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plumeria

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京都での仕事が始まった。さすが東京よりも気温が高い。毎年の事とはいえ、この暑さには慣れることはない。

そして、今から連日、ここの暑苦しい連中を相手にしないといけないわけで…
始まったばかりなのにすでにうんざりしていた。
今年は違う意味で気が抜けないからな。横を見たら緊張気味な牧野がいる。


「若宗匠も随分と腕を上げられましたな」

「これはまた先が楽しみですわ。これからも精進なさいませ」

京都の支部の古狸達の俺に対する評価も最近では良くなってきたらしい。
口々に調子のいいことを言ってくる。いい年頃の娘を持つヤツはもっとすごい。

「ありがとうございます。西門も皆様のお力でここまでになりました。
私もまだまだ未熟ですので、これからも京都の方々にはご指導の程宜しくお願いいたします」

上辺だけは極上の笑みを浮かべてその場を終わらせた。
牧野は上品に夏物の着物を着こなし、俺の付き人達と一緒に働いている。
その笑顔や会話で京都の連中も虜にしているようだが・・・無駄に愛想を振りまかなくてもいいんだって!

京都に来てから何日目かには、先代からの付き合いがある料亭に支部の連中と来ていた。
当然のように俺の横に座っているどこかのお嬢のことは適当にあしらってさりげなく牧野を見たら・・・
京都のどっかの息子ってのが牧野に話しかけているじゃねーかっ!

「どうされましたか?総二郎様。何か気になることでもおありですか?」

「いえ・・・何でもありません。うちの者にお話しをされているのはどちらの・・・?」

「あぁ、あれは西陣織の若手の職人さんですよ。京都支部に最近よく顔を出すんですわ」

年で言えば俺より少し上か?牧野のヤツも赤い顔して・・・まさか飲んでんじゃないだろうな?
隣のお嬢が酌をしてくれるけど、俺の全神経は末席の方に向いてたので何の話しも聞いちゃいない。

しかも帰るときまで牧野の側にいるとはいい度胸だ!って声には出せないけど。
イラッとして牧野を呼んだ。しかも思いっきり感情丸出しで。どこの息子かなんてどうでもいい!

「牧野!何をしてる!次の予定に間に合わなかったらどうすんだっ!」

「あっ!はい!・・・申し訳ございません。では、これで失礼いたします」

誰かわかんない男に頭を下げて小走りで戻ってきた。
横目でそいつを睨んだら顔色変えてどっかへ行きやがった。

「あれ?時間なかったっけ?次の予定って・・・今日はもう終わりじゃなかった?私、間違えてる?」
「変な男に捕まってるからだ!行くぞ!」

へ?って顔して首をかしげてついてくる。
何気に色んな男を引きつけてしまう厄介な特技持ってんだ、こいつ!


連日のように講義や茶事が続いた。京都支部への挨拶回りや古くからの付き合いのある呉服屋
や和菓子屋などの店にも牧野を同行させた。
どの店でも牧野が気になるのか、直接聞いてはこないが見られているのがわかる。
牧野は決して俺に馴れ馴れしい態度はとらない。西門の仕事をしている間、俺のことは恋人ではなく
次期家元として接しているから、多くの付き人の中でも一番最後に控えている。

それでも行く先々で、皆の視線は牧野に注がれた。
それだけこいつは上品で美しく、今まで一緒にいた俺でさえハッとさせられる程だった。


京都支部でも少しだけ牧野のとこが噂になっている。そうだろうな。今まで付き人に女なんか付けたことはない。
しかも西門の着物を着せたとなると、家元が認めた人間って事になる。

そして常に俺が同席させている。たとえ末席だとしてもこんな事は初めてだ。

会食の作法も、西門流の所作も稽古の成果が現れている。
まずまずの印象は残せただろう。俺としてもホッとしたところだった。


教育係は俺と志乃さんと家元夫人・・・完璧だ。


京都の仕事が段々終わりに近づいてくる。疲れとは別に自分の中で生まれる欲情・・・
ここに来るまで迷い続けた思いが決心に変わる。


****


「総二郎、長かったねぇ!お仕事、お疲れ様でしたっ!」

「あぁ、お前も中々頑張ったじゃん!これでしばらくは着物着なくてすむな!お疲れさん!」

京都での仕事が終わってから約束通り3日間休みをもらった。
他の付き人はすべて帰らせて牧野と2人で短い旅行気分。お袋にはお決まりの注意をされたがそんなのは無視!
ここから先は西門の別邸も使わず、プライベートを楽しむことにした。


こいつの希望で定番中の定番、清水寺に向かう。

「お前、なんでここ?今や外人しかいねーんだぜ?もうちょっと静かな所なかったのかよ」

「行きたいところって言ったじゃん!ここテレビでしか見たことないから見たかったんだもん!」

清水の舞台ってやつね・・・。何度も来ている俺は飽き飽きしたけど牧野ははしゃいでいる。
最近の京都はマジで外国人しかいないのかってほど色んな国の人間を見る。
牧野も建物や景色を見ているんだか、外国人に感動してるんだかわかんない状態。
それでも楽しそうに土産物屋を見たり、つまみ食いをしたりと忙しそうだ。

それなら、まぁいいか・・・って事で、この後も金閣寺や二条城など有名所を案内させられた。
さすがに疲れたのか伏見稲荷の千本鳥居を前にぐったりしていた。

「疲れただろ。明日もあるから今日はもう宿に向かうか?」

「うん・・・そうする」


今日は京都の割と中心部、鴨川近くの小さいが趣のある宿を予約していた。
初めての旅行に牧野は落ち着かない様子だったが、俺としてはこのチャンスを逃すつもりはなかった。

罪悪感がなかったか・・・そう言えば嘘になるがそれでも俺はこいつが欲しい。


****


夕食は当然京料理。しかもここの料理長はむかし西門にいた人で腕も一流だ。
ぐじと呼ばれる甘鯛の煮付けや京野菜を使ったもの。
湯豆腐に湯葉・・・見た目も美しい料理に感動して、嬉しそうに食べている。
デザートに至っては当然俺のものを奪っていく。

食事が終わると主人が用意してくれた浴衣に着替えて夜の四条通を歩いた。
ここは花見小路通と呼ばれる祇園歓楽街だ。芸子や舞子を見かけることもある。

牧野と2人で京都らしさを楽しんだ。


宿に戻ってから牧野は一層落ち着かなくなった。
それは俺も同じだけど、牧野は初めてのこと・・・無理もないけど、やめてやる気もない。

せめて、もう少し楽にさせてやりたいが、別に怖がらせてるつもりもないんだけど。
すでに会話もなくなって、牧野は俺の方を見ようともしない。
もう少し大人の女の雰囲気ってのが出せないもんかな・・・高校生じゃないんだから。
いや、牧野が色気出したらその方が似合わないか?って、俺も何を考えてるんだか・・・!


「お前、先に風呂に入ってこいよ」

さりげなく言ったつもりなんだが、真っ赤な顔をして飛んでった。
どういう風に受け取ったんだ?別に早くやりたいなんて意味じゃなかったんだけど・・・?


あれだけたくさんの女を抱いてきたこの俺が何でこんなにドキドキしてんだかわかんねーけど、
自分も身体が熱を持ってるような気がして、外の風に当たっていた。

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多くを期待せずに明日を
お待ちください。
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2017/03/30 (Thu) 16:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、こんにちは🎵

落ち着いてくださいませ。慌ててはいけません‼
大丈夫かな?あいてはつくしちゃんですよ?

明日は何があっても私を怒らないでくださいね。
絶対に期待しないで下さいね⁉


お利口にしてお待ちください❗

マジでどうしましょ。

2017/03/30 (Thu) 17:12 | EDIT | REPLY |   

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