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朝・・・目が覚めて薄く目を開けてみたら、誰かがその辺で寝てるのが見えた。

総二郎とあきらか・・・。
ラグの上で寝ちゃったんだ。何処から出したんだろう・・・毛布なんて掛けて。

そんなことをぼんやり考えていたら奥の方に見慣れないものを見つけた。
俺ですら知らなかったけど、ここには壁面収納ベッドがあったんだ?へぇ・・・よく見つけたんだね、なんてまだはっきりしない頭で考えていた。

でも、その壁面収納ベッド・・・視界の中に2人がいるのに誰が使ってるんだろうって思ったら、そこの布団がゴソゴソと動いて寝返りを打った人の頭が見えた。長い黒髪・・・?


「あれ・・・牧野?寝てるのって・・・牧野?」

長い髪が見えて、ガバッと起き上がった。やっぱり離れた所に見えるのは牧野の寝顔だった。
ベッドから降りて音を立てないように側まで行って見下ろした。


時間は7時。今日は金曜日だから学校がある。俺達はともかく牧野は特待の関係もあって休むわけにはいかないだろう。
起こさなきゃ、って思ったけどその子供みたいなあどけない寝顔をもう少し見ていたくてそこに座り込んだ。

小さな寝息が聞こえる。
すごく安心しきって寝てる。この子は人を疑ったり恐れたり嫌ったり・・・そんな環境で生活したことがないんだろうな。
牧野を見てると幸せな家族団欒の光景が浮かんでくる。この子を囲んでみんなが笑ってる・・・そんな食卓だったんだろうなって思う。

もう少し近づきたくてベッドの縁に腕を組んで、そこに顎を乗っけて牧野の顔を近くで見てた。

すごく柔らかそうな、少しふっくらした唇・・・温かいのかな?ほっぺたが赤くなってる。


触れてみたい・・・って初めて思ったけど、どうしていいかわかんない。
何となくこれなら出来そうって思って、そっと頬にキスをしてみた。

その時、牧野が少し目を開けて俺と目が合った。でもまだ半分しか開いてない。

「・・・あれ?ここ・・・」
「おはよう・・・今日は大学に行く日だよ?もう起きた方がいいかも。7時過ぎてるけど」

そう言うと急にバチッと目を開けて、ガバッと布団を剥いで起き上がった。今の俺のキスなんて多分気がついてない。
辺りをキョロキョロ見回して自分の姿を確認して、そしてまた真横にいる俺の顔を確認して・・・そこでやっと今の状況がわかったみたい。

「・・・えっ!私、ここで寝ちゃったの?あの!ごめんなさい、よく覚えてなくて!」
「俺は全然構わないよ。1番初めに寝ちゃったと思うからその後の事は知らないし。お酒飲まされたの?」

「ううん!いや、ちょっとだけ?でも、私お酒が飲めないからそれだけでダウンしたのかも!最後の方は何の会話してたのかもわかんない。あれ?あの2人は・・・」
「そこで寝てる。こいつらも起こさなきゃね。大学に行くかどうかもわかんないけど。あ・・・牧野、俺が珈琲煎れるからその間にこいつら起こしといて?あんたもせっかくだから飲んでいけば?顔洗いたいんならタオルがバスルームにあるから」

「はっ?あ、あぁ・・・うん、わかった」

くすっ・・・なんか変な会話。
牧野も慌ててベッドから降りてバスルームに駆け込んだ。
隣なんだからすぐに帰らせればいいものを、何故かもう少し一緒にいたくてかけた一言だったんだ。


この時に帰しておけばあんな嫌な思いをしなくてよかったのに・・・。


************


「ちょっと!西門さん、美作さん!起きてよっ!もう7時半だよ?ねぇってばー!」
「ん・・・誰?あれ・・・美里?」

「誰が美里よっ!悪かったわね、つくしで!はい、寝ぼけてないで起きなさい、西門さん!」

ラグの上でひっくり返って寝てる2人を起こそうとして毛布を剥いだけど、お酒を飲み過ぎてるからなのか2人ともなかなか起きない。よく見たらテーブルの上には何本もの空き瓶が並んでるし。
西門さんは起きがけに私を何処かの飲み屋のお姉さんと間違えるし、美作さんはまだ寝返り打ってる。

仕方ないから背中を両手で揺さぶったら、急に向きを変えて私の腕を掴んだかと思うとグイッと引っ張られた。えっ!と思った次の瞬間には両手で抱き締められて、その麗しい顔が目の前20センチにあって更に近づこうとする唇がっ・・・!

「うわあっ!美作さんっ!ちょ、ちょっとーっ!」
「・・・・・・おはよ」

「おはようじゃないわよっ!きゃああぁーっ!」

美作さんの唇がくっついちゃうって時にピタッと止まった。
へ?っと顔を上げたら花沢類が美作さんの襟元を持ってすごく怖い顔してる。この状況でこの人がこんなに怒るって・・・って、少しキュンとしてたら出てきた言葉が・・・。

「ダメでしょ。歯も磨いてないのに」
「・・・・・・は?」

「朝一番って1番ダメなんでしょ?テレビが言ってたもん。夜のうちに口内細菌が増えるから磨かなきゃ不衛生だって」


いや、そうじゃないでしょ?
そこは別の言い方があるんじゃないの?いや、期待なんてしてるわけじゃないけどさ。
歯を磨いたら美作さんと私がここでキスしてもいいわけ?

今日も朝一番から不思議な花沢類の発言に頭を抱えながら、寝ぼけてる美作さんの腕にしがみついていた。やっと意識の戻った美作さんは腕の中にいる私に向かって「あれ?なんでそんなとこにいるの?」って言うし!

「美作さんがいきなり抱きついたんでしょう!西門さんには美里にされるし、冗談じゃないっての!離して!」
「あっはは!ごめん、そうだったんだ?つい女の子の香りがするといつものクセが出るんだよね」

それでも体勢を変えないから西門さんが美作さんを引っ張り上げて、やっと私は自由になった。

「あきら、やめとけって!類が怒ってっから」
「え?あぁ、悪いな、類。全然その気はないから忘れてくれ」

「・・・別に怒ってはないけど。牧野、珈琲煎れたから手伝ってくれる?」

その気はないからって・・・あんなに優しそうな顔してるのになんて酷い一言かしら!
ニヤニヤしてる2人に毛布の片付けと収納ベッドの片付けを頼んでから、花沢類が待ってるキッチンに向かった。何となく不機嫌な顔になってる・・・その横顔を見上げたら彼も横目でチラッと見てきた。

「・・・無防備に近寄らない方がいいからね。あいつら、あんなところがあるんだから」
「・・・もう少し違う言い方して欲しかったな・・・」

「え?何のこと?」

いや、この人に言っても無駄だったかも。「なんでもない」って首を振ってさっさと珈琲を運んで、昨日の夜に作っておいたサンドイッチ用の具材をパンに挟んで速攻でサンドイッチを作った。
私がその準備をしてる間に男達はテーブルを戻して、開いた瓶やグラスを片付けてる。


「はーい!朝ご飯が出来ましたよ!」

同時に振り向いた3人の男・・・もう驚かないと思ったのに、こんなシチュエーションで見る3人は美しすぎて一瞬、目眩がした。
私、昨日はこんなメンバーに囲まれてご飯食べてお酒飲んで・・・で、寝てしまったのね?

それなのに何もなかった・・・と。


朝日を浴びてこの3人とサンドイッチ食べて珈琲を飲む。
すごく所作が綺麗な彼らに比べお皿にパンのカスをこぼす私ってなんなの?

サンドイッチのキュウリがボトッとお皿に落ちた瞬間、西門さんが珈琲を噴き出して美作さんが眉を顰める。
そして花沢類は落ちたキュウリを摘まんで「はい」って口の前に差し出した。彼の手からそれを口でパクンと咥えて食べたらニコッと笑われた。

「だって勿体ないんだよね?」って言うから軽く頷いたけど、拾って食べたことが恥ずかしくなって急いで珈琲を飲んだら思いの外熱かった!
「熱っ!」って叫んで珈琲カップをソーサーの上にガチャン!音を立てて落としたら、それに驚いて3人がビクッとしてる。

「うわっ・・・熱かった~!口の中、火傷したかと思ったわ!あー、びっくりした!」
「・・・俺達もびっくりした。牧野、この珈琲カップ、割らなくてよかったな!」

西門さんがクスクス笑いながらそう言ったから、自分の目の前にある珈琲カップを持ち上げてみた。確かに上品な感じ・・・白地にブルーでお花みたいな模様が描かれてて綺麗だけど?
そしたら今度は美作さんがこの珈琲カップの説明をしてくれた。

「この珈琲カップはマイセンの代表作とも言える”ブルー・オニオン”。中国の磁器によく描かれていたブルーのザクロを、玉ねぎと見間違えて描かれたのが始まりってことでこの名前がついてるんだ。もう300年ぐらい前からデザインを受け継いでる最高級品。そうだな・・・ここのセットで言えば1セットで5万以上はするかな?」
「えっ!5万円?」

「そう。だから4人で飲んでるこの珈琲カップは20万。そこの皿もセット品だから割るなよ?お前、弁償できねぇだろ?」

この珈琲カップが・・・あのスーツよりも、ここの家賃よりも高いだなんて。


朝食を終えてから自分の部屋に戻ろうと花沢類の部屋を出るときに、念のため守衛さんから見えないようにと西門さん、美作さんも一緒に私を隠すようにして出てくれた。

彼らは今日は大学をサボって2人で何処かにドライブに行くらしい。
「自由でいいわね!」なんてブツブツ言いながらドアを開けて通路に出たら、1番初めに出た西門さんがピタッと止まった。
その背中にドンッ!と当たる感じで鼻をぶつけたから思わず叫んでしまった。

「ちょっと!いきなり止まらないでよ!これ以上鼻が低くなったらどーすんの!」
「・・・いや、あいつが睨んでる」

「・・・え?あいつって?」

西門さんの背中からひょいっと顔を出したら・・・303号室から陽翔が出てきてて、すごい顔で私たちを見ていた。




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これがマイセンの「ブルーオニオン」です♥
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2018/05/27 (Sun) 00:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

うんうん、私も指を咥えます~!!もちろんです~!

美里に反応した(笑)
そんな人、これから先に出ませんから!総ちゃんだよ?そりゃ、ねぇ・・・山ほど女の子の名前は出ますよね!
私も最近の名前がわかんないから自分の時に流行った名前がすぐに出るんですよ(笑)

なんか、真由美とか多いですよ。美咲とかね・・・優香とか?
最近の子供の名前はホントに読めないです。


どんどん陽翔に嫉妬心を芽生えさせるのが目的・・・けして4○とか目的じゃないから!(笑)
ホントに・・・そんなの絶対に書けないからね?(笑)

2018/05/27 (Sun) 23:34 | EDIT | REPLY |   

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