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plumeria

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英徳の入学式の時、桜の花びらが舞い落ちる中であの人を見つけた。
それはとても衝撃的で、私のすべてが一瞬止まったかのような錯覚を覚えた。

さらさらの茶色の髪が桜と共に風に靡いてて
俯きがちな瞳はまるでビー玉のように透き通るような色で
そこだけが光って見えるほど、その人は綺麗だった。

他に3人のすごくかっこいい人たちと一緒に、私のいる方に向かって歩いてくる。
自分の心臓の音がその人に聞こえるんじゃないかって思うほどドキドキしている。

通り過ぎるとき、その人から爽やかな柑橘系の香りがした。
別に見られているわけでもないのに慌てて下を向く。

5秒ぐらいしてから・・・振り向いてみた。
その人の後ろ姿を震える手を押さえながら見ていた。

桜の花吹雪の中、私はその人に恋をした。


英徳には自分の意思で入学したわけではなかった。
お金持ちばかりのセレブ校に慣れるわけもなく、友達は1人も出来なかった。
ただ3年間を我慢して過ごすことだけを考えていたけど
私はあの人を探してばかりの毎日だった。

あの人は一つ年上の2年生。
いつも制服なんて着ていないから、探すのは簡単だったけど・・・
いつも周りにはお嬢様達かいつもの3人組がいた。

誰か好きな人いるのかな・・・いるよね、彼女くらい・・・
そう思うけど、だれか特定の女の子と一緒にいるのは見たことなかった。

偶然、廊下ですれ違うとき、中庭を歩いてるのを見かけたとき
その度に私の心臓は壊れそうなほど音を立てた。

見ることが出来ない夏休みはとても長く感じて、大っ嫌いな学校でさえ早く始まらないかとイライラしてた。

秋になって、冬になって、
新しい年になって・・・

ヴァレンタインの時、無駄だとわかってもチョコレートを準備した。
どうやって渡すのかさえ考えてもなかったけど。

同級生達が話していた。

あの人は誰からのプレゼントも受け取らないから今日は学校には来ないのだと。
恥ずかしくなってチョコレートをすぐに隠した。

「なにやってるんだろう・・・わたし」

また、桜の季節が来る。
あれから1年経ったんだ。私の初恋が始まった日から

今年も桜の花びらは美しく舞い上がる・・・私の大好きなあの人の上に・・・

****************

入学式なんて面倒くさくて参加なんかしたことなかったけど、今年はなぜか3人が参加するって言うから来てしまった。
とにかく眠たくて頭も回んないのに。
早くラウンジに行って一眠りしたかった。

そう思って歩いてたら、目の前にいる女の子に気が付いた。
桜の花が舞い上がる中、その子は真っ黒なストレートの髪を靡かせていた。
吸い込まれそうな大きな黒い瞳に、俺の心臓がドクンとはねた。

なんだろう・・・この感じ。
いままで感じたことのない、ちょっとくすぐったいこの感じ。

その子の横を通り過ぎる時、何となく甘い香りがした。
10秒ぐらい経ってから振り返ってみた・・・

その子は黒い髪を揺らしながら教室の方へ消えていった。

今年の新入生?
あんな子この学校では逆に目立ってしまうからそうなのかな?

それから時々その子を見かけるようになった。
というより、やっぱり目立ってる。
よく見たら結構可愛い顔してる。ちょっと子供っぽいけど。

どうしてこんなに気になるんだろう・・・
学校にきたらいつもあの黒い髪を探すようになった。


やっぱり・・・そうかな。
俺、あの子に恋してるかも。
話したこともないし、名前もしらないし、何にも知らないんだけど
そんなことどうでもいいかもしれない。

ただ、あの子に会えたらその日は嬉しかったから。

彼氏とかいるのかな?いるかもな・・・
でも、いつ見ても1人で行動してるんだけど、友達いないのかな。
もし、彼氏がいたら他の学校だったりして。


ある日、昼からの突然の土砂降りの雨でみんなが迎えの車を待っていた。
俺も当然のように車で帰ったけど、窓の外にあの子を見かけた。

「うそ・・・!こんな雨なのに?」

あの子は鞄を頭に乗せて大雨の中をすごい早さで走ってる・・・
制服がずぶ濡れで靴だって泥だらけで、それでも全速力で走ってる。

そしてどこかへ走り去っていった。

声を掛ければ良かったのに、突然の光景に何も出来なかった。


あの子の姿を探しながら季節は流れた。
夏も、秋も・・・冬も通り過ぎてまた桜の咲く春が来た。

相変わらず長い綺麗な髪のあの子は今日も桜の木の下を歩いてる。
その花びらを纏いながら・・・

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次は18:00です
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