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<side類>
総二郎の子供を見て一安心。やっと1日が終ったって思ったときに夜にも関わらず花沢にやってきたのは藤本だった。
スーツじゃなくて昼間と同じ私服だったから花見の後片付けでもしてたのかな?遅くまでご苦労だよね。

「どうしたの?こんな時間に。あれから花見は問題なく終った?」

「はい、みんなテンションが上がりすぎて夜桜見物にまで時間が延びまして。それでこれをお持ちするのに遅くなったんですよ。はい、専務のスマホ。何やら着信が多いようでしたので今日のうちにお持ちした方がいいかと思いまして」

藤本がポケットからサッと出したスマホを見たら今日の悲劇がまた思い出された!

「あ、忘れてた!そうだよ、藤本が俺に電話を返してくれないから大変だったんだよ?そう言えば今日はよく行方不明になってたけど何処に行ってたのさ!」

「・・・休みの日ぐらい専務から離れたかったんですよっ!でも、いいこともしましたよ?お金を持っていない女性がいましたのでお団子買ってあげたんですよ。そしたら今度はタコ焼き屋さんの前で会いましてね、欲しそうに見ていたから買ってあげました」

ん?・・・お金を持っていない女性?お団子は知らないけどタコ焼き?もしかしてそれって・・・。

「その人、妊婦さんだった?」
「はい、もう産まれそうなぐらい大きなお腹してるのに1人だから気になりましてね。もうすぐ産まれるんでしょうに旦那さんって人は薄情ですよね?お金も持たせない上に1人にさせて!顔が見てみたいもんです!」


見たいんならすぐそこで寝てるけど。
でも日本を代表する茶道の家元の初孫産む人だったって言ったら腰抜かすかもしれないからやめておこう。

「今日の記念にそのスマホで写真も撮ってますから見て下さいね。専務が帰ったあとですけど」
「・・・え?俺抜きで写真撮ったの?」

「はい!みんなすごい笑顔でいい写真ですよ。では、失礼します」


確かにギャラリー開いたら何枚もの花見の写真が俺抜きで撮られていた。
みんなホントにすごい笑顔・・・これってどういう意味?



***********



「本当にお世話になりました!ありがとうございます、ありがとうございます!無事に産まれて本当に良かった!」
「とんでもございません!類様が方向音痴なためにご迷惑をお掛けして、そのうえご準備されていたのに当家の医師により西門家の跡取りをお取りあげする羽目になってしまい申し訳なく思っておりますわ!」

「良いのです!無事に産まれれば・・・安心いたしましたわ。総二郎さんが迷子にさせたのも悪いのです!お世話になりました!」
「いえいえ、そもそも花沢が突然あんな遠方で花見をするからですわ!」

「そんなことございませんわ!うちなんか予定日過ぎてる人を連れ出したんですから!」
「そ、それは大胆でしたわねぇ・・・確かに」


いつまで続くのかわかんないお袋と加代さんのやりとり。
何故か月曜だというのに会社を休んだ類が横にいて、2人でこのやりとりを苦々しく聞いていた。
つくしは花沢の医師の診察を受けたり助産婦から指導を受けたり、ついでに腹が減ったと言って出された食事は完食。出産した次の日とは思えないほど元気だった。


つくしの様子を見て、初孫も抱けて一安心の親父とお袋が帰ろうとしたとき、加代さんがまた大きな声を出して走って来た!

「類様っ!一体何をご注文されたのですか!何やらお菓子が大量に送られてきたのですが!しかも着払いなんて花沢家では経験した事がございませんわっ!」

「あっ、届いた?ちょうど良かった!家元に持って帰ってもらお。総二郎、例のつくしちゃんのお土産だよ。200箱だっけ?」
「200箱?!誰がそんなに食うんだよっ!」

「それが、類様があるだけ持って来いって言われたからと、500箱持って来てるんですが?お値段が189万円だそうですけど」

「・・・・・・えっ?そうなの?」
「500箱?!ちなみにそれなんだ?」

「”いも恋”っていうお菓子・・・ってどんなのか知らない。すごい勢いで入った後で目についたもの選んだから」
「それ、うちに持って帰るのか?」

「うん。家元に頼んで?」
「・・・・・・」


結局、親父達の乗ってきたリムジンには200箱が精一杯で、花沢家のリムジンを借りて西門に運ばれていった。
西門流の家元夫妻が菓子箱と一緒に帰る・・・今まで一度も見たことがない光景を見てしまった。

菓子代?もちろん”役立たず”が「お祝いだよ」って言って払ってくれたさ。


**


一週間後・・・つくしは花沢から移った病院でも特に問題はなく子供を抱いて退院した。
そして西門に戻った時には既に葉桜になっていた。

真っ白なおくるみに包まれた赤ん坊が初めて西門の門をくぐる・・・使用人が総出で出迎え、祝いの花が家の中に入りきれないほど贈られてきていた。
「おめでとうございます!お可愛らしいお顔です事!」の声にいちいち立ち止まって赤ん坊を見せて回るから、家の中に入るまでに1時間近くかかった。


「なんだか懐かしいなぁ・・・ほら、ここがお家だよ?ここで大きくなるんだよ~!」
「つくし、まだ少し冷たい風が吹くから部屋に入れ」

「はーい!」


新しく俺達の横に育児室のような部屋が作られて、昼間はここで過ごすらしい。
小さなベビーベッドが置かれていて既に色々なベビー用品で囲まれた、幸せな部屋に様変わりしていた。

そこのベッドに寝かせてつくしが赤ん坊の額にキスしてる・・・俺以外の男にされるのはたとえ実の子供でもイラッとするもんか?思わず引き寄せて俺の腕の中に抱き込んだら「どうしたの?」なんて笑ってやがる。

「・・・俺の目の前ではたとえこの子でもキスは許せない。なんか・・・イヤだ」
「あはは!そういうものなの?仕方ないなぁ、じゃあ総二郎さんにもね」

そう言って少し背伸びして、つくしが俺にキスをくれた。

*

「総二郎さん、私の荷物何処だっけ?」
「荷物?花見の時の鞄ならここにあるけど?」

「ありがとう・・・ここに総二郎さんへのプレゼントの材料が入ってるから」

つくしが取りだしたのはハンカチに包んだあの日の桜の花びらだ・・・数枚持って帰って何か作るって言ってたっけ?
「何を作るんだ?」って聞いたら「内緒!3日待ってね」って言われた。


そうして3日後、俺にくれたのは「桜文鎮」。
クリスタルレジンってやつで作るらしく、集めた花びらを鎮めて作ってくれた。

「ははっ!綺麗だな。茶会の招待状書くときに使うよ。ありがとう、つくし」
「うん!連れて行ってもらったお礼・・・わたしこそ無理言ってごめんね」

二人で自然と手が伸びて、抱き合おうって雰囲気になって・・・お互いの腕が身体を包んだ時だった。


「ほんぎゃあぁーっ!ほんぎゃあぁーっ!」

「プッ!・・・泣き出した!ふふっ、元気いい声だよね!行ってくるね!」
「あ、ちょい待て!忘れ物!」

なにを?って振り向いたつくしをもう一度抱き締めてキスをした。



俺達の子どもの名前は「紫桜」(しおう)・・・西門 紫桜 と付けた。



こうして西門家の春は過ぎて、新緑の季節へと移っていく。
賑やかな泣き声が屋敷中に響いて、つくしの笑い声が茶室にいる俺の耳に届く。


紫桜、お前の中にもいつかドデカい花を咲かせろよ?お前の母様のような大輪の花をな!





終!



SSK_sakihajimetasakura_TP_V1.jpg
春のドタバタ劇にお付き合い下さいましてありがとうございました。
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2018/04/13 (Fri) 12:41 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/13 (Fri) 17:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

あやた様、今晩は!

ハチャメチャ!その通りですね(笑)
こんな類君は滅多に読まないでしょうから新鮮でしたか?

総つくの話なのに半分以上類つくになっていましたねぇ・・・しかもかなり低いLOVE度(爆)
まぁ、この話は笑っていただく為のものですからお許し下さいね。

そして・・・この土地をご存知の方!嬉しいなぁ(笑)
結構地名を書いたけど、今回は誰も名乗ってくれないのね・・・って思っていましたのでホント、嬉しいです!

そうそう、類のフェラーリが走ったんですよ!
東松山は埼玉ですけど、栃木の作家さんに「類が栃木で迷子になってるんですけど~」って言ったら
「あんた、何書いてんの?」って笑われました。

いつかこの親子がまた珍道中ですか?ふふふ・・・お話しが浮かんだら頑張ります!
今日はありがとうございました。

2018/04/13 (Fri) 20:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、今晩は!

はい、終ってしまいました。
ドタバタさせて申し訳ないです。しかもとても素敵なお話しをいただいていたので悩んだんですよ。
同時公開は・・・私が恥ずかしいじゃないかと!(笑)

笑っていただけたら良かったです。
これだけは毎日の思いつきで明日の事なんて考えずに書きますので、矛盾が起きてるかもしれません。
が、その矛盾すら見つけられないほど掻き回しましたのでね!

トムとジェリー!(笑)
えーと、総ちゃんがトムですか?類君がジェリーですよね?
あっはは!それ、いいですねぇ!想像出来ます!
まぁ、類君はこの話では別にわざとやってるわけではないですけどね。

言われてみればそんなノリでしたね・・・。うんうん!

時々この脳天気な人達に会ってやって下さいね!
今日はありがとうございました。

2018/04/13 (Fri) 20:54 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/14 (Sat) 00:16 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/14 (Sat) 01:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様、おはようございます!

ジェリーの従兄でしたっけ?白いのがいましたよね?
あれがつくしちゃんってことにしましょう!似てる・・・絶対!

もし、「茶と華と」シリーズを書くことがありましたら、この役立たずは必ず現われると思います。
その時は総二郎がまた大変でしょうが(笑)何故かリクエストがあるので現在悩み中。
「日本全国お土産珍道中」という別名もあるこのシリーズですので、そこから考えましょうかね!あはは!

「そういちろう」シリーズもあるし、変な宿題が増える私(笑)

コメ返のこと、お気遣いいただいてありがとうございます。
これも楽しみのひとつです。大丈夫ですよ?えへへ!

2018/04/14 (Sat) 08:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます。

これで我が家に「いも恋」が500個届いたらさとぴょん様に半分送るね!
なんか着払いって言うと、玄関に座ってお財布から出すイメージなんだけど(笑)
類君が1万円札を指舐めながら数えたら面白いだろうなぁ!
で、この類君は不器用だから10枚数える度にお菓子屋さんに「はい、10万ね?」って渡すの(笑)
時間かかりそーっ!

紫桜・・・なかなかいいでしょ?色っぽい男になりそう~!

どうしよう・・・書きたくなるよね!

「紫桜、行くぞ」
「はい、お父様」

なーんて言いながら行くのが夜の街!デビューはそうね・・・10歳かしら。
蒼は真面目だったからなぁ(笑)紫桜は危ない男で!

2018/04/14 (Sat) 09:26 | EDIT | REPLY |   
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2018/10/19 (Fri) 10:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: No title

マリママ様、こんにちは!

ご訪問&コメントありがとうございます。
コメントは初めまして、ですかね?(笑)嬉しいです!


あはは!このシリーズですか!懐かしいなぁ♥

これで最後にしようと思って「桜狩り」を書いたのですが、紫桜くんを書きたくてウズウズしてます。
でも、あんまり引き摺ってもねぇ・・・なんて悩むところです。


昔のお話でコメントいただくって新鮮♥
頑張ってよかったなぁって思います!

お気遣いも嬉しいです。はい!無理せずのんびり(?)がんばります!

2018/10/19 (Fri) 12:08 | EDIT | REPLY |   

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