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plumeria

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迎えに来いとあきらから連絡があったのはその日の深夜だった。
牧野からじゃないことで、あいつがあきらに何かを言って打ちのめされて飲めない酒で潰れた・・・そんなところだろうって簡単に想像出来た。

すぐに車を出して店に行き、店内に入ったら奥のボックス席で倒れ込んでる牧野を見つけた。当然横にはあきらがいて、横になってる牧野の肩を抱いていた。


「・・・酒、飲み過ぎたのか?」
「あぁ、そうかもな。さっきまでカウンターにいたんだけど座ってられなくなったからさ。ここで休ませてる」

「飲めねぇくせに!牧野・・・おい、牧野!」
「完全にダウンしたみたいだな。すまなかった・・・つくしちゃんが飲むって言うからカクテル出したんだけど、まさかこんなに弱いなんて思わなかったんだ」

牧野の横に座ってその顔を見たら、酒のせいで真っ赤になってる。
せっかく選んだドレスをしわくちゃにしやがって・・・綺麗にしてもらったメイクも随分と崩れてる。それが目を擦らなきゃいけない場面があったんだと思わせた。

「・・・こいつ、何か言ったのか?」
「・・・まぁな。久しぶりに純粋な告白されたよ。好きですってさ・・・」

・・・そうか、やっぱり告白したんだ。

わかっていたけどズキッとした。「好きです」なんてガキっぽい言葉・・・牧野らしいっちゃらしいけど、俺達には擽ったすぎて笑いしか出ないよな。
その瞬間だけの「愛してる」なら何度も言ったり言われたり・・・時間制限付きの告白しか知らないんだから。
そいつらと手が離れて行く方向が分かれた瞬間、その「愛してる」は消えるんだ・・・。


「で、お前なんて答えたんだよ」
「もちろん恋人として考えられるタイプじゃないって言ったさ。期待持たせない方が良かったんだろ?総二郎はさ・・・」

「どういう意味だよ」

あきらはまだ1人で飲んでいて、グラスに口をつけながら俺を見てニヤッと笑った。


「お前のベルリネッタにこの子、乗せたんだろ?あれほど女は乗せないって言ってたくせに」

「それは時間がなくてそいつのキーしか手元になかったからだよ!そんな意味じゃねぇよ・・・」

「すごく真っ新な感じで眩しいな・・・この子。なーんにも汚い部分を知らなさそうでさ、欲やら嘘やら競争やらが詰まってる俺達の世界には似合わない。あんまり染めてやるなよ?そんな世界に」

「こいつは多分染まらないさ。染めていく方じゃねぇの?」


「・・・総二郎?」

「世話かけたな。連れて帰るわ・・・お前がはっきりさせてくれて良かったよ。そういう経験ないヤツみたいだからしばらくは落ち込むだろうけどな。お前は気にしなくていいから、次に会うことがあったら普通にしてやってくれ」

椅子に倒れ込んでる牧野を抱き上げたらホントに完全ダウンみたいで全然目を開けなかった。よくもここまで意識をなくせるもんだと感心するぐらい・・・そしてその顔を覗きこんだあきらは「可愛いな」だと。

「1回振ったんだからもうその気にさせるなよ?じゃあな」
「あぁ、ちゃんと送り届けろよ。お前の方こそ顔がマジだぜ?」

「・・・ばーか!誰に向かって言ってんだ。俺がこんな酒に潰れるようなガキを相手にするか!」

そうは言ったが俺の胸にもたれ掛かってる牧野の寝顔に自然と目が行く。
不似合いなほど光るピアスが逆に切なく見える。


俺は店を出て自分の車までこいつを運んだ。
いつか思ったことがあるよな・・・災害時だっけ?抱きかかえられるのかどうかって。何だ、簡単にこいつぐらい抱えられるじゃん。人のこと役に立つか?なんてバカにしやがって・・・こうしてお前を連れて帰ることぐらいなんでもねぇよ。

助手席に乗せてほんの少しシートを倒してやると、ほんの僅か口元が動いた。

「・・・か・・・さん・・・」


美作って言ったのか?悪かったな、俺で!


**


少し走ったところで揺れのせいか牧野が少し目を開けた。
そして俺の方を見たのがわかったから声をかけた。

「どうした?気分悪いのか?」
「・・・あぁ、やっぱり西門さんだ・・・さっき、夢見てたから続きかと思った・・・」

「夢?俺の夢?出演料高いぞ?」
「ははっ・・・うっ、気持ち悪い・・・」

「うそっ!マジで?少し我慢しろ、車停めるから!」

急に口元を塞いで牧野が苦しそうな顔をした。
急いで目の前に見えた公園みたいな場所に車を停めて、助手席の方に回った。そしてドアを開けて横向きに座らせて背中をさすってやったら「吐きそう・・・」とか、とんでもない事を言いやがった!

「ちょい待て!!牧野、と、取り敢えず外に出ようぜ!ほら、掴まれ!」
「うっ・・・!にし・・・かどさん、気持ち悪い・・・!」

「わかった!わかったから少し待て!」
「待てない・・・」
「根性出せ!!すぐだから!」

別に車が大事って訳じゃないけどベルリネッタに被害が出たらマジで俺が落ち込みそうだったから慌ててすぐ近くのベンチに座らせた。それに外の風に当たった方が気分も良くなると思ったから。

そのベンチに座ったら今度は「寒い」って言うから俺のジャケットを脱いで渡したらそいつの襟元を持って震えていた。
息は荒かったけど吐くわけでもなく、片手を額に当てて前屈みになって・・・そのうち落ち着いたのか身体を起こした。


「吐き気・・・治まったのか?どれだけ飲んだんだ!・・・わかってただろ?自分が弱いって。少しは考えて飲めよ」
「・・・ん、吐き気は治まった。だって吐くほど食べてないし。外の風に当たったら少し落ち着いた・・・」

「水買ってくるから待っとけ」
「ん・・・」

すぐ側の自販機でミネラルウォーターを買って手渡したら、コクコクと飲んで「はぁ・・・」って溜息。そしてまたジャケットをギュッと掴んだ。少し乱れてしまった髪の毛もそのまま、少し視線を下げて何度も深呼吸を繰り返した。

そして、今度は空を見上げて小さな声で呟いた。


「西門さん、星が綺麗だね」
「は?都会のド真ん中だからそこまで見えねぇよ」

「そお?ほら!あそこにすごく光ってるのがあるよ?」
「1等星なら見えるかもな」

星の話なんかどうでもいいくせに・・・溢れそうなものを我慢してるだけだろ?
でもな、そうやって上見たって溢れるものは溢れるんだ。止められるほど簡単なものじゃねぇんだろ?女の涙ってさ・・・。


「あのね・・・ちゃんと伝えたんだよ。美作さんに・・・でもね、恋人としては見ること出来ないってさ」
「あぁ・・・そうだろうな」

「初めて振られちゃったよ」
「そりゃ初めての告白だから仕方ねぇ。1回も振られたことがないよりいいんじゃね?」

「なんでよ・・・」
「そういう辛さを知らねぇといい女になれないから。始めての恋にしちゃレベル高かったじゃん。でもそのレベル、下げるなよ?」

そう言うと俺のジャケットぐちゃぐちゃにして泣きやがった。それで拭くのかよ!って少し思ったけど・・・まぁ、こいつが泣き止むまで何も言わなかった。
「大好きだったのに・・・」って繰り返して言う牧野の泣き声が俺の方にもズキズキと突き刺さるんだけど。
そのうち前屈みに伏せてわんわん泣いて、通り過ぎるヤツらが可笑しな目で見ていくのを無視しながらこいつの背中をさすってやった。

「バカか・・・こんくらいで泣いてたら生きていけねぇって!いいんだよ、告って振られるのは告らずに悩み続けるより前向きだって。次の階段に上がれるだろうが!ほら・・・いい加減泣き止んで帰ろうぜ?もうすぐ1時だ。明日、起きれねぇぞ?」

「うん・・・ごめん、これで鼻、拭いちゃった」
「・・・・・・次にやったら許さねぇからな」


こんなもの、もう肩にもかけられねぇから腕に引っ掛けて、牧野を車につれて戻った。
また助手席で倒れるように横になった牧野は目を閉じて俺の反対側に顔を向けてた。


ぐちゃぐちゃでよれよれになってるのに、どうして綺麗に見えるんだろう。
月明かりのせいだろうか・・・なんて思って車を発進させた。



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2018/04/12 (Thu) 15:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

今、私の頭の中であきらの顔が暗くなりました!懐かしい番組でたなー(笑)
確かにわかる!その勢いで消えたよね!

なんだかつくしちゃんじゃなくて総ちゃんが先に墜ちてくのっていいなぁ。久しぶりで!
しかも認めないから書いててワクワクするぞ?ウズウズするぞ?

どんな場面で告るんだろうーー!(ここ、まだ完全に案が固まっていないのよね~💦)

次は・・・あの男が来ます!
総ちゃん、まだまだ恋に辿りつかないかな?

のんびりと待ってやって下さいね!

2018/04/12 (Thu) 21:41 | EDIT | REPLY |   

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