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「大丈夫ですの?西門さん・・・痛みます?氷もらいましょうか?」
「・・・このぐらいなんでもねぇよ。女に殴られて冷やすほど柔じゃねぇからな!」

桜子が半分笑いを堪えて俺の横でそんな言葉をかけている。
それを真反対の席で怒ったように睨む牧野・・・だが、さっきの言葉で完全に怒鳴り合うのは終っていて、再び奥の個室に牧野を連れて入っていた。

その席ってのも俺と牧野は真反対。
俺の横にはあきらと桜子、牧野の横には類と司が座って、もう一度酒とつまみとが準備された。
そして会話は完全に2つに別れて向こうは何を話してるのか全然わかんねぇ・・・多少それが気にはなるがあきらと桜子相手に酒を飲んでいた。

「それにしても、なんであんなに綺麗な髪だったのに切ったんだ?まさか・・・あの後か?」
「・・・そうだよ!次の日に西門早退して髪切りに行きやがったんだ。せっかくピアスまで買ってやったのにあんなガキみたいな長さにしやがって!」

「そうですか?でもお顔は前より女らしくなったと思いますけど。恋・・・したんでしょうねぇ」

桜子が俺達を見てニヤリと笑うからこの前のあきらの話をしてやった。
牧野が人妻と消えたあきらの事を気にしていつまでもウジウジするから2人で飲みに行かせたこと、そして告白した牧野をあきらが優しく振ったこと。
あきらには言ってなかったけど牧野が帰りにわんわん泣いて酔いつぶれて何度も「美作さんの事が好きだったのに」って叫んだことを話すと流石に苦笑い・・・少し切なそうな目で牧野を見るからその後ろ頭を殴った!

「だから!今更そんな目で見るなって・・・また、その気になったら今度はもう知らねぇからな!」
「あら、そんな心配ないでしょう?ねぇ、美作さん?」

「そうだな。もうつくしちゃんの中に俺の姿なんてないと思うけど?お前が一番わかってるんじゃないのか?総二郎」
「・・・別にそんな話にはなってねぇから」

「まだ言うのか・・・お前」
「そんなに認めたくないの?こう言っちゃなんですがダダ漏れですけど?」

チラッと牧野の方を見たら類や司に何か話されてアタフタしながら返事してる。
今頃気が付いたけど見たことのないワンピース。こいつ、こんな服持ってたんだっけ?そりゃ俺はこいつの持ち物なんて知らないけど、こんな服で西門に来た事はないし、いつもの牧野からして持ってるとは思えない感じのものだ。

だけどつけてるピアスとネックレスはあきらと飲みに行った時に俺が買ってやったものだった。
そのダイヤがキラキラと光る・・・さっき殴られたことなんてすっかり忘れて初めて見るこの3人の光景を睨みつけていた。

「あのワンピース・・・私と買いましたのよ?気になる?」
「・・・え?お前と?」

ふふって笑った桜子はさっきなんで俺が見合いをしたことを知っていたのかって質問の答えを口にした。

「表参道で偶然出会いましたの。私ね、今日のために選んでるんだって思って一緒に探したんです。可愛らしいでしょ?でも、まさか他の人とのデートのために選んだとは思いませんでしたわ」
「隼人のはデートじゃねぇって!あいつは俺よりタチ悪いんだ。多分、他にいい女が来たら牧野と比べながら口説くために誘ったんだよ!そんなヤツだ・・・」

「ははっ!隼人さんだからな。そういう意味じゃ有名だよな!」
「そうなんですの?皆さん、お知り合いのようでしたわね」

「こいつらはガキの時から西門に来てるからな。そこで何度か隼人に会ってるんだ。年も近いから昔は遊んだ事もある。女癖が悪くなったのは俺より早かったから中学になったらそんなこともなくなったけど」

「まぁ、それはいいんです。でね、その時に彼女とお茶したんですけど全部西門さんのお話でしたの。本邸でお見合いしたのはその時に聞いたんですわ。でも、どうして断ってるのに抱き合ったの?彼女、ショック受けてたみたいですわよ?」

悪魔みたいな目を細めて俺の返事を待ってる桜子。
この状況を心配するっていうより揉め事が起きて慌てる俺でも見たそうな感じだ。人生ハラハラする方が楽しいって毎日のように言うヤツだからな。

「抱き合ったんじゃねぇって!小百合が廊下で滑って転けそうになったから受け止めただけだ!さっき話しただろ?自分には他に男がいるってその時に聞いたんだよ。そんなことはどうでもいい!俺は小百合の事なんて初めから気にしちゃいないんだから!」

「他に気になって仕方ない人がいるからだろ?いい加減素直にお前から言えばいいのに。怒鳴り合うんじゃなくてさ」


・・・そんなことは言われなくてもわかってる。
わかってるけど、こいつは俺を2回も・・・いや、今日で3回も殴ったヤツだ!

そんなヤツに今更なんて言うんだ・・・?この俺が一言出すのにこんなに悩むこと自体あり得ねぇっての!

桜子とあきらに返事もせずにグラスの酒を飲む。両側から説教する2人をこの後はひたすら無視した。
俺の視線は少し離れたあの3人・・・何を見せて遊んでるんだ?やたら牧野に接近してスマホの画面を見せている類にイライラする。それを面白そうに笑って見ている司に腹が立つ・・・!
牧野に俺達が抱き合ってた事をなんで知ってるのか、それを確かめることも忘れて空になったグラスをダンッ!とテーブルに戻した。


「おまえいつからそんなに可愛い性格になったんだ?総二郎」
「ホント!見ていてこっちがイライラしますわ!」

「喧しいっ!酒がなくなった!・・・あきら、思いっきり強めのものにしてくれ!」


***********


『なんで俺じゃなくて隼人なんかを選ぶんだって言ってるんだ!』

この言葉が頭に残ってる。
だけど何故か顔は西門さんを睨んでる・・・ような気がする。

だって、どうしていいのかわかんないんだもの。私、また彼を殴ってしまったんだもの・・・。

正直謝りたかったけど、多分殴りたくなったのは偶然見てしまったあの光景にまだ腹が立ってたからだ。
お見合いって言えばそんなに面識のない人のはず・・・初対面に近いような人をいきなり抱き締めなくてもいいじゃない!っていう自分勝手な気持ちがいつまで経っても消えないからだ。

「くすっ・・・面白かった!あんた、すごいね。俺、反対側持ってたのにあんたの力で引き離されるとは思わなかったよ」
「え?!あ・・・ごめんなさい。つい、力が入って・・・」

「あの総二郎が俺以外の、しかも女から殴られて倒れるとはな!マジ、いいもん見たわ!」
「いや!倒したんじゃなくて西門さんが油断したんですよ、私にそんな力はないから!」

「でも、初対面でも倒したんでしょ?」
「・・・えぇ、まぁ・・・」

私の隣には花沢類って人と、道明寺司っていう、これまた超がつく美形が座ってる。
右を見ていいのか左を見ていいのかわかんなくなって正面を見たら西門さんと美作さん。何処を見ても心臓に悪い・・・。

どうやらこの2人が前に美作さんが教えてくれた幼馴染みみたい。
世界中飛び回ってて大忙しの暴れん坊で誰の意見も聞かないヤツっていうのが道明寺さんで、一年中眠そうであんまり動かないけど頭の中はキレキレなヤツってのが花沢さん。

すごく柔らかい感じの王子様風な花沢さんに比べて、道明寺さんは何もかもが濃くて印象的なくせ毛・・・でもお洒落でやっぱり強い瞳で鼻も高くてビジュアル的には最高ランク・・・なんなの?この部屋。

私以外が一級品の顔してない?クラクラするんだけど・・・。
目の前に置かれたカクテルに口をつけたけど今度はジュースみたいに甘いものだった。
弱いってわかってるけどこうなったら飲まなきゃこの場にいられない、そう思って1杯目をクイッと飲み干した。


「美作のパーティーで総二郎のパートナーしたのってあんたでしょ?行けば良かった!面白いものが見られたのかもね」
「面白くなんかないですって!あの時もただコケちゃいけないから必死に西門さんに掴まってただけで!」

「あぁ、うちのホテルでしたヤツか?総二郎の相手に・・・?そりゃ西門も本気だな!」
「本気?何が?あれは桜子さんが断わったから仕方なくでしょ?決めたのも西門さんじゃないわ。家元夫人だもん」

そう言うと2人は顔を見合わせた。
そして花沢さんがスマホで何か調べ始めて、道明寺さんはクスクス笑ってる。
しばらくしたら小さな声で「あった!」って花沢さんがニコッとして、スマホの画面を見せてくれた。

そこに表示されてるのは経済誌の記事みたい。美作商事のパーティーのことが書いてあるものだった。

「・・・うわっ!なんですか、これ!」
「家元夫人の狙いってこういうことじゃないの?ねぇ、司」
「だろうな。そうなる事はわかってるんだから。総二郎がどういう態度に出たかは知らねぇけど?」


『茶道表千家西門流の西門総二郎氏に寄り添う謎の美女』

・・・ブルーのドレスに身を包んだ令嬢を伴って西門総二郎氏がやってきたのはパーティー開始直前。無言で記者の前をを通り過ぎ、やや緊張した令嬢を優しくエスコートして会場入りする西門氏は終始にこやかで、これまでのプレイボーイの噂を打ち消すかのようだ。
これについて西門流は「パートナーはあくまでも本人の意思によるもので西門流としてはノーコメントです。ただ、本人が正式に申し出をしてくればそこで話し合いが進むものと思っています。なので静かに見守っていただけると幸せです」と回答しており・・・




うそっ・・・!



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2018/04/29 (Sun) 18:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

真反対の席に座って睨み合いの状況が続いております。
プロレス?レスリング?ボクシング?みたいな感じですかね。
つくしのセコンドに類と司、総ちゃんのセコンドに桜子とあきら(笑)

さぁ、ゴングが鳴り響きます!みたいな。
圧倒的に総ちゃんが負けてますけどね。3回KOされてるし。

しかし、自分で書いてて笑えるんですけど、まずは聞きなさいよ!
なんで知ってるんだ?って!!そこ、忘れちゃだめでしょーーっ!
(話の流れ上、今聞かれたら困るけどさ。でも、ホントは聞くでしょ!)

これからがルイ王子の暴走開始。お楽しみに~!

さとぴょん様、毎日コメントありがとうございます。
でも、せっかくのゴールデンウイークだからそっちを楽しんでくださいね?
よい休日をお過ごしくださいませ♥

2018/04/29 (Sun) 21:29 | EDIT | REPLY |   

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