FC2ブログ

plumeria

plumeria

日本に帰ってきたんだ・・・本当に。もう1年経ったんだなぁ。

類が空港に迎えに来てくれるなんて思いもしなかった。
あんな人混みの中でも目立っちゃって、声なんてかけられた私の方が恥ずかしかったよ。
だって、あの類なんだもん。相変わらず格好良くて・・・

前より少し大人っぽく見えた。私が成長してないだけかもしれないけど。

類の顔を見たら、我慢できなくなって泣いてしまった。
マンションを出るときも、アメリカを離れるときも、飛行機の中でも泣かなかったのに。
あんな、笑顔の類を見たら・・・こんな形で帰ってきた自分が情けなかったんだ・・・

気にしなくていい・・・そう言われても、1年前の見送ってくれたみんなを思い出すと辛かった。

でも、ちゃんと報告はしなくちゃね・・・そう思って類に全部話した。
それなのに、まるで何でもないことのようにふざけてくるんだから。
私が落ち込まないように、類もわざと明るくしてるんだろうな。

******

「ねぇ、今日は何処に泊まるつもりだったの?ホテルとかとってるの?」

「ううん・・・帰ってからとろうと思ってたから。実家も遠いしね」

「じゃ、うちに来ない?部屋なんていくらでもあるしさ」

もう!こういう所も少しも変わってないんだ・・・ちょっとだけ強引なところ!
掛けてくれる言葉はすごく優しいんだけど、結局言うとおりに事が進んでいくのよね?
気が付いたらいつも類が決めた方向に流されていってたもん。だから逆らっても無駄だよね?

「ありがとう。じゃあ、今日だけね」

「なんで、今日だけ?牧野、ホテル代、もったいないでしょ?」

そんなに気を遣わなくても大丈夫だよ。お腹もいっぱいになったから元気も出たし!
どうやって会いに行こうかと悩んだことも、類から来てくれたおかげですっ飛んじゃったしね。

「あ、じゃあさ!俺のマンションに行こうよ!使ってないのがいくつかあるんだけど、すごく綺麗な景色の
マンションがあるんだ。待ってて!すぐに使えるように連絡するから」

「え?類のマンション?い・・・いや、そこまでしてくれなくても大丈夫だよ?」

って聞いてないよね。類はすぐにどこかに電話を始めた。
ホントにこの人達は何でもすぐに電話一本で色んな事を進めちゃうんだから・・・変わってないなぁ。
軽くため息をついて類が戻ってくるのを待っていた。

「牧野!二時間もしたらマンションに行けるから。それまでどうする?なんか買い物とかない?
行きたいところとか?連れて行ってあげるよ。一年ぶりでしょ?」

類は何故かすごく嬉しそうにしてる。そんなに私に会いたかったの?って思うほど。

「・・・じゃあ、私たちの場所に連れて行ってくれる?」

「・・・・・・うん。わかった」


それだけで解ってしまう私たちの場所。
類は優しい顔でその場所まで連れて行ってくれた。今は春休みで誰もいない英徳学園に。


「ここは変わんないよね。匂いも景色も全然変わんない。私たちだけが変わってしまうのね」

非常階段の踊場から外を眺める。一年前と全く同じ場所と同じ人と・・・同じ風が吹いてる。
桜の花びらが舞い上がるのも去年と同じ。
隣の彼もほんの少し大人になっただけで相変わらずの茶色の髪の毛と綺麗な瞳。

「ここに来たらね、少しだけ勇気が出るんだ。辛かった時をいつもここで乗り切ったからさ」

「そうだね。俺はここに来たらあんたを思い出すから一年間来なかったよ。今日もあの日以来かな・・・」

「・・・類。一年間、類はどんな日を送ってたの?楽しくなかったの?」

そう聞くとフフって笑うだけで何も答えてはくれなかった。
まさかと思うけど、私と同じように1人で過してなんかないよね?みんなと楽しく過したよね?

「この一年間なんて思い出さなくてもいいんだ・・・もう、牧野が帰ってきたから。言っとくけど牧野もこの一年の
事なんて早く忘れるんだよ?今、この場所に2人でいたらあの日が昨日みたいじゃない?」

「そう?1才歳をとったけど?あ、類は明後日お誕生日だね?お祝いしなきゃね。去年の分まで」

「うん。楽しみにしてるよ。牧野の手料理にしてもらお!」

安上がりなプレゼントだね。
それでもこんなに帰ってきて良かったって思えるんだから、類には本当に感謝してる。
しばらくはその踊場からの景色を黙ったまま2人で眺めていた。

なんだろう・・・この感覚は。すごく、安心できるの・・・不安だらけだったのが嘘みたいに。


「そろそろ行こうか?もう部屋に入れると思うから。牧野も疲れたでしょ?」

疲れなんてもうどこかへ消えてしまったよ。あなたのおかげで・・・
差し出された類の手に、迷うこともなく自分の手を重ねた。一瞬目が合ったけどすぐに反らせてしまったのは私。
一年前にここで抱き締められたことを思い出した。

手を繋いで階段を降りるなんて、まるで小学生みたいだね?

「どうして笑ってるのさ?何か変だった?」
「ううん!何でもないよ!こうしてるのが嬉しいだけ!」

今度はいつこの非常階段に類と来るんだろう。そう思いながら学校を後にした。


******


「ここなんだけど、夜景がね、凄く綺麗なんだ。牧野びっくりするよ?」

「わぁ・・・すごく綺麗なお部屋だね。景色もすごいね!夜景じゃなくても感動しちゃうよ!」

もともと花沢家所有のマンションはどれをとってもグレードは最上級なんだけど、ここは最上階だけを
類が所有しているらしい。
もちろんそのフロア全体が類の名義で許可なく誰かが来ることは出来ないほどのセキュリティ万全な部屋。


「そう?あんまり使ったことがないからよくわかんないけど。だから、何にも置いてないんだよね。
明日さ、早速買い物に行かない?ここで必要なもの・・・食材とか日用品とか?牧野の服も買わなきゃ!
俺1人じゃ全くわかんないからさ。2人で行こうよ」


・・・・・何て言った?いま、さりげなく。私の・・・服?


「ねぇ、類。今の発言、聞き間違いじゃなければここで2人が住むって事?」

「そう、俺とあんたで」

そう!じゃないのよ。いきなり、そうなる?にっこり笑ってるけど、この人は一体何を考えてるんだか・・・
私はね、あなたの親友と別れたての女なのよ?おかしいでしょ?


「え?牧野、ダメだった?」

「類、私たちは恋人じゃないのよ?」

「わかってるよ。まだね・・・そういう事でしょ?」

本気なの?類。

こんな私に同情してるだけなんじゃないの?確かに類のことは好きだけどまだ、そういう風には見れない。
一昨日なんだよ?アメリカのマンションを出たのは・・・もっと時間が欲しいと思うのはおかしいかな。


「類、じゃあ、明日は買い物じゃなくてアパート探すの手伝って?」

「なんで?ここで良くない?どうしてわざわざアパート探すの?」

「ううん、そうじゃないの。以前のように自分でちゃんと生活しないと立ち直れないから探したいの。
ここで、いきなり甘えることは私には出来ないから・・・だから一緒に探して?」

一気にテンションが下がってしまった類を見てたら、自分の意思を曲げたくなるじゃない?!
でもここはちゃんと伝えないと!

しばらくしてから類は渋々了解してくれた。


「でも、いきなりどっかへ1人で行かないでよ?」

「もちろん!お金も体力も今はないからね」


明日は類とアパートを探しに行く。これが私の最出発なんだ!

HA-TO13.jpg

関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/04/04 (Tue) 10:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、こんにちは🎵

似たり寄ったりでスミマセン✨

あの場所が好きなんです(* ̄∇ ̄*)
どちからと言うと、社会人より学生時代が好きなので、こんなお話になってしまうんですね。

まだまだ甘くいきますよ?
いつ、どんでん返しがあるのかな❔

毎度ですが、期待薄でお待ちくださいませ。

ありがとうございました‼

2017/04/04 (Tue) 11:47 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply