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plumeria

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僅かしか持ってこなかった荷物は揃えるのなんて5分と掛からない。
朝ご飯はいつものようにルームサービスを頼んで窓からマンハッタンの朝日を眺めていた。

そしていつでもここを出て行ける準備が出来た時、誰かがドアをノックした。
まさか・・・道明寺が何か言いに来たのかしら。やっぱり考え直せ、そう言われたらどうしようかと思ってドキドキしながらドアを開けた。


「おはようございます」
「・・・あ!おはようございます」

そこに立っていたのは最初にここで出会った道明寺家の人だった。
道明寺が立っているものと思い込んでいた私は顔が赤くなって狼狽えたけど、この人はそんな私を見ても眉1つ動かさずに次の言葉を出してきた。

「司様からのご伝言です。ここのホテルでかかった費用などは一切気にされませんように。ただし、このホテルを出られたらそこから先はご自分で、そのように仰っています。帰りの飛行機のご予約が出来てないようでしたらそこまでは助けて差し上げるように言われておりますが・・・いかがですか?」

「え?道明寺が・・・いえ、ここの費用も教えてください。今すぐは無理でもお支払いします。それと飛行機はご心配いただかなくても自分で手配出来ます。ありがとう・・・そう、お伝え下さい」

「畏まりました。ただし宿泊代は司様のお言葉に従った方が宜しいですよ?あなたには支払える金額ではございませんから」

「いえ・・・そういうわけにはいきません。今すぐには無理でも日本に帰ったら必ず・・・なので後で教えて下さい。私が勝手に来たんですから甘えられないんです」

「・・・わかりました。そのように致しましょう」


・・・ヤバい。
言ってみたもののここのホテルの最上階って1泊いくらなの?そこを確認してからが良かったかしら・・・。
そう思ったときには既に遅かった。その人はもう何処に行ったのかさっぱりわからなくて追いかけることも出来ない。

まぁ、いいか。世の中には分割払いって手もあるわよ。
なんて、誰もいなくなった廊下に出てから溜息をついちゃった。


空港まではここからだと1時間か1時間半・・・お昼ぐらいの便で日本に帰ろうと思って部屋を出たのは現地時間で朝の10時過ぎだった。
フロントでシャトルバスの予約をしようと、そこに立っていた金髪の綺麗なお姉さんに話しかけた。

「Do you have a shuttle service from the airport?」
(空港送迎のシャトルバスはありますか?)

「Yes, we have complimentary shuttle」
(はい、無料のシャトルサービスがあります)

無料のシャトルバス?なんだ、始めからホテルのバスを利用すれば良かった!・・・なんて、後から思っても遅いっての!

次の発車時刻まであと20分。乗り場はこのホテルを出てすぐ横にある駐車場だと言うから、もうホテルを出て外で待とうと思った。
いつまでもこんな高級感溢れるところにいたくない。早く自分の世界に帰らなきゃ・・・そんな気分で鞄1つ手に持ってホテルを出た。



外に出てから、もう1度自分が泊まったホテルを見上げた。
やっぱり凄い・・・これが道明寺のお母さんが経営するホテルなんだ・・・。1度でも泊まることが出来たのは私の一生の中では結構自慢出来る出来事じゃないかしら。

最上階辺りには太陽の光が当たって眩しい・・・手を翳して目を細めたその瞬間、ドスン!!と何かが体当たりしてきて私はその場に倒れ込んだ!

「きゃああぁーっ!いったぁ・・・っ!なに?なにがぶつかったの・・・あぁっー!!」

私に体当たりしてきたのは男の子でもう後ろ姿しか見えなくて、あっという間に人混みをすり抜けて何処に行ってしまった!
ハッと自分の手を見たら持っていたはずの鞄がない!
ホテルを見上げてて全然注意してなかった・・・鞄も肩に掛けていただけでしっかり抱えていなかった!

でも、その中にはお財布が入ってて、それがないと日本に帰ることが出来ない・・・私は急いで立ち上がって男の子が消えて行った方を追いかけた。
そしたら少し前を私の鞄を振り回してる男の子が・・・!!

「こらぁっ!!」って日本語で叫んだらそれに驚いてまた走り出した!


「ドロボーっ!!誰か、誰かその子を捕まえてーっ!ドロボーっ、待てぇっ!!」
「Catch me if you can!」(捕まえられるもんなら捕まえてみろ!)

追いかけることが出来たのはほんの数分間、その子は細い路地に入り込んでいって全然わかんなくなった。
適当に入って探してみようかと思ったけど、どう見てもそこはヤバそうな通り・・・薄暗くてこんな時間なのにおじさん達が汚れた格好でその辺に座っていたり、小さな子供がピストルみたいなものを持っていたり・・・おもちゃ、だよね?

それを見て、少し入ったけど引き返してしまった。


ど、どうしよう・・・これじゃあ日本に帰れないしーっ!!


**


「ここは何処?ホテル・・・どっち?今、何時?」


泥棒を追いかけてきたのはいいけど全然知らないマンハッタンのド真ん中で迷子になった。
目の前には円形の広場があって周辺は道路に囲まれてる。ここが一体何処なのかさっぱりわかんなくて、そこにあったベンチに座っていた。

どうしよう・・・取り敢えずここは日本大使館に連絡して助けてもらったらいいのかしら。
桜子に助けてもらいたいけどスマホもないし、お金もないし・・・。このままだと今日中に日本には帰れない。泊まるところもないし、シャトルバスに乗って空港に行っても飛行機に乗れない。

確か日本大使館に連絡すれば、日本から送金してもらう手続きを取ってくれるって言ってたよね?
誰に頼めばいいんだろ。桜子・・・それか西門さん?いや・・・絶対にめっちゃ怒って怒鳴られるわ。

「そうだよね、ここは桜子に頼んでお金を借りよう・・・よしっ!まずは日本大使館だわ!探さなきゃ!」


勢いよくベンチから立ち上がって辺りを見回した。
そうよ・・・ここは何処だっけ?まずは自分がいる場所を調べなきゃ!

そう思って何処かに標識がないかを一生懸命探していた。
目の前にあるのはコロンブスの像?どうしてそんなものがあるんだろう・・・それにセントラルパーク?
ブロードウェイ、西セントラルパーク通り、南セントラルパーク通り、8番街・・・・・・ダメだ、意味不明。

周辺を歩いてる人に声をかけたいけど英語に全然自信ないし。ホテルのように片言の英語でも聞き取ってくれる人ばかりじゃないもんね。それに歩いてる人が英語圏の人かどうかもわかんないし。

ありったけの元気を振り絞って立ち上がったのに、またそこのベンチに座り込んでしまった。


「どうしよ・・・こんな事してたら夜になっちゃう。何処に行けば助けてくれるんだろう・・・日本大使館が私を見つけてくれたらいいのに・・・あぁーっ!!どうしてこんな事になるのーっ!」



「何騒いでんだ?お前・・・恥ずかしいヤツだな」

「・・・えっ?」


何処かで聞いたことがあるような声がして、ベンチの後ろ側にくるっと顔を向けたら・・・


「・・・西門さん?なんでここにいるの?」
「・・・さぁ?何となく。散歩みたいなもんだ」

「は?散歩・・・アメリカで?」
「そう、アメリカで」


「・・・紋付き袴で?」
「似合うだろ?」




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Comments 6

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2018/07/27 (Fri) 12:23 | EDIT | REPLY |   
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2018/07/27 (Fri) 20:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

千花様 こんばんは。

そうなんですよ。地球とは狭いもので外国に行って迷子になっても出会えるんですよ(笑)
ふふふ・・・この2人はどうなるんでしょうねぇ・・・。

総ちゃんがちょっと妖しい感じですが、少しずつ距離が縮まればいいなぁ、と思いつつ・・・。

あら!怖いですか?
大丈夫!!完全ホラーとか書けませんから、そこまで怖くないです!
なんたって書いてる人が不真面目だから・・・。

今日はコメントありがとうございました♥

2018/07/27 (Fri) 22:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

えっ!!もうその要求ですか?
まだ早くない?この2人・・・そこまで出来上がって無いですけど?

ここでその行動に走ったら・・・お話しエンドですよね(笑)
もう少し書いてからでもいいかな?待っててくださいね!

まずはお友達から進まないと、エロじゃなくて強○になってしまう(笑)


確かに坊ちゃん、超セコい男にしてしまった!(笑)
司君を読む方には申し訳ないっ!悪気は一切ありませんっ(本当よ)

この後のお話しの為につくしちゃんには貧乏でいてもらわないといけなかったの。
ふふふ、この2人が今から何をするのかお楽しみに~♥

・・・だから、そっちじゃないからね?

2018/07/27 (Fri) 22:55 | EDIT | REPLY |   
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2018/07/27 (Fri) 23:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます!

そうそう(笑)

待てば海路の日和あり(笑)・・・空様がいつも言ってます。

2018/07/28 (Sat) 09:27 | EDIT | REPLY |   

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