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plumeria

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二年になってすぐ、もう桜が終わりかけて・・・最後の花が舞うときに非常階段であの人と出会った。

この学校に馴染めない私はよく1人で非常階段に来ていた。
だれも来ないし、でも景色はいいし・・・何となく落ち着ける場所。

ある日、そっとドアを開けて階段を降りて踊場まで行くと
すぐ下の階段であの人がお昼寝をしていた。
びっくりしすぎて声を上げそうになったが慌てて口を塞いだ。

ぐっすり寝てるみたい・・・
ちょっとだけ近づいた。あと50㎝くらいまで・・・

すごく長い睫毛。これで眼を開けてあの瞳をこんな近くで見たら・・・
私、その場で気絶するかもしれない。

すごく惜しい気がしたけど、邪魔をしたくないのでそぉっとその場を離れた。
何度も何度も振り返りながら、あの人の寝顔を見てた。


また、あの人を探す毎日が過ぎて・・・

半年くらい経ったとき、あの人の側にすごく綺麗な女の人がいた。
とても・・・とても綺麗な大人な感じの人が。
あぁ・・・やっぱり、そうなんだ。

そうだよね。絶対いるって思ったんだ。彼女なんて、いないわけがないよ・・・

その日はずっと泣いた。朝までずっと・・・
泣きすぎて真っ赤に腫れた眼で次の日は学校に行った。
運悪く、そんなときに廊下ですれ違っちゃうんだ。


クラスの子が騒いでた。
あの人は卒業したら、あの彼女とフランスへ行くんだって。
本当に手の届かない人になってしまうんだね。

それでもあの人を探すことはやめられなくて・・・
もしかしたらって非常階段に向かった。
そこで見ることが出来たのは数えるほど。

会えたときには嬉しくて、いつも側まで行ってはその寝顔を見てた。

もうすぐ冬が来る。
非常階段ではもう寝られないだろうから、近くで見ることはなくなるな。
卒業も近くなると、3年生はますます学校へは来ない。
私の初恋もこれで終わり。


あの人はまだ桜の花が咲く前にこの学校を卒業していった。
前に見たあの綺麗な人が迎えに来ていた。

なんてお似合いの2人・・・
フランスでどうかお幸せにって、心にもない事を呟いた・・・

**************

今年もまた入学式の季節。
1年前を思い出す。桜の花びらを纏った黒い髪の新入生だった彼女。

今年もまた会えるかな・・・
そう思って2年生の教室を窓から眺めてると・・・いた!
全く変わらない黒くて長い髪の子・・・

やっぱり今日も1人でいる。

どうしていつも1人なんだろ?その子を眼でずっと追いかけたら・・・
非常階段の方に向かった?何があるんだろう?

気になってその非常階段に行ってみた。
そっとドアを開けたら彼女が踊場で頬杖をつきながら外を眺めてる。
風が強く吹いて随分下にあるはずの桜の花びらがここまで舞い上がってきた。
風に乱れる黒い髪に、薄ピンクの桜が踊るように絡んでいる。

ここは彼女の隠れ家みたいなものだと思いそっとドアを閉めて帰った。


俺も同じ気分になってみたくてその非常階段に行った。
なるほど・・・意外と気持ちがいい。

気持ちが良すぎてうたた寝をしてしまった。

人の気配がして少し目を開けたら・・・彼女が来ていた。
どうしたらいいかわからなくて寝たふりをしたら彼女が顔を近づけてくる!
あと少しってとこで離れていった。

ドアが閉まった後、ドキドキしすぎて飛び起きた。
やっぱり、俺、彼女のこと好きなのかも!
微かに残る彼女の香りに、自分の顔が赤くなってるような気がした。


ある日、校長に用のあった幼なじみの静が学校に来てた。
偶然会ったから立ち話してたら、静の後ろの方で彼女がこっちを見ているのに気が付いた。

静は俺の彼女とかじゃないから!って声に出さずに叫んだけど
誤解されたら嫌だな・・・。


次の日、廊下ですれ違った・・・その顔にびっくりした!
どうしたの?そんな赤い眼をして!まさか、泣いてたの?
もしかしたら、クラスで苛められてるとか?!だからいつも1人なの?

聞きたいけど聞く理由もなくて、イライラしてしまう。


そんな学校生活ももうすぐ終わり。
俺は卒業と同時に父親のいるフランスへ行く。
会社の跡取りとして向こうで経営学を学ぶことになってるから・・・

結局、彼女とは何にも会話をすることもなく終わった。
こんなに気になるなら話せば良かったかな。



とても綺麗だった。
桜の中の彼女・・・桜吹雪の中の黒い髪・・・

卒業式の中で泣いている彼女を見つけた。

泣かずに頑張れよって、小さい声でエールを送りながら俺は卒業した。

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ラストは26日6:00です
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