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「どういう事なの?小次郎お爺ちゃん、もしかしてこれまでの事・・・全部私だってわかってやってたの?東京に来たって・・・まさか西門に来たの?」
「お爺さま、ご説明いただけますよね?どうやらこちらの佐々木さんはつくしに近づいておられたようですが?」

2人のお爺さんは顔を見合わせてたけど、どっちかって言うとお爺さまは不思議そうに、小次郎お爺ちゃんは楽しそうに見えた。
そして小次郎お爺ちゃん・・・本当は佐々木さんっていうお爺ちゃんが話し始めた。

「つくしちゃん、すまなかったのぉ。儂の本当の名前は佐々木武蔵と言うのじゃ。実は東京で出会った時は西門の本邸に天澤家の使いとして訪れた後でな。本当はすぐに迎えの車に乗ろうと思ったのじゃが、向こうから日傘を差して歩いてくるつくしちゃんを見掛けたのじゃよ。その着とるものが使用人じゃなさそうじゃし、もしやこの人が穂華様の恋敵かと思うての。どのような人かと見てみたくなったのじゃ。それで急いで迎えの者を下がらせてお前さんの前に1人で出て行ったんじゃ」

「うそ・・・!じゃああの時の腰の痛みとかは演技なの?本当は何ともなかったの?」
「ほほほ・・・まぁ、そうなるかの。声をかけてくれただけでなかなか親切なお嬢さんだと思ったが、まさか追いかけてくるとは思わなんだ。もう少しで迎えの車が儂の所に来るはずじゃったのに慌ててしもうたわい。おかげで地下鉄にも乗れて楽しかった・・・あの時はありがとう、つくしちゃん」

「はぁ・・・どういたしまして」

いや、そうじゃないよね?
じゃあ何?私は穂華さんのためにあれだけの買い物をしたの?色んな場所に行ったり来たりして?すごい量の荷物を持って右往左往してくたびれて総二郎に怒鳴られて?
横を見たら総二郎まで頭に???が飛んでる。


「じゃあさ、もしかして江戸切り子のお店から1人で新幹線に乗ったんじゃなくて実は誰かがずーっと私たちをつけていたの?」

「ほほほ、儂にはようわからんが、スマホっていうので位置がわかるんじゃろ?どうやらそれで探しておったらしいがの」

GPS機能を使ってって事?うそでしょーっ!

もちろんお爺さまは小次郎・・・もとい、武蔵お爺ちゃんが私と東京で会った話は聞いていたようだ。だけど詳しいことは知らなかったみたい。2人で半日かけて東京を回ったって聞いて驚いていた。


「京都駅で会ったのは?もしかして・・・わざと?」
「それはな・・・実は・・・」

武蔵お爺ちゃんは今度は京都での事を話し始めた。
お爺さまから私が1日遅れてくると聞いたお爺ちゃんは、元々京都で一乗寺に行く前に連れ回そうと計画していたらしく、天澤家の使用人を1人、東京駅で待たせていたらしい。私が乗る新幹線も初めからお爺さまに聞いていて、私をさりげなく尾行して京都駅で偶然を装って無理矢理拉致・・・じゃなくて京都観光に連れて行くんだったと。

それなのに私が乗り遅れたりするから尾行していた人も大慌て!実は私が乗れなかった10時発の新幹線でその人は京都に向かったらしい。だからずっと京都駅のホームで私が降りてくるのを待っていたって。

マジで?その時になんで腕を引っ張って乗せてくれなかったのよ!

「だからの、儂もずーっと待たされて大変じゃったよ。ほほほ、でもそのおかげで若宗匠とははぐれてくれたから連れ回すのは簡単じゃったがの」

「簡単って・・・ぶつかって転けたんだよ?もし怪我しらどうする気だったの?腰だって痛めたら回復するまで時間かかるんだよ?」
「そうじゃな、もう2度とこんな事はせんよ。少々疲れたのでな」


通りで都合よく現れたわけだ・・・。
私はなんだか茶会よりもこっちのほうにがっくりきて頭が90度傾いてしまったわよ・・・。


***********


これまでの事がつくしと佐々木さんの会話でわかったような、わかんねぇような気もするが笑い事じゃなかった。
悪かった、で済めば警察はいらねぇって昔から言うが本当だっ!どれだけ俺が心配したと思ってんだ!

それになんでそこまでする必要がある?
東京でのことはつくしの性格を知りたいからってのならわかる。いや、わかんねぇけど理解はしてやる。
だけど京都のことは余計だろう!すぐに解放したからいいようなものの、天澤家の人間なら穂華のためにつくしを何処かに閉じ込めて西門に返さないかもしれない、そう考えるのが普通だ!

うちの爺さんと懇意にしている爺さんかもしれねぇが、この人のしたことが許せなくて俺からも問い詰めてしまった。


「佐々木さん、少しお巫山戯が過ぎませんか?東京の時も私は九州で随分気を揉んだんです。彼女が何処で何をしているのかがわからなくて。その家の者が心配すると思わなかったのですか?」
「若宗匠のお怒りはご尤も・・・儂としても無理を言うつもりはございませんでした。でもつくしちゃんが何を言うても親切で、ついつい甘えてしまいましてな。お許しを・・・」

「京都に関してはそこまでする必要がありましたか?つくしの性格を知りたかったのなら東京でわかったでしょう?どうして誘拐紛いの行動をとられたのです?私たちは遊びで1ヶ月間稽古をしてきたのではありません。今回、稽古したものは十分に出せなかったですが本当に真面目に取り組んできたんですよ。今日のためにです。それをあなたの行動で動揺を招き、茶席に集中できなかった、そういうことですよね?まさかと思いますが、穂華のためにそれを狙ったと言われますか?」

出来るだけ言葉は抑えたつもりだが表情までは抑えられない。
自分でもすげぇ怖い顔してこんな年寄りを睨んでるとは思う・・・だけど、つくしの努力がこんな形で台無しにされたことが許せなかった。

こいつらは知らないんだ・・・毎晩つくしがベッドに入ってまで復習してたのを。
何度も失敗して俺から怒られても1度も休まずに稽古したのを・・・何にも知らないから簡単に邪魔しやがったんだ!


「確かに天澤家に住まいを置いておりますが穂華様のために、というのはちと違います。東京に行った時は天澤家ご当主のご意向を伝えるために色々とお持ちしましたけどな。まぁ、穂華様の事は置いておきましょうかな・・・」

「では、何のために?」

「・・・そうですなぁ。つくしちゃんの決意のほどをお聞きしたかった、とでも言いますかな?儂が本日の客だと知ればこの子は言葉を飾ってしまうでしょうが、何も知らない爺になら本心を話してくれると思ったまで・・・これではいけませんか?」

「佐々木さんが彼女の本心を聞きたがる理由があるんですか?穂華のことを関係なしとするのなら尚のこと、あなたには関係ないのではありませんか?」

俺の言葉につくしはハラハラして「そこまで言わなくても」・・・なんて囁いてくるが我慢出来ない。

「西門の家のことにあなたが口出しを・・・」
「総二郎!・・・もう止めなさい」

急に俺の言葉を遮ったのは爺さんだ。
今まで黙っていたのに俺が西門に口を出すな!と言おうとした途端言葉を挟んできた。

「お爺さま。しかし、どうしても私には・・・」
「総二郎、わかった・・・説明しよう」

「説明?何をですか?」


爺さんがはぁ・・・と溜息をついて佐々木さんを見た後で、佐々木さんの方は苦笑い・・・説明とは何のことかと俺達も顔を見合わせた。


「実はな、この武蔵は西門の血を引いておるのだよ・・・儂の異母弟じゃ」

「・・・は?お爺さまの?そのような人は聞いたことはございませんが?」

「そりゃそうじゃ。もうこの事実を知っておるのは儂しかおらんのだから。お前の父も知らぬ事。佐々木というのは武蔵の母方の姓じゃからな」

「家元もご存じないとは?確かなのですか?」
「お爺ちゃんが西門の人?もしかして東京初めてじゃなかったの?」

「ははは、実は知っておるのじゃよ。つくしちゃんはホントによく付き合ってくれたのぉ。行ったり来たりさせて悪かった」


何がどうなってんだ?
爺さんの兄弟姉妹に異母弟なんて聞いたことも、家系図に記載もない。

キョトンとした俺とつくし・・・この茶室にすげぇ重たい空気が流れてんだけど。




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2018/06/26 (Tue) 13:58 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

そうそう、実はこんな爺さんだったんですよ。
謎の多い武蔵爺さん・・・今から何を言い出すやら。

総ちゃん、超怒っておりますね!うんうん、そりゃそうだ!

せめて落ち着いてお茶点てたかっただろうしねぇ・・・。
お湯を溢しても、帛紗を落としても、お菓子を飛ばしても。

いや、落ち着いてるのにそれをしたら余計ヤバいのか!(笑)


おぉ・・・なんかLastが見えて来ましたね。
こっちも頑張ろう!!

2018/06/26 (Tue) 15:58 | EDIT | REPLY |   

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