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「類!火傷したの?ちょっと見せて?」
「・・・ん、大丈夫だよ。すぐに冷やしたから・・・ごめんね、朝から大騒ぎして。あのさ、今日は俺が朝食作ってみたんだけど」

「・・・うん、さっき加代さんに聞いた。びっくりしたよ。でも、火傷のほうが心配・・・どう?痛い?」
「少しだけ。そんなことよりさ、早く食べてみて?焼きたてだから!」

俺が火傷なんてしたからつくしは嬉しいんだか、悲しいんだかわかんない顔してる。すぐにテーブルに行かなくて俺の手を取って赤くなったところを心配そうに撫ででくれたけど、その刺激が痛くてピクッと動かすと「ごめんっ!」って泣きそうな顔になった。

「少し赤くなっていますけどこのぐらいでしたらお医者様には行かなくても大丈夫でしょう。お薬をつけて包帯で保護しましょうか。準備しますから保冷剤を持ったままお食事をどうぞ・・・ホントにドジですこと!」

加代が溜息つきながら薬箱を取りに向かった。
ドジって・・・そこまではっきり言わなくてもよくない?嬉しすぎて油断したんだって!


「せっかく作ったんだからそんな顔しないで?こんなものすぐに痛みも取れるから。ね、それより見て、これこれ!ちゃんと小麦粉こねるところから俺がしたんだから!」

「う、うん・・・でも、パンって意外と難しいのよ?よく出来たねぇ!」

・・・そりゃ、肝心な所はシェフがいるからやってもらったし・・・と、言うのは黙っておく。加代もシェフも笑ってるけどね。



テーブルについたらさっそくほかほかのパンを手にとってその香りを楽しんでる。その時の顔が最高に可愛くてこっちまで手が痛いのを忘れちゃう。そして半分に割ってぱくんと食べて・・・「美味しいっ!」って笑った。

「ね?美味しいでしょ?これ丸めたのも俺だから!初めてにしては上手くない?」
「うんうん!すごい!やれば出来るじゃない!でも、よく朝早く起きれたわね。いつもは何度起こしても素直に起きないのに」

「くすっ・・・ごめん。明日からまた起こして?これは特別な時だけかな・・・今日14日だから。また来年ね」

「・・・あはっ!そういう事?類ったら・・・・・・ありがとう。すごく嬉しいよ」

2個目のパンに手が出るのを見て俺もすごく嬉しかった。自分でも食べてみたけど、一番簡単なバターロールなのにホントに美味しかった。2人で「もう1個!」なんて言って取り合う、そんな幸せな朝食だった。


「最近、寝不足で朝が辛いって言ってたからさ。これでちょっとでも気分よくご飯食べられた?つくしの欲しかった朝の時間・・・少しはその役に立ったかな、俺」
「最高の朝だわ。私、今日は1日頑張れそう!この子にもパパの愛情を届けられたし、きっと喜んでると思うわ。この子が食べられるようになったときも宜しくね!」

「あ、そうか・・・うん、その時も頑張る。早起き・・・」


その時俺の電話が鳴った。
こんなに早い時間に誰から?って思ったら・・・国際電話。もしかしたら手配できたのかな?

『Bon matin(おはよう)花沢だけど・・・もしかして見つかったの?』
『あぁ、もう日本に向けて送り出したよ。よかったかい?』

『Je vous remercie !(ありがと!)じゃあ、明日の朝かな?楽しみにしてるよ』
『De rien !(どういたしまして)しかし、物好きだな・・・こんなのが欲しいだなんて!』

フランス語圏の国だったからフランス語で受け答えてる俺につくしはキョトンとしていた。「お仕事の話し?」って言うから「輸入先の責任者から発送完了の知らせだよ」って言うと、何も疑わずにジュースに手を伸ばしてる。


明日の朝か・・・藤本に電話入れなきゃね!つくしもきっと驚くよ?


***


今日は会社を休むことにしていて、この後はペットショップにそういちろうの彼女を受け取りに行く。もちろんそういちろうも一緒にね。
手に火傷をしてしまったから仕方なく運転は加代に頼んでさっそく店に向かった。

左手を火傷しちゃったから手が繋げるようにって俺の右側に座ったつくし。
やっぱりそういちろうはつくしの膝の上で、今日は俺も後部座席に座ってるから2人の間を行ったり来たり。彼女が来るってわかってんのかな?すごく落ち着かないんだ。

「・・・ソウイチロウ、オハヨウ、ソウイチロウ・・・ダイスキ!」
「まだ出会ってないのにもう大好きなの?ふふっ、本当に寂しかったんだね。ごめんね、そういちろうさん!」

「そうじろうで我慢出来たら良かったのに。ちょっと無愛想で口下手なのは幼馴染みの総二郎と正反対だね」
「あら、西門さんっていう人?その人は愛想が良くてお話し上手なの?」

「・・・うん。でもその相手は極限られてるけど。今度会ってみる?ちょっと驚くかもしれないよ?」
「うん!類のお友達にも会ってみたいなぁ!結婚式は親戚だけだったもん」

そうだね。所謂出来婚だったから身内だけで先に式だけ済ませたもんね。父さんにも母さんにも呆れられたけど、子供が産まれてつくしが落ち着いたら花沢で披露パーティーすることになってるし。
総二郎だけじゃなくてあの2人も呼んで会わせなきゃ・・・くすっ!まさか俺が1番ノリでパパになるとは誰も思ってなかったかも!


ペットショップに着いて、加代は店内には行かないって言ったから2人・・・いや、3人で向かった。
この時も火傷してるからそういちろうはつくしが抱っこしてる。よく見たらぽっこり出てるお腹の上に乗ってた・・・そういちろう、そこには俺の子供がいるんだけど。
早くも俺の子供に足蹴り?うーん・・・なんだか、ちょっと気になるけど、つくしがそうしてるのならいいのかな・・・?


そういちろうは1度ここに来てるから今度はソワソワしてる・・・鳥でもわかるのかな?でも会ったことないからお見合いみたいなもんだけどね。

「あぁ、花沢さんですね?来てますよ、ベニコンゴウインコ!中々元気のいい可愛い顔ですよ~!」
「あっ、そうなんですか?楽しみです~♥ね、そういちろうさん!」

「それに人間にも慣れてるようですからすぐ手の上で遊ぶと思いますよ」

「ソ、ソウイチロウ、マッテタヨ!マッテタヨ!!ソウイチロウ、ダイスキ!」
「そういちろう・・・見てから言いなよ」

そして奥の方から店員さんに連れて来られたのは、ホントに可愛いメスのベニコンゴウインコだった。って・・・どこに違いがあるのかわかんなかったけど。

「・・・・・・」
「そういちろうさん?ご挨拶は?ほら・・・もしかして、照れてるの?」

「・・・・・・ソウイチロウ、オ、オハヨウ」
「・・・・・・」

「いきなりだからまだ話せないんじゃないの?俺達だって出会ってから3ヶ月ぐらい話せなかったじゃん」
「そうなのかしら?日本語がわからないのかしら?」

いや、どっちかって言うと日本語がわからない方が正しいんだと思うけど。


そういちろうが顔色を変えないから照れてるのか、喜んでるのか、気が合わないのかわかんなかったけど、とにかくこのベニコンゴウインコを買って帰った。
車に行ったら加代がまた大きく溜息ついて「花沢は鳥類園みたいですわね!」だって。
車内までは大きな箱に入れて持ってきたけど、それだと可哀想だからって箱から出して、そういちろうはつくしの膝の上、新しい子は俺の膝の上に置いてみた。

「・・・・・・クワ、クワ・・・」
「ソウイチロウ、マッテタヨ!ソウイチロウ・・・タダイマ!」

「そういちろうさん、変な日本語で話したらこの子が困っちゃうよ?この場合はお得意の言葉があったでしょ?」

つくしの一言に運転中の加代まで吹き出して「嫌ですわ、つくし様、鳥は鳥語でしょ?」って・・・鳥語ってなんなのさ!
やっと思い出したのか、そういちろうは急にハッとしたように俺の方を見た。

「ソウイチロウ、イラッシャイマセ!イラッシャイマセ!!」
「そうそう、思い出したじゃん!最近は言わなかったもんね!お利口だね、そういちろうさん!」

「・・・クワッ!」
「あははっ!まだよくわかってないんだよ。慣れたらきっといい友だちになって、そのうち恋が始まるんじゃない?ホント、可愛い子だよね・・・」

俺が頭を撫ででやったら初めてなのに擦り寄せてきた。
目を閉じてすごく気持ちよさそう・・・だから、顔の周りや頭を掻いてやったらどんどん・・・どんどん接近してくるんだけど!
いや、それ以上登って来たら顔にくちばしがくっついちゃう!これってコンゴウインコとキスするってこと?マジで?!
左手が使えないから上手く引き離せないんだって!それに俺だってまだこの子のこと、わかってないし!!

「ソウイチロウ・・・マッテタ。ソウイチロウ・・・ココニイルヨ?」
「類、なんでそんなにその子に優しいの?その子、そういちろうさんの彼女だけど」

「・・・は?な、何言ってるの?俺がインコと浮気してるみたいな言い方やめてよ。俺が好きでこの子を近づけてる訳じゃなくて・・・」
「・・・クワッ!クワッ」

「ちょっと、それ以上来ないで!・・・ホントに来ないでってば!うわっ・・・!」
「クワッ!!」


うそ・・・ホントに俺の唇にこの子のくちばしが・・・当たっちゃった。

何とか片手でその子を抱きかかえて自分から離したけど、隣を見たらすごい顔のそういちろうと何故か怒ってるつくし。
いや、だって・・・キスしても相手はインコだしっ!!そこまで2人で睨まなくてもよくない?


「ヒドい・・・類ったら私以外の人とキスしてっ!ね、そういちろうさん!」
「ルイ、バイバイ!!」

「なっ、なんて事言ってるの!これはこの子が勝手に寄ってきたんだって!ホントだよ、見てたでしょ?」
「それでもそういちろうさんの彼女とだなんて最低だわ!類ったらちょっと自分が格好いいからってインコにまで手を出さなくてもいいんじゃないの?呆れちゃう!」

反対側をプイッと向いたつくしだけど、そこの窓ガラスに映ってる顔はクスクス笑ってる。なんだ・・・ふざけてたのか!
本気かと思って焦る俺も変だけど、確かに俺もつくしがそういちろうにキスしたら嫌だから同じかもね。


それにしても、問題は俺の事をジッと見て視線を外さないこの子と、それを恐ろしい顔で見てるそういちろう。


俺にその気がなくてももしかしたら・・・インコに恋された・・・とか?



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2018/03/16 (Fri) 23:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは。

あはは!バレバレだけどね。やってきますよ・・・そうじろうの相手も♥

類は浮気してないと思うんだけど、鳥に好かれる設定なので特殊なフェロモンでも出してるんじゃないかしら。
うちのインコも実は旦那が大好きで、旦那が帰ってくると大騒ぎです。
私には噛みつくけど、旦那にはそんな事しません。

ま、私はそういちろうと違って「どうぞ~」って気分ですけどね。


うちの娘は髪のアイロンで自分の指を挟んだらしいです。ホント、不器用で・・・。
髪の毛とか全然アレンジできないんですって。

だからせめてアイロンぐらいかけてみようとやったら火傷。「バーカ!」で終りました。
きっとまたやるんですよ。火事にならなきゃいいです(笑)

今日もコメントありがとうございました。よい休日を・・・。

2018/03/17 (Sat) 10:40 | EDIT | REPLY |   

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