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plumeria

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年末年始、とにかく西門は忙しい。
全員が朝から夜までドタバタしている。本邸での仕事よりも外に出向くことの方が多くて牧野との時間も
あまり取れなかったが、牧野も家元夫人に付いて回ることが増えてきたため忙しかった。

牧野を後援会や支部の連中の前に正式に出すのももう間もなくだ。
自然と俺も牧野も緊張して仕事に取り組んだ。心なしか家元夫人までも緊張している。
牧野のために新しく作った着物も届けられて衣装部屋に掛けられている。

「総二郎・・・すごく綺麗な着物だね?私に似合うのかな?こんなの」

「すっげー似合うと思うな。この着物選ぶ時お袋に付いていったから。俺の意見も入ってんの」

今日も行き先は別々・・・牧野は訪問着に着替えてお袋と出かけていく。俺は横浜の方へ打ち合わせだ。
とりあえず、夜は一緒にいる。もう、暗黙の了解というのだろうか、牧野が俺の部屋で休んでも
何か言われることもなかった。

「総二郎さん。同じ事は言いませんけど、大丈夫でしょうね?」

そう家元夫人に釘を刺されるくらいのもんだ。


今まではこの忙しさが誕生日もクリスマスも予定を入れずにすんだ理由になってたんだが
今年は違う。牧野との初めてのクリスマスだから少しでも恋人っぽくデートをしたい!
でも、やっぱりスケジュールが合わず、先日予約したイタリアンでのディナーで終わった。

「ごめんな。年末ってのはどうしても仕事が多くてさ・・・」

「いいよ。仕方ないよ。私だって同じ所にいるんだもん。それでいいじゃない。そのうちお休み取れたら
2人でどこかに行こうよ」

「そうだな。2月くらいなら行けるかもな!バレンタインあたりどうよ?」

「楽しみだね。それこそ雪を見に北海道とかいってみたいなぁ。温泉も良いよね?」

「俺は何処でもいいよ。お前が行きたいところで」

そう話しながら、クリスマス用に飾られた室内で、同じくクリスマスカラーで彩られた料理を楽しんだ。
今日の牧野は俺がこの間無理矢理買った黒のベルベットのドレス。
いつもはしないけど髪もアップにして大人っぽくしてもらった。

「今日のお前、すっげー綺麗・・・やっぱり良いよな、たまにはこんなのも」

そう言うと、耳まで真っ赤にさせて恥ずかしがってる。

「総二郎だって今日はすごく格好いいよ・・・まぁ、いつもだからホントは変わんないんだけど」

「そりゃ、当たり前。俺ほどの男を彼氏にして嬉しいだろ?」

「ばっ・・ばかじゃないの?自分で言わないでよ!もう」

俺は嬉しいんだよ。こんなに綺麗にした彼女を連れて歩くなんて。
お前は気が付いてないけど、この店の中で一番綺麗だ。周りを見てみろよ・・・
クリスマスだからカップルが多いけど、それでもお前を見てる男が何人もいるんだって。
そのお前がこの俺のもんだって、こんな自慢ほかにあるか?

「牧野・・・お前の誕生日、お前の方が仕事でいないからさ、今渡していいか?」

「え?うん。ありがとう・・・」

牧野へのプレゼントはダイヤのネックレス。中央でいくつものダイヤが揺れるような作りのものにした。
今日のドレスにも合いそうだから、席を立って俺が直接付けてやった。
ほら、周りからはため息が聞こえるだろ?

「こんなの・・・どこに付けていくのよ?」

なんて事を言うけど、その顔はダイヤモンドの輝きにうっとりしてる。

「そのうち、付けて出かける機会も増えてくるからさ。いくつ持っててもいいって事だよ」

牧野からはシルバーのピアス。

着物の時はもちろん付けないけど、普段は左耳にだけ付けているピアス。
俺は当然アクセサリーを贈る意味を知ってるけど、牧野にもその知識があったとは驚きだな。
この俺を独占したいとは中々大人になったもんだ。

「ありがとうな。大事にするよ」

牧野を引き寄せてキスをした。もちろんここはレストランのど真ん中。
突然のキスに牧野は固まってしまったけど、さっきのため息なんてもんじゃない。
店の中は女性客の悲鳴が上がった。

「なっ・・・なんてことしてくれんのよ!ここお店の中なのにっ!!」

面白いほど真っ赤になって!目が泳いでるぞ、お前!

「見たいヤツには見せてやりゃいいんだよ。恥ずかしがらなくったっていいじゃん!なんたってお前は
俺ほどの男が見つけた最高の女なんだから!」

この日しか一緒にいられない俺は、ちょっとふざけすぎたかもしれないけど・・・わかって欲しいんだよ。
記念日を誰とも過してこなかった男が、始めてそれをしてる喜びってもんをさ。


******


クリスマスディナーも終わって2人で自宅に戻った時だった。

弟子の1人が届け物があると大きな箱を持ってきた。

西門に届いたそれは、宛名は牧野つくし・・・牧野宛のプレゼントだった。


「なんだろう・・・誰から?誰が私にプレゼントを贈ってくれたんだろう・・・」

牧野も不思議そうにその箱を受け取って中を開けた。ゆっくりとその中の物を覗いた・・・。
なんだ?この嫌な予感は・・・一瞬息を止めるほどの胸の痛みを感じた・・・
この中身を見てはいけない気がしたけど、もう遅かった!


クリスマスカードが一枚と・・・ロイヤルブルーに着色されたバラの花束


そのカードにたった一文字のアルファベット


          ーR-


それを見た牧野はその場に崩れ落ちた・・・

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