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ロビーに降りるエレベーターの中で藤本に確認をした。

「森本に迎えに行かせたんだよね?牧野の前で俺の噂を流した社員と例の男達は何処にいる?」
「受付横の商談スペースで待たせてあります。」

「探偵って男も連れて来た?」
「はい、花沢のSPを数名お借りして少し抵抗しましたが何とか。今はそのSPに全員を見張らせています。勝手なことをして申し訳ありません」

「構わないよ、揃ってくれないと困るから。ありがと」


藤本を後ろに従えて入り口の方に向かったのは10時55分。社の外から入ってくる派手な女性が見えた。
その横にはもちろん森本がいて、俺を見つけると極上の笑顔を向けて手を振る真莉愛がエントランスホールから入って来た。

それを確認したら俺の足はロビーの中央で止まり、真莉愛は俺のすぐ側まで来て向かい合わせてやはり足を止めた。

「類様、お帰りなさいませ。空港までお迎えに行こうと思いましたのに。違う人をお迎えに来させたんですって?でも、こうやって私をお呼び下さって嬉しいわ。山城へのお迎え、類様なら嬉しかったですわ」

「それは申し訳ありませんでしたね。それで、もう吐き気は治まりましたか?」

俺の言葉にピクッとしたけど、すぐにそれは笑顔の下に隠し「それはまた後で・・・」、そう言った。
後になんかするわけがない・・・牧野を傷つけたこの場ではっきりさせてもらう。俺は周りの人間にも聞こえるような声で言葉を出した。

「それは誰の子供なんでしょうね、私からもお祝いしますよ。何処の誰とご結婚を?山城真莉愛さん。議員の今川勝氏ですか?それとも最近お付き合いのあった中国企業の経営者?それとも英徳の同級生の小沢君・・・誰でしょう?」

「なっ・・・!なんて事を仰るの?私はあなたの婚約者ですわ・・・少し、声が大きいんじゃありませんの?類様!」
「大きな声で言わないと噂が広まらないんですよ。そうだよね?森本」

今度は森本に視線を向けたら眉間にすごい縦皺を寄せて唇を噛んだ。それには真莉愛は意味がわからないって顔をしたから、牧野にわざと話を聞かせる裏工作は森本の独断か・・・でも、元は真莉愛が作ったものだから同罪だけどね。


「真莉愛さん、私は他の男の子供を妊娠した人を妻に迎える気はありませんよ。元々婚約そのものも成立してはいませんけどね。さぁ、お話し下さい?誰の子供でしょう?なんなら相手の方をここに呼びましょうか?」

「えっ?・・・なんの話なの!相手って・・・」

目配せしたら受付奥の方に藤本が行って、そこからゾロゾロと男達が連れて来られ、ついでに噂を言いふらすように指示された女子社員もそこに並んだ。
その光景は異様なもので、すぐに辺りは花沢の社員で埋まった。真莉愛は動揺して足が震えだし、森本は真っ青になった。
晒し者・・・ってこういう感じなんだろうね。気の毒だなんて思わない。言葉を失った2人に追い打ちをかけるように攻撃を続けた。

「真莉愛さん、お知り合いでしょう?今川勝さん、あなたの恋人でしたよね?こちらは中国企業の王氏、最近までご関係が続いてましたよね?歳が近いので言えば小沢君・・・今でもあなたに夢中だそうですが」
「・・・いえ、存じ上げませんわ」

3人を目の前にしたら視線を外して小さな声で関係を否定した。
仕方ない・・・藤本に合図したら真莉愛の目の前で探偵が撮ったホテルでの写真を見せた。
それをすごい勢いで奪ったかと思うとその目を見開いて確認し、ワナワナと身体を震わせた。

「こ、これは・・・なんで、どうしてこんなものが!」
「ここにいる小沢君が撮らせたものですよ。一度の関係で捨てられた後、あなたのことをストーキングしたんでしょう。日付、入ってるでしょ?俺と初めて会った日の後も王氏とのご関係はあったようですが?」


急に今川勝が小さな声で話し始めた。

「もういいだろう!花沢物産から呼ばれたって事で来てみればこんな事だったとは・・・。もう彼女とは別れたんでね、何処の誰と付き合おうが関係ないんだよ。悪いが党の委員会があるんで失礼する。言っておくが彼女が私の子供を妊娠するなんて事はないからな!そんな関係ならもう半年前に終ってるんだから!」

そう言って踵を翻した。その後に中国の王氏も中国語で何かを呟いた後、同じようにここから出ていき、残された小沢は真莉愛に軽く頭を下げて「写真、ごめんね。悔しかったから」・・・まるで高校生か中学生のような謝り方でこいつも出て行った。


「あの3人ではないとしたらまだ他にもお付き合いされている人がいましたか?私とは一度もそんな時間は持っていませんからね。お腹の子供の父親は一体・・・」
「もういいですわ!わかったわよっ!言えばいいんでしょ・・・私は妊娠なんてしてないわ!」

真莉愛の声はロビーに響き、ザワザワと社員が騒ぎ出した。俺の後ろ側で牧野に噂を聞かせた女子社員達も驚いて泣きそうになって、森本ですらこの発言には驚いて真莉愛を凝視した。

「でも言っておきますけど、私は一言も妊娠したなんて言ってませんわ。こちらの前田常務と秘書の方が勘違いして噂を流されたんじゃありませんの?よく確認して下さいな!私、言っていませんから!」
「否定もしなかったって事ですよね?」

「・・・だって直接子供が出来たのか、なんて言葉をお爺さまも常務も言わなかったわ。否定のしようがありません。そしてこの会社で勝手に広がった噂なんて責任取れませんわ!」

まるで自分には非がないといわんばかりに堂々と言い放った。


「それでは・・・この男はご存知ですか?」

花沢のSPがその男の腕を掴んで俺の横に連れて来た。よれよれのジャンバーに薄汚れた服装で酒と煙草の匂いがする、如何にも裏家業で生計立ててるような奴だ。真莉愛はチラッと見たがすぐに横を向いた。

「知りませんわ、そんな人。私が会うような人ではないでしょう?」
「直接会う必要もないかもしれませんね。メールで依頼すればいいことですから。では質問する相手を変えましょう」

俺が目で合図したらSPがこの男の胸元をグイッと掴み上げ、「さっきのことをもう一度話せ!」と呟いた。
SPの腕を払い除けると、その男は面倒くさそうに話した。

「山城って女から牧野つくしって女の調査依頼が来たんだよ!すっげぇ高額で謝礼金払うって言うからよ!何日間か張り付いて色んな写真を言われたアドレスに送っただけだ!どっかの保育園で男と抱き付いてる写真送ったのが最後でその後はもう関わっちゃねぇよ!なんだ・・・このケバい女がその山城ってやつか?直接は会ってねぇから知らねぇが要るんなら俺のスマホにそいつのアドレスとか残ってるから調べりゃいいだろ!」

そう言ってSPにスマホを差し出した。
それの中身をチェックするようにSPには頼んで、この男はここで俺達の前から消えた。


次第に増えてくる社員達に囲まれて、さすがに真莉愛にも動揺が見られた。

「あの男に撮らせた写真を保育園に送って、ついでに園長に電話をかけて牧野を園から追い出しましたね?」
「・・・知らないわ」

「山城商事の山本部長を会長に頼んでカナダに転勤させたのもあなただ。そして山本に牧野を誘うようにと誘導し、仕事を失った牧野が弱ったところで上手く事が運ばないかと思った時に思わぬ形で妊娠説が浮上し、そこに罠を仕掛けたのが森本・・・お前だよね?」
「・・・森本さんが?」

牧野に真莉愛の妊娠説を聞かせる為にわざわざ会社に出向く口実を作った。
牧野がいなくなるように仕向ける罠だから、あえて俺には牧野に会ったなんて報告はなかった。DVDを受け取った、と言うことだけの報告だったからね。

「森本、あの日、あのDVDなんて必要なかったよね?それなのにわざわざ持ってきてくれなんてメールくれて、こうやって女子社員を使って牧野の耳に真莉愛の妊娠を伝えようとしたよね?」

俺の後ろには今度はあの時の女子社員が並んだ。俺が睨むと半泣きで頷いて、森本の方を見てる。
森本も顔色こそ悪かったけどどうにかして逃げ道を探っているのか、忙しなく目を動かしながら唇も震えている。

「森本は牧野の顔をはっきりと知らないからどうしても牧野だとわかる行動が必要だったんだよね?だから何かを受付に届けさせてそれをずっと監視していた・・・。1人の女性が受付に届け物をしたのを確認したら彼女たちを使って噂を耳に入れさせた。
少しでもタイミングがズレたらアウトだったのにすべてが上手くいって満足だったろう?森本。・・・妊娠が嘘ってことを除けばね」

「・・・まさか嘘だっただなんて」
「だから!私は自分では一言も言ってないわよ!類様、信じて下さいますよね?私、そんな嘘、ついておりませんわ!」

半分諦めたかのような態度の森本に対して、真莉愛の方はまだ俺に向かって近寄ってきた。
その真莉愛の両腕を止めたのは花沢のSPで、俺から遠ざけようとして出口の方に引っ張った。

「何するの!離しなさいよ!失礼ね、誰に対してこんなことしてるの!類様・・・この人達を止めて下さい!」

「止める必要なんてないでしょう。先ほど山城との共同事業は破棄し撤回されましたよ。もう、今後山城と組むことはありません。真莉愛さん、あなたとこうして会うものこれで最後です。そして、残念だがあなたのお爺さまもうちの前田も潔く身を引いてくれなかってので特捜が動きます。山城がどの程度踏ん張れるか見せてもらいますよ」


「そんな・・・!類様!類様っ・・・!私はもうあなただけを何年も想っておりましたのよ!類様!」

「・・・それはどうも。でも想っていただいてる間に関係を持たれた男性が何人いるんでしょうね。ご自分に聞いてみて下さい」



その場に崩れ落ちた真莉愛・・・でも、あんたより牧野の方がどれだけ泣いたと思ってる?
不正の事実が晒されるとき、同時にあんたの犯した罪も晒してあげる。


2度と俺の前に現われないようにね。




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2018/03/31 (Sat) 01:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/31 (Sat) 02:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みき様、おはようございます!

あはは!初めのほうそんなに切なかったですか?
類がグイグイ押していたのは覚えてますけど、書いてる方は(恥ずかしさのせいで)記憶から消していくので。

森本(爆)そう言えば森本にはそこまで言っていませんでしたね。
真莉愛に意識が集中しちゃった!
(何処かで書き足せるかな?もう少しお仕置き出来るかな?)


イベントの方もご訪問いただいたのですね。ありがとうございます。
舞妓!(笑)38度の熱で描いたので筆が震えて・・・着物の柄が下書きの線を越える超える(笑)
もっと丁寧に仕上げたかったんですけど、連載に響くので時間が取れず・・・。

でも、喜んでいただけたのなら嬉しいです♥
今年の誕生日イベントはハードでした・・・でも、終ってみれば楽しかったです。

私が類リレーに今後も入るかどうかは未定ですが、このリレーブログは続いていくと思うので
どうぞ宜しくお願いします。

2018/03/31 (Sat) 10:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます!

森本、多分類の事なんて見てないんですよ。前田の犬ですから。
私の中では「そんな事言って手を出してるくせに・・・」って思っていたという感じ?

ここで小沢君を気にしてくれたのはさとぴょん様だけですよ(笑)
きっと真莉愛との1回がよかったんでしょう・・・小沢、初めてだったのよ(笑)

類君が動き出したので話が進みます!
でも、カナダに行くまでがもう少しかかるかな?

出会ったら・・・このお話しも終りかな?

このまま終ったら怒るんでしょうね(笑)はいはい、覚えてます・・・ふふふ。

2018/03/31 (Sat) 10:57 | EDIT | REPLY |   

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