FC2ブログ

plumeria

plumeria

それでは第5話です。LastStory、お楽しみ下さい♥最後にないない様のコメントがあります。


↓↓↓↓是非曲を聴きながら読んでみて下さいね。こちらからどうぞ





~5~

≪つくしSide≫

「次は春にも来たいね」という花沢類の言葉に、あたしの気持ちは一気に沈みこんだ。
あたしの中に、彼との次はない。今日で最後のつもりだから。
彼の優しさにズルズルと甘えてきたあたしにも、これまでのすべてを清算すべき時がきたのだ。
それからは何か話そうと思っても、どうしてもこれから来る別れのことがよぎって言葉に詰まってしまう。
敏い彼は、あたしのそうした変化にもきっと気付いているだろう。
でも、もうそれを取り繕うことさえできなくなって、あたしは彼に「疲れたからもう帰りたい」と告げた。
花沢類は「分かった」と答えてくれて、あたし達はそのまま車に向かった。

車の進行方向が東京方面に向いていないことに気づいたのは、ふと道路標識を見上げた時だった。
「…あれ?」
彼は、あたしの動揺を静めるようにそっと告げる。
「最後に1ヵ所だけ付き合って?」
「……うん」
自分でもそう思っていたはずなのに、「最後」というその言葉だけで胸がぎゅっと締め付けられるように痛んだ。
――そうだ。最後なんだから。
最後は、本物の笑顔でさよならしたい。


七里ヶ浜は、その名の通りどこまでも横広く海岸線が続いていて、同じように長く美しい水平線が一望できた。
日は少し陰り、薄い雲が秋の空を覆い始めていた。
海遊びに来たサーファー達が波間を漂っている。彼らを運ぶ大きな波を待っているのだ。
車から降りると、花沢類は無言であたしの手を取った。
大きな左手があたしの手を包み込み、そのまま浜辺へと導いてくれる。
――あ…っ。
自分でも予期せぬタイミングで、視界がぼやけてきてしまう。
ここで泣きたくなんかないのに。
流すまいとこらえた涙は、瞬きした次の瞬間にポロッと零れて落ちた。
――花沢類には、まだ、見られてないよね…。
そう思って必死で海風に涙を散らしていると、こちらを振り向かないまま花沢類は言った。
「…で、あんたは何をそんなに悲しがってるわけ?」
「…えっ?」
「俺は今日一日、すごく楽しかったよ。…あんたはそうじゃないの?」

あたしは咄嗟に声が出なかった。
何をどう返せばいいのか分からないまま、必死に言葉を選ぶ。
「…うぅん。あたしもすっごく楽しかったよ。…いい思い出になった」
「それ、今後はもうないっていう意味で言ってる?」
その一言に、あたしは覚悟を決めた。
花沢類は分かっている。
あたしが言おうと思っている言葉のすべてを、きっと先に読んでいる。
「うん。…こうして二人で会うのはもう最後にしたいと思ってる。…金曜日のランチも」


≪類Side≫

俺は彼女を振り向かないまま、彼女の意思を背で受け止める。
まずは彼女の言い分を聞こうと思った。
「どうして?」
「…いままで花沢類にはすごく助けられた。あたしがこんなだから、あんたにはすごく心配かけたよね。…でも、これからは一人でも大丈夫だから」
どの辺がどう大丈夫なのかって聞き返したいけど、反駁するより彼女の想いを吐露させたい。
…そう思うのに冷静ではいられず、俺の感情は乱れていく。
「…俺のことは心配じゃないの?」
「えっ?」
「俺があんたを心配するように、俺もあんたに心配されてきたよね。…俺のことはもういいんだ?」
牧野が唐突に歩みを止める。自然に手は離れたが、まだ俺は彼女を振り返らない。
「……花沢類は一人でも大丈夫だよ。それに…」
ややあって牧野はそう言った。その声音がわずかに震えている。
「あたしじゃなくても、あんたの良さを分かってくれる人はいる。…花沢類がほんのちょっと心を開くだけでいいの。あんたが何を思って、どう感じているのかを言葉にしさえすれば、きっと誰にでも受け入れてもらえるよ」

「…本当にそう思う?」
抑えていたつもりでも、自分の声には明らかに失意と怒りとが混じっていた。
「俺が他の誰かとうまくいけばいいって、本気でそう思ってる?」
――いつかも、彼女に投げかけた問い。
あのときは答えてもらえなかった。
「……思ってなきゃ言えないよ」
スンと鼻をすする音がする。
「その方が花沢類のためになると思うから言ってる」
「…俺は、あんたが好きなのに?」
背後に、小さく息をのむ気配。
「高校の頃からあんたのことがずっと好きで。…だけど親友の恋人だったから身を引いて。…いまになって、ようやくあんたの隣にいることが許されたのに、どうして俺じゃダメなの?」
海風に押されるようにして後ろを振り返れば、牧野はボロボロと涙を零して泣いていた。
俺にそれを見られたくないのか、今度は牧野が俺に背を向けてしまう。
小刻みに震える華奢な肩がいじらしくて、俺は彼女を後ろからぎゅっと抱きしめた。


「…花沢類がダメなんじゃない。あたしが…あたしがダメなの」
牧野を抱く腕に、彼女の流した涙がぽつんと落ちる。
「あたしじゃ、いざという時に、あんたやあんたの家族を支えてやれない…」
「…それは司のことがあったから?」
こくんと彼女の頭が縦に揺れる。
「誰かの人生を背負うって大変なことなんだって思った。…だってトップの判断一つで、多くの人が失業したり、苦しい思いをしたりすることになるんだもん。…花沢類だって、近いうちにそういう責務を負うんだよ。傍にいるのは、そういうあんたを支えられる人が相応しい」
「…俺はそうは思わない」
彼女がそういう屈託を抱えてきたことは百も承知だった。
…そして、あのとき、たぶん司にしてほしかっただろうことも。
「経営者だって人の子だよ。自分の幸福を追求したらいけないなんて決まりはない。…それに、起きるかどうかわからない経営難に備えて自分を犠牲にするより、常日頃、心健やかに仕事できることの方が何倍も有意義だよ」

牧野は我慢強い。自分のことよりも他人が大事な人間だから。
たぶん、司との別れのときでさえ、司にも自分の本音を言わなかっただろう。
――自分を選んでほしい。
その一言を涙とともに呑んで、あんたは今日まで頑張ってきたんだよね?
「傍にいてよ」
俺は懇願する。
「いつも俺の傍にいて。俺の心に寄り添えるのは、あんたしかいないと思ってる」
腕の中の牧野がぶんぶんと首を振る。
触れた部分から伝わる彼女の鼓動が激しい。
「…牧野を愛してる。他の何に替えても、あんたが欲しい」
彼女の洩らす嗚咽がひと際大きくなった。


そのままずいぶん長い間、彼女を泣くに任せていた。
「…バカだなぁ」
ひくっとしゃくり上げる間隔が短くなったと思ったら、真っ先に飛び出してきたのがその言葉で少し笑える。
「なんで……そんなに意固地なの? 決心が、鈍るじゃない」
「いいじゃん。自分に正直なだけだよ」
牧野を抱きしめる腕を解き、彼女を促してこちらを向かせる。
涙に濡れた漆黒の瞳が、まっすぐに俺を見上げている。
「…後悔しない?」
「うん」
「あたし、なんかで…」
俺は両手で彼女の頬を包み込み、風にさらされて冷たくなった頬を温めてやる。
「牧野がいい」
彼女が小さく息を吸う。
次の瞬間、ようやく待ち望んだ言葉が聞けた。
「…あたしも花沢類が好き。…自分でもどうしようもないくらい…あんたが好き」
美しい瞳から溢れ出た涙が、柔らかな頬を包む俺の指も濡らしていく。
「…知ってたよ。あんたの気持ち。…あんたの全部がそうだって俺に言ってた」


彼女の唇にそっとキスを送る。
その表情が驚きから喜びに、…華やいだ笑顔に変わる。
絶え間なく打ち寄せる波の音も、強まっていく風の音も、いまは何もかもが遠かった。
小さな背を抱き寄せ、何度も何度もキスをして、彼女の心のこわばりを解いていく。
彼女から伸ばされた手が俺の背に回ったとき、無上の幸福を感じた。
その熱を感じたい。俺の熱を感じてほしい。
あんたの言葉が聴きたい。俺の言葉を聴いてほしい。
いつでも。…いつまでも。

朱くなった夕陽が、浜辺に並んで腰を下ろした二人を照らしている。
「…花沢類」
今日初めて知った。甘えるときの彼女の声は『ド』だ。
「類って言ってみ?」
「…えっと……類?」
上目遣いになった彼女は本当に可愛い。
「なに?」
「…いまさらだけど、よろしくね」
俺はぷっと吹き出す。
「俺こそ、よろしくね……つくし」
たぶん牧野の顔は真っ赤に染まっていただろうけど、それは無粋だからからかわないでおく。
その肩をそっと抱き寄せると、もう一度唇を重ね合った。


離さない。
どれほど時が流れても、俺はあんたを守り続けていくよ。
俺の言葉だけを信じて。
心惑う時は抱きしめ合おう?
そうすれば、きっと、どんなことでも乗り越えていける。


~Fin~


8d4d34ae32f6bf11576af8097dc7de6b4_t.jpg
それでは、ないない様からのコメントです。

**

初めまして。plumeria様の一読者のないないと申します。
plumeria様とは以前よりコメントを通じた交流がありまして、このたび恐れ多くも寄稿をさせていただくことになりました。
寄稿をするのは人生で二度目です。
まったくの素人ですので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

今回のお話のテーマソングは、スピッツの『スカーレット』です。
類とつくしの、ゆるりとした心情の変化をじっくりと書いてみました。
お話の中のところどころに、歌詞と、色彩と、音を盛り込んでみたつもりです。
よくある話の展開ではありますが、plumeria様の素敵な連載の+αとしてお読みくだされば幸いです。



**

ないない様、今回は私の駄文だらけのサイトに素敵なお話し、本当にありがとうございます。

波の音が聞こえてきそうな感じがしませんでした?なのでわたくし、画像探しだけ頑張りました!(そこかい?)

なんだか私の書く類って何者?ってぐらい、爽やかな類でしたねぇ・・・うっとり。(今、笑った人、いますよね?)
類はこうでなくっちゃ!ってわたくし、改めて思いました。(え?遅い?)

もう、こうなったらお手持ちのお話しを是非是非、お部屋を持って公開していただきたい、と思っています。
3枚目の類はplumeriaが担当しますので格好いい類を表舞台に出して下さるのを待っています(プレッシャーかけてどうする!)



★ないない様へのコメントはplumeriaが責任もってご本人様にお届けいたします。
OPENコメントでも非公開コメントでも大丈夫です。
類書き作家さんを増やそうっ!・・・宜しくお願い致します♥
関連記事
Posted by

Comments 20

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/12 (Thu) 12:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ないない様に宜しくとお伝えください

わんこ様、こんにちは!

コメント確かにお預かりしました。
ぐふふっ!楽しみが増えそうでしょ?後日ないない様からお返事あると思いますので待ってて下さいね!

今日はありがとうございました。

2018/04/12 (Thu) 12:19 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/12 (Thu) 12:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは~!

でしょでしょ?素敵ですよねー・・・私の類とは大違い(笑)
一緒に公開することがどれだけ恥ずかしいか(笑)自分でお腹が痛い・・・!

ちゃんとお届けしますからね~!

ありがとうございました。

2018/04/12 (Thu) 12:36 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/12 (Thu) 12:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちはm(__)m

空色様 こんにちは~!

コメ返もはじめてて何故かここで緊張しているplumeriaでございます(笑)

ド・・・(爆)!!鳴らしたのね、景気よく!
私もね、だんだん夕方になる画像集めたのよ?そこ頑張った!え?関係ない?

で、あの2人は元気です。
ちょい待ってて下さいませね!


それではコメント確かにお預かりしました~♥

ありがとうございました。

2018/04/12 (Thu) 13:01 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/12 (Thu) 15:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

シャッターの前ね!いい表現ですねっ!
私はそのシャッターこじ開けるかもしてません。一緒にやる?(笑)

こりゃひと味深い○シーンが読めるかもよ?ふふふ♥


このあとに読むアレでは殴られそうな類君だけど(笑)
あれはあれ、これはこれ・・・許して下さいませ~(笑)←毎日書くなって?

では、お預かりしましたのでね、お返事待っててね!

2018/04/12 (Thu) 15:25 | EDIT | REPLY |   
3児の母(凪子)  
ただいま!笑

プル様❤

もういいや!オープンで行く!笑


〉類書きを増やそう!

わぁ♪ ありがとうございます(;∀;)
そうなのよ!そうなのよっ!✨笑

そして…ないない様に❤

どうか怖がらずに、是非お部屋を開いてみて下さいませ✨

ないない様の類つくは、とっても大人で極上で…
絶対、素人は嘘です!笑

素敵過ぎて溜め息が出る~✨…って、もうみんな、類スキーは首を長くして待ってるから!!

うふ。プルさんもマムシ化、どうか宜しくお願い致しますねっ m(__)m 笑


そして文章の質は全くの段違いなのですが(^^;💦
ないない様の軌跡を辿ると、自分の「3児の母」時代を思い出すのです…笑

私もホントに本気で、お部屋を持つなんてあり得ない💦💦と思っていたので(* ̄ー ̄)←それがこのザマ…泣

いつかお時間が出来たら、そっとマムシ達のプッシュに流されてみてください。
こちら側も楽しいですよ?(笑)

先ずは素敵なお話を、どうもありがとうございました!!

そしてプルさんもお裾分け、どうもありがとうございました✨(*´ω`*)






2018/04/12 (Thu) 23:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ただいま!笑

凪さん、お帰り~(笑)

ねぇっ!私も書くなんて思わなかったって!(笑)
いつの間にかよ・・・そして同じくこんな感じで駄文だらけだ・・・。

懐かしいなぁ・・・私の類二次の始まりは凪さんの「アゲハ」だから!


と、言うことでないない様にこのまま伝わりますのでお返事待っててね♥

2018/04/13 (Fri) 00:06 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/13 (Fri) 04:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様 おはようございます!

ふふっ・・・!素敵なお話しでしたよね!
ご本人様にお伝えしてますのでお返事待ってて下さいね!

ありがとうございました。

2018/04/13 (Fri) 07:02 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/13 (Fri) 09:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

星さま、おはようございます!

ほほほ・・・本家本元には及びませんが頑張ってみました。
皆様のお部屋開設を望む声、ちゃんとお届けしております。キリッ!


では、お預かりいたしますね!
お返事は待ってて下さいませ♥ニヤリ・・・。

2018/04/13 (Fri) 10:04 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/13 (Fri) 17:37 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

桃様、こんにちは~!

コメントありがとうございます。

え?時間・・・それはね、お話しが簡単だからです(笑)
わたくし、難しいことは書けないのです。難しい表現も知りません。オトナの話も滅多に書きません(笑)

いやん、桃様のお話は知的だもの!私こそ「すごいなぁー!」って感心してます。
いつ沈没するかもしれない危ないヤツですがこれからも宜しくです。

で、ないない様捕獲作戦は順調です。お返事、待ってて下さいね!

2018/04/13 (Fri) 17:48 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/14 (Sat) 20:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ないない様

りお様 コメントありがとうございます。

えーと・・・風の便りで相当ショックをうけておいでだと聞いております。
だから頑張って私たちが幸せな結末を作るのですよ!

りお様・・・頑張りましょう!!

作業も大変でしょうが同じ思いの人が待っていますよ?ファイトっ!
(実は私も過去のものを見たら死にそうになります・・・。話数が多いって大変ですよね・・・)

お返事はないない様からいただいたら本日の記事に足しておきますね。
宜しくお願い致します。

2018/04/14 (Sat) 20:43 | EDIT | REPLY |   
-  
承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです

2018/04/16 (Mon) 04:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ないない様

はる様 おはようございます。

コメントありがとうございます♥
素敵だったでしょう?作家がビビる読者様です・・・はは、お恥ずかしい(笑)

大丈夫!チームルイルイが総出で説得中ですので(笑)お部屋、期待できるかも?ですよ!
楽しみに待ちましょうね~♥

それではご本人様にお渡ししますので、お返事は先日の記事に追加させていただきます。
宜しくお願い致します。

2018/04/16 (Mon) 07:06 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply