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plumeria

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「よし!部屋の片付けは大体終ったわね!・・・これで、明日スーツを取りに帰って5日の入学式を済ませたら楽しい大学生活が始まるーっ!いや、バイト三昧だから楽しくはないか・・・でも念願の1人暮らしだわ!」

お茶碗を片付けて、台所用品をしまったら引っ越し作業も終り!

お風呂の掃除を簡単にしてお湯を張り、それが一杯になったらゆっくりと汗を流した。
お部屋だけじゃなくお風呂も広い・・・だって足が伸ばせるんだよ?アパートのお風呂なんて膝を抱えなきゃ入れなかったし、シャワーだってなかった。小さい頃お母さんと入りたかったけどそれも出来なかったなぁ・・・なんて昔のことを思い出していた。

だから初めてシャワーで髪を洗ってみた。
ふふっ!変なの。こんなのに憧れていたのかってくらいたいしたことはなかったんだけど、それでもやってみたいことの上位だったのよね!

お風呂から上がって寝る前にゴミを集めたら、さっきのお菓子の包み紙が見えた。 それをもう一度手に持って広げてしまった。

「そう言えば、あの人・・・なんで取りに来たのかしら」

普通じゃないわよね?受け取らなかったものを後からわざわざもらいに来る人なんて初めてみた。
それに、多分だけどお金持ちなのよね?事務長の言い方もそうだったけど、あのお洒落な人達がお友だちなんでしょ?英徳はセレブ校だし、そういう人が半分以上だって言うから話は合わないとは思っていたけど、一般常識も通じないのかも。

「ま!関わらないしね!それに、訪ねて行ってもいけないし、私から話しかけてもいけないのよ?そんな人、無視すればいいのよ」

独り言を言ってゴミ袋にその包み紙を丸めてポイッと入れた。

その時廊下を歩く音がして、隣の部屋のドアが開いて・・・バタンと閉まった。花沢さんが戻ってきたんだ。
時計の針は10時前・・・今まで何処にいたんだろう。晩ご飯?にしては遅いし、遊びに行ってたのなら早いし・・・。

「はっ!気にしないんだった・・・そうそう、気にしちゃダメなのよ。出来るだけ無視!・・・って変なの」


たいした荷物はなくても引っ越しは疲れる。だから早く寝ようと思ってベッドに潜り込んだ。
でも、1人で寝るのは初めてで少しドキドキする。いや・・・隣にあんな素敵な人がいるからってわけじゃないけど・・・。 でも、何も音がしないよね?テレビも見ないのかな・・・それとも防音に優れてて聞こえないとか?
あぁっ!ダメダメ、考えない、考えない!・・・・・・あのお菓子食べたのかな?不味くて食べられなかったりして。

頭から布団を被って一生懸命寝ようとしたら余計に目が冴えて寝られない・・・仕方ないからガバッと起きた。

「ダメだ!・・・気が高ぶってるのかな。こういう時はやっぱり星かしらね!今日はよく見えるのかしら・・・」


電気はつけずにカーテンを開けて、カラカラっと窓も開けてそうーっとベランダに出てみた。
この辺りは夜にはあまり光がなかったから星はよく見えるみたい。昼間の天気が良かったから、夜も雲がなくて星が沢山見えた!

「うわぁっ!星がすごいーっ!綺麗だなぁ・・・ひとつ落ちてこないかなぁ・・・」


「・・・落ちてこないよ。星なんて」

「・・・・・・は?」

急に聞こえた声は左側のベランダ!
そこには花沢さんが手摺りにもたれ掛かって真面目な顔で私の事を見ていた。昼間もそうだったけどこんな夜にはその茶髪は余計に明るく見えて、まるで外人みたい・・・。瞳の色までは見えなかったけど、綺麗だって事がわかるほど僅かな外の灯りで光って見えた。

「星って元来は,太陽と月を除くすべての発光天体に与えられた名称の事だよ。ほとんどの場合恒星のことを言うんだけど、夕方に輝き始める一番星でしょ。流れ星、彗星とかさ、惑星を意味するってわけでしょ?落ちてきたら一大事だよ」

「・・・そういう意味じゃないでしょ?わかってるわよ!そのぐらい・・・ロマンチックな気分に浸ってたの!・・・花沢さんって変わってますよね?」

「え?そうかな・・・星が落ちて地球に衝突したら大変なのに、それと浪漫を重ねるあんたも変わってるよ」

「・・・そう、かしら」

「でも、俺・・・星は好き。だから夜になるとつい見ちゃうんだよね。1等星見つかると嬉しい・・・あ!これも浪漫に近いかな?」

そう言って今度はクスクス笑った。
なんなの?この人・・・絶対に私より変わってるよね?


花沢類・・・星が好きな変人。


私の中にはこうインプットされた。

この後も別に聞いてないのに1等星と6等星の説明を聞いていた。

「星の明るさは,見かけ上の明るさを表す等級が1つ上がると明るさが 2.512倍になるんだよ。でね、5つ上がると約 100倍の明るさになる。1等星は 2等星の 2.512倍明るく,6等星の約 100倍明るいことになるんだ。なかにはシリウスの-1.5等星みたいにすごく明るいから等級がマイナスの値をとる星もあるんだ。色もさ、青白色から赤まで・・・天体望遠鏡で見たら結構宇宙ってカラフルだよ」

「・・・・・・」


この説明のおかげで私は眠くなって寝る事が出来た・・・。


************


喫茶店を出たのは9時45分、花沢に向かおうとするのを慌てて寮の方に向きを変えた。

車の中で考えていた。
今日、どうして橋本さんにあんな事を話したんだろう。今まで誰にも話さなかった・・・あいつらにでさえ話したことがないのに。
朝、お婆さまの夢を見てしまったからだろうか・・・。

いや、今までも時々見てたような気はするけど、だからってヴァイオリンを弾いてあげたい人に出会えるか、なんて誰にも言ったことはないし、心から愛せる人を探してるみたいな言葉を出したこともないのに。

「出会えるさ。類君がちゃんと心を開いて向き合える人・・・君の未来を照らしてくれる人が、いつかきっと・・・ね」


そう・・・だろうか。橋本さんの言葉を疑うわけじゃないけど、本当にそんな人が現われる?

人と心を通わせることが苦手な俺に?人を愛する気持ちを忘れかけてる俺に・・・光を与えてくれる人。
そんな人がいつ何処で、この俺を見つけてくれるんだろうかと思いながら車を走らせて、10分ぐらいで大学の寮に着いた。

見上げたら俺の隣の部屋には電気がついてる。
あのびっくり目の黒髪の子・・・また名前を忘れた。

一生懸命名前を思い出そうとして階段を上がって、302号室の前に名前が貼られてたから思い出した。
牧野・・・牧野つくしだ!人間なのに植物の名前。しかも・・・つくしだなんて。


部屋に入ったら電気はつけずに真っ直ぐベランダに向かった。
今日は良く晴れてて星が見えそうだったから。

お婆さまとお爺さまはどの星になったんだろう・・・なんて、天文学説に反する発想を頭の中で考えながら空を見上げた。
その時、また聞こえたんだ。昼間と同じ声が・・・!

「うわぁっ!星がすごいーっ!綺麗だなぁ・・・ひとつ落ちてこないかなぁ・・・」

「・・・落ちてこないよ。星なんて」

そう言うとすごく嫌な顔して俺の方を見る。 そんな顔を見せられた事なんて初めて・・・。面白くなってつい、星に関する蘊蓄を並べた。それをもっと嫌そうな顔で聞いてる。
笑いたいのを堪えてしばらく2人で空を見上げていた。


「もう寝ていい?眠くなっちゃった・・・」
「どうぞ。俺はまだ見てるから」

「よくわかんない説明、長々とありがとう・・・」
「くすっ・・・どういたしまして」


この俺が知らないヤツに話しかけるなんて・・・。

牧野つくし・・・彼女が俺の前に現われてから胸の奥で何かが動き出したんだ。



kenka5.jpg
長いプロローグ、終わりました(笑)
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2018/04/27 (Fri) 00:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、こんにちは!

この星の数字をホントに暗記してたらすごいなーっと思いながら書きましたよ。
星やら星座やら宇宙が好きなのは類ではなくて私なんですけどね(笑)

天文学の本は家に沢山あるんですが、難しすぎて何書いてあるんだかわかんないんです。
宇宙地図ってのもあるらしくて真剣に読んだりしてました。
もちろん覚える気なんてないけど・・・(笑)

しばらくはベランダがデート場所です。
お部屋に入るのは・・・いつだろう(笑)類がとんでもないことをした時かな?ぷぷぷ!

クールな類は私には難しいです~!!もうふざけたくて仕方ありません・・・!
こんなので予定通り進むんだろうか・・・?

2018/04/27 (Fri) 11:59 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/27 (Fri) 15:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

そんなことしたの?ちなみに・・・誰と?1人じゃないですよね?
あそこって暗いんでしょ?

・・・・・・やだっ!さとぴょん様ったらっ!

ベランダの会話(笑)
なんで3階にしたかというと、これ以上高かったらベランダ越しに遊べないからです。
でも2階ってのはねぇ・・・英徳ですから。
本当は7階ぐらいにしたかったんですが7階のベランダは危ない!

そのうち何をするかがわかりましたか?はははっ!

2018/04/27 (Fri) 17:50 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/27 (Fri) 20:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます。

あはは!ごめんなさいね!てっきりイタリア人と・・・(笑)

私、行ったことがないんですよ。
自分の住んでるところにそんなものがないから。
へぇ・・・甘く聞こえるのね?
水族館の説明のお兄さんがマイク持って話すときになんかゾクゾクして「素敵っ・・・」って思ったことがあるんだけど
それと同じかしら?
魚に「ちゃん」付けで呼ぶのが可愛くて魚なんか見なかったですが。

あっ!うちの隣の家の息子さんは愛知県の水族館のイルカ担当らしいが・・・?確か可愛い子だった(笑)


ふふふ、その案もいいねぇっ!パンツ・・・類が拾ってお部屋に持ち帰ったらどーすんの!
そんなこと書いたらクレーム殺到だよね(笑)ダメダメ・・・今回はクールなんだから。
その時は真顔で玄関から返しに来るのよ。

「ベランダにパンツが飛んできたよ。はい・・・返すね」

2018/04/28 (Sat) 07:45 | EDIT | REPLY |   

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