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本邸からはバス停の方が近かったからバスで浅草まで向かった。
おじいちゃんは子供みたいに窓から見える景色を楽しんでたけど、この人・・・うちの近くまでってどうやって来たのかしら?謎に包まれた人だなぁって思ったけど、考えても仕方ないから買い物に付き合ったら早めに関西に帰らせなきゃ!ってそればかりを考えていた。

『すぐに戻りますから!』・・・志乃さん、怒ってるかな?これ、すぐには帰れないかも。
でも隣で笑ってるおじいちゃんを見てたら、後で怒られてもいいか!って気になった。田舎暮らしって言ってたから都会の景色が珍しいのかな?私は自分のわかる範囲で窓から見える建物なんかの説明をしてあげていた。

そのうちバスは浅草に着いて、おじいちゃんは軽快な足取りでバスから降りた。腰・・・治ったのかしら?


「おじいちゃん、ここが浅草だよ。えっと、何を買うんだっけ?」
「おぉ!これが有名な雷門かいな!大きぃなぁ・・・どれ、写真でも撮ってもらおうかの」

「え?はいはい!じゃあ私が撮ってあげるね!」

おじいちゃんは暢気に雷門で記念撮影してから、もう一度メモのような物を取り出した。すごくびっしり字が書いてあるんだけどもしかして買い物って1つじゃないのかしら・・・?

「まずはここで芋ようかんじゃな。何処にあるんじゃろうか?」
「芋ようかんね?じゃ、こっちだと思うわ!」

100年以上前から浅草に店を構える老舗店があるのよ。そこの詰め合わせが人気らしいから連れて行くと喜んで2箱ご購入。ついでに2人で試食もしてしまった。

「うちのは素材の味そのままを羊羹にしたお菓子で、着色料や保存料などを一切使わずに仕上げた物になります。しっとりとした舌触りで上品な甘さは若い人からお年寄りの方まで人気がありますのよ。芋ようかんはそのままでも十分美味しいですが、オーブンなどで焼いてから食べても美味しいですから試してみてくださいませね」

「へぇっ!焼いてもいいんだって!おじいちゃん、お土産持って行くときにちゃんとそれを言うのよ?」
「はいはい、焼いても美味しいって言えばいいんじゃな?」

「じゃあ、これで終わり?帰りはどうするの?新幹線?東京駅に行けばいい?」
「・・・まだあと7つぐらい頼まれておるんじゃが?」

「えっ!7つも?・・・つ、次は何?」
「銀座って所の豆大福なんじゃが?」

銀座?私がほとんど足を踏み入れたことがない銀座ですって?
でも、連れて行ってあげるって言ったのにここでおじいちゃんを野放しにも出来なくて、「地下鉄に乗れる?」って聞いたら嬉しそうに「乗る」って答えた。ここで簡単にタクシーって選択ができるならいいのに~!
やっぱりタクシーは嫌いだって言うからおじいちゃんを連れて東京メトロに飛び乗った。時間にして18分・・・おじいちゃんは何故か楽しそうだった。

銀座に着いたらその店を探して豆大福をここでも2箱ゲット!

「今度はなに?おじいちゃん」
「えっとな・・・東京駅でこれは・・・なんじゃ?」
「ちょっと見せて!」

おじいちゃんのメモを読もうとしたけど達筆過ぎて読めなかった。おじいちゃんは自分で書いておきながら英語だから読めなくなったとか言うし!一生懸命メモを解読してたら”スイーツ売上 第1位 ニューヨークパーフェクトチーズ”って書いてある気がする。
こうなったらスマホで調べようとして取り出したら総二郎からの電話が5件もっ!

ヤバい・・・ここで電話なんかしたら1人で出掛けたことがバレる。いや、もうバレてるのかな?よくわかんないけどそれを無視して調べたら南通路で、それらしき商品が売られてる。しかも、これって東京駅限定?
ここから東京駅まで歩いて行くことも出来るけど、おじいちゃんがまた腰を痛めたらいけないし。

仕方ないからまた地下鉄で3分ほどの東京駅へ向かってお目当てのお菓子をやっぱり2箱手に入れた。

「おじいちゃん、こんなものお土産にするんだね。誰か若い子が家にいるの?お孫さん?」
「そのような感じかのぉ。あんたと同じくらいの女の子に頼まれてな?最近東京に来たらしいが買い損ねたって言っておったわ」

「そうなの?おじいちゃんも孫には甘いんだね!で、次はなに?」
「今度はな・・・浅草の・・・」
「えっ!浅草ってさっき行ったじゃん!まだそこに目的の物があったの?」

今度は浅草の”牛肉佃煮”だと言う。いや、それはいいんだけどさっきなんで言わなかったのよーーっ!

って事で大急ぎで浅草に戻って佃煮を買った。この後もとんでもないことが続いて今度は麻布の”かりんとう”って言いだして、地下鉄を乗り継いで麻布十番まで行き、その次はなんと江東区亀戸の”くず餅”!
もう既に何回地下鉄に乗ったんだかわかんないわっ!


「おじいちゃん!あのね、土地勘がないのはしょうがないわ!でもね、1度買いたい物を整理してみたらどうかしら?これじゃおじいちゃんも疲れるでしょう?荷物だってどんどん増えてるし!どうやって帰るの?ホントに1人なの?」

「そうじゃのぉ・・・お嬢ちゃん、もうここらでいいよ。儂はこの後は自分で探して買うからの。ホントに良くしてくれてありがとう。で、お名前はなんて言うのかな?」

「え!そんなつもりじゃないのよ?大変だろうと思うから言ってるんであっておじいちゃんを1人にはしないわよ!私は牧野つくしっていうの。おじいちゃんは?」

「儂は宮本小次郎というのじゃよ。つくしちゃん、可愛らしい名前じゃのぉ!」
「小次郎?ふふっ!おじいちゃんも可愛い名前だわ」

ん?宮本小次郎・・・聞いたことがあるような、ないような・・・?


その後も言われたとおりに回ったけど、とんでもなかった・・・今度は亀戸から羽田空港限定スィーツ”ホーニッヒアッフェルバウム”を買いに行き、それが終わったらまた東京駅で”東京駅限定のワッフルの詰め合わせ”・・・なんでまたここにいるんだかわかんないけど、これでお菓子は全部終わったと言われた。

ここまで来てから思ったんだけど・・・もしかしたら限定品以外は東京駅で調達できたんじゃないの?
既に荷物の重たさと移動のしすぎで足が痛い。私の方が疲れて駅のベンチに座り込んでしまった。

「これで終わったの?小次郎おじいちゃん、大丈夫?マジで疲れたよ・・・もうダメだわ、私」
「おやおや、つくしちゃんはダウンかな?ははっ!儂はまだ元気じゃよ?じゃ、ホントに最後で・・・」

「えっ!まだあるの?」
「あぁ、いやこれは菓子じゃのうてな、”江戸切り子”を買いに行きたいのじゃよ。きちんとした正規店がいいんだが・・・これは大事な人への土産じゃから」

江戸切り子?!そんなものを買いに行くの?この大荷物持って?
私の両手にはすでに何個ものお土産物がぶら下がってるのよ?これで東京駅から・・・何処まで行けばいいのかしら?

ここでまた調べようと思ってスマホを取り出したら、今度は着信が25件に!
総二郎が完全にキレてる・・・そう思ったけど、これも見なかったことにした。夜に纏めて叱られよう・・・。

「小次郎おじいちゃん、正規店なら銀座にあるわ。どうする?この荷物持って行く?」
「そうじゃなぁ・・・タクシーに乗ろうか?」

「タクシー嫌いじゃなかったの?それに贅沢だよ?おじいちゃん、年金生活でしょ?」
「確かに年金生活者じゃが、後で雇い主に請求させてもらうよ。さ、最後じゃから頑張って行こうか!」

「そうだね・・・頑張るよ」

なんで私が頑張ってるんだかよくわかんないけど、小次郎おじいちゃんはヨボヨボしながらもタクシーを拾って私に手招きしてる。そのまま銀座に向かって、買い物をする間は待っててもらった。

江戸切り子は、江戸時代末期に江戸(現、東京)で始まった伝統的ガラス工芸で、色ガラスを重ねた「色被せガラス」と呼ばれるガラスの器に伝統的な紋様のカットが施されたもの。小さなぐい呑みから大型の花瓶まで沢山ある。
小次郎おじいちゃんはその中から「八角籠目紋」ってもののワイングラスのセットを購入・・・10万円なり。
その他に伝統工芸士の作品の花瓶を2個購入・・・その金額は100万円を超えた。


「あのさ、小次郎おじいちゃん・・・もしかしてお金持ちなの?」
「ホッホッホッ・・・儂は頼まれただけじゃから。これは流石に持って帰れんから送っていただこうかの。つくしちゃん、あんたはここから家にお帰り。タクシーを用意させよう。今日はありがとう・・・楽しかったよ」

「え?ここでいいの?タクシーのお菓子は?1人で抱えられるの?」
「大丈夫じゃよ。新幹線に乗る時には駅員に頼むからな。心配しなくていいからお帰り。家の人が心配してるだろう?もう夕方遅いから」

時間はすでに6時を回っていた。
だからおじいちゃんの言葉に甘えて、店の人が呼んでくれた別のタクシーに乗って西門に戻ることにした。

「小次郎おじいちゃん、気をつけてね?今度からそんなに沢山お土産頼まれちゃダメだよ?」
「うんうん、わかった。そうしよう・・・ありがとう、つくしちゃん」


銀座からタクシーに乗るだなんて初めて。
このタクシー代も聞いたらおじいちゃんが出してくれてるらしい。なんだ、それなら初めからタクシーって言ってくれたら良かったのに、そんなことを思いながら車の窓からお店の前に立ってるおじいちゃんに手を振った。

「おじいちゃん、今度からお仕事でも旅行でも1人はダメだよ?絶対に家の人と来るんだよ?じゃあね、バイバイ!」
「あぁ、そうしよう。ほな、またな!つくしちゃん」

またな!って言われてももう会わないよ、小次郎おじいちゃん。
最後にニッコリ笑ってくれたおじいちゃん・・・初めに会ったときは腰が曲がってたのに、今はどうして真っ直ぐなの?

まぁ。いいか・・・。


この後に江戸切り子のお店に数人の男の人が駆け込んでいったなんて知りもせず、私は乗ってすぐに疲れ果てて寝てしまった。
彼からの着信がすでに50件超えてるなんて、確認する元気は全然残ってなかった・・・。



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2018/06/01 (Fri) 13:29 | EDIT | REPLY |   
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2018/06/01 (Fri) 15:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様~!!こんばんは!

いつも裏でありがとうございます!
面白いことばっかり書いてますよね・・・いつも笑っております。

で・・・小次郎おじいちゃん、可愛いでしょ?(笑)演技派なんでしょうねぇ・・・ぷっ!
さて、このじいちゃんは何しに来てるんでしょう・・・謎です、謎!

次に会うかどうかはわかりませんよ?ふふふ!

総ちゃんですか?(笑)
50回もかけてくれるなんて愛ですねぇ・・・。うんうん、うちなんか1回かけて出なかったらそれまでですよ。
明日、怒られてもらいましょうか!

そろそろ梅雨入りですねぇ・・・。
うちは入ったのか?入ってないのか?

それすら気にしてなかったけど、中国地方は入ったんですかねぇ?
九州が入ったとは聞きましたが・・・。
今日は全然雨が振らずに暑かったです~!

でも、そう言えば庭の紫陽花が色付いてました。
そろそろ・・・かな?

2018/06/01 (Fri) 22:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

あははっ!笑ってもらえた?
よかったわぁ・・・!ここも必死に考えたんだからっ!

有名どころのお菓子と、その場所と、行き方と・・・楽しいけど順番をややこしくするために必死でした!
もう少し書きたかったけどこれ以上は無理か・・って事で7個でやめた(笑)

出来たらスカイツリーにも行きたかったわ~!

で、このじいちゃん誰?って感じでしょ?


宮本小次郎・・・(笑)じいちゃんの名前が全然浮かばなかったんですよね。
小次郎も可愛いかな?って思ったら名字が浮かばない・・・どうしても佐々木になるから(笑)

江戸切子の花瓶を何処で見ることになるのでしょうね・・・!


で、総ちゃん(笑)
これもお仕置きですよね・・・(書かないけどね)

2018/06/01 (Fri) 22:51 | EDIT | REPLY |   
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2018/06/01 (Fri) 23:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、爆笑!

いいじゃない!この前書いたもん!
休ませて・・・R筆・・・

2018/06/01 (Fri) 23:38 | EDIT | REPLY |   

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