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部屋でエッセイの仕上げをしていたら急にバンッ!とドアが開けられお袋が鬼のような顔で入ってきた。

「総二郎さん!あなた・・・つくしちゃんに何をしたの?」
「・・・は?俺は何もしてねぇけど?なんだよ、急にそんな恐ろしい顔して入って来んなよ!ビビるだろうが!」

「今更ビビるような歳でもないでしょ!・・・どうして断わられたの!」
「だからなんの事だよ!」

お袋が何を怒ってるのかさっぱりわかんねぇ!牧野が絡んでるとしたらさっきの事かもしれないけど、断わられるってなんだ?
まだ俺は何も伝えてないんだけど・・・?

「つくしちゃんがこれから先のお稽古を志乃さんにして欲しいって言ってきたのよ・・・?どうしてなの!総二郎さんっ!」
「はぁ?そんなの知らねぇって!なんで志乃さんにそんなこと頼んだんだよ!師匠をそんなに簡単に変えるってどういう訳だ?こっちが聞きたい!・・・大体勘違いしてるのは牧野の方で、俺は見合いなんて断わる気なのにあいつが・・・!」

ここまで話してハッとした。


そして逆にニヤリと笑ったのはお袋・・・俺の背中に汗が流れた。

「今の言葉は・・・総二郎さん、認めるのね?」
「な・・・なにがだよ。認めるって・・・」

「つまり、つくしちゃんは総二郎さんが小百合さんとお見合いする事を怒ってお稽古を受けたくないと。そしてあなたは勘違いしたつくしちゃんの事が許せないと・・・そういう事ね?」
「そ・・・それは、いや、そうかもしれないけど・・・まだ俺は」

「好きじゃないなら気にならないわよね?普通はどーでもいい相手のお見合いなんて勝手にどうぞって感じよね?」


・・・好きに言ってろ。俺は別に牧野が見合いをどう思おうと関係ねぇし。
ただ勘違いして俺が見合いにノリノリだって思われるのが嫌なだけだ・・・それだけだ!

「牧野が志乃さんがいいって言うならそうしてやってくれ。気持ちが乗らないのに俺が無理して教えても上達しないから。それと、明日から昼飯も事務所で食うって言ってたぞ。全部作ってくるってさ・・・だから、用意しなくていいって」

「それは別に構わないわ。総二郎さんが伝書鳩になればいいことだもの」
「・・・それもしねぇって!誰が伝書鳩だ!」

でも、お袋はやけに嬉しそうに部屋を出ていった。


好きでもないなら気にならない・・・じゃあ、こんなに気になる俺はなんなんだ!
それに牧野が立ち聞きしたかどうかだってまだ確かめてねぇし。

頭にきてパソコンに向かったら、打ち込んでいたデータを間違えて全部消してしまった。・・・くそっ!


**********


そして日曜になった。
コソコソと裏で作られたシナリオによって、俺と小百合の見合いってもんが始まった。

まずは武田家の母親が小百合を連れて西門を訪ねて来る。
先日貸した掛け物を返すという名目だ。それには志乃さんが応対して客間に通し、返却に当たっては俺と家元夫人が出てくる。
そこからはいつもの流れで話が進み、やがていつもの「後はお若い人同士で・・・」と二人っきりにされる。

毎回マジで面倒くさい!一瞬で「ごめん!無理!」って言えたらどんなにいいか・・・この時はいつもそう思う。


「それでは家元夫人と若宗匠をお呼びしますので少々お待ち下さいませ」

志乃さんがそう言って客間から出てきたら、俺より面倒くさそうなお袋が「やれやれ」って呟きながら廊下を進んだ。
「ボロ出すなよ?」って後ろから声をかけると「私、失敗しないので」って・・・何かの見過ぎじゃねえのか!

そして客間に入ると途端にお袋が「家元夫人」に変身した。


「お久しぶりでございます。由紀子様、相変わらずお若くていらっしゃいますこと・・・羨ましいですわ」
「あら、美和子様もお変わりございませんわよ?とても50歳過ぎたとは思えませんわ」

「ほほほ!そうでしょうねぇ、・・・過ぎておりませんから!」
「あらあら、そうでしたの?ご長男様はそんなに若いときのお子様でしたかしら?」

「えぇ!嫁いで速攻産まれましたので!・・・由紀子様こそご長女様はおいくつになりますの?確か初産が三十路辺りじゃございませんでした?」
「・・・二十歳そこそこですわよ。どなたとお間違えなのかしら?」


「コホン!」

一体何の会話してんだ?この2人・・・昔っから気が合わないって言ってるけど、お袋も結構攻撃してるじゃねぇか!お互い様だ!
俺の咳払いでハッとした2人が睨み合いを止めて、その後は一度曝け出した正体を再び隠して事も無げに会話は進んだ。
掛け物の返却も、日頃の話題も無難に終らせた後、いつものセリフはお袋からだった。

「・・・由紀子様、お花お好きでしょう?」
「華道家ですからねぇ。それが何か?」

「そろそろこの場は若い人達にお任せして、珍しいお花がございますから案内させましょう。いかがかしら?」
「そうですわね。そう致しましょうか・・・それでは、小百合。総二郎様に色々とお話ししていただきなさい。30分ぐらいで戻ってきますわ」

「はい・・・お母様」

ここに来て初めて言葉を出したこのお嬢はほとんど笑うこともなく、頭を下げて自分の母親を見送った。
はぁ・・・これから2人でまたいつものように話すのか。全然興味もないのにこのお嬢の事を何か聞かなきゃいけないのか・・・。
漏れないように溜息を出すのは俺の特技。ここでもつい、そんな態度に出てしまったが気付かれなかっただろうな。


「志乃さん、由紀子様を一番遠い北のお庭の奥の方に咲いているお花の所にご案内して差し上げて!」
「・・・そ、そんな遠い所まで?」

めちゃくちゃ意地悪してんな?お袋・・・。


客間に2人にされて、当然こういう時は男の俺の方から話しかけるもんだと思ったから何から話すかと姿勢と直したら、小百合の方から言葉をかけてきた。

「総二郎様、突然このように押しかけまして申し訳ございません。両親が何かと口煩く言いますので・・・ご迷惑でしたでしょう?」

「あ?あぁ、いえ・・・ご両親もご心配されているのでしょう。武田家は3姉妹ですから当然です。私たちのような家に生まれては、家の跡目を継ぐということは重要ですからね。でもお姉様が婿養子を取られると聞いておりますが、あなたの事までお急ぎとは。お互いかもしれませんが疲れますね」

マジで美人・・・でも、笑わない。そこが怖い。
そしてこうやって話していても俺の顔を見ようとしない。照れてるのかと思ったけどそうでもないようだ。

こいつ・・・他に好きなヤツがいるんだ、なんとなくそう感じた。
だから俺とのこんな時間にはなんの関心もない。出来れば早く終らせて、さっさとこの話はなかったことにしたいんじゃないのか?少しだけ自分たちのことを話した後で、この茶番を終らせようと俺から話を切り出した。

「小百合さん、あなたは特に私にも西門にも感心はないようですね。もうこれ以上のお話しは無意味と感じましたので私はこれで失礼します。あなたもその方がいいのでしょう?」

「え?あ、あの・・・総二郎様」

「いいのですよ。私のことは気にしないでください。それでは失礼します」

小百合に一礼して客間を出た。
フラれたって訳じゃない・・・逆上せ上がられても迷惑だったからちょうど良かった。そう思いながら母屋の方に向かって歩いていたら、小百合が追いかけてきた。


「総二郎様・・・待って下さい!あの、お話しが・・・あっ・・・」
「危ない!」

普段こんなに急いで歩くことはないだろうから小百合は西門の廊下に滑りそうになって、俺は慌ててそれを抱き留めた。

「ご、ごめんなさい!ありがとうございます」
「いえ。ここは滑りやすいので・・・くくっ」

「え?どうかしましたか?」

「いえ・・・この廊下をよく滑って転んだ女性のことを思い出しました。あなたの事を笑ったわけではありません」

俺がクスクス笑った後、小百合が言ったんだ。


「総二郎様はその方の事がお好きなのですね・・・いま、とてもいいお顔でしたわ」


そしてその時、何処かでキラッと何かが光った。
牧野のマンションの方?

でもそれは一瞬の出来事で、俺にはなんの光だかわかんなかった。




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2018/04/18 (Wed) 23:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます。

家元夫人、相変わらず可愛いでしょう?ほほほ!
現在この人を書くのが一番好きです。
由紀子さんとの会話とかもっと書きたかったけど・・・そこ重要じゃないよね?ってことで。

実は・・・ドクターxが好きなのは私の母。
私、アレ見てないんです。何かあると私の母が「失敗しないので」って言って1人で笑ってるんですよ。
・・・・・・アホでしょ?

で、家元夫人が置いてったアレで勘違いが発生するとは(笑)残念ですねぇ!
さーて、つくしちゃんどうなりますか。


パソコン・・・ってかキーボードの下が割れるって(笑)
アルファベットのカバーパネルの下の部品がほとんど割れてたんですよ。
半年ぐらい前から実はキーがグラグラしてて打ちにくくて困っていたんですが
当時一番グレードの高いパソコン買ったのでそんな故障なんてしないだろうと思っていたのです。

キーが滑るから(誤字が多いのはそこ)母音(AIUEO)だけが反応して変な日本語が出来るんですよ。
しかもMが反応しないから牧野が打てないし、

思っている→覆っている
見てる→いてる
みませんか?→いあせんか?

ってなる(笑)

昨日、もうキーボードが使えないからお店の人がパネルのグラグラを触ってたら取れちゃってね。
その下を見たら部品がボロボロになってて・・・「すごいですねぇ・・」って。ははは!
「よく使われたんですねぇ!1年でしょ?」って言われてしまいました。

アスさんに相談して外付けキーボードにしてますけど慣れなくて(笑)
もう足洗おうか・・・ってGip様に言ったら怒るし(笑)

類の新連載、止めろって言われてるのかな?なーんて!

はい、頑張ります。
おかげさまで風邪のことなんて忘れてました。

さとぴょん様こそ気をつけてね?早く治りますように♥


2018/04/19 (Thu) 08:32 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/19 (Thu) 11:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは!

うちの母?最強ですよ。
文字に出来ないことも沢山してますからね。

ちなみに今のお気に入りは「嵐にしやがれ」です。
相葉君が好きなんだそうです。
それよりも好きなのが亀梨君です。亀ちゃんって呼んでます(笑)
タッキーも好きですよ。

でも以前お話ししたと思うんですが、兄がジャニーズに応募したときは合格通知、破り捨てたのにね(笑)

今頃後悔してるんじゃないですかねぇ・・・


え?また伝説増えたって?
ははは・・・バカ力なだけですよ。叩く力が半端なかったんでしょうね。反省・・・。

2018/04/19 (Thu) 12:18 | EDIT | REPLY |   

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