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その日の夜、つくしはそういちろうをサンルームで寝かせてから部屋に戻ってきた。

「そういちろうさん、すごく待ち遠しいみたい。いつもならすぐに止まり木で大人しくなるのに今日はいつまで経ってもお喋りが止まらないの。ずっと『マッテルヨ』って叫んでるのよ?可笑しいよね!でも良かった・・・すぐに見つかって」

「俺、そういちろうの気持ちわかるな。ずっと独りだったからつくしが現われてくれたとき、本当に嬉しかったもん。まさかいなくなるとは思わなくて、あの時は焦ったなぁ・・・」
「あっ!またそんなこと思い出して!・・・ちゃんとまた戻ってきたよ?」

「違うよ、探したんだよ?そういちろうのおかげでまた会えたんだよ。だから、こうして宝物がここに・・・」

つくしのお腹に手を当てたら、その手にそっと自分の手を重ねて頬を染めた。



一緒にお風呂に入って今日の出来事を話して、つくしは寝る前にホットミルクを飲みながら軽く溜息をついてた。

「疲れちゃった?沢山動いたもんね。痛くない?」
「うん、大丈夫。本当は動いた方がいいんだって。でも、初めてだからどのぐらいの運動がいいのかわかんなくて」

大きなお腹だから動きにくいみたい。時々辛そうな顔をするのが可哀想な気がしてつい手を差しだしてしまう。そしたら甘えるように寄ってきて、いつも俺の腕の中で踞るようにして眠っていた。
その時にも1日の話をお互いにするのが楽しみ・・・だけど、いつもつくしの方のお喋りが止まらない。

最近はお腹の子供が動くからその話ばかり。俺も触ってみると時々凄い力で蹴ってくる。「痛くないの?」って聞くと「痛いときもあるから反撃するんだよ!」って笑ってる。

「宝物・・・ホントに大切にその中で育ててくれてるんだよね・・・ありがとう、つくし」
「え?どうしたの?急に・・・だって当たり前でしょう?でもね・・・」

「どうしたの?何か不安なの?」
「うん、不安・・・だってこの子、多分女の子って先生が言ったもん。男の子じゃないもん・・・」

「そんなこと?バカだね・・・女の子は絶対に欲しいから先に生まれてきて正解なんだよ?そう思っていて・・・俺は嬉しいんだから」

医者から言われたのは「女のお子さんでしょうね」だった。
その時にほんの少しだけ悲しそうにしたのは知ってるよ?うちの両親も男かな?なんて不用意に言葉にしてしまったものね。
でもね・・・どっちでもいいんだって。とにかく元気な子が1番って言うじゃない?

「女の子なら可愛い服がいるね。どんな物がいいんだろ・・・迷うよね。何歳の時にデビューさせようかな・・・うんと遅くがいいな」
「何で遅い方がいいの?普通は何歳から?」

「早い子は小学生になったら夜のパーティーに来る子はいるよ。でもこの子は特別・・・俺だけのものだから他の男には見せないの。だから遅くていいんだよ」
「またそんな事言って・・・ダメだよ。普通にするの!特別はダメ!」

「どうして?特別だよ?」
「類の特別はこの子じゃないもん」

まだ産まれてない子供にジェラシーなわけ?クスッ・・・ホント、可愛いよね。
おでこを合わせたまま聞いてみた。


「ね、つくしは何が欲しい?そういちろうには彼女が来るでしょ?俺にはこの子が来るでしょ?つくしは今、何が欲しい?」
「何にも要らないよ?こうしてるだけで幸せだから。この子が生まれたらやりたいことは沢山あるの。それに付き合って?」

「何がしたいの?旅行とか?」
「ううん、お散歩とかピクニックとかお花見とか・・・海水浴とか!そんなお出掛けがしたい。私ね、一度もしたことがないの。家も苦しかったし弟の面倒みてたし。小さい頃からの夢なの。それが出来たら何も要らない・・・類がいてくれたらいい」

つくしの方が俺を引き寄せてキスしてくれる。
だけど今日もまた聞けなかった・・・つくしの欲しいもの。


**********


朝起きたら珍しくつくしがまだベッドにいた。
いつもはもっと早くに起きて朝ご飯作りに行くのに。具合でも悪いのかと思って頬に手を当てたけど熱があるわけじゃない。
それでも少しだけ気分悪そうにしてるから背中をさすってあげた。

「つくし、大丈夫?何処か痛いの?お腹が痛いとかじゃないの?」
「・・・類、ごめんね。最近少し朝が弱くて・・・夜中にね、いつも起きちゃうの。この子が蹴ったりするし上を向けば辛いし、横向いても寝返りするのが怖いし・・・もう一緒に寝ない方がいいのかも・・・」

「えっ!!何で?何で一緒だとダメなの?」
「・・・だって類が押さえ込んでるから動けないんだもん・・・でも、今は少しずつ体勢変えないと寝られなくて・・・」

眠たそうに目を擦ってつくしが起き上がった。そしてお腹を摩って「いたたたた・・・」って。
妊婦ってホントに大変そう・・・何もしてあげられなくてごめんね。それなのにわかってあげられなくて、つい押さえ込んで寝てたなんて自分勝手な男だよね。

「ご飯、作ってくるね。ちょっと遅くなったから簡単なものになるけど」
「それってシェフに頼んだらいいんじゃない?生まれたらまた作ってよ。俺はつくしにゆっくりしてて欲しい・・・」

「ううん、これも私の夢だったからいいの。旦那様のご飯はちゃんと作りたいの。そんな朝が私の欲しいものだったから」
「こんな朝が?これがいいの?」

「・・・?そうだよ。私はこんな毎日が欲しかったの。じゃあ作ってくるね」

つくしは上から羽織りものだけかけてお腹を抱えながら部屋を出ていった。


つくしの欲しいものはこんな朝?毎日必ず来るこの朝が1番欲しいの?
確かにそうかも・・・。俺はつくしと暮らすようになって1番嬉しかったのは毎朝目が覚めたときに見る彼女の姿とバゲットサンドの朝ご飯だったもんね。カフェラテ付きの・・・温かい食卓。

そっか・・・じゃあ、いつもしてもらってることをしてあげたらいいかも。
そうしたらつくしは喜んでくれる?

その特別な笑顔が見たくて決心した。14日、俺が朝ご飯を作ってあげる!
ちゃんと早起きしてつくしのようにはいかないけどカフェラテも入れるんだ。でも、これが贈り物だなんて変だよね・・・そんな事を考えながらまだベッドの上に寝転んでいた。

何、作ろうかな・・・って言っても、キッチンに入ったことがないんだけど。


**


「何してるんですか?専務・・・そんなに面白いもの、見てるんですか?」
「あっ!藤本・・・どっちが簡単だと思う?」

「何がですか?」

手招きしたら藤本が不思議そうな顔して横に来た。俺が今見ているのは簡単でおいしい朝食っていう料理サイト!この中から出来そうな物を探して材料から準備しようと思って必死だった。

「焼きたてのパンか、それともサンドイッチ・・・和食は朝食としては苦手だからさ。クロワッサンって難しいかな・・・どう思う?」

「何を見てるかと思ったら!誰が作るんですか?奥様はお料理上手じゃないですか!こんなサイト見て出されたお料理に注文つけたら怒られますよ?あんなによくして下さるのになんて贅沢な!こんなもの見てないで仕事して下さい、仕事!」

「つくしが作るんじゃなくて俺が作るの!1日でも彼女に楽して欲しいから作ってあげようと思って。今、お腹が大きいから寝不足らしいんだよね」
「・・・その前に朝起きることの方が先じゃないですか?起きないクセによくそんな計画立てますね・・・」

「・・・目的があったら起きられると思うんだけど。念のために14日、モーニングコール頼んでもいい?」
「イヤです。業務外です・・・って言うかお屋敷の人に頼んで下さいよ!」

とか何とかいいながら藤本と話した結果、パンを焼くことにした。
そのために必要なものを藤本に調べさせて買いに行かせて・・・夕方にはもの凄く怒った顔の彼が目の前にいて、ドン!と紙袋をデスクに置かれた。

「これだけあればパンがイヤってほど作れると思います!でも本来はこれも専務がすることじゃないですかね!何で私が買い出しに行かなきゃいけないんですかっ!」
「・・・だって仕事があったんだもん。仕方ないじゃん。ありがと、助かったよ」

「何の仕事してたんですか?」
「昨日から溜め込んでた書類にサインしてた」

「・・・昨日の仕事じゃないですかっ!!じゃあ今日の仕事はどうなったんですかっ!」
「明日かな?・・・そう慌てなくても大丈夫だって!スタッフが優秀だから業務実績毎年上がってるし。ね!」


まだ言い足りなくて隣で文句言ってる藤本のことは放っといて、俺は朝早くから仕込みをしなくちゃいけないらしい。そのレシピなるものを研究するのに必死だった。
明日かな?なんて言ったけど、こっそり休暇届も出して帰った。



sandwich-2301387__340.jpg
普段はお仕事してると思います(笑)
明日は13:00、公開です。
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2018/03/13 (Tue) 13:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

そうそう!作らせてみようかと思って!(笑)
絶対に起きないでしょ!って思うんだけど、総ちゃんが夜の話だったんで類君は朝にしようとおもったらこんなことに(笑)
サンドイッチじゃ簡単じゃないですか!

ただ単に類君がキッチンに立ってる姿を想像して欲しくて書いただけ。
フランスパンにしようかと思ったら難しかったのでやめました。

あっちの画像(笑)
この度は悩みましたよ・・・なんかピンと来るものがなくて!
そのまんま・・・みたいですけどね。

最後のご質問は・・・うーん(笑)
3月は1回ですかね。でも、無視してます。このまま減るといいんですけど。

ご心配いただいてありがとうございます。なんとか元気にしております。
声を張り上げて目の前の海に叫んでおきます!(笑)

2018/03/13 (Tue) 19:12 | EDIT | REPLY |   

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