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日曜日も何処にも行かず、のんびり部屋で過ごしていた。

楽しみなのは類からの電話だけ。
時差が8時間あるからかけてくる時間帯は大体決まっている。そしてかけてくる度に「欲しいものはないか」ってそればっかり。
「ブランド品にも疎いし、欲しいものなんてないし」って言うと「つまんない」を繰り返された。

「あはは!じゃあさ、類が欲しいものでいいよ。類が選んでくれたものなら嬉しいし、知らなかったら楽しみだもん。私が喜びそうなもの、見つけて来て?」
『・・・そっか!じゃあそうする。絶対に受け取ってよ?拒否権なんかないからね?』

「もちろんだよ。楽しみにしてるね!明日から保育園だから昼間は電話出来ないね。でもこっちの昼間はフランスは夜でしょ?類、寝不足じゃないの?」
『仕事しながら寝るのは得意だから大丈夫』

それってヤバくない?って笑って電話を切った。
電話を切った後はすぐにそれを抱き締める・・・ただの機械なのにこれだけが類と私を繋げてくれるから。


ガーデンスペースのベンチに座って景色を眺めていた。

少し前にはここで雪の結晶見たっけ・・・類ったら自分がこの窓ガラスになってあげるだなんて変な事言ってたなぁ・・・って思い出す。少し季節が春に近づいたからもう雪は降らないかもね・・・。

私は自分の胸に光るクリスタルを触って、消えない「雪の結晶」を確かめた。


『俺だと思って・・・』そう言ってくれたから。


*********


月曜の朝、エレベーターで下まで降りたら運転手さんがそこで待っていた。

「あら!おはようございます・・・ここで待っててくれたんですか?車じゃなくて?」
「はい、類様が戻って来られるまでここでお待ちします。これは類様からのご命令なので気にしないで下さい。車は表の来客用駐車場に停めてますから」

「お手数かけます・・・ごめんなさい」

類は私がここで道明寺や真莉愛さんと出会ってるから心配なんだろう。道明寺はもう日本にはいないけど、彼女のことは警戒してたから無理もない。それにしても本当に心配性なんだから!
その時うしろから視線を感じて、振り向いたらコンシェルジュさんが私の事を見ていた。

「あの・・・花沢さんから何か頼まれてます?私の事・・・」
「あっ、はぁ、まぁ・・・それなりに」

彼女ははっきりと言わなかったけど、類ったらこの人にも私の外出や来客の注意をしているのね?苦笑いしてるコンシェルジュさんにも頭を下げて運転手さんの後についていった。


「牧野様の事がそれだけ大事なんですよ。類様は本当に心配しておられましたよ?ご一緒されたら良かったのに」

「でも花沢のご両親に類がどう話してるのか、まだ聞いてないんです。なんだか怖くて・・・類は大丈夫って言うんですけど」

「ははっ!そうですか。では大丈夫でしょう。類様とご両親様は仲が宜しいですからもしかしたらもうお話し済みかもしれませんよ?驚かそうと思ってるんじゃないですかね」

「そう・・・だといいんですけどね」


私は急がない・・・もっとゆっくりでもいい。
自分に自信が持てて、類の世界にもっと近づいて、もっと自分が成長してから・・・類が私の事で誰からも文句を言われないようにしたい。だから・・・急がない。

迷わなくてすむぐらいもっと勉強しなくちゃ。道明寺の時には出来なかった事をここではきちんとしたいから、少しずつ花沢についても教えてもらおう、そう思っていた。


保育園に着くと運転手さんは私が門に入るまで見守ってくれた。
保護者達はこんな私をもう見慣れたみたい。今日はフェラーリじゃないんだ!って露骨にガッカリする人もいるぐらいだ。

園内に入ってエプロンをつけて、9時の登園時間までは集まってくる園児達のお出迎えだ。
山本さんに会わないようにと一樹君が来ていることを確認してから外に出ようとした、その時、園長先生に呼び出された。

何だろう?今まで朝一番に呼ばれた事なんてないんだけど。
少し不安が過ぎったけど特に注意を受けることもしてないし・・・首を傾げながら園長室に向かった。


「失礼します。あの、牧野ですけどお呼びだと聞きましたが・・・」
「お入りなさい」

少し厳しい声?私何かマズいことしたっけ・・・?
そうっとドアを開けて中に入ったら園長先生は凄く怖い顔をしている。何故?・・・私には全然身に覚えがなくて、園長先生から感じる怒りがむしろ不思議なほどだった。

「あの、どういうお話しでしょうか・・・」


私が目の前まで行くと数枚の写真を出された。
何の写真だろうと思ってちょっと覗いて・・・ドキッとした!

「これが何の写真かすぐにわかったようね。牧野さん、どういう事なの?」
「こ、これは・・・確かに私ですけど、園長先生が思っているようなことではないんです!」

その写真はついこの前の山本さんが私を引き留めた時のものだった。
私が山本さんの腕を掴んでいるところ・・・顔がよく見えないから喜んで引っ張っていると思われたらそう見えてしまう。
それに次は山本さんがわたしを抱き締めようとしているところ・・・これは恋人同士だと思われても仕方ない角度で撮られてる。

その写真が連写で撮られたものが並べられた。

「私が思っていることではないですって?それなのにこんな写真が送られてくるわけ?わざわざ匿名でここに送ってきたのよ?ここの保育士はどうなってるんだって手紙が添えられて!私は一番初めに忠告したはずですよ?」

「もちろんわかっています!でも・・・本当に私は山本さんとそういう関係ではありません!お付き合いをしている人もいるんです。本当です!これは・・・あの、その」

「恋人がいるというのも知っていますよ。毎朝の高級外車の人でしょう?一部のお母様からはあれは誰だと聞かれましたけど、保育士のプライベートまでは知りませんで通してきました!随分とお金持ちの彼氏のようね。帰りも迎えの車が来てるようだし」

「そ、それは否定しません。彼が毎朝送ってくれているので・・・だから、山本さんは違うんです!」

「彼氏という人がいながらこんな写真を撮られるようなことを、この保育園の門前でやったのは事実でしょう?あなたが複数の人と付き合おうが勝手ですが、ここの保護者は困ります。約束ですからね・・・牧野さんには水曜で辞めてもらいます。ちょうど水曜が卒園式の総練習ですからそこで挨拶して終り。そういうスケジュールにします。いいですね?」

「待って下さい!あの、私は何も怒られるようなことも約束を破ったつもりもありません!山本さんの一方的なお気持ちで・・・!」

その言葉を出したとき、ハッと口を手で塞いだ。


「やはりそういう事でしょう?あなたが誘ったわけではなくても、山本さんがそういう気持ちになったのなら同じなの。牧野さんがここの保育士でなくなったのならどうぞご自由になさい。人の恋愛に反対する気はないのよ。ただ、ここで働いてる状況でこれをしてもらっては困るっていうだけですから。水曜まではなにも騒動を起こさないでね。お給料はそれで計算して振り込みます」

そこまで言うと園長先生は仕事に戻れと言わんばかりに椅子を反対側に向け、私から顔を背けた。
もう何を言っても聞いてもらえない。所詮バイトの私は経営者から辞めろと言われればそれまでだった。

無言で頭を下げ園長室を出て行く・・・そして教室に向かう途中の階段で足は止まってしまった。


これを送りつけた人なんて1人しかいない。
どうやって撮ったかはともかく、山城真莉愛・・・彼女しかいない。

今度はどういうつもりで私から職を奪うの?

また私を1人にするつもりなの?


でも、類はすぐに帰ってくる・・・来週には私の所に帰ってくるんだ。
その時まで頑張れば、また前と同じ生活が始まる。


この時は・・・そう思っていた。



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2018/03/03 (Sat) 00:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

kyoro様、おはようございます。

あらら!凄い妄想が膨らんでいらっしゃいますね?ふふふ・・・ごめんなさいね、爆弾魔ですから。
類君は1人で愛に溢れてますけど、つくしちゃんが可哀想ですかねぇ(笑)

でも、最終的には私の愛する類君もつくしちゃんのものになるんで(どういう表現だ?)
このくらいは許していただきたい。えへへ!
kyoro様、切なさが大きいほどラストは・・・って書くと責任重大なのでやめておきます(笑)
でも、ラストは素敵に仕上げたいのでもう少し切なさモードを上げていきます。

心の中で「つくしちゃん、ごめん!」って叫ぶ毎日です。
時々、kyoro様もお怒りだろうなぁ・・・って思ってましたけど(笑)

今月中には終って、次は可愛いお話しにしようかと思っているのでもう少し我慢してくださいね♥

2018/03/03 (Sat) 09:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/03 (Sat) 09:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、今晩は。

ははは!悪女の典型!ドラマの見過ぎでしょうか(火サス・・・懐かしいなぁ)
山本さんはどう出るかしら・・・?

おぉっ!そう予想されました?
実際は・・・(笑)予想外かもしれません。

確かに簡単には終らせないですよね・・・真莉愛さんがやってくれますから。
あれ?もしかしたら・・・ここまでの悪女は類つくでは初めてかな?
類君にここまで纏わり付く人、書いてないかも・・・?

ヤバい(笑)1年しか書いてないのに自分の話の事を覚えていない(笑)

向日葵ですか?・・・どうですかねぇ。
向日葵のお話しからは卒業できましたけど、あの総二郎にはまだ恋してますので・・・。
新しい総ちゃんに移るのにはまだ少し抵抗ありますかねぇ・・・。

それでも書き始めたら気分も変わるのかもしれませんね。
お気遣いいただいてありがとうございます。

インフルは関節痛のみとなりました。でも、パソコンの画面はまだ辛いです。
結局3日間高熱でしたので、かなりダメージが(笑)時間が薬・・・私の母がいつもそう言います。

2018/03/03 (Sat) 20:15 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/04 (Sun) 00:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは。

保育園・・・私も子供は幼稚園じゃなく保育園でしたが、意外と嫌な思い出が多いんですよ。
3歳未満児で入ったんですが入園した時に子供が給食を食べなかったらしいんです。
それで、お迎えに行ったら

「お母さんはちゃんとご飯作ってるんですか?食べないんですけど」

って言われたんですよっ!!あぁっ!思い出したらムカつく・・・!
それに年少の時に将来の夢に「いちごになりたい」って書いてて、

「お母さん、少しお子さんの発想がおかしいんですけど」

って言われ、年長の時は「お姫様になりたい」って書いてて

「自分の顔を考えたら無理なのにねぇ!」

って言ったんですよっ!!冗談でも酷い・・・初めて市にクレームつけました(笑)

いいじゃないの、苺になっても。私が苺狩りに行って連れて帰ってあげるし。
いいじゃないの、お姫様になっても。類がお婿さんならお姫様にしてくれるし!(ここ妄想)

保育園というのも当たり外れがあるのか、ただ担任が悪かったのか?
今は笑い話ですけど、アルバムに「お姫様になりたい」って書いてあるのを見る度に思い出します(笑)

2018/03/04 (Sun) 13:56 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/04 (Sun) 15:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

そうなんですよね・・・なんか有名な先生だったようで、他の市の保育園の先生も恐れてたみたい。
で、園長先生からお詫びがあったけど、その先生からはなかったですよ、一言も。

確かにいい先生もいたので慰めてもらっていましたが・・。
給食はね、あの銀色の食器がイヤだったそうです。そんな理由かい!って思いましたけど子供ですもんね。

苺にならなくて良かったです♥

そんな保育園だったのに運動会で先生に頼まれて、ポケモンのかぶり物着てダンスをした私です。(ニャースになりました)
乗せられるととことん乗ります(笑)

2018/03/04 (Sun) 22:07 | EDIT | REPLY |   

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