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今回のSSはGReeeeNの「恋文」をイメージして書いてみました。LASTSTORYです。
つい画面に夢中になりそうですがよかったら曲を聴きながらどうぞ・・・




*************


初めて牧野と身体を重ねてから俺は真剣に将来のことを考えるようになった。

愛しいもの、自分より大事にしたいもの・・・すべてを投げ出して支えたい存在があるってすごい幸せなんだって思ってる。
それだけで自分が生きててよかったって思える。
それだけで俺はこれからも生きていけるって思える・・・大袈裟?ううん、本当だよ。

あんたは俺に光を与えてくれた。
何もかも持っているようで、実は何も持てなかった俺に希望ってものを持たせてくれた。

だけど新しい不安があんたを襲ってきた。「花沢」っていうブランド・・・目に見えない大きなプレッシャーだ。


『怖いなら手を繋ごう。それでも怖いなら抱き締め合おう。でも、すぐに落ち着くのってキス・・・でしょ?』


花沢の新年の祝賀パーティー・・・俺は迷うことなくあんたをパートナーに選んで誘った。だって他の選択なんて有り得ないから。
だけどあんたはそれを拒否した。「まだ、怖い」って。

「どうしてもダメ?勇気、出ない?」
「うん・・・何でかな。まだ受け入れてもらえない気がするんだよね。自分にそんな胸張れるものが何もないから」

「それ、必要なの?牧野はそのままでいいんだけどな。他のヤツの目も言葉も気にせずに俺の横にいればいいよ?」
「類はそれでいかもしれないけど、私はそういう訳にはいかないよ」

「・・・わかった。じゃ、その日は2人でいよう?ホントは俺も面倒くさいから。2人で何処かに行こうか?」
「類・・・!」

本当にそれでよかったのに今度は行くって言い出した。
俺が行かないって言ったから?俺の立場を考えてくれたの?・・・そんなとこ、優しいよね。いつも自分以外を優先させて。

そう決めてからは俺に言わずに一生懸命、いろんなことを頑張っていたよね。肌の手入れ?ダイエット?マナーにダンス。
くすっ・・・ダンスなんて俺が踊れないのにさ。それにダイエットなんてどこを痩せるの?
だけど、必死なあんたのことが嬉しくて黙ってそれを見ていたんだ。


パーティーの日、俺達は確かに注目の的だったね。

あんまりにも色んな人の目が集中するから両方の手が震えてる。口元も震えてるし泣きそうな目をしてる。
だから、その手をそっと握ったら驚いて俺の方を見上げた。少し、落ち着いたかな?

大丈夫・・・俺がいるから。
しばらく握っていたら震えが止まって笑顔が戻って、涙は奥に引っ込んだみたい。

その後、大勢の人に囲まれて挨拶して、今度はすごく疲れてしまったからちょっとだけ会場を2人で抜け出した。
外は寒いからサンルームに行って月明かりの下、俺はまだあんたの手を離せずにいた。

「どう?慣れた?・・・まだ怖い?」
「ん、だいぶ慣れた。怖いのは怖いよ・・・どう思われてるのかわかんないから」

「じゃあ・・・じっとしてて?」

そう言ってあんたを抱き締めた。ドレスがほんのちょっと皺になるかもしれないけど。髪が少し乱れるかもしれないけど。
俺の心臓の音・・・あんたに届けばいいな。それであんたが安心しないかな・・・少しだけ身体を離したら恥ずかしそうに笑うあんたがいたんだ。

だから・・・その可愛い唇にキスをした。

「落ち着いた?」
「うん・・・もう大丈夫。ありがと・・・類」


『愛してるよ・・・あんただけを一生愛し続けるよ。何に誓うかって?そりゃ、あんたに誓うよ』


今日、珍しく喧嘩中・・・だって、あんた、俺を疑うんだもん。
そりゃ感情が豊かじゃないからさ、黙っちゃうこともあるからさ、だからって愛情を疑うのってどうなのさ!

「類はどれを着ても似合うね、としか言わないんだもん!そんなわけないでしょ?私にはこれがいいよってどうして言ってくれないの?そんなにどうでもいい事なの?」
「そんな事言ってない。本当にどれを着てもいいって思うからだよ。それがどうでもいいって結論になる意味がわかんない」

「だって!一度しか着ないものでしょ?迷うじゃない・・・だから聞いてるのに!どうしてどれ着ても同じ顔なの?」
「あんたが好きなものでいいって思うから。俺の選んだものじゃなくてあんたが気に入ったものでいいんだって・・・それだけ」

「色んな人が来るんでしょ?みんなに見られるんでしょ?ドレスだって”なに、あれ!”って言われたくないんだもん。台無しにしたくない・・・類は自分の結婚式が大事じゃないの?」
「だって、大事なのは結婚式でも着てるドレスでもなくて、着てる人だからだよ。どうしてそれがわかんないの?」

そう言ったらイライラしてたあんたはわんわん泣き出した。

ごめんね・・・こんな性格で。
あんた、一生懸命俺のために綺麗になろうとしてくれてるのにね。


「私ね・・・あんまり豪華なもの、イヤなの。シンプルで飾りの少ないものでいいの・・・それでもいいの?」
「いいよ。あんたにはそれが似合うよ。豪華なのが綺麗なわけじゃない。自分らしいのが一番綺麗だよ」

「・・・ありがとう。ごめんね、イライラして。嫌になったりしない?」
「しないよ。そんなあんたも好きだから・・・」

「ホントに?神様に誓える?」
「・・・誰にも誓わない。だって誓わなくてもキライにならないって事だけは変わんないから。誓えって言うならあんたに誓うよ」

ごめんね・・・実は怒ったあんたを見るの、嬉しくてしょうがないんだよね・・・素直な部分が見られるから。
ずっと横で色んな顔を見せて欲しいよ。

そのひとつひとつが宝物だから。


『今日、花沢つくしになるね。あんたの人生、俺が全部預かるよ。後ろなんてついてこないで?ずっと隣を歩いて欲しい』


式場の控え室ですごく緊張して座ってる。
今にも泣きそうな顔で、今にも倒れそうな身体で・・・せっかく綺麗にしたのに眉間に入ってる皺、みんなが見たら驚くよ?

シンプルなプリンセスラインのドレスに真っ白な薔薇のブーケ、俺が贈ったパールのネックレス。
ね、よく見せて?世界中であんたより綺麗な人、今日は何処にもいないと思うよ?

「もうすぐ時間だよ。大丈夫?歩ける?」
「・・・う、うん。頑張る」

「くすっ・・・うん、頑張りな。あんたが歩いて行く先には俺が待ってるんだから。心配せずに歩いておいで。もしさ、途中で歩けなくなったら俺を呼んでよ。迎えに行ってあげるからさ」
「え!そんなの見たことないよ?」

「そう?じゃあ、みんなに初めて見せてやれば?思い出になるよ?」
「・・・くすっ・・・もう、類ったら!」


でも、あんたは堂々と歩いたよね。真っ直ぐ俺の方を見つめて、一度も蹌踉けずに俺の隣まで来た。
そして半歩だけ後ろに立ったから小さな声で囁いた。

「そこじゃない。真横・・・真横に来て?」

たとえ半歩でも後ろはイヤだ。
たとえ半歩でも前に出るのもイヤだ・・・俺達はいつも真横がいい。それって我儘かな・・・?


**


『もう何回書いたかわかんない。つくし・・・それでも足りないぐらい、あんたの事愛してる』


あんたが花沢に来て何年経ったんだろう。

数えきれないほどの喜びとほんのちょっとの喧嘩と、笑顔一杯の思い出と・・・ありがとうって言葉じゃ足りないっていつも思うのにそれ以外の言葉が見つからない。
初めて子供を抱いた日、初めてその子が立った日、初めて喋った日・・・いつも一緒にそれを見てきたことを嬉しく思うよ。

親になれるって思わなかった。家族が増えるって思わなかった・・・俺に足りないものを全部あんたは与えてくれた。
桜が咲いた日、雨が降った日、蝉が鳴いてる夏、落ち葉を拾った秋、雪を眺めた冬。いくつもの季節をいつも一緒に過ごしてきたね。


そして子供達が大きくなって、一番下の子が留学して・・・また二人きりになった。

「静かになったね・・・みんな、元気かなぁ。大丈夫かな・・・怖がってないかしら。類・・・心配じゃない?」
「ううん、別に。だって全力で愛して育てたんだから、そんなに弱く育ってないよ。信じてやりな?あんたの子供でしょ?」

「そうだけど・・・でもさ、泣いてないかな。1人暮らしなんて早かったんじゃないの?まだ高校生だよ?」
「もう高校生だよ。ちゃんと自分の足で立てる子供になってるよ。どうしてそっちばっかり?」

テーブルに両肘ついて顎を抱えて窓の外を見てる。
そんなところには誰もいないのに・・・多分、子供達が小さい頃遊んでいた姿を思い出してるんだろうね。

俺は読んでいた本をパタンと閉じて、自分たちの部屋に行った。
そして机の引き出しからガラスのキャニスターを出して・・・またリビングに戻った。

全然姿勢が変わってないんだね・・・くすっ、その格好、あんたが高校生の時と全く同じ。
口を尖らせて、眉をハの字にして、すごく大きな溜息ついて。教室の隅でそうやってたあんたを思い出してクスクス笑ってしまったよ。


コトンとテーブルの上にそれを置いたら、その音でやっとこっちを向いた。

「これ・・・なに?」
「これ?昨日やっと一番上まで一杯になったんだ。・・・だからあんたにあげる」

「何が書いてあるの?小さな紙が沢山・・・」
「一番下から見て?そこが始まりだから」

あんたはそのキャニスターを逆さまにして中の紙を取りだした。そして一番下にあった紙を見て・・・驚いた顔をした。

『あんたの事・・・好きになったみたい』・・・俺が一番初めにかいたLOVE LETTER。
それを一枚一枚、ゆっくり捲っては読んでいく。あんたの顔がだんだん緩んできて、たまには泣いて・・・たまには笑って。


「ね、それ全部出したらまた瓶を返して?」
「え?この瓶を?」


「そう・・・今日また一枚入れるから。次に一杯になったらまたあげるね」

そうしてあんたの前で入れた、2回目の”最初の一枚”の言葉は・・・



つくしへ    

これまでありがとう。そしてこれからもよろしく。
明日もあんたのこと、今までと変わらずに愛してるからね。  

                       花沢 類   




bouquet-1463378__340.jpg
明日から「隣の部屋の彼」始まります。
不思議な出だしだと思いますが宜しくお願い致します。
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2018/04/20 (Fri) 05:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ミキッp様 おはようございます。

コメントありがとうございます。
雪の結晶でシリアスな場面を長々と書きましたので、ほんの少しですがお詫びのつもりで
キュンキュン系を必死に考えました(笑)

ホントにこういうのが恥ずかしいので書けないんですが、ほっこりしていただけたら嬉しいです。
ふふふ・・・最後はどうしてもフルネームにしたかったのですがどうかしら♥

花沢類とか書かれた手紙・・・もらってみたいわぁ!(笑)
考えただけでドキドキしますね!

また、キュンキュン系を思いついたら(思いつくかなぁ・・・)載せますね!
いつも応援ありがとうございます。

2018/04/20 (Fri) 09:59 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/21 (Sat) 10:48 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/21 (Sat) 11:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

taro. n 様

コメント&ご訪問ありがとうございます。
初めましてでしょうか?

喜んでいただけたようで私も嬉しいです。
滅多に書かないSSですが、今回は調子に乗ってキュンキュン系に走ってみました!

ふふふ、よかったらまた来てくださいね♥

2018/04/21 (Sat) 12:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

およ?そんなにキュンキュンしました?乙女になった?(笑)
やったーーっ!!成功した?

マジで・・・?ぐふふ!これで類つくって言ってもいい?
ほら、私って類君を落とすのが得意だから!

いつかまたやってみようか?
太文字攻撃・・・結構グッとくるでしょ?

本気出してよかった・・・もう一年ぐらいはこんなの書けないと思うわ・・・。ふぅ!

2018/04/21 (Sat) 12:56 | EDIT | REPLY |   

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