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急に目の前に現れたのは京都にいる親父の弟、つまり叔父さんの妻側の親戚筋の娘で天澤穂華。

小さい頃、叔父さんの仕事の都合でほんの少しだけ東京に住んでて西門にもよく顔を出していた子だった。歳は俺よりも4つぐらい下だったから今が21か22・・・確かにすげぇ美人になっててこの会場でも一際目立ってるかもしれない。
京都でも有数の名家の箱入り娘だから品も良く、立ち居振る舞いでそれが伝わってくる。

「総二郎様はお着物のイメージが強かったものですから驚きましたわ。そんな格好、穂華は初めて見るからドキドキします。本当に相変わらず素敵ですこと。お家元と家元夫人はお元気ですか?」

「あぁ、すげぇ元気だからしばらく俺が表に出ることもないだろうよ。そっちは?みんな元気か?」
「はい、元気に過ごしておりますわ。私は今年大学を卒業しましたの。総二郎様、来てくださると思っていましたのに・・・」

「・・・俺が?」

穂華が大学出たのはいいけど、なんで俺が行かなきゃいけないんだ?・・・って何しに京都まで?
まさか直接「おめでとう!」って言って欲しかったとか?そんなこと、今言われても穂華の学年すらはっきりと覚えてなかったんだけど。

コホン!と咳払いが聞こえたから後ろを向いたら、椅子に座ってるつくしのすげぇ怖い顔があった。「なんだ?どうした?」って言うと、周りにわかんないように草履の先で俺の靴の踵を蹴りやがった!

「痛っ!お前・・・こんな席でなんて事すんだ!」
「・・・私だけ無視されてるんだもん。つまんない」

「つまんないって・・・ガキか!」

つくしも立ち上がって挨拶しようとしたから俺が手を差し出すと、それに穂華が驚いたように反応した。


「こちらの方は?・・・総二郎様がお連れになってる方ですの?」
「いや、今日のパートナーじゃないけどこいつは西門で一緒に暮らしてる牧野つくし。今度京都に紹介に行く予定の・・・まぁ、そういう立場の人だ」

「初めまして。牧野つくしと申します。お名前はなんと仰るんですか?」
「・・・申し遅れました。私は天澤穂華と申します。西門の皆様とは子供の時からのお付き合いですの。どうぞ宜しくお願い致します。牧野さん、ですのね?」

「はい。私は今年の初めに・・・えっと、色々とありまして西門にお世話になってます」
「あら、そんなに最近ですの?そう・・・ですか」

つくしが始めて自分から婚約者ぶってることが可笑しくて、横を向いて笑ってるとせっかく振袖着て女らしくしてるくせにまた肘で小突いてくる。
その時の真っ赤な顔が可愛らしかったから抱き寄せようとしたら、類が牧野をグイッと引っ張って自分の横に立たせやがった!


「花沢さんのお相手の方ですか?可愛らしい方ですね。こういう方がパートナーだと退屈なパーティーも楽しいでしょう?」
「はは、そうですね。牧野、こちらは京都で観光業をされてる四王司聡しおうじさとるさん。先日お世話になったんだよ」

「あっ!そうなんですね。初めまして、牧野つくしと申します。花沢さんとは・・・花沢さんとはただの友達です」
「・・・牧野、ただのは余計だよ」
「いや、その通りだ。間違ってない!」

つくしを挟んで俺達がそんな言葉を出したからわけがわかんなかったのかもしれない。2人は不思議そうな顔をして俺達のことを見ていた。
だから最終的には類が「総二郎から借りてます」って説明して牧野が俺の恋人だとようやく理解したようだ。


「何となくわかりましたけど・・・でも、ご紹介ってどなたに?京都のお爺さまにですの?」
「あぁ、まずは会ってもらわなきゃ話が進まねぇからな。その時には天澤にも2人で顔を見せに行くよ」

「・・・総二郎様、私の事はお忘れではないんですのよね?」
「ん?穂華のこと?・・・覚えてるだろ?」


「そうではありませんわ。私、総二郎様の許嫁ですわよね?」


「・・・・・・は?」
「「えっ!許嫁?総二郎の?!」」

牧野と類が同時に驚いたけど、俺はあまりの言葉にびっくりしすぎて言葉が出なかった。


*****


「・・・総二郎様、私の事はお忘れではないんですのよね?」
「ん?穂華のこと?・・・覚えてるだろ?」

穂華さんの言葉に総二郎が極普通に答えたけど、彼女の方はその態度が不満だったらしい。少し眉根を顰めて拗ねたような表情で彼の方を見た。
その仕草はすごく可愛らしい。これは真似た方がいいのかしら?って思うほどで、わかんないけどイチイチ男心を擽るんだろうなって1人で感心していた。

でも、その直後に出た言葉にはさすがに驚いた。

「そうではありませんわ。私、総二郎様の許嫁ですわよね?」
「・・・・・・は?」

「「えっ!許嫁?総二郎の?!」」

私だけじゃなく花沢さんまでが驚いて大きな声を出したから、周りにいる人たちが一斉に私たちの方を見た。それでも穂華さんはお構いなしに言葉を続けるんだけど、総二郎は完全に固まってる。
瞬きすら忘れたみたい。顔面蒼白っていうのはただの四字熟語だと思ってたけど現実に見ることが出来るんだ!って思った。

「・・・いいんですのよ。何度かお見合いのようなことを仕方なくされたそうですけど、全部断ってくださってるのは穂華のためでしょう?許嫁と申しましても私たちだけの約束でしたもの・・・でも、もうそろそろお話を進めてもいい頃ですわよね?総二郎様」

「ちょっと!総二郎、しっかりしてよ!なに固まってんの?」
「総二郎、どういうこと?俺、この歳まで親友やってて知らなかったけど?」

「いや、ちょっと待て!知らねぇって!・・・穂華、お前も突然変なこと言うなよ、マジでビビったじゃねぇか!冗談キツいわ!」

やっと口を開いた西門さんは穂華さんに向かって声を荒げたけど、向こうは凄く冷静に、彼の否定した言葉をまたもやひっくり返す発言をした。

「あら、冗談ではありませんわ。一乗寺のお爺さまと最近話したばかりですのよ?そろそろ東京の本邸にもこのお話を持っていこうかって。総二郎様、このお約束は私が4歳、総二郎様が7歳の時のものですのよ?うふふ・・・18年も経ちましたのねぇ」

「はぁっ?!なんだそりゃ!一乗寺の爺さんがこの話を知ってるのか?」
「はい、もちろんですわ。私、一乗寺のお爺さまとは仲良しですもの。毎月お会いしてお茶もいただいてますし、総二郎様のお話もよくしますのよ?まさかここでお会い出来るとは思いませんでしたから、帰ってからご報告したら喜んでいただけるわ」

「いや、でも牧野の事も爺さんは知ってるはずだ。うちから今度連れて行くって連絡してんだから!」
「ほほ・・・お爺さまは若い女の子はお好きですもの。連れてくるというのならお会いになるんじゃないかしら?来るなって仰らなかったでしょう?」


振袖の袖を持ち上げて上品に笑う穂華さんは超真面目に話してるみたい。
総二郎は呆然としてるけど・・・何これ?子供のママゴトの延長じゃないんだからね!

私がジロッと睨んだら「真に受けるな!」って怒ってる。そして額に手を当てて考え込んでるけど、彼女の方は少し頬を染めて総二郎の方を見ていた。
花沢さんは噴き出してるし、四王司さんは呆れたように総二郎を見てるし。

「穂華は総二郎様がとても博識なの知ってるから、それにつり合う人間になりたくて勉強は頑張ろうって決めてましたの。ですから大学卒業までは婚約話も持っていくのはやめておりましたのよ?必死にお勉強しましたの。だから、卒業したらきっと総二郎様からお話があるとばかり・・・」

「それが俺が行く理由か?!穂華を迎えにって?」
「はい、そうですわ。でも連絡がないからどうしたのかと。やっぱり家元達は天澤の方が動くのを待っていたのかしら?次々と総二郎様にお見合いを持ってきたのも私たちを焦らすためとか?」

いや、穂華さんには申し訳ないけど、家元達を見てるとあなたのことはこれっぽっちも頭になかったと思うんだけど。
どーもこの穂華さんって人の妄想のような気がしてならないのは私だけ?それとも西門家全員がうっかりしてんの?

そしたらまた花沢さんが一言・・・。

「穂華さん、じゃあなんで今日は四王司さんとここに?あなたは四王司さんのパートナーなんでしょ?」

「・・・え?それは、そうなんですけど」
「花沢さん、それは私が無理を言ったんですよ。あの、あなたと同じで私も女性を誘うのがその・・・苦手でして、穂華さんは西門流を通じて面識があったものですから」

それまで総二郎を見て赤くなってた穂華さんが、四王司さんの話になったら不機嫌な顔になってそっぽを向いた。
四王司さんもそんな穂華さんを見て困った顔してる。

今度はなにっ!この2人は一体どういう関係なの!


頭の中で関係図が出来そうで出来ないイライラ感!
みんなで赤くなったり青くなったり、慌てたり笑ったりで私には何がどうなってるのかさっぱりだわ!


「は~い!お待たせしました!・・・あれ?なんか人が増えてる。どうかしたんですか?皆さん」

こんな時に脳天気な桜子さんが戻ってきた。



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2018/05/23 (Wed) 13:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/23 (Wed) 13:19 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/23 (Wed) 14:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんばんは。

あはは~!また変なヤツを出してしまいました。でも、おわかりでしょうがコメディですから真剣なものにはなりませんよ。
多分ですけど・・・まぁ、何をするかはお楽しみって感じですかね。

私が総ちゃんで遊んでるって思っててくださいね♥

5月で終わろうと思ったのに、いつもの癖で延びてます(笑)6月には終わるでしょうっ!

いいなぁ、バレエフェス!しかも東京バレエ団ですか!で、私の好きなドンキとは・・・!
うちのお嬢さんもキトリは良く踊るんですがバリエーションだけですね。

最近、子供はグランパドドゥで黒鳥を踊りました。
娘はどうでもいいんですが相手の王子様が素敵で、そっちしか見ませんでした(笑)
初めはドンキにしようかって言ってたけど、どうしても黒鳥がしたかったんですって。子供が踊っても色気がないんだけどなぁ・・・って思いながら拍手だけはしてやりました。

でも、なんかアヒルに見えたけど・・・。


私は見に行くことは出来ませんが楽しんできてくださいね!その感想も是非教えてくださいませ。

今日はありがとうございました。

2018/05/23 (Wed) 22:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんばんは。

ははは!そんな感じですよ。
いきなりここからシリアスになったら驚くでしょ?
ただ京都に行っても面白くないだろうという、私のスパイスです♥

何かが起きるの、楽しみにしてるんでしょ?ふふふ・・・わかってますって!

そうですねぇ、ここから類つくに変えてもいいけどなぁ(笑)
そうなったら200話超えそうですね!

昨日のコメントですが・・・100話なんて超えますね。ただ10月・・・までは行きません。
でも、学習したのでこの話が何話を予定してたか、お話ししてないと思うんですよね!
(ちなみに50話で終わる予定でした・笑)

なんでこうなるんだろう・・・?

え?また暑くなるの?それは・・・嫌かも。
夏はマジで嫌いです。去年は熱中症に軽いけど2回なったんですよ。

早めに漢方薬飲むといいらしいけど、超苦いらしいです。あぁ・・・ホントに憂鬱。

頑張ろう・・・。

2018/05/23 (Wed) 22:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

あはは!四王 司!なるほど!
全然思わなかった!流石ですねぇ・・・私の兄の名前にも「司」ってあるんですよね。
性格似てるかも・・・俺様でしたからねぇ。

で、この2人は賑やかし程度に考えてくださいませね!
いきなり深刻な話にはなりませんから。

いままでふざけてきてるのに急にシリアスな恋愛になったら怖いでしょ?
ふふふ、楽しんで大丈夫ですよん!
総ちゃんを苛めてるだけですから。

2018/05/24 (Thu) 00:28 | EDIT | REPLY |   

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