカから帰った時は何もなかったのにここに住んでからは毎週何枚もの服が増えていって、今ではクローゼットの中が私のドレスで溢れかえっている。

もうしまうところがないって言っても類のお買い物は止まるどころかエスカレートしてる。こんなにバッグがあっても使えないから勿体ないのに。それに保育園にブランドものの新作バッグなんて持って行ったら保護者にどんな目で見られるか!

少し注意しなくちゃ!って思いながら片付けていると内線が鳴った。
それはコンシェルジュさんからの直通電話・・・何かあったのかと思って通話ボタンを押した。


『花沢様、お客様がお見えでございますがいかが致しましょう。お名前を教えていただけないんですが、あなた様にお会いしたいそうですけど』
「え、私に?それで名乗ってくれないんですか?男性ですか?」

『女性です、お若いお嬢様ですわ』

若い女性?もうその一言で一瞬心臓がドキン!と音をたてる。


今は平日のお昼よ・・・類がいないってわかってて来てるの?

誰かしら・・・でも、類から誰も入れてはいけないと言われてるから部屋に招くわけにはいかなかった。
電話をかける?でも仕事の邪魔になっちゃいけない。類のことだもの、こんな電話したらすぐに帰ってきそうだし。

私の方から降りるからそこで待ってもらうように伝えて、急いで身支度を整えた。だって類のお知り合いなら彼に恥ずかしい思いさせるわけにはいかないし。
若い女性って聞いて凄く嫌な予感もしたんだけど、話してみなきゃわからないし。少しドキドキしながらエレベーターを降りた。

エントランスホールに降りたらそこには1人の可愛らしい女性が立っていて、私を見たら軽く頭を下げた。
つまりこの人がお客様?まだ名乗ってないのに私を見てお辞儀をすると言うことは、もうすでに私の事を知っている・・・でいいのよね?

この人に見覚えがなかった。そして類はあの2人以外の誰にも私の事は話してないって言ってたのに。

「あの、どちら様でしょうか。今、花沢さんは会社ですけど私に何か用ですか?」

「あら、先日お会いしましたわよ?牧野つくしさんでしょう?覚えていらっしゃらないかしら。まぁ、あんな大きな買い物袋を持っていたのではろくに周りも見えなかったのかしら?」

先日会った?買い物袋?・・・少し考えてたら、西門さん達が来たときにここでぶつかった人のことを思い出した!

「あぁ、あの時の人!じゃあ類の、いえ花沢さんのお知り合いの方ですか?連絡とりましょうか?電話に出るかどうかわかりませんけど」
「私が話があるのはあなたにですけど?牧野さん、お部屋に案内していただけませんの?」

「はぁ・・・でも、ごめんなさい。彼から誰も入れてはいけないと言われてるので部屋にはお招きできないんです。それであなたのお名前は?あの時にはお名前聞いてないですよね?」


目の前の女性は確かに綺麗で上品で、生粋のお嬢様みたいだった。

その目は何処かで見たことがある。
そう感じたときに思い出した・・・この目は英徳にいた人達と同じ目だ!何処か冷めてて、でもプライドの高かったあの人達が持っていた目だ。それにこの張り付いたような笑顔もだ・・・この人はいったい誰なの?


「私は類様の婚約者の山城真莉愛と申します。類様がお世話になってますわね・・・牧野さん」


・・・え?

今、なんて言ったの?・・・婚約者って・・・聞こえた?


「聞こえませんでしたか?類様の婚約者の山城真莉愛ですわ。父は山城商事の社長、この度花沢物産と共同事業しますの。そして今はまだ英徳大学の4年生です。この春卒業して、少し山城でお勉強したら花沢に入る予定ですわ」

甘くて高い声・・・でも、この人の言葉には感情がないように思えた。
ううん、私の方がこの人の言葉を棒読みのセリフのように聞いてしまったのかもしれない。演劇の台本、そこに書いてある文章を読んだだけのように聞こえた。


「・・・それは嘘です。類はあなたと結婚なんかしないわ」

「嘘ではないわよ?あなたが今管理して下さっているこのマンションも私と住むために購入して下さったらしいわ。でもね、私より先に女性が入ったのなら別を探してもいいんですけどね。一応私が住むはずだったお部屋を見てみたかったけど・・・もう、いいわ」


管理している?その言い方はどういう意味なの?
そんなんじゃない・・・私は類と一緒に暮らしているのよ。雇われているわけじゃない・・・そう思ったけど言い返さなかった。
こういう人に言い返しても無駄だということは学生時代に学んでいる。

私はただ類のことを信じていればいい・・・そうだよね?


「実はね、フランスに滞在中の類様のご両親も納得されてるの。類様は何故かあなたに興味をお持ちのようだけど・・・ほら、私たちのような家柄の人間はたまに全然種類の違う人を相手にしてみたくなるものなのよ。そういうことだからご自分の立場というものをもう一度よくお考えになって?はっきり言って邪魔なのよ!」

「邪魔・・・?」
「そうよ。あなたにはもっと他に似合う人がいるんじゃないのかしら。あなたでもいいって言ってくれる人が必ずいると思うわ。周りをよくご覧なさい?それともご紹介しましょうか?」

どんどんエスカレートしてくるこの人の意地悪な言葉・・・それよりも花沢家がこの人とのことを認めているという部分が引っ掛かって頭が真っ白になってしまった。
道明寺の時と似てくるの?親が反対したらまたあの時と同じようなことが起きる?

でも今度は類が守ってくれる。道明寺の時とは違うかもしれないじゃない・・・類は裏切らないよ、絶対に・・・!

「それでもここから出ていかないのならこちらにも考えはあるの。でも、類様を悩ませたくないでしょう?未来の旦那様にはお仕事、頑張っていただきたいですものね。お父様の会社もこれからはどんどん大きくなるでしょうし、私という妻は役に立つと思うわ。それがあなただったら、類様のために何が出来るのかしら?」

役に立たない、その言葉も道明寺の母親からは何度も聞かされた。


腹が立つ、というのを通り越して悲しくなってしまった。
何故この人達はこうも簡単に人の心を傷つけていくのだろう・・・と。

「それでは牧野さん、あなたがきちんと考えて行動して下さるまでもう少しお時間を差し上げますから。あぁ、それとこの事は類様に報告しないでね?余計なことをしたって怒られるのはイヤだから。もし類様に報告したらあなたのことを花沢のご両親に教えるわ。それにあなたの身に何が起きても知らないわよ?・・・じゃ、失礼するわ」


私はほとんど言葉を出すことが出来なかった。
類のことを疑ってるんじゃない。悲しかったんだ・・・やっぱり類も道明寺と同じ立場の人だったんだって思い知らされて。

今度は大丈夫だって、信じていいって思う自分と、私の存在が類の将来を危なくさせるのだろうかという不安な自分が心の中で交差する。

エレベーターに乗って部屋に戻る途中、涙が1つだけ溢れた。



**********



夜になって部屋に戻ると今日も牧野の足音がしない。
また寝てるのかな?でも今日はそんなに遅くないのに・・・少し気になってインターホンを使わなかった。

ドアを開けて中に入るといつもと違うことに気がついた。

夕食の匂いがしない。
いつも玄関まで匂ってくる美味しそうな匂いがなかった。

作ることも出来ないほど疲れたのかな・・・。保育園行事、何かあったっけ?なんてことを考えながらリビングに向かったけど、そこに牧野の姿はなかった。
キッチンにも寝室にもいない。もしかしたらと思ってガーデンスペースに行ってみたら・・・牧野がベンチに座っていた。


「牧野、どうかしたの?こんな所に座って・・・具合でも悪いの?」
「類、お帰り・・・ちょっとぼーっとしちゃってご飯、作ってないや・・・ごめん」

「そんなことはいいよ。外に行けばいいんだし。それよりも何かあったの?」
「ううん、何もないよ。今日はね、星が見えるから綺麗だなって思って・・・それだけだよ」


嘘つき・・・本当は何かあったんだね。
でも、無理に聞いたらまた誤魔化すんだろうから今は聞かない。牧野が話してくれるのを待ってあげる。

まぁ、それも少しの間だけだけどね。

「じゃあ、俺も見ようかな。牧野と一緒に!」
「・・・え?」

「だって二人で見たいじゃない?牧野が綺麗だともうもの、俺も見たいからさ・・・それだけだよ?」


隣に座ったら俺の腕を掴んで啜り泣いてた。


「何があったのかわかんないけど、泣いて忘れられるんならいくらでも腕を貸すよ・・・だから明日の朝は笑っててよ」
「・・・うん、そうする」


バカだね、泣き虫。

その癖、早く治しなよ?牧野・・・。



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またまた空色様がお写真下さいました~♥
少し気温が上がってきたから結晶が見えにくいんだそうです。
ライト当てたらすぐに溶けちゃうらしい・・・西国の私には無縁の世界です。

どうかこれからも空色様のお家には雪が降りますように・・・(祈)笑!
(・・・ってか、もうすぐ3月だし!また延びてる、私!)

空色様、ありがとうございました~♥
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2018/02/25 (Sun) 00:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます!

つくしちゃん、この時はまだ真莉愛ちゃんの存在を知りませんからねぇ。
明日香ちゃんを書いた後なのでそんなに悪女感はないんですが(笑)

こういう人書くと、どうしても頭の中に「2時間ドラマ」に出てくる悪役お嬢様を想像しちゃう。
で、大抵そういうお嬢様って最後には被害に遭うんですよね(笑)
それか大恥かかされて消えちゃうって感じでしょ?

類君、気が付きすぎ(笑)
ってか、つくしちゃん、わかりやすい・・・(笑)

でも、こういう甘々シーンに弱い私です。照れながら書いちゃう♥
絶対にこんな台詞追言う男はいないだろう!って思いながら・・・。


空色様・・・頼んだらホントに撮ってくれました♥いい人だ~!
私が住んでるところはもう10度ぐらいの気温なので雪って感じは全然ないです。
今年は一度も雪が積もりませんでした・・・。降ったけど、地面が白くなることはなかった・・・。

日本って縦長なのねぇ・・・と、今更ながら。

2018/02/25 (Sun) 09:01 | EDIT | REPLY |   

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