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plumeria

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その日の夜は2人でワインを飲みながら遅くまで話してた。
牧野は俺の横にピッタリとくっついて、ちょっと酔っ払ってる。

この距離で安心されると・・・ちょっと複雑なんだけど。左側の腕が妙に温かい。
チラッと牧野の方を見たらワイングラスの中を覗き込むように見てる。
ゆっくりとグラスを揺らしながら、今何を考えてるんだろう。
まさか、司のこと・・・じゃないよね?

やっぱり、少し急ぎすぎたかな・・・こうでもしなきゃ、またいなくなりそうで焦ってしまったかもね。
仕方ないから、明日のアパート探しを手伝うよ。

「アメリカでね・・・ずっと1人だったから、別の語学学校に行かせてもらったの。英語の他にフランス語・・・」

「フランス語?」

道明寺はあんまりフランスには展開してないと思うけど・・・どっちかって言うとドイツとかロシアじゃない?
なんでフランス語?

「うん。何でも良かったの。集中するものが欲しかっただけだから・・・だって本当に寂しかったんだよ?」

「そうだろうね。俺も子供の時はずっと1人だったからわかるよ」

牧野はアメリカで起きたことを話し始めた。そんな事、俺はどうでも良かったんだけど。
司が放っておいた事実を改めて本人から聞くだけだから。
でも、牧野が声に出したらスッキリするっていうなら聞いてあげるしかないよね。

「アメリカについてすぐにね、西田さんに言われたんだ。道明寺はいま中東の方にいるからしばらくは
帰りませんって。時差の関係なのか仕事中がダメなのかわかんないけど電話も控えるようにって。
メールはね、何回も送ったの。今、ニューヨークにいるからって。10回に1回くらいは返事があったけど
わかったって言う文字以外はないの」

牧野は残りのワインを全部飲み干した。
空いたグラスを差し出されて、俺はため息をつきながらワインを注いだ。

「お買い物もね、ちょっと表通りから離れたところだと私の英語が上手く伝わらなくてね・・・一度すごく
怒鳴られて、怖くなって座り込んだらお財布全部とられたこともあったよ。でもね?ほら!私って大きな
お金を持てないからさ、その時も僅かな被害でね・・・でも、殺されるかと思うほど怖かったよ」

「そんなとこ行くなって、最初に言ったじゃん!やっぱり守らなかったんだね?」

「どこが危ないかわかんないんだもん。前みたいに類が突然助けに来てくれるかと思ったけど・・・
来てくれなかったね!」

酔っ払ってる・・・しかも痛いところを突いてくるよね。
俺が一度も会いに行かなかったこと、どこかで怒ってるんだね?悪かったって思ってるよ!

「語学学校には少しだけ友達ができたの。でもね、一度マンションに来て泊まっていったらね、部屋の物を
盗られてて・・・お金は大丈夫だったのよ?服とか化粧品とか・・・桜子に用意してもらった物だったのにな・・・。
男子生徒はもっと怖いの。拳銃とか出されてね・・・」

「おっ・・・襲われたのっ?!」

「まさか!類!私のどこを見てそう思うの?向こうの子の方が相当スタイルいいのよ?そんなんじゃなくてね!
やっぱりお金なのよ!ほら、日本人ってやっぱりまだお金持ちのイメージがあるみたいで」

びっくりした・・・確かにこの牧野の痩せ方じゃあ向こうの男はそんな気にならないかも・・・。

「そのうちにね、もう誰も信じられなくなって、道明寺に助けてってメールしたらその時はやっと会いに
来てくれたよ。それがね、行ってから5ヶ月目の1回目の1時間。すぐにまた1人になって次に会ったのは・・・」

「もういいよ!牧野!」

「・・・どうして?聞いてくれないの?類には聞いて欲しかったのに・・・」

俺に聞いて欲しいって・・・責められてるみたいでこっちの方が胸が締め付けられそうなんだけど・・・
やっぱりそうなのかもね。牧野は誰かを待ってたんだ・・・救ってくれる誰かを。

「いいもん。類が聞いてくれなくても1人で喋ってるから!」

そう言ってワインをもう一杯飲もうとするんだけど、もう結構飲んでない?
あんた、そんなに強くないのに・・・ボトルに伸ばした手を止めた。

「牧野、もう飲むのはやめときな?悪酔いするから・・・」

「類がいるから大丈夫だもん・・・もう少しだけ」

仕方なく最後の一杯をグラスに注いだ。
だいたい、俺がいるからって大丈夫って・・・さっきはあっさり恋人じゃないって宣言されたのに。
素直じゃないよな、相変わらず。
友達から恋人に変わるときなんてどんなきっかけでもいいと思うんだけど。
例えそれが、別れた2日後だったとしても、相手が親友だったとしてもさ・・・

「ねぇ、類は?類はこの1年、どうしてたの?さっきは教えてくれなかったよね?」

「俺?俺は・・・別に何もなかったよ」

変わったことなんか何もなかった。俺の時間は止まってたんだから。
牧野のいない毎日なんて何一つ記憶に残らないくらい・・・つまんなかったよ。

「一回ぐらい連絡くれれば良かったのに、類なら絶対に来てくれるって思ってんだよ?」

「会いたかったの?じゃ、そっちも連絡すれば良かったじゃん」

司がいると思ったからだよ。ホント、鈍感なんだから。


「やっぱりさぁ・・・私って女の魅力なんてもんが・・・無かったのかなぁ・・・」

完全な酔っ払い!やっぱり止めときゃ良かった。
牧野からグラスを奪い取ると、そのまま俺の肩にもたれかかってきた。
もしかしたら・・・寝てる?弱いくせにこんなになるまで飲むから・・・

「ほら!牧野。ベッドで寝なよ。ちょっと、起きて?」

声を掛けるけど、もう起きそうになかった。
ベッドに運んでも良かったんだけど、何となくもう少しこのままにしたくて牧野の肩を抱いた。
すぅーって寝息を立ててる・・・

空港からずっと泣いてるから目の下が赤くなってる。
そんなに司のことが好きだった?そこまで我慢するほど?
そう思うと自分が入る隙間があるのかどうか不安になるけど、俺も決めたからね。

そろそろ寝かせてあげようと、牧野を抱え上げた。その身体の軽さにびっくりした。
こんなに軽かったっけ?
何だか胸が痛かった。こんなに細くなるまで、自分で気が付かなかったの?

「ホント、バカだよ・・・!」

ベッドに運んで布団を掛けてあげた。全く起きる気配はないから、その横に座っていた。
少し小さくなった寝顔に長い髪がかかってる。
それをなおしてやって、軽くその頬に触れてみた。

「でも、帰ってきてくれたんだよね・・・もう、何処にも行かないで・・・助けに行かなくてごめんね・・・」


そう言って内緒のキスをする。そっと、牧野の唇に触れるだけの。

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激甘・・・
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2017/04/05 (Wed) 13:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、こんばんわ~!

きょうも激しいコメントありがとうございます!
S様の気迫に負けてしまいそうですわ・・・。

まだまだ甘いシーンが続いてますね!ふふふ。
ものすごく苦手なんですけどね、甘い会話なんて。

あ、ご質問の答えはもう少ししたら総二郎達が聞いてくれますから。
その時までお待ち下さい。

このお話の中ではアノ場面は多分入りませんよ?
ごめんなさーい!!

今日もありがとうございました!


2017/04/05 (Wed) 20:37 | EDIT | REPLY |   

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