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plumeria

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部屋に入って濡れた服を着替えた。
そのうち風が酷くなってきて窓ガラスをガタガタと揺らし始めた。花沢の屋敷は耐火耐震対策は最高レベル、全室強化ガラスや二重扉とかで厳重に守られていたから気にしたことはなかったけど、普通の家ってこんなに煩いんだと少し驚いた。

確か俺の部屋は牧野達の部屋とは色んな部分で強化されてるはず・・・それなのにこんなに風が喧しいなら牧野は今頃怯えてないだろうか。それとも慣れてるのかな・・・。

窓から真っ暗な外を眺めながら隣の様子を気にしていた。

そのうち雷も鳴り始めて雨はどんどん酷くなってきた。
台風が通過してるのかと勘違いしそうな暴風雨で、何処かから飛んできた木の葉なんかが3階の俺の部屋の窓にも張り付いてる。

「すごい・・・こんなに荒れるとは思わなかった。早めに帰って正解だったな」


自然現象に逆らっても仕方がない。
少し飲もうかな・・・って気分になってワイングラスを取りにキッチンに行ったとき、ドーン!とすごい音がして近くに雷が落ちたんだって思った。
それと同時に部屋が真っ暗になった!停電・・・?取りかけたグラスは諦めて稲光がしてる外の方を見た。

屋敷には自家発電があるからこんな風に停電になったとしてもすぐに回復する。おそらく寮にはそんな設備まで備わってなかったんだろう。

「牧野・・・大丈夫かな」

この部屋には牧野の声は聞こえない。危険だと思ったけどほんの少し窓を開けてみた。
泣き声が聞こえてきそうな気がして気になったから。

目を開けることも難しいぐらいの風と雨が顔を殴りつけるように当たってくる。濡れてるっていうより痛いって感覚の方が強かった。
この音の中で聞き分けることなんて出来るんだろうか、そうは思ったけど目を閉じ全神経を隣の部屋に集中させた。

その時、風の音に混じって隣の部屋から悲鳴みたいなものが聞こえた気がした。これは・・・牧野の声?

『きゃああぁーっ!いやあぁーっ!』

確かに真っ暗な部屋から牧野の声が聞こえる!
外に飛び出た途端、全身ずぶ濡れになってるけどそんなことはどうでもよかった。急いで牧野の部屋のベランダに飛び移って窓ガラスを思いっきり叩いた!

でも、それが風の音と重なるのか牧野は気がつかない。停電してるから齋藤の部屋も当然暗い・・・でも、あいつが部屋にいようがいまいが関係ない。とにかく牧野の顔が見たい・・・!そう思って大声で叫んだ!

「牧野!牧野、ここを開けて!牧野ーっ!」

どんどんと叩きながらそう叫んだらカーテンが開いて牧野が顔を出した。暗いからよく見えないけど口元を手で覆って泣いてるみたいに見えた。
彼女もこんな雨の中で俺が窓を叩いてるから驚いたようだ。口元から手を離して急いで窓を開けてくれた。

「は・・・花沢類!どうしたの、そんなに濡れて!こんな雨なのに飛び越えてきて、もし足が滑って下に落ちたらどうする気なの!」
「ごめん!とにかく入れて!」

開けたと同時にすごく怒られたけど、部屋に転がるようにして入った。溺れたみたい・・・髪からもすごい雨水が滴り落ちて牧野の部屋の床をあっという間に水浸しにした。
部屋が暗いから何が何処にあるかわからないけど、牧野は手探りでバスルームの方に向かってそこからバスタオルを数枚持ってきてくれたみたい。

「ごめん、よく見えないから何かその辺りに転がってるものがあるかも・・・気をつけてね」
「うん・・・ごめん。すごく濡れちゃった・・・」

「部屋はどうでもいいのよ。それより花沢類が怪我をしたらその方が心臓に悪いわよ!ホントにびっくりした・・・」
「あはは!俺もびっくりした。あんたの悲鳴が聞こえたから我慢出来なくて気がついたら飛んじゃった」

「・・・私の悲鳴?あ・・・さっきの?」
「うん、怖がってないかと思って少し窓を開けたら聞こえた・・・はぁ、やっと落ち着いた」


部屋は真っ暗で何も見えない。
だけどすぐ側に牧野がいて今は泣いてない。それだけで安心した・・・牧野はまだ驚いてるんだろうけど。


*************


昔から雷が大っ嫌いだった。
雷が鳴るとお母さんの布団に潜り込んだり、嫌がる進に抱きついたりして1人でいないようにしてた。

寮に入って独り暮らしするって決めたとき、出来たら4年間雷が鳴りませんようにって思ったぐらい。でも、やっぱり自然現象に私の願いなんて聞いてもらえなくていきなりの雨と風、ついでに雷。
早くこの雷が鎮まればいいと頭から布団を被って自分の膝ごと抱え込んでいた。

やだ、こんな時なのにトイレに行きたい・・・こればっかりは仕方ない。


ガタガタと煩いほど鳴る窓に背を向けて耳を塞ぎ、急いでトイレに駆け込んだ。そしてトイレを出てすぐに布団に潜らなきゃ!って思った瞬間ドーン!とすごい音が鳴り響いて、それは地響きみたいなものを伴って部屋が揺れたような気がした!

「きゃああぁーっ!何処かに落ちた!何処かに落ちたーっ!」

1人で大声を上げてその場に踞ってまた耳を塞いだけど、この時の雷も稲光も半端なくて連続してすごい音を響かせた!
ベッドまであと少し・・・!それなのに鳴り止まない雷にビビって動けなくなった。

次にバリバリバリ・・・ドーン!!と今日一番の雷が鳴ったと思ったら、突然すべての電気が消えた・・・停電?!
真っ暗になった部屋なのに稲光は収まることはなくて白い光が窓の外から時々すごく眩しい光を私に当てる。それが怖くて何度も悲鳴を上げた。

「きゃああぁーっ!いやあぁーっ!」

耳を塞いでても風と雨と雷の音は聞こえてくる!だけど、その中で私の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。

『牧野!牧野、ここを開けて!牧野ーっ!』


その声・・・花沢類?え?何処から?


耳を塞いでいた手を外して窓の方を見たけどカーテンが閉まってるからわかんない。こんな天気なのにまさかベランダから来ないよね?って思いながら恐る恐る近づいてみた。
暗いから足下がわかんない。何かが足に当たってビクッとしながら窓まで辿り着いてカーテンを開けた。

そしたら・・・そこにはずぶ濡れの花沢類が窓ガラスを叩きながら立ってたから驚いて窓を開けた!

「は・・・花沢類!どうしたの、そんなに濡れて!こんな雨なのに飛び越えてきて、もし足が滑って下に落ちたらどうする気なの!」
「ごめん!とにかく入れて!」

急いで花沢類を部屋に入れた時、少し当たった身体がずぶ濡れで冷たい!何かで拭かなきゃ・・・って思ったけどこんなのタオルじゃ間に合わない!
私は急いでバスタオルを取りに行って何枚か掴んで彼の所に戻った。
見えないからよくわかんないけど既に床はびしょびしょで、そこに四つん這いでハァハァ言ってるのはわかる。

背中にバスタオルを掛けてもう1枚は手に持たせた。

「・・・ごめん。すごく濡れちゃった・・・」

申し訳なさそうに下を向いたままそんな言葉を言うからこっちの方が泣きそうになる。

「部屋はどうでもいいのよ。それより花沢類が怪我をしたらその方が心臓に悪いわよ!ホントにびっくりした・・・」
「あはは!俺もびっくりした。あんたの悲鳴が聞こえたから我慢出来なくて気がついたら飛んじゃった」

「・・・私の悲鳴?あ・・・さっきの?」
「うん、怖がってないかと思って少し窓を開けたら聞こえた・・・はぁ、やっと落ち着いた」

「それで飛び込んでくれたの?あの時みたいに?」
「あの時・・・あぁ、『助けて』の?ははっ・・・そんな感じ?あの時よりは今回の方がビビったよ」

「・・・バカだよ、花沢類。なんでそこまで・・・」

そこまでしてくれるの?って聞こうとして止めてしまった。
『お隣さんじゃない』そんな言葉が返ってきたら今の私にはキツすぎる。


「なんでって・・・牧野の事だもん、放っておけないでしょ?」


真っ暗だったけど、この時に顔を上げた花沢類が笑ってたから・・・私は自然と彼に手が伸びてた。
でも、その時にまたすごい稲光がきて私たちを真っ白に照らしたかと思うと、次の瞬間ドーン!!と雷が鳴った!

「きゃああぁーっ!いやあぁーっ!」
「牧野!大丈夫だって!」


ずぶ濡れの花沢類の胸、私はそこに飛び込んでた。



lightning-1845__340.jpg
また書いてしまった・・・大好きな雷
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2018/06/21 (Thu) 08:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、おはようございます。

あっはは!私も同じです。
雷が好きなんです・・・どっちかって言うと。
稲光があるとわざわざ電気消して(夜だとね)窓の外を見るんです。

たまに被害が出るからこんなこと言っちゃいけないんですけど、出来たら被害が出ないところで光ってて欲しいな、と。

会社にいたんですよね。こういう人。
旦那さんに「雷が鳴り出したから帰ってきて!」って電話してきました(笑)
社内恋愛のご夫婦だったので奥さんも知っていたから驚きました。

雷で早退?・・・本気で?


総ちゃん(笑)
ねぇ!スローでしたよね!で、いいんだけど前髪長っ!後ろは刈り上げかいっ?(笑)どんな家元だよ・・・。


類君はね・・・うん、そうですね。それもですが、かなり大きくなられましたしね(笑)

そう言えば総ちゃんの場面からいきなりCMで類君(小栗さん)が出たの見ました?
わざとかと思って大笑いしました。いや~、楽しかったなぁ・・・♥




2018/06/21 (Thu) 08:37 | EDIT | REPLY |   
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2018/06/21 (Thu) 13:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

どうしてそんな面白い事を・・・。

「牧野、牧野、開けてーっ!濡れるからーっ!寒いからーっ!」
「・・・」

「牧野、お願いだからここ開けてーっ!雨が目に入って痛いーっ!」
「・・・」

「牧野!助けてーっ!!」
「・・・」


「・・・し、仕方ない、帰ろ」

こういう感じ?

類、超可哀想じゃないですかーっ!!入れてあげて(笑)


で、この後?どうする気でしょ。うーん・・・。

2018/06/21 (Thu) 23:35 | EDIT | REPLY |   

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