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今日は日曜で西門さんがお見合いをするっていう日。私はどこにも行かずに窓から西門本邸を見ていた。

午後になって黒塗りの車が正門に着いて、その中から着物姿の女の人が2人降りてきた。
おまけに付き人のような人まで・・・これはかなり大きなの家の人だって私でもわかる。ここで働き始めてから何度か見た光景だったから。

「あ・・・誰か来た!もしかしてこの人達?」

急いで双眼鏡で見てしまう。いつもはお弟子さんか使用人が出てくるはずなのに今日は志乃さんだ。

志乃さんが出てくるっていうことは西門にとって重要な人・・・この人達が武田って家の人だと確信した。

お母さんなのかしら、家元夫人と同じような歳と思われる女の人の後ろをついて行く人、確かに髪が長くて綺麗だった。
薄いブルーの着物を着ていて顔なんて見えなかったけど上品そうな身の熟しだ。志乃さんの笑顔もなんだかいつもより数段上の気もするし、やはりこれは本気だって事?

志乃さんの案内で全員がお屋敷の中に入って、車はゆっくりと駐車場の方に向かって走り出した。


その人達が入っていって1時間近く・・・今、何をしているんだろうと思って何度も双眼鏡を使ってしまう。

「これで、嫌なものが見えたらどうすんの?私、なんでこんなことしてるのよ・・・関係ないってのに!」

そう独り言が出てるのに手に汗かいてまで持ち続けてる。自分のしてることがよくわからないけど気になって仕方なかった。

『家元夫人には向いてるかもな』・・・西門さんはあの人と結婚するのかしら。
その人には素の自分、出せるのかな。それとも一生、仮面つけたまま嘘の笑顔を貼り付けて暮らすの?西門さん・・・そうなの?


その時、西門さんが廊下を歩いてるのが見えた!

あ・・・1人だ。誰も後ろにはいない。西門さんが1人で自分の部屋に戻ってるみたいだった。
何となくホッとする。いきなりその横に誰かがいたら、明日から本当に彼に会う自信がなくなりそう・・・そう思った時、西門さんが振り向いた。

私は少し身を乗り出して双眼鏡を持つ手に力が入る。

そして小走りでさっきの着物の彼女が来たかと思うと、西門さんがその人を抱き留めた!ここでも彼女の顔は見えないけど西門さんは優しい顔をしているように見えた。
いや、そこまではっきりは見えないけどそう感じてしまって、その瞬間、胸の中でガラスが割れたかと思うような大きな音がした!

「嘘!抱き付いた・・・抱き付いたよね!・・・やだっ!」

思わず双眼鏡から目を離し、カーテンをシャッと引いた。そのカーテンを後ろ手に掴んで・・・双眼鏡はゴトンと床に落ちた。


「西門さんに抱き付いた。あの人、西門さんに抱き付いた・・・でも西門さんも・・・受け止めたってことだよね?」


それはお見合い成功って事?
あんな風に本邸で抱き合う人なんて今までいなかったじゃない・・・あの人が西門さんの恋人になるの?

なんだか胸が痛い・・・目元が熱い。気が付いたら頬に伝うものがあった。


**********


「総二郎様はその方の事がお好きなのですね・・・いま、とてもいいお顔でしたわ」

「・・・それがお恥ずかしいのですが、自分の気持ちが自分でよくわからないのですよ。ただ、いつも気になります。こうして毎日特定の女性を気にしたことがないので正直わからない・・・。あなたも私の噂は知っているのでしょう?承知の上でこの家に来た、そう思っていいんですよね?」

「はい、もちろんです。総二郎様の事は有名ですもの・・・知らない人はいないでしょう?」
「ははっ・・・そうでしたね。それで、どうかしたんですか?」

さっき客間ではほとんど返事程度しか言葉を出さなかったのに、何故ここまで追いかけて来たんだろう。
俺は別に小百合の細かい情報なんてのも要らねぇし、聞きたくもない。それとも、自分が断わられるのは嫌だから武田から断わってもいいか、なんて言うんだろうか?別に構わねぇけど・・・。

「あの・・・言いにくいんですけど」
「どうぞ、宜しいですよ。なんなりと・・・私に出来ることでしたら。結婚以外ですけど」

「え?あぁ、そうではなくて・・・西門様からこの話を断わって欲しいのです。私の事が気に入らないと・・・出来るだけ悪く言っていただいて構わないので・・・よ、宜しくお願いします!」

・・・・・・は?

こっちから断わる?それはいいけど、出来るだけ悪く言えって、それは無理じゃねぇか?
小百合も無理を言ってることはわかってるようだ。両手を小さく合わせて頼み込むような姿勢で俯いていた。

「小百合さんの事を悪くは言えません。あなたはとても美しくて気品があって、私のような家に迎えるのになんの問題もありません。そんな方を悪く言ってお断りというのは出来ませんよ?どうしてそのような事を?武田の家で揉め事でも起こしたいのですか?」

「そ、それは・・・あの」

「誰か好きな人がいるのでしょう?もしや・・・もう気持ちを通わせておいでですか?」

そう言うと顔を真っ赤にさせて両手で頬を覆った。なんだ!この仕草・・・牧野に見習わせたいぐらい可愛いじゃん!
いや、やったら気持ち悪い。あいつはこういうタイプじゃなかった。


「実はお付き合いを始めた男性がいるのです。でも一般家庭の人で・・・多分お父様はお許し下さいません。何となく、その噂を耳にしたので私の結婚を急いでいるんだと思います。まだ、この先の事はわからないのですが、今ここで婚約が決まっては後戻りが出来ません!どうか私がこの家には相応しくないと判断したと、そう言っていただけませんか?」

いや・・・決まることはない。親父が大賛成で纏めようとしても、お袋がどんな手を使ってもこの話を破談にするはずだ。
小百合に問題はないだろうけどあのおばさんと親戚になるつもりはなさそうだし、なにより牧野の事が大のお気に入り。そんなこと、小百合には言えないけどな。

「・・・わかりました。それでは2人で少し話をしたけど何一つ趣味も好みも合わず、少しだけ口喧嘩になった・・・そのぐらいにしましょう。くくっ・・・あなたの言葉に許せない部分があったと言うことにしましょうか?その程度なら話を合わせられますか?」

「はい!ありがとうございます・・・今から帰るときも少し演技してみます」
「でも、これであなたの恋が上手くいくかどうかわかりませんよ?大丈夫ですか?」

「はい。自分で決めた人ですから、両親に納得してもらえるように頑張ります。総二郎様・・・ありがとう。そちらの恋も実りますようにお祈りしておりますわ」


「・・・はい。ありがとうございます」

俺の恋?・・・廊下を転けまくった女との?
毎日その行動が気になってる、あの牧野との・・・・・・?


***********


その日の夜、久しぶりにあきらから電話があった。

『総二郎、来週の土曜、空いてるか?夜に飲まないか?司が帰ってるんだ』
「おぉ!司、今日本なんだ!わかった。多分大丈夫だろう」

『そうか、店が決まったらメールしとくよ。類も大丈夫らしいし、男ばっかりじゃ面白くないから桜子も呼んでるから』
「わかった、予定入れとくわ」

世界中を飛び回ってる幼馴染みの帰国。この時だけは今でも4人揃って一度は飲みに行く、ずっと続いてる”決まり事”みたいなもんだった。

いずれ類はフランスへ、あきらも何処に行くかわかんない。
まだ誰も婚約もしてないし、特定の恋人もいない。
俺達4人は家の犠牲になるその日を全員が引き延ばしてるんだ。必死の抵抗・・・必ずいつか決められるんだからな。

4人共が思ってるんだ。出来たら自分が惚れた女と一緒になりたいって。でも、誰も口にしない。


『・・・つくしちゃんはどうしてる?元気か?』

「牧野?・・・さぁ、どうだろう。少し大人になったんじゃねぇの?会わせてやろうか?」

『つくしちゃんが来たいなら連れて来いよ。酒に少しは強くなんなきゃな・・・弱すぎだから』

「いいんだよ、あいつは弱くて。まぁ、行くって言えば連れて行くよ。じゃあな」


いい気なもんだ!泣かせたくせに・・・・。

でも、もう一度会って踏ん切り着いたかどうか、確認してもいいかもな。
まだ何処かであきらへの想いが燻ってたら前に進めないから。

いや・・・前に進めてないのは俺の方か?



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2018/04/19 (Thu) 14:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様 こんにちは。

ふふふ、どうでしょうねぇ。気がついてるんでしょうけど出会い方がキュンキュンじゃないから
素直に進まないのかしら?って書き手のくせに思いますね(笑)

総二郎が鈍すぎて笑えるってのも私としては楽しいんですけど。

えっ!(笑)
そんなに絡ませてるとこの話が終わんないんじゃないですか?
類に司・・・ははは!総ちゃん、お友達なくしそう!

まぁ、どっちかは遊んできそうですけどね~。
書くのが私だからわかっちゃいますね!

ここから二人がどう変わるかをお楽しみに~!

2018/04/19 (Thu) 14:55 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/19 (Thu) 15:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

リアクション酷すぎました?ははっ!笑ってください。
そうね!恋人でもないのに何でそこまで書いたのかしら!
やっぱり火サス世代だから、こういうのが好きなのかも?

仕方ない・・・殺人事件でも起こすか(笑)

ターゲットは・・・和真かな(笑)

珍しくF4揃わせるんだけど、誰が何喋ってるか全然わかんなかったりして!
特に司君!私、彼の台詞回しがわからなくて毎回苦労するんですよね~( ̄。 ̄;)
自分で書いてるのに総ちゃんが言ったのか司君が言ったのか分んないときがありますし。

ボソッと喋る類だけ分かる(笑)

膝カックン!

あっはは!やってみたいですね!後ろからコソッとね・・・カックンっ!て。

2018/04/19 (Thu) 22:40 | EDIT | REPLY |   

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