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plumeria

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扉がいつ開くんだろうって、少しだけドキドキして待っていた。

どんな気持ちでここに来たんだろう。俺が選んだウエディングドレス、気に入ってくれた?
控え室で泣いちゃったんじゃないかな・・・泣き虫だから。
一樹にも驚いた?驚いたのなら一樹は俺との約束を守って何も言わなかったんだね。

色んな事を考えていたら扉が開いて、パイプオルガンの音が聖堂に響いた。


そこにあらわれたのは真っ白な花束のような牧野。


窓から差し込む光を受けて輝いてる・・・本当に綺麗で、今までで一番美しいその姿はまるで舞い降りたばかりの雪を纏っているかのようだった。
真っ白な薔薇を中心としたブーケはちょっとコンパクトだね。でもさ、この街の白い花を集めたのはついさっきなんだ。
だから許してね。

一樹も緊張してる?出てる足が逆になってない?

実は昨日の夜、教会に無理を言って一樹の服を手配してもらったんだ。
くすっ・・・急だったから少しぶかぶかだね。でもすごく真剣な顔で一樹は牧野の手を持って俺の方に歩いてくる。


ドレスを「教会に直接送って」・・・そう電話したら返ってきた一言は「類様のタキシードも用意しましょうね」だったから笑ってしまったよ。そうだよね、俺がセーターじゃ格好つかないよね?でも・・・それでも良かったんだ。

あんたの事しか考えなかったから。

もう不安だらけの牧野を安心させたい気持ちと、それ以上に俺が安心したい気持ちが重なって式を挙げてしまおうって考えた。
誰も参列出来ないし、たった2人だけど構わない。むしろ2人っきりの方がいいって思うぐらい。


俺には牧野だけ・・・牧野には俺だけ。
それでいいんだってわかるだろ?

父さんと母さんは少しだけ機嫌を悪くしたけど、最後には喜んでくれた。
「一度しかしちゃダメなのよ?だから絶対に写真は送って!」・・・これが条件だけど。


一歩ずつ近づいてくる牧野はベールで顔を覆ってるからどんな表情かはわかんないけど、きっと泣いてるよね。
その大きな目を真っ赤にさせてさ。涙が止まんなくてメイクが落ちちゃうくらい。それでも俺には眩しくて堪らないんだ。


俺の真横まで来たら一樹が俺に牧野の手を渡してくれた。

「はい!類・・・つくしちゃんの事、宜しくお願いします!」
「か、一樹君ったら・・・」

「・・・わかったよ。一樹、ありがと」

牧野ったらすごく驚いてる。実はこれも練習したんだよ。一樹は一生懸命リハーサルしたんだからね?


一樹だけが席について、俺の腕を持った牧野が横に並んだ。
少し震えてる・・・だから、指先をそっと触ったら慌てて下を向いてた。

祭壇中央には神父がもう準備していて、俺達に微笑んでくれていた。
そして一樹以外誰もいない静かな教会の中に神父の低い声が響いた。


「私たちは今、花沢類さんと牧野つくしさんの結婚式をあげようとしています。それでは誓約をしていただきます。みなさまご起立ください」

もちろん立つのは一樹だけ・・・牧野は心配そうに一樹の方を見たけど、すごく真面目な顔をして一樹はスッと立ち上がった。

「花沢類さんと牧野つくしさんは今、結婚しようとしています。この結婚に正当な理由で異議のある方は今、申し出てください。異議がなければ今後何も言ってはなりません」

そう言った神父の目線は当然ここでも一樹だけ。
優しく手を差しだして笑った神父に一樹は首を振った。

くすっ・・・一樹は英語がわかんないから「神父さんが手を差しだしたら首を振るんだよ」って教えておいたんだけどね。


「どうぞお座りください。花沢類さん、あなたはこの女性を健康な時も、病の時も、富める時も、貧しい時も、良い時も、悪い時も、愛し合い敬い、なぐさめ助けて、変わることなく愛することを誓いますか」

「はい、誓います」

「牧野つくしさん、あなたはこの男性を健康な時も、病の時も、富める時も、貧しい時も、良い時も、悪い時も、愛し合い敬い、なぐさめ助けて、変わることなく愛することを誓いますか」

「はい・・・誓います」


「あなた方は自分自身をお互いに捧げますか」

牧野の方を見たらやっぱりもう泣き始めてる。「一緒に答えなきゃ・・・」、そう言うと俺の腕を掴んでいる手に力が入った。

「はい、捧げます」
「はい・・・捧げます」


ここで神父が白いケースに全然違う指輪を並べて俺達の前に差しだした。牧野はそれを不思議そうに見てる。
そうだろうね・・・普通ここではお揃いの指輪が出るんだから。だけど急すぎて準備が出来なかった。

「牧野さん・・・この結婚は急なことでしたから少しだけ説明しましょう。こちらの指輪は花沢さんが普段右の指に付けていたものだそうです。新郎には今日はこちらをつけてあげて下さい。そしてこちらは新郎からあなたへの贈り物です。宜しいですか?」

「・・・はい、わかりました」

「指輪は丸くて終わりがないことから永遠の愛を意味し 貴金属でできていることは永遠に価値のあるものを意味します。是非、いつか揃いのものを身につけて、永遠の愛を誓いなさい」

牧野に簡単に説明してから式は続いた。


「花沢類さん あなたはこの指輪を牧野つくしさんに対するあなたの愛のしるしとして彼女に与えますか」
「はい、与えます」

「牧野つくしさんさん、あなたはこの指輪を花沢類さんのあなたに対する愛のしるしとして受け取りますか」
「はい・・・受け取ります」

同じ質問を牧野から俺に繰り返して、また同じように返事をする。
そのあとに俺達の目の前まで来てそのケースを差し出した。

「では指輪を交換してください」


牧野に渡すのはスノープレシャスダイヤモンドの指輪。
まさかここで渡すだなんて思わなかったけど、持ってきて良かった・・・。それを牧野の左手薬指にはめた。
牧野はそれを何度も見ながら・・・あれ?って顔をしたから「後で教えてあげるね・・・」って呟いた。

そして牧野は俺の普段使いの指輪を手にとって、左手薬指にはめてくれた。


「ではベールをあげてください。誓いのキスを・・・」


向い合って少し照れたような牧野が下を向いた。
その顔の前にかかっているベールを取ると、ゆっくり顔を上げて・・・初めて花嫁の顔を見た。


「綺麗・・・牧野、最高だね」
「類も・・・素敵すぎだよ」


両手で牧野の肩をそっと抱いて・・・キスを交わした。


神父が最後の言葉を告げる。

「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれた このお二人を神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう。今日結婚の誓いをかわした二人の上に、満ちあふれる祝福を注いでください。 二人が愛に生き、健全な家庭を造りますように。また多くの友に恵まれ、結婚がもたらす恵みによって成長し、実り豊かな生活を送ることができますように。
わたしたちの主 イエス・キリストによって・・・」


言葉の最後、囁くように牧野の口から出た言葉は・・・「ありがとう・・・」だった。



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Comments 4

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2018/04/14 (Sat) 00:37 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/14 (Sat) 00:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 祝💕

ないない様、おはようございます。

そうですねぇ・・・92話になっていた事にびっくりです。
何故こんなに延びるのかしら。60話までっていつも思うんですけどね・・・3ヶ月でしょ?飽きますもんね。

結婚式のシーンは同じような感じになるので毎回変えて書くのは一苦労です。
今回は一樹がいたので良かった(笑)
2人だけって何回も書いてるのに、「そこに一樹いるやん!」って1人でツッコんでおりました。

ふふふ、皆さんが心配する一樹。
可愛がっていただけて有り難いです。

類君と小さな子供の交流なんてあんまりないから私も新鮮でした。
うんうん、強くおなり!って思いますね。

今日はありがとうございました。
ないない様も・・・頑張って下さいね?(笑)

2018/04/14 (Sat) 08:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます。

あはは!「異議あり!」ってヤツね?バーンとね!!
で、すごい勢いで走って来て一言。

「花沢さん、実は話してないことがあるんだ!」
「なに?今ここでなんの告白?」

「・・・ごめん、花沢さんがカナダに来てないときにあの家の中で・・・牧野さんに」
「山本さん、それ以上は止めて!類にはこれからなの・・・あなたとの事は練習だったのよ!」

「え?アレが練習?!いや、既に上手かったけど?」
「そんなバカな!初めてだったのよ?」

「いや、手つきも手順も完璧だったよ?」
「・・・牧野、どういう事?」

「いや、それは・・・あの、どうしてかなぁ?」


そして気が付いたら神父さんがいなくなっておりましたとさ。

窓の外には薄紫の雪が降り続いていた・・・・・・完!

2018/04/14 (Sat) 09:13 | EDIT | REPLY |   

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