FC2ブログ

plumeria

plumeria

「牧野、話あるんだろう?俺は覚悟が出来てるから話せよ」


牧野はすごく落ち着いた眼をして俺を見ている。
俺も同じように出来ているだろうか。いや、出来てねーな・・・やっぱり無理だ。でもここで動揺なんて見せたくなかった。
声が震えてしわまないように、この手が震えてしまわないようにとぐっと拳を握った。

「何を言ってもいいぞ。俺はこう見えてもすべてを受け入れる気でいるからな」

そう言うと少し驚いたような顔をしたが、すぐに元に戻って軽く笑顔を見せた。

「ごめんね。総二郎・・・もう、気が付いてるんでしょう?・・・西門さんって言った方がいい?」



「西門さん」・・・か?あの日の前まではそう言われてたよな・・・
やっぱり・・・そうだったんだな。


「牧野の好きは方で呼んでいいよ。俺は西門さんに戻っちまうのか?それはそれで寂しいな・・・」

「じゃあ、総二郎でいい?もうこの呼び方に慣れちゃったから」

牧野はそう言って一口だけワインを口にした。総二郎って呼ぶことが最後のお前の優しさなんだろうな・・・。


「クリスマスのバラを見たときにね、全部思い出したの。・・・花沢類のことも、その時に総二郎に助けてもらったことも。
早く言いたかったんだけど、自分の中でもすぐに整理が出来なくて・・・そうしたらお正月になって忙しくて・・・
もう随分前から、時々自分がおかしな行動をしてるんだって言うのはわかってたのよ。
ただ、それが何故なのかわからなかったから誰にも言えなかったの。私が聞く声が類のものだっていうのも
思い出した日に気が付いたの」

なんでそんなに落ち着いてんだ?俺が微かに震えてるってのに。
喉が渇いて仕方がなかった・・・すごく俺の方が緊張してるんだ、この話の続きに・・・

「総二郎に全部話したら、やり直せるんじゃないかって思って・・・今から話すこと聞いてくれる?」

やり直す?誰と、何をだ・・・?あいつなら結婚してるんだぞ?


「牧野が思い出したかもしれないってのは少し前から感じてたよ。それで?やり直すってなんだ?」

冷たく言い放っているような言葉に牧野が悲しそうに笑う。
それでも俺はこれが精一杯だった。久しぶりにこいつの前で『西門総二郎』の仮面を付けた気分だ。


「私の事なんだけど、誰かに見られてる気がしたりあの離れに自分の意思とは関係なく向かったりしてるでしょ?
おかしな話なんだけどそれが類に呼ばれてるって感じるの。・・・これって病気なのかな・・・?」

「・・・病気って言えばそうかもしれないけど、精神的なものだろうからな」

「どうしたら・・・これから解放されるのかな。それが治れば私のことで総二郎に心配をかけずに済むと思うの。
こうやって思い出したことを人に話したら、何かが変わるんじゃないかって思ったんだけど、そんな簡単なこと
じゃないのかな?」



牧野の話がつかめなかった・・・ちょっと待て!今、なんの話をしてるんだ?

「ちょっと待ってくれ!確認していいか?」

「何を?」

「お前、類のことを思い出したって・・・それで今はどうなんだ?類の事をやっぱり諦めきれないのか?」

「・・・総二郎、どうしてそう思うの?」

キョトンとした顔で俺を見ている牧野に、今思っていることを話した・・・と言うかパニックに近かった。

「俺はお前と類がどれだけ想い合ってたか知ってるからな。類がどれだけ長いことお前を見てたか、お前が
類といたときにすげーいい顔してたのも見てきたんだ。それなのにお前が記憶を失ったとき、その隙間に
入り込んだのは俺だ!例えお前が俺を恋人だと思い違いをしてたとしても、それを訂正することもなく・・・」

一度ワインを口にしてなんとか冷静さを取り戻そうとした。

「俺はお前をここに住まわせて、西門の仕事をさせて連れ回して・・・挙げ句の果てはこの間あんな席でお前を
西門に縛り付けようとしたんだ・・・」

ワインを一気に飲み干して・・・顔を伏せた。そうだ・・・俺はずっとこれが怖かったんだ・・・!
牧野が記憶を取り戻したときに自分がした行動を全部知られてしまうのが・・・!


「お前が記憶をなくしたのをいいことに無理矢理自分の方に向かせたんだ・・・。初めはそんなつもりはなかった。
きちんと類の事をケリつけてくれるまで待とうと思ったんだ。でも、お前が総二郎って呼ぶようになったら、もう押さえて
いられなくなった・・・守りたいと思ったのも大事にしたいと思ったのも・・・一緒に西門を継ぎたいと思ったのも事実だ。
このまま何も思い出さないでくれって願ったのも・・・それも事実だ」

話があるのは牧野だったのに、自分の浅ましさをぶちまけていた。


「総二郎・・・私はここにいるよ?」


顔を伏せたままの俺に牧野が声をかけた。
ゆっくりと顔を上げるとそこにはいつもと変わらない牧野がいた。

「総二郎、私が何を話すと思ってたの?私はここにいるじゃないの。何のためにこの間お披露目してもらったと
思ってるの?今話したでしょう?あの時はもう思い出してたのよ?嫌だったらすぐにやめてるよ」

「お前が何を話すって・・・ただ、今までのことを無かったことにしたいって言うと思ってた・・・」

普通はそうだろう・・・思い出したらその前の状況に戻りたいと思うだろう?
それなのに俺は引き返せないような所までお前を引っ張り込んでんだぞ?
何でそんなに笑ってんだよ・・・何でそんなに変わらないんだ?俺の事を許せないはずじゃないのか?


「牧野・・・それじゃあお前は俺を選んでくれるのか?類じゃ・・・なくて?」

「今日話したかったのは、私が思い出したことと変な行動をどうやったら治せるかの相談だったのよ?
誰を選ぶかなんてのは考えてもなかったよ。もう・・・私はここに住んでるんだから・・・そうでしょう?
やり直すって言うのは、ここでの生活の事よ。記憶が戻ったから、また初めからやり直したいって・・・」


俺の横に座って、呆然としている俺をその両手で抱き締めてくれた・・・


「総二郎のことを愛してるの・・・こんなに弱い総二郎は初めてね・・・」



ーーーーマキノ、オモイダシテクレタンダネ・・・デモ、ダレヲミテルノ?ーーーー

ao12.jpg
関連記事

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/04/12 (Wed) 15:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

W様、こんにちは🎵

いつもありがとうございます。
ハラハラさせてすみません。

今から、まだまだ戦っていただきますよ?総二郎を応援してくださいね。

類君は今はこんなですけど、頑張りますから‼
なにを頑張るのかは、待っててくださいね。

終わりが近いけど、もう少しお付き合いくださいね。

今日もありがとうございました‼

2017/04/12 (Wed) 17:05 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply