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森本からのメールがあったのはフランス時間で木曜日の夜遅くだった。
俺がマンションに持ち帰っていたある企業からのプレゼンのDVDが急遽必要になったと。どうやらコピーしていたものが何かの手違いで処分されてしまったらしく、金曜日の夕方までには会社に届けられないだろうかと。

如何にもマンションに牧野がいることを知っていて、それが可能だろうと言いたげな内容・・・少しムカついたけど、仕方ないから牧野に持って行ってもらうことにした。
取りに行かせるのも気になる。そこで牧野に余計な話をされると、またあの子は俺に黙って1人で悩みそうだから。

時間を見たら日本は金曜日の朝8時ぐらい。牧野は当然起きていて自宅にいるだろうと思って電話をかけた。


『もしもし、類?おはよう・・・ってフランスは夜だっけ?』
「うん、もうすぐ金曜になるところ。牧野、今日は予定ある?」

『今日の予定?何もないよ。水曜日に沢山買い物して出なくてすむようにしてるから今日もここにいるよ。どうかしたの?』
「実はさ・・・」

さっきの話を牧野にして、そのDVDを入れてある場所を説明した。
ビジネスバッグの内側のポケットだけど、そのバッグには鍵がかかってて、ロック解除のパスワードが牧野の誕生日だって言うと笑っていた。

『なんでそんな番号なの?びっくりしちゃう!』
「え、そう?だって自分の誕生日がダメで、携帯の下4桁もダメなんだよ?覚えやすいのって牧野の事でしょ?」

『あはは!そりゃ誰にもわかんないわね!えっと・・・あっ!あったよ、DVD。これを会社に届けるの?』
「うん、1階の受付でいいよ。名乗らなくてもいいし、ポンっと渡しておいて?こっちから連絡入れとくから」

『わかったわ。じゃあ、運転手さんに連れて行ってもらったらいいのね?』
「うん、近くで待機してると思うから。ごめんね、面倒なこと頼んで」

私が休園で良かったね!なんて元気のいい声が返ってくる。
この様子じゃインフルエンザにはなってないようだね・・・少し安心した。


俺の感じる不安は牧野の体調のことだった?そう自分に聞いたけど・・・何となくそれは違うような気もする。


*********


類に頼まれた事を午前中には済ませようと思って運転手さんに電話を入れた。

ついでに少し買い物もしようかな。
土曜日、お弁当って必要なのかしら?でも、そんなことをしたら山本さんに変な期待持たせる?でも、もうカナダに行くんだし会うこともなくなるし・・・一樹くんにはお店よりお弁当の方がいいのかしら。

作るのもどうかと思うし、作らなかったら一樹君ががっかりしそうだし・・・自分で決めかねていたらいつの間にか運転手さんと電話が繋がっていてびっくりした!

『・・・もしもし?もしもーし!牧野様ですか?もしもしー?』
「ああっ!ごめんなさい、かけておきながら考え事してて!牧野です、すみません!」

『ははっ!驚きました。何も言われないから間違い電話かと。類様から連絡がございました。花沢に向かわれるのですね?』
「はい、そうなんです。迎えに来ていただけますか?今から30分後に出ようと思います」

『畏まりました。それではいつものようにエントランスで待っておりますので』


運転手さんとの電話を切ってから急いでお化粧直しをした。
名乗らなくていいって言われたけどそういうわけにもいかないし、どういう関係かなんて話さなければいいのよ。ただ頼まれた物を持って来たって言えばいいんだよね?

それでも少しでも可愛く見られたいし、あんな大きな企業の受付のお姉さんなんて美人に決まってるし!張り合う気なんて全然ないんだけど、万が一・・・って事もあるじゃない?
何かが起きて私と類が恋人だってバレたりしたら・・・「なんだ、可愛い人じゃん」って思われたいから。

着ていくものは類が買ってくれた服の中でも清楚で上品に見えるワンピースと明るめの色のコートを合わせた。
もう寒いってわけじゃないもの。冬っぽい格好よりも少し春っぽくした方がいいよね?

ルージュもピンクでイヤリングまで付けて・・・何だかデートに行くみたいな気合いの入れように少し笑ってしまった。


エレベーターを降りたら運転手さんの方がびっくりしてる。
何がそんなに?って思ったらやっぱり私の格好が普段と違うかららしい。保育園に行く時の格好しか知らないから私だと思わなかったんだって!

「このエレベーターですから牧野様しかいないはずなのに、どなたが降りてこられたかと思いましたよ。いや、女性は本当に変わりますよねぇ!あ、いや、いい意味ですよ?」

「あはは!無理しないでいいですよ。保育園にはこんな服で行けませんからね。それに・・・やっぱり気になるじゃないですか。その・・・類の会社だし。私の事は誰も知らないってわかってるんですけど・・・」

「そうですよね。とてもお綺麗にされてるから類様がご覧にならないのに私が見ていいのかと心配になりますよ。さぁ、行きましょうか。届けるだけで宜しいのですか?それなら社の前のホールで車のまま待機しますが」

「はい!受付に渡せばそれでいいそうですから。その後に買い物に行こうかなって思ってます」

「畏まりました」


いつものように笑いながら会話して車に乗って、ただ向かう先がいつもと反対方向の花沢物産なだけ。

そう、ただ・・・それだけのはずだったのに。


**


「それではここでお待ちしております。受付は真っ直ぐ行けばすぐにわかりますから・・・大丈夫ですか?」
「はい!大丈夫です。じゃ、渡してきますね!」

ドアを閉めて、よしっ!と気合いをいれて社内に入った。

アメリカの道明寺の本社にも何度か行ってるからその規模には驚かない。だけど、やっぱり花沢物産も凄かった。
道明寺ホールディングスのようにド派手な感じじゃなくてモダンな・・・近代的な感じがした。装飾品も道明寺がゴテゴテしていたのに比べてスッキリとしているし、社内にまで緑が多くて開放感がある。


「凄いよね・・・やっぱり類もこんな会社の後継者・・・なんだよね」


ポカンと口を開けて周りを見回してしまう。行き交う人が珍しそうに見てくるから慌てて真正面に見える受付に向かった。

やっぱり座っているのはすごい美人の2人組。ピンクとグレーの制服が可愛らしくて、ニコッと微笑まれると女の私でも赤くなってしまうほどだった!

「おはようございます。どちらに行かれますか?アポイントメントは取られておいででしょうか?」
「あ!あの・・・ですね。これをこちらの専務さんの秘書の方にお渡しいただけますか?頼まれて持って来たんですけど」

「専務の?それでしたらお電話がございましたわ。DVDを持ってこられる方がいると・・・その方ですね?」
「はい、そうです。お急ぎだと聞きましたので。それでは失礼します!」

「ありがとうございました。すぐに渡しておきますわ」


なんて事はない。ビビる必要もない。ドキドキもオロオロもしなくていいのよ・・・これで用件は終ったわ!
受付のお姉さんも特に何も言わなかったし、本当に自分の名前を名乗るのすら忘れたけど類はそれでいいって言ったもん。

何だかすごく大きな仕事をしたような気がして、足取り軽くこの会社を出ようとした、その時だった。


「聞いた?専務のお相手にお子様が出来たらしいわよ?」
「うそっ!専務に?って事は山城のお嬢様?やだーっ!!」



・・・今、なんて言ったの?

類に・・・子供が?・・・あの真莉愛さんが・・・妊娠したの?



それまで軽快に動いていた足が・・・急に動かなくなった。



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2018/03/10 (Sat) 10:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます(笑)

もう私の話なんかどうでもいいから(笑)
早速、画像検索して本日中に公開させていただきます!!

もう、お腹痛いっ!!とうとうあきらが来た(爆)
しかも超面白い、涙が止まらんっ!!

この部屋作ってよかった・・・既に私の所にはお礼のメッセージが届いています。
え?誰から?・・・それは秘密(笑)

それと押し入れって・・・そんな扱いには出来ませんので変更予定なしです。
で、変態読者って書いたら私が先輩に叱られるの。

だからこのままでいきます!!

本当にありがとうございますっ!!なんか・・・頑張れそうな気がする。私・・・♥

2018/03/10 (Sat) 11:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・例のお話しにコメント来てます(笑)
オープンコメで返信下さい・・・こちらで承認させていただきますので宜しくね♥

2018/03/10 (Sat) 11:32 | EDIT | REPLY |   

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