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「なんで?ど、どうしてそんなっ・・・いや、あの・・・!」
「あはは!いいじゃん、別に。俺達は気にしねぇし。わかりやすかったからさ・・・意外と目立つところに類もやるなぁってさ!」

そう言ってグイッと助手席から後ろに伸びてきた西門さんの指は私の首の後ろ側を指してる。
そこに手を置いたら「そこそこ!」って・・・うそっ!こんなところにもあったっけ?

「牧野が髪をサイドアップしてるから丸見えだっての。何人か気が付いたんじゃねぇの?誰がつけたのかは言わなくてもさ」
「ホントにっ!マジで?やだっ・・・ここは気が付かなかった・・・どうしようっ!」

「・・・ぷっ!」
「・・・え?」

美作さんが噴き出して西門さんがクスクス笑った。そこでハッと気が付いた・・・もしや、騙された?!

「あっ!ちょっと今の・・・うわっ、信じられない!騙したでしょ!」
「あっはは!すっげぇ簡単に引っ掛かるんだな!マジ、面白い!!」

「なんてことするのよーっ!!誰にも・・・誰にも言わないでよっ!」
「え?隠すことなの?いいじゃん、恋人ならさ。しない方が不自然なんだから」


いや、美作さん・・・そんなに綺麗な顔して真面目に言わなくても。
すごいものを連続して見たばっかりだと思ったら、いきなりそんなことを言われて大パニック・・・いまだに隠してる首元を見て、西門さんが「何もついてねぇぜ?」ってまた笑った。

「お前ら、俺達に報告したときはそうじゃなかっただろ?どうしてかなぁ・・・わかるんだよな、俺」
「えっ!どうしてわかるの?何も言わなかったのに?」

「類に変化はないんだけど、やっぱ女は少し変わるんだよな。なんか、こう・・・色気っての?女になったんだなぁってさ!」
「きゃああぁーっ!やだぁ、そんな言い方しないで!西門さん、最っ低!!」

「え?いつまでも子供だと困るだろ?それじゃ、うちに行こうか」


・・・クールな美作さんは車を出した。

車が動き出したら西門さんも表情が元に戻った。
どんどん遠ざかっていく類の家・・・暫く走っても見えてるそのお屋敷はまるで冷たい要塞みたい。簡単には入れそうになくて身体が固まってしまった。
いつか行くことがあるんだろうか。類と一緒に・・・あの家に。


そしてほんの少し車を走らせたら今度はまるで植物園のような花が咲き乱れたお屋敷に着いて、今度はそこの門から中に入っていった。
見たこともない大きな玄関・・・そこには既に1人の上品そうな男性が出てきてて、美作さんの車が停まったらすぐに横にやってきた。

「お帰りなさいませ、あきら様」

そんな声が窓の外から聞こえて来て、彼が車を降りたら一礼してその車に乗り込んだ。西門さんも美作さんと同時に降りたけど私はその光景に驚きすぎて動けなかった。

「・・・失礼ですがお嬢様。宜しいでしょうか?」
「お嬢様?・・・あぁっ!ご、ごめんなさいっ!!」

急いで降りたらまた美作さんに縋り付くようにして西門さんが笑ってる。それに腹が立って背中を叩いたら、美作さんが「こら!レディがそんな事するな!」って小さな声で怒った。

レディ?・・・こんなお屋敷に入ったら私もお嬢様やレディの仲間に入っちゃうの?


「それではガレージにお戻し致します」
「2時間したら乗って出るからまた出しておいて」

「畏まりました」

美作さんが「中に入って」って言うと同時に、今乗っていた車はお屋敷の裏の方に移動していった。
なんなの?自分でしないで他の人がこうやって車をガレージに?これがこの人達のやり方なの?・・・自分ではしないってこと?

「驚いた?そういう世界なの。何でもかんでも使用人が全部後始末するってわけ。好きでやってるわけじゃないけどね」
「そう・・・なの?類の家もこんな感じ?」

「そういうこと。中に入ってみな。少しは味わえるから」


ここは類のお屋敷じゃない。
美作さんの自宅だ・・・怖がることはない。そう思っても、類の家と大差ないこのお屋敷もまた・・・恐怖だった。
すごく大きくて装飾も派手な正面玄関の扉、そこの前に立つと言葉も出してないのに内側からドアが開いて、そこにはすごく可愛らしいメイド服のような格好をした人がズラッと並んでいた。

思いもしなかった光景に思わず後ろに仰け反ったら西門さんに体当たりして、身体を支えられ「アホか!」って睨まれた。

「お帰りなさいませ、あきら様。本日は西門様がご一緒なのですね?あら・・・失礼しました、お嬢様もおいでなのですね」
「あぁ、大学の後輩。悪いけどリビングにいるから適当に準備してくれる?」

「畏まりました。奥様がおいでですけどいかが致しましょう?」
「・・・面倒だから放っておいて。牧野、こっち・・・おいで」

「・・・え?あぁ、はい!お邪魔します・・・」

メイド服の中でも少し年配の人がいる。
その人がにっこり笑ってるけど目が怖かった。まるで私の全身を品定めでもしてるみたい・・・ゾクッとして立ち止まったら西門さんがフォローしてくれた。

「気にしなくていいよ。この子は俺の彼女。あきらのじゃないから。そんな目で見ないでやって?怖がるからさ」
「あら、それは申し訳ございません。西門様の・・・ほほほ、そうでしたか。愛らしい方ですこと」

「そういうこと!じゃあ宜しくね」
「畏まりました。すぐにお飲み物を準備しますわ」

そういうこと?この人は私のことを美作さんが連れて来た女の子だと思って・・・それであんなに怖い目で見ていたの?素性がわからないから?


これが類の家だったらどうするんだろう。
その時も「友達の恋人だから」・・・そんな言葉で終わらされたら・・・?

いや、そんな事はない。類を信じなきゃ!

私は「よし!」と気合いを入れて西門さんと並んで美作さんのお屋敷の奥に向かった。


*************


すごい勢いで引き留められるかと思ったらあっさり今日は帰れと言われたことに少しだけ拍子抜けしていた。
新しく用意してもらった車に乗り込んで寮まで帰って、まだなんの物音もしない牧野の部屋の前を通り過ぎた。

カードキーを翳して自分の部屋に戻り、そのまま車のキーをそこら辺に放り投げてベッドにダイブした。

ちょっとだけ・・・牧野の香りが残ってる。
そんな気がして胸がザワザワとした。

時間はまだ昼過ぎ・・・牧野はどうしてるだろうかとそればかりを考えた。
早く抱き締めたくて、早く顔が見たくて・・・早く声が聞きたい、そう思うとベッドに残った香りの中に踞るようにして身体を丸めてた。


その時に電話が鳴った。
ビクッとして名前を見たら・・・発信元は橋本さん。

火事の翌日から声を聞いていない・・・昨日わかった事実をまだ説明出来る段階じゃないのに、そう思うと電話に出ることが出来なかった。
やがて電話は切れてしまって部屋は静かになり、俺は何故か彼から”逃げた”気分になって胸が苦しかった。

数分間スマホを持ったまま暗くなった画面を見つめていたけど、勇気を出して自分から電話をかけた。
責められるのならそれも受け止めなくてはいけない。事実は変わらない・・・あの橋本さんがぶつけてくる言葉なら、それを全部受け止めようと思った。

牧野にその言葉が向けられないように、俺が全部受け止めようと。


スマホを耳に当てていたら数回のコールの後に橋本さんの声が聞こえた。

『もしもし、類君?悪かったね、大学だったよね?忘れててさ、ごめんごめん!』
「え?橋本さん・・・俺は今日は用があって休んでたからいいけど」

『え!休んでるのかい?そうか・・・あのさ、良かったら店まで来られないかな』
「・・・これから?いいけど・・・」

『悪いね。待ってるよ』


橋本さんの声は思ったより明るかった。
どうしたんだろう・・・逆にその明るい声が恐怖を感じさせたけど、また車のキーを手に持って寮を出た。



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2018/07/22 (Sun) 13:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

水香様、こんばんは。

コメントありがとうございます。
そんなに怯えなくても・・・(笑)怖いことはもうないですから。

橋本さんのキャラ崩壊するじゃないですかっ!いい人なんですからやめてくださいよ(笑)

そうですねぇ、多分半分ぐらいじゃないかと思いますよ。
まだ打ち込んでないからわかんないけど、これからはガラリと話が変わりますから。
ベランダが良かったですか?

そうか・・・でも、もう類君が離さないと思うので302号室に戻りそうにないけど(笑)
大喧嘩でもさせましょうか?あはは!

そのうち復活するかもよ?待っててくださいね!

2018/07/22 (Sun) 20:27 | EDIT | REPLY |   

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