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<side由依>
『これさぁ、あんたの彼氏じゃないの?違う女と喫茶店で楽しんでたわよ?』

電話口でそう言いながら和香が送ってきたものは、陽翔があの牧野って女と喫茶店にいる画像だった。別にすごく楽しそうな感じじゃないけど陽翔が優しい顔してる!私には最近、あんな顔なんて見せてくれないのに・・・!
牧野って女は背中を向けてるからどんな顔してるのかは分からないけど、身を乗り出して陽翔に近づいてるように見えた。

「・・・なによ!これ・・・どんな会話してたの?」
『分かんないよ。真横じゃないんだからさ。でも、昔に戻りたいみたいな言葉が聞こえたよ?何よ、あの女って元カノ?いい感じだったけど、あんた達大丈夫なの?』

「昔に戻りたい?どっちが?陽翔が言ったの?」
『ううん、女の方。必死だったような気がするんだよね・・・もしかしたら由依、彼氏盗られるんじゃないの?勇気あるよね、あんたの彼に手を出すなんてさぁ!』

「五月蠅いわね!そんなことさせないわよ!」

さっさと電話を切って送られた画像を全部見てみた。
ほとんどが背中だったけど、何枚か横向きの顔や振り向いた瞬間の顔がある。特に最後の1枚の牧野の笑顔・・・なんで陽翔にそんな笑顔を向けるの?なんで手なんか振ってんのよ!

陽翔は私のものよ・・・こんな女になんか渡さないんだから!

こんな画像消去してやる!って思ったけど何かに利用出来そうな気がしたからやめた。こんな女の顔がこの中にあるって思うだけで腹が立つ・・・すぐ横のベッドに投げつけてそのスマホを睨んでいた。

「追い出してやる・・・!陽翔の隣の部屋から追い出してやるんだから!」


イライラしながら爪を噛んでた・・・。
あの部屋にいられなくさせる方法・・・それか、出て行きたくなる状況を作ればいいのよ。

どっちでもいいけどすぐに出来ることがいい。
あることを思いついて私は自分の家を飛び出した。あの寮のことを調べよう・・・誰にも気付かれずに入れる場所があればラッキーだ。

いつもの感じの悪い守衛が立ってる門から入ってさりげなく監視カメラの位置を確認。そして私が思う通りに動くために必要なものを調べたら・・・都合よくそれを見つけた。守衛に見つからずに入れそうな場所も・・・。

「なんだ・・・もしかしたら意外と簡単に動けるんじゃない?セレブ校って言っても寮はそこまで厳しくないのね。ふふ・・・見てなさいよ。陽翔に近寄ったらどうなるか・・・思い知らせてやるわ!」


**********


土曜日の朝、いつもよりのんびりした時間に起きてカーテンを勢いよく開けた。それでも時間は8時・・・もうすっかり気温も高くなってて、天気もよくて気持ちがいい・・・!

「ん~!いい天気だなぁ!干してもいいならお布団干したいくらいだわ!でも、ここの寮は布団干すの禁止だもんなぁ・・・。勿体ないわ、この天気」

景観が悪いって理由と英徳らしくないって理由から、ここではベランダの見える位置での洗濯物やお布団を干すことは禁止されていた。だから私も干す場所はベランダの外から見えないギリギリの所にしていた。

取り敢えず朝ご飯を作ろうってことでキッチンに向かい、冷蔵庫を開けた・・・見事に何もないって感じだ。
食材は後で買いに行くとしても牛乳も玉子もない。食パンも残り1枚だけ・・・それはちょっと力が出ないかも。

仕方ないから近くのお店に朝ご飯の材料を買いに行こうと思って勢いよく玄関のドアを開けた。そしたら開けた瞬間にすごい匂いが鼻について、思わず口元を手で覆ってしまった!

「うわあっ、臭い・・・!何これ・・・どうして?なんでこんなことになってるの?」

よく見たら私の部屋の前に大量の生ゴミが投げ付けられるように捨てられていてすごく臭い!それは通路だけじゃなくてドアにもかかって辺り一面が汚されてて悲惨な状況だった。
生卵の殻や残飯のようなもの、何かの食べ残しっていう如何にも台所のゴミをそのまま持ってきたって感じ・・・。でも、量が半端なかった!

余りのことに驚いて声も出なかったけど、それよりもなんで自分の部屋のドアにこんなことをされるのか理由がわからない。
呆然と立っていたら花沢類がドアを開けて出てきた。私の叫び声が聞こえたのかもしれない。

「牧野?どうかしたの?うわっ・・・これ、なに?」
「花沢類!何がどうなってるのかわかんないの!どうしてこんなことに・・・ごめんね、すごく臭いでしょ?すぐに片付けるから・・・」

「・・・ちょっと待って」
「え?あ、ちょっと・・・花沢類!どうするの?」


花沢類は急に私の部屋の前の生ゴミを自分の足で301号室に向かって蹴り上げた。それを何回か繰り返したら私の部屋と同じ感じで汚れてとんでもないことに・・・!
これって大学にバレたら大変な事になるんじゃないの?って私は自分の口を覆って、ただ驚いてそこに立ち尽くしてた。

この人、一体どうする気なの?


「牧野、部屋に入っときな」
「え?花沢類はどうするの?」

「管理人室に行ってくる。あれ?何処かに出掛けるの?」
「う、うん・・・でも、大丈夫。部屋に入っておくね」

少し靴が汚れたのに気にもしないで花沢類は階段を降りていった。私はこの後の事が気になって玄関の内側から離れることが出来ない。そのうち、慌てたように駆け上がってくる足音と、ゆっくりと上がってくる2つの足音が聞こえた。

「あぁ!これは一体どうしたことでしょう!花沢様、申し訳ありません!」
「・・・すぐに片付けて。それとさ、どうなってんの?この寮に不法侵入者がいるわけ?それか寮内の人間の仕業?監視カメラの分析しておいてよ。入り口に設置されてるよね?」

「わかりました。ただ、寮内の人間がこのようなことをするとは思えません!それは大丈夫だと思うのですが・・・」
「そう?じゃ、花沢に恨みのある人間の仕業?どっちにしても困るよね・・・ほら、隣にも迷惑かけてるし」

「いや、花沢様に恨みだなどと!これは何かの間違いです!決して花沢様とわかってしたことではないと思います!」
「ん~・・・どうでもいいや。とにかく急いで綺麗にして。301と302、あとはこの通路ね。俺、出られないしさ」

「畏まりました!大至急清掃致しますので!」


そんな会話が聞こえてきて、花沢類はそのまま部屋に戻ったみたい。
またすごく慌てた足音が聞こえるから管理人さんが大急ぎで階段を降りてるんだろう。その光景を暗い玄関で想像するしか出来なかった。

花沢類はあんなこと言ったけど、これは私に対する何らかのアピールだ。
嫌がらせを受ける理由も、誰かに恨まれる理由もわからないけど、明らかに私に対する「抗議」であることは間違いない。花沢類はこれが自分に被害が出てるって思わせて管理人さんを利用しただけのこと・・・。
私に汚れ物の後始末をさせないようにしてくれたんだ。


「やだ・・・どうして?なんでこんなことが起こるの?誰がやったの?・・・ひどいよ!」

その場に蹲ったらスマホが鳴った。鞄から出して画面を見たら・・・『出ておいで』のメッセージ。


急いでベランダに行ったけど私の目からは涙が出てて、それを拭いながらだった。その顔を見て彼はくすって笑う・・・。
鼻を啜って涙を拭いたけど、その姿を見ても何も言わなかった。

なんでそんなことされたの?とか誰かに嫌われたの?とか・・・私でさえわからない質問をしなかった。


「あのさ、靴が臭くなっちゃった。どうしたらいいと思う?」
「・・・え?さっきの靴?」

「うん。玄関が臭い・・・早くどうにかしないと部屋にいられない」
「あ!スニーカーみたいなヤツだったよね?シューズクリーナーがあるから待ってて!」

急いで靴用の洗剤を持って戻ってきたら花沢類が両手を広げてる・・・あぁ、自分で洗うんじゃないのね?
すごく嬉しそうにニコニコして「はい!」って言うから仕方なく洗剤と専用ブラシを先に渡していつものように飛び移った。


いいのよ・・・別に。だって私のせいで汚れたんだもん。
私が洗うのがある意味、当たり前だよね?


「花沢類・・・これ何処で洗う?バスルーム使ってもいい?洗えば匂わないと思うんだけど!」
「うん、任せる。わかんないから」

「じゃあ花沢類は座って待ってて。すぐに終わるから!」
「了解」


うわ・・・おっきい靴!
花沢類、180センチ以上あるから足も大きいなぁ!やっぱり男の人って感じ。
その靴をシューズブラシでゴシゴシ洗って汚れを落として、せっかくだからバスルームの掃除もして完了!

それをベランダに持っていって天日干し!夕方までには乾くだろうな・・・って思って部屋に入った。


今度はさっきと違ってすごくいい香りがする。
花沢類が珈琲煎れてくれてるんだ。私がキッチンに行ったら「あんた、牛乳入れるんでしょ?」って言われたから頷いたらクスクス笑われた。

「あ!子供だって思ったんでしょ?」
「うん、子供みたい。家事が出来る子供」

「うわ!何にも出来ない大人に言われたくない!」
「・・・酷い言い方。少し傷つくかも」

「え?いや、違うよ、そんなに悪い意味じゃないよ?何も出来ないのは嘘!さっき助けてもらったもん!」

言った瞬間、ハッとした。
花沢類がわざわざ言わずにおいてくれたのに自分から口に出してしまったから、慌てて口を塞いだけど遅かった。


「何か思い当たるの?」
「・・・それが全然わかんないの。何かの間違い・・・だといいんだけど」

「少し自分の周りを注意して見ときな。牧野がわからないところで逆恨みされてるかもしれないから」

「・・・逆恨み?」


逆恨みされる事すら覚えがなかった。

部屋の前の方で数人の作業員の声が聞こえてきた。どうやら清掃が始まったみたい。
もう少ししたら元通りになって私も外に出られるんだろう・・・ドアの方を見つめてカフェオレのカップを両手で抱きかかえていた。花沢類はその音を聞きながら何も言わない。

あんまり2人共が黙ってるから彼の方が言葉を出した。

「あぁ・・・もうすぐ試験だね。試験範囲がわかったら早めに始めようか?」
「花沢類は試験受けないの?」

「そんなわけないじゃん。ちゃんと受けてるよ」
「え?私に教えてくれるって、自分の勉強はどうすんの?」

「しなくてもわかるから」
「・・・あ、そう」

大学にいる必要って何処にあるんだろう・・・なんて思うのは私だけ?
それとも一応大学卒業っていう肩書きが必要だから?私とは目的が違い過ぎるのねって事で納得することにした。

「ただ、勉強に集中出来る環境になればいいけどね・・・」
「え?どういう意味?」

「何でもない。ごめん、変なこと言ったね」



だけど花沢類の言葉通り、この後、私の周りで少しだけおかしな事が起き始めた。





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2018/05/31 (Thu) 11:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

ヤバい・・・私の悪いクセで事件が起き始めた(笑)
こりゃますますこの話でRの風が吹きにくくなった(笑)

もう少し待っててね!2人がまだ確認し合ってないから、それがすんだら何処かで入れるから。
10月の向日葵の類の代わり・・・(笑)

そう来るか・・・。

でも、由依ちゃんの許せるところは類君が好きじゃないってところでしょ?
私から言えば、陽翔がどれだけイイ男なんだ?って感じですけどね。

あぁ、まだ由依ちゃんは類君を見たことがなかった!ははは!
1回見たらいいのにねぇ。そしたら陽翔がそこまでイイ男じゃないってわかるのに。

・・・いや、ダメか。じゃあ、あきらで・・・(笑)
都合が悪くなったらあきらを出す私。ごめん、あきら君。

これからしばらくは由依vs類君で!

2018/05/31 (Thu) 22:47 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/31 (Thu) 23:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、爆笑!

多分、総ちゃんみたいに激しくはないですよ?
この類君ですからねぇ・・・無表情な人だからいきなり野獣になったら怖いから(笑)

それなりに・・・それなりに・・・ね。

ある意味激しい方が書きやすいかな(笑)

2018/05/31 (Thu) 23:21 | EDIT | REPLY |   

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