FC2ブログ

plumeria

plumeria

日曜日になった。今日は花沢さんとパーティーに行く日。
もちろん花沢さんが迎えに来てくれるんだけど、何故か桜子さんがすでにここに来ていた。

本来はエスコートする総二郎が三条邸に迎えに行くものらしいけど、どうしてもここから私と一緒に出たいってことを口に出して先に桜子さん西門まで来てもらったらしい。
無理矢理頼まれたのにこの扱い・・・桜子さんはすでに目が怒ってる。でも総二郎が「そうしないと婚約指輪は他で頼むぞ!」って脅したらしいから、仕方なくゴージャスな格好で私の横に座ってる。純和風なこの部屋になんて似合わないんだろう・・・。

「ごめんね、桜子さん。なんか変なことになっちゃって」
「・・・いいんですのよ。これもお仕事ですわ。牧野さん、こうなったら最高級のダイヤモンドで婚約指輪、作っていただいてね?」

「えっ!それは私からは言えないんで直接総二郎さんに・・・」
「あら!そうお呼びするようになったの?ふふっ!恋人っぽいですわね!」

出来たら呼びたくないけどこう言わなきゃいけないから言ってるだけだって・・・。

桜子さんは私が支度をしている部屋で退屈そうに待っていて、スマホでお仕事してるみたい。今日もすごくセクシーなドレスで女の私でも目のやり場に困っちゃう。

・・・あれ?でも、よく考えたら総二郎がこの格好の桜子さんと行くんだよね?

溢れそうなぐらい胸の開いたワインカラーのカクテルドレス。
イブニングドレスってほど背中の露出は高くないけど、それでも悩殺的なドレスに透けてる素材のショールを羽織っていた。しかもスカートは膝上丈・・・その下の足のラインの綺麗なこと!アクセサリーはもちろんオリジナルのものだろうけどゴージャスだった。

私は家元夫人からお借りする薄紅色の大振り袖。金糸銀糸を織り込んだ黒字の帯を締めて髪は短いから下の方で纏めて付け毛を足して花飾りで誤魔化してもらった。
お化粧も和装用で少し濃いめだけど、プロのメイクさんにしてもらったからこの振り袖によく映える仕上がりだった。


丁度仕上がったときに家元夫人が見に来てくれて、目を潤ませて喜んでくれた。

「まぁ!つくしちゃん、よく似合ってるわ!この着物、西門に嫁ぐ前に実家の母が作ってくれたものなの・・・女の子が生まれたら絶対に着せたくてねぇ・・・今まで持ってて良かったわぁ。男の子しか生まれなかったから諦めてたの。本当に綺麗だわ、この着物」

「・・・ありがとうございます。そんな大事なものお借りして申し訳ございません」

今、さりげなく「綺麗だわ、着物」って言ったよね?
泣いてるみたいだから突かないけど、着てる本人の気持ちってのを考えて欲しいわ。さすが親子、何処かがズレてるのよね!


その時、お弟子さんが私たちの所にやってきた。

「花沢様がお迎えにいらっしゃいました。玄関の方で若宗匠とお待ちでございます」
「わかりました。すぐに行きます」

やれやれって感じで桜子さんが立ち上がって、彼女と一緒に並んで玄関まで行くと怖い顔の総二郎が花沢さんの隣で腕組みしてた。花沢さんの方は気にもしてないのか今日も可愛らしい笑顔・・・対照的な2人の姿に桜子さんまで笑い出した。

「嫌だわ、西門さん。そんなに怖い顔しないでくださいな!仮ですけどこの私がパートナーですのよ?」
「よく考えたら桜子が類のパートナーなら問題ねぇと思って勧めたら、絶対に嫌だって言うんだ、こいつ!」

「だって三条、煩いんだもん・・・会話にならない」
「花沢さん、入る時だけじゃない?中に入ればみんなでワイワイしたらいいと思うんだけど?」

それでも私の方がいいっていう花沢さんに、桜子さんは慣れてるのか「子供みたい!」ってそれだけ。


花沢さんは薄いグレーのタキシードで私の着物の色でも確認していたのか、同じような色のチーフをしていた。総二郎はナイトブルーのタキシード。
こうして並ばれると恐ろしいほど眩しい・・・先週のバーの光景を思い出して、この中に自分が入るのかと思うとがっかりしちゃう。
玄関で草履を履こうとしたらスッと出てきたのは花沢さんの手・・・「ありがとう」って言ってその手を取ろうとしたら、それを突き飛ばして総二郎が手を出してきた!

「なにすんの!総二郎・・・今日は牧野のパートナーは俺なんだからね!」
「喧しい!ここはまだ西門だ。この屋敷の中でつくしに触んな!」

「失礼な!触るって表現はやめてよね?総二郎じゃあるまいし!手を貸しただけだろ!」
「先週のことがある!その手が何処まで伸びるか俺はこの目で見てるんだからな!」


「もういいですわ。はい、牧野さん、私に掴まって?」
「・・・そうね。ありがとう、桜子さん」

桜子さんの手を持って草履を履いて、訳のわからない言い争いをやめない2人を置いてさっさと車に乗り込んだ。


************


西門のリムジンに4人で向かい合わせていた。
でも私の隣には桜子さん。総二郎と花沢さんが無言で目の前に座ってるっていうなんとも不思議な光景。2人とも半分ぐらい背中を向けてて目を閉じてるから、子供の喧嘩を目の前で見てる気分だった。

そもそもパートナー同伴っていうこのシステムが悪いのよ・・・なんて面倒くさいんだろって思って私まで眉間に皺が寄っちゃう。
その時隣から妙な視線が来てることに気がついて桜子さんを見たら、こっちはニヤニヤしてる。

「ど、どうしたの?桜子さん」
「・・・ううん。あの後どうなったのかなぁって思って。あなたを手に入れたってメールはいただいたんですけど・・・どうでした?」

「どうって?何が?」
「西門さんですわ。すごかったでしょ?」

すごかった?花沢さんに殴りかかろうとしたことが?その時の足の速さ・・・な、わけないか?それとも私を抱えられたってこと?
あの細い腕で長い時間抱えて部屋まで運んでもらったけど、意外と力持ちって話?いや、意外と嫉妬深いってこと?
どれだろう・・・私が答えられなかったら更に変なことを言ってきた。

「ご心配しないでね?私はそれを知りませんから。でも、噂ではいろいろ聞きますの・・・ですから、どうだったのかなって思って」
「・・・速さのこと?」

「えっ?!早いの?西門さんって?」
「速いと思うけど・・・それとも力のこと?」

「あぁ・・・それはそれなりにあるでしょうねぇ。有名だから」
「うん、驚いたの。結構長い時間だったからキツいだろうって。でも一度も休憩しなかったし」

「休憩なし!?あら・・・それは牧野さんも辛いわねぇ」
「いえ!私はお任せだったから全然大丈夫!掴まっていただけだから・・・総二郎さんのほうが首が痛かったかも」

「それは嬉しいみたいだからいいんじゃないかしら。そう・・・楽しかったのねぇ!」
「・・・痛かったわよ。3日間ぐらい」

「そんなに?もう、意外と面白いのね、牧野さんって!今度ゆっくり女同士で話しましょ?楽しみが増えたわ~」


・・・なんの話よ?全然わかんないんだけど。

**

しばらくしたら会場があるホテルに着いて私たちは揃って車から降りた。
美作さんの時ほどの報道陣じゃなかったけどやはり大勢のカメラが向けられててドキドキする。こんな中を花沢さんと歩くの?
それって何処にどういう風に載っちゃうんだろうって考えたら恐ろしい・・・!

花沢さんは振袖の私の背中を支えてくれてにこやかにホテルの正面入り口の通路を歩いて行く。時々顔を覗き込むようにして殺人的な微笑みをくれるから当然赤くなる。その瞬間、すごいフラッシュがたかれて眩しいったらありゃしない!
それを急に総二郎が横に並んで来て私は2人に挟まれる感じで歩く羽目に・・・!だけど、桜子さんも「置いて行かれたら恥ずかしいじゃないの!」って怒りだして並んでくるし!

「花沢さん、そちらのお嬢様はどなたでしょう?お約束を交わされた方でしょうか?」
「西門さん、本日はまたお美しい方をお連れですね!こちらは三条桜子さんですか?以前からのお知り合いですか?」

「花沢さんはそろそろお目出度いお話があるんでしょうか?」
「この前の方はどうなったんですか?西門さん!」

どの質問にももちろん無言・・・桜子さんだけがニコニコしてみんなに手を振っている。

4人が横一列の不思議な行進になったけど、花沢さんも総二郎も譲らないから私は左右から押されるようにして転びそうになりながらホテルの中に入った。

「総二郎!今日のパートナーは三条なんだからそっちをエスコートしなよ!」
「腕だけなら持ってるって!お前こそ仮のパートナーなんだから背中まで触るな!」

「西門さん!腕なんて持ってませんわ!小指だけじゃないですか!」
「・・・もうどうでもいいから仲良くしようよ~!」


まさかここにもう1人頭痛のタネになる人がいるなんて思いもせずに、私たちはドタバタしながら会場に向かっていった。




14919180760.jpeg
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/21 (Mon) 13:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

楽しいでしょう?ふふふ、このパーティーが終わるともっと楽しくなりますよ!

桜子ちゃんとつくしちゃんのなんとも言えない勘違いトーク(笑)
これがわかんないんだからつくしちゃん、マジでやばいですよね!
こりゃ総ちゃん、大変だわ!

実はここだけの話(もういいって?)つくしちゃんの足の捻挫って突然付け加えたシーンだったんですよ。
ここまで役に立つとは思わなかった!(笑)

3日間痛かった・・・総ちゃん、この誤解は凄いかもよ?

「そんなに?」って桜子ちゃん、興味持ったかも・・・ははは!


あら、実はやっぱり「待て」が限界なんですね?
そうだろうなぁ・・・もうすぐ80話だしね(笑)そりゃ待てないでしょう。

そういう時のために「ペアコーデ」書いてますのでアッチに行っててくださいね(笑)
あと少しよ・・・あと少し!


「待て!」

2018/05/21 (Mon) 18:05 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply