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plumeria

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本当は一緒に登校したかったけど、今はまだやめておこうと牧野には話した。
こんな事言ったら悲しい顔をするかなって思ったけど逆だった。

「うん、まだ内緒でいいよ。色々とあるんでしょ?ゆっくりでいい・・・気持ちが変わらなかったら今と同じでいいよ。ベランダ、もう慣れちゃったしね」
「くすっ・・・そうだね。でも昨日は少し焦ったよ。手が滑ってさ」

「やだっ!落ちないでよ?嫌だからね、下見て花沢類が倒れてたら!」
「あはは!落ちないよ。そこまで運動音痴じゃないし。それ、あんたでしょ?如何にもドジしそうだもん」

急いで作ってくれた朝ご飯を食べて、珈琲を飲んで、時計を見たらもう7時半。牧野はソワソワし始めた。
そして横目で俺の事を見て何か言いたそう。どうしたんだろ?って思ったけど気にもせずのんびりしてたら・・・。

「あ、あのさ・・・着替えたいんだよね。えと・・・お化粧も少しはしたいし、トイレにも行きたいし・・・」
「行けばいいのに。すぐそこだよ?」

「え?いや・・・そうじゃなくてね。ほら、学校の支度したいし・・・」
「したらいいじゃん。もう時間なの?俺は後でゆっくり行くからいいよ。どうせ出入りは窓だし」

「は?・・・あのね?ここ広いけどワンルームじゃない?着替え・・・ここでするのよ」
「・・・・・・邪魔って意味?」

しばらく黙ったまま見つめ合ってた。

でも、すごく困った顔してるから仕方なく立ち上がって窓に向かった。そんなもんなんだ・・・女の子ってよくわかんない。昨日は俺の裸を散々見たくせに自分はダメなんだね。いや、見たくて言ってるわけじゃないけどさ。

「お昼にラウンジに来て」って一言残してベランダから自分の部屋に帰った。



そして大学の昼休み。

総二郎とあきらを呼んで自分たちの気持ちを伝え合ったことを話した。
わざわざ言わなくてもいいのかもしれないけど、こいつらにも心配かけたし、何かあった時には知っててくれた方が助かると思ったから。
すごく照れてる牧野を隣に座らせて昨日の夜のことを話したら、2人はニヤニヤして牧野をからかい始めた。

「へぇ!雷ってのはそういう役目もあんのか!参考になるわ~・・・今度、俺も使ってみよ!」
「あはは!でもさ、怯えてる女の子ってのは放っておけないよな。俺だってそりゃ抱き締めるな」

「あのね、ホントに嫌いなの!でも、だからって誰にでも抱きつくわけじゃないんだから!あっ・・・」

「なんだ!牧野から抱きついたのかよ!うわっ・・・類、堪んねぇな!」
「停電かぁ・・・自家発電だから無理だな。マンションもそうだし・・・どうしようもない暗闇って経験ないかも。基本、間接照明ぐらいつけてるしな。その時でも」

「体験してみなさいよ!ねぇ、花沢類、怖かったよねぇ!」
「・・・・・・ううん、全然」

そんなことより牧野に近寄るこいつらの方が気になる。
今まで向かい側に座ってたのに、なんで今度は牧野の向こう隣と背中側に回ってんの?総二郎の片手が牧野の肩に乗っかってるんだけど。ちょっと・・・ムカつく。


「・・・で?どうだった?」

また総二郎のヤツ・・・!これだけは少し嫌だったんだよね。

「・・・え?どうだったって?」
「だから!類の・・・どうだった?・・・良かったか?」
「総二郎、ストレートだな!類が聞いてるぞ?」

「・・・・・・」


答えられるわけないじゃん。だって俺、寝ちゃったし。


***********


西門さんの言葉で一気に全身が熱くなった!
イヤ・・・それは、私から答えられないって言うか・・・花沢類、蓑虫になって爆睡したんだけど!

「おっ!そんなに赤くなっちゃって!そうかそうか・・・うんうん、言わなくていいや。良かったんならな!なぁ、あきら!」
「総二郎だけが盛り上がってるんだろ?牧野が可哀想じゃん。一応女の子なんだから」

「一応って何よ!それに・・・いや、何でもない」

何もなかったって言葉に出す必要もないか・・・そう思って冷やかされて恥ずかしかったけど我慢することにした。チラッと隣をみたら花沢類は顔色1つ変えずに頬杖なんてついてるし、むしろ機嫌が悪そう?こんな話になって怒ってるの・・・かな?


「でもさ、齋藤の事はどうするんだ?牧野が類とくっついたんなら今度は齋藤まで荒れるんじゃないのか?」
「どうだろうな。この前も俺達に向かってきたけど、見た感じ不器用なだけで表裏はなさそうじゃん?自分に牧野の気持ちが向かないってわかったらあっさり引くんじゃねぇの?」

「陽翔は・・・多分、私には何もしないし、花沢類にもしないと思う。昔からね、卑怯なことは嫌いだったの。今でもそうじゃないのかな、って思ってるんだけど。でも由依さんとの事はどうするのかな。そこは気になる・・・元には戻れないのかしら」

本心を言えば由依さんと陽翔は似合わないような気がする。
陽翔が家庭のことでイヤな思いをしたのなら、それを弾き飛ばしてくれるぐらい元気で明るい人・・・そういう人を見つけて欲しいって思ってる。友達として・・・。


「元に戻る必要はないよ。戻ったとしてもいい関係にはなれない・・・でしょ?解決はお互いでしなきゃね」

花沢類が私の方を見ずにそう言った。
私も西門さんも美作さんも黙って頷くしかなかった。あの2人のことには口を挟めないし相談にも乗れない、何もしてあげられない・・・そういうことだ。

「まぁ、男と女の関係は部外者が出ていく必要はねぇよな。あいつもそこまでバカじゃねぇかもだし?でもさ、齋藤が花沢を恨んでる事は事実だろ?そっちはどうするんだ?あいつ1人が喚いたって何も出来ないだろうけどさ。悪意を持ったまま近くに住んでるってのも気にならねぇか?」

「・・・花沢の事で怒りをぶつけたいなら俺に直接ぶつけてこいって言っといた。それについては今から少し調べようと思ってる」

「なんだ?訳ありか?」
「ん~・・・わかんない。会社のことに深く関わってないから。でも、気になることがあるからさ」

陽翔のお父さんの会社が倒産したこと?
私もよく事情がわからないけど、その倒産の裏に何か秘密でもあるのかしら・・・。この話をしていても彼は無表情のままで、その頭の中で何を考えてるのか全然読めなかった。

私がまだ理解出来ない花沢類の一部分。
それを全部理解してあげられるのはいつだろう・・・って、この横顔を見ながら考えていた。


しばらく4人で世間話なんてものをしながら巫山戯合って、午後の講義開始まであと15分って時に花沢類が私の手を引っ張ってラウンジから出て行こうとした。
2人はニヤニヤしながら手を振ってるし、花沢類は真面目な顔してるし、通り過ぎる人は私と花沢類の手が繋がってるところを恐ろしい目つきで睨んでるし!


引っ張られて連れて行かれたのは音楽堂。
そこの階段をすごい速さで上がりながら、私はついて行ってるって言うより引き摺られてる感じ?何度も言うけど足の長さが違うんだって!階段を3段飛ばしで上がられたらパンツ丸見えになるんだってばーっ!

「ちょ、ちょっと待って?花沢類!手が・・・手が痛いって!」
「あっ・・・ごめん。急いだから」

「どうしたの?まさかこの時間からヴァイオリン弾かないよね?もう講義開始まで10分ないよ?」
「そんなんじゃない・・・あぁ、もうここでいいや!」


へ?ここでいいってなに・・・?
そう思った瞬間、彼にすごい力で抱き締められた。


「花沢類・・・?」
「だってこうしたかったのにあいつらがいるから・・・」


誰もいない音楽堂の階段の途中・・・彼からもらったキスは朝よりも深い気がした。




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2018/06/26 (Tue) 08:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さゆ様、おはようございます(笑)

いい夢が見れたようでよかったです。ふふふ、私の類も総ちゃんもたまにこうやって読者様とお話するもんですから。

で、向日葵の類君ね・・・ホントに切ない恋をさせてしまいました。
でもね、読者様の中にはそんな類君に恋人を・・・って声もあったんですよ。

何処の誰を?・・・想像できない。
だからあの類君はずーっと心の中のつくしちゃんを恋人にしてもらうことにしています。

で・・・(笑)

もちろん、私は悲恋を書くつもりがないのでこのお話しも「雨」も終わり方は決めています。
でもね・・・幸せになる前に必ず事件は起きるもの。ははは。

そこだけ許してくださいね。

コメント、いつもありがとうございます♥

2018/06/26 (Tue) 10:53 | EDIT | REPLY |   
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2018/06/26 (Tue) 13:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

あっはは!こそこそラブる・・・(笑)これ、好きだわ!

今まで焦れったかったのに急に類君が燃え上がってきましたね!
これで少しは書きやすくなったかな・・・いつ頃にしようかな(笑)

でもねぇ、今からは少々雲行きが(笑)

なんたって由依ちゃんがいますからね。
早く隠れてラブる所までいかなくちゃ!

頑張ろうーっ!!

2018/06/26 (Tue) 15:48 | EDIT | REPLY |   

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