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plumeria

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「ねぇ。類?何処に行くの?私そんなにお腹すいてないんだけど・・・」

「そんなわけないでしょ?牧野のいない間に新しい店がいくつか出来たんだ。帰ってきたら一緒に行きたいって
思ってたんだよね。牧野がそういうなら俺に付き合うってことでいいからさ」

そう言って牧野をイタリアンの店に連れて行った。
牧野の好きそうな高級じゃないカジュアルな所・・・これは本当に調べてたんだ、牧野の好きそうな店を。
椅子もテーブルも木製でクロスもカントリー風。沢山の観葉植物があってマスターがイケメンなおじさんで。

「可愛いお店なんだね。類ならもう少し大人なお店選ぶかと思ったよ」

「そう?あんたの好きそうな店を探したんだよ?結構人気なんだって!ここ」


ちょっと落ち着いたのか、メニューを見ながら笑ってる。まだ少し固いけどね・・・
早く前みたいな弾ける笑顔で、誰よりも美味しそうに食事をするあんたを見たいんだけど。

「好きなの、好きなだけ頼んでよ。ちょっと痩せたんじゃない?」

「そうかなぁ・・・そうかも。何を食べても美味しくなかったから」

「ふーん・・・そりゃ重症だね。食事が美味しく食べられない牧野なんて信じられないよ」

もうっ!・・・って怒った顔も好きだよ。
昔からコロコロ変わるあんたの顔を見るのが楽しかったから、すごく懐かしい気がする。
牧野は結局食べられないと言いながらもテーブルいっぱいに置かれた料理に夢中になってた。


「類、すっごく美味しい・・・幸せな気分になるよ!」

食べ始めたら少しは顔色が良くなったみたいだね。
いつから食べてなかったの?誰もいないアメリカで倒れでもしたらどうする気だったのさ。

「デザート、俺のも食べて?甘いのダメだから」

「相変わらずだね、類。変わってなくて嬉しいよ!」

「そう?牧野も変わってないよ。そうやって美味しそうに食べるとこ。見てるだけでこっちがお腹いっぱいになる感じ?
懐かしくて俺も嬉しいよ!デザートもう一つ追加する?」

そう言ってデザートの皿を牧野の前に置いた。良かったね、違うデザート頼んでて。
自分のをさっさと食べた牧野は、差し出された二個目の皿を前にため息をついた・・・
少し時間をおいて、デザート用のスプーンを置いてしまった。

何となく雰囲気を察して俺の手も止まってしまった。

牧野はまっすぐに俺の眼を見て話し始めた。



「あのね、類・・・私、道明寺と別れてきたの・・・」

「うん。知ってるよ」

「もうね・・・無理だったの・・・どうしても待てなかったの」

「うん、1人で頑張ったんでしょ?」

「1人で・・・うん、そう。1人だったの・・・ずっと」

そう言うとまた泣き出したけど、今は話しを聞いてあげないとね。
ハンカチだけ牧野に渡して、次の言葉を待った。

「アメリカに行っても会えたのはたったの2回だったの。1回目は1時間ぐらい。2回目なんて20分かな。
電話もほとんどなくて、日本にいた時と何の変わりもなかった。あいつが、今どこで何してるかなんて
教えてもらうこともなかった・・・」

目の前のオレンジジュースの氷がカラン・・・って音を立てて・・・
それをストローでクルクル混ぜながら悲しそうに笑った。無理して笑わなくてもいいのに。

「もうね・・・無理なんだって思った。だから、西田さんに言って道明寺に伝えてもらったの・・・別れてくれって。
日本に帰るって・・・でも、それさえ伝わってるかどうかわかんない。そうなっても、やっぱり電話もないんだもん。
道明寺のお母さんにもやっぱりねって笑われたよ」

さっき、やっと元に戻ってたのに、また鼻の頭を真っ赤にさせて小さい子が泣いてるみたい。
こんな仕草も全然変わんなくて、可哀相なのに可愛くて。
ここがレストランじゃなかったら、思いっきり抱き締めてあげるんだけどね。

「朝起きてから、夜になるまで誰とも口を聞かない日があって耐えられなかった。
日本じゃさ・・・みんなといつも一緒に笑ってばかりだったでしょ?だから・・・」

「寂しかったね・・・牧野」

「うん・・・すごく。でも、誰にも言えなかった。背中押してもらったのに、こんな形で帰ってきてさ」

「気にしなくて良かったのに。言って欲しかったよ、寂しいって。そうしたらすぐに迎えに行ったのに!」


「・・・類?」

遠慮ばっかりする牧野にちょっと大きな声を出してしまった・・・ごめんね。
そんなに驚かないで?怒ったんじゃないんだ・・・自分に腹が立っただけだから。何もしなかった自分に・・・

「こっちに居るときから言ってたじゃん。司のことがあるから身を引いただけ。俺はずっと牧野だけを
見てきたんだから」

俺が真面目にそう言ったら困った顔してる。牧野は俺の気持ち、知ってるはずだよね?


「1年前の事なんてもういいよ。今からのことを考えよう?ねぇ、牧野・・・今日俺が迎えに行って嫌だった?」

「え?そんな事あるわけないじゃん!嬉しかったよ」

「困った顔してたのに?」

「だって、いると思わなかったから・・・どんな顔したらいいかわかんなかったのよ」

「俺としてはあそこでさ、牧野が荷物を放りだして俺の方に向かって飛び込んでくる!みたいな再会を
期待したつもりなんだけど、あんた動かないんだもん」

「そんな映画のワンシーンじゃあるまいし・・・本当にびっくりしたから固まっちゃったのよ」

「牧野が帰ってくるって速報が流れたからさ。西田さんに聞いたら教えてくれたんだよ、搭乗時間。
どうしても驚かせたかったから、すれ違わないように結構早くから待ってたんだ。良かった!成功して!」


わざとふざけてみせる。司との別れなんて大したことじゃないよ。
次の恋の始まりだって思わせてあげる。

司があんたを守らないなら、俺が守ってあげるよ。
もう悲しくて寂しい涙なんて流させないから。


そして牧野にとって、次の恋は・・・最後の恋になるんだから。


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2017/04/03 (Mon) 10:06 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、こんにちは✨😃❗

多分、幸せになるんじゃ…ないかな!
途中は知らないけど?ふふふ。

始まったばかりの激甘ですから。
そーんなに簡単にはいかせないつもり。

そんなに難しいお話にはしませんよ。
総二郎のお話で今、困ってます。実は❗
ややこしいのはいけませんね。
反省しました。

しばらくは激甘をお楽しみ下さいませ。
今日もありがとうございました❗

2017/04/03 (Mon) 12:32 | EDIT | REPLY |   

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