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plumeria

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「待って・・・類、待って!どうしたの?ねぇ・・・」

「なんで待つの?待つ必要なんてないじゃん。俺達は愛し合ってるんだから・・・」

「え?そうだけど・・・だけど、こんなのって」

「こんなの?へぇ・・・牧野はどういうのが好きなの?いつもと違うこと・・・してみたいでしょ?」


類の手がゆっくりと私の首に掛かった。
でも、力を入れてるわけじゃない・・・いつ、この手に力が入るんだろうってドキドキした。
だから裸の類の胸をドン!って1回叩いた。こんな事・・・したこともなくて怖かったけど。

でも全然類は動かなくて、それを痛いともなんとも言わなくて・・・ただ無表情で私のことを見下ろしていた。


「類、私は違うこととか変わったこととかしたいわけじゃないの。いつもの類が好き・・・ね、やめてよ、類・・・」

「俺にやめてって言うの?恋人でしょ・・・やめないよ」

「じゃあ・・・この手を退けて?お願い・・・類、こんな所に手を置かれたら怖いよ・・・」

「くすっ・・・怖がる牧野の顔も好きだよ。その怯えた目で見られるとゾクゾクする・・・」


その類の顔・・・外からの月明かりでぼんやりとしかわからないんだけど、怖いほど綺麗だった。
いつもよりももっと・・・もっと・・・1度目を合わせたら外せないくらい。磁石みたいに私の目は類の瞳を見つめていた。

ほんの少し指に力が入った・・・その瞬間、私は思いっきり類の胸を数回叩いた!


「やだっ!こんなのはやだぁっ!類、やめてぇ!!」

その声が部屋中に響いたとき、ビクッとした類の手が私の首から離れた。
それと同時に噎せ返って咳き込んだら、類は少し私から身体を離してすごい顔で見下ろしていた。

まるで自分のしたことがわかってないみたいに・・・。

そして自分の手を見つめて目を大きくさせた。その指先が震えてる・・・私は何が起きたのかわからなくてただ自分の口元を押さえていた。


「・・・・・・えっ?・・・あ、牧野・・・?牧野、大丈夫?」

「ごほっ・・・は?類・・・?」

急に類が普通になった・・・って言うか今までの類に戻った。
そして私の上から飛び降りるように移動して横に座った。私はその後も何度か噎せて咳き込んで、類は背中をさすってくれた。

「ごめん・・・牧野、俺・・・何かしたの?」
「何かって、類、覚えてないの?」

「覚えて・・・いや、牧野を抱こうとしたのは覚えてる。誰かが言ったから・・・」
「誰かが?誰が何を言ったの?」

「・・・え?それは・・・」



*************



今・・・俺は何をした?

俺の下には涙を流しながら震えてる牧野がいて、俺は何も着てない状態で牧野の上に馬乗りになって・・・今、俺の両手はどこにあった?牧野の首・・・そこにあったのか?

怯えた目で俺の事を見てる・・・牧野にこんな顔をさせたのは・・・俺?


驚いて牧野の上から降りて、咳き込んだ牧野の背中をさすった。
たった今、この僅かな時間に自分が何をしたのかがわからない。空白の時間のように何も記憶に残ってなかった。

そう・・・見たものは覚えてないんだ。
覚えてるのは・・・ここでも頭に直接入ってきた声。


牧野は俺に「何も覚えてないのか」って聞くから正直に言うしかなかった。

「抱こうと思った事は覚えてる。誰かが言ったから」
「誰かが?誰が何を言ったの?」

「・・・え?それは・・・」

牧野はローブを羽織って涙を拭きながら俺の横に座った。その顔は怒ったようじゃなくてとても心配そうに。
俺の頬に手を当てて瞳を覗き込んだ・・・そして、ホッとしたように顔が緩んだ。


「・・・類の目だ。さっきね・・・少し赤く光ったから類じゃないみたいだった。ふふっ、私の見間違い。よかった・・・」
「怒ってないの?・・・牧野、俺・・・少し強引だったんでしょ?」

「うん、そうだけど・・・もう気にしない。普通に戻ってくれたらいいんだ。寝ぼけて誰かの声でも聞いたんでしょ?夢の中で私じゃない人が出てきてたの?」
「牧野じゃない人・・・どうだろう、牧野の声じゃなくて・・・」

「えっ!やっぱり私じゃない人の夢でも見たの?それは許せないかも!」
「そんなんじゃないよ・・・多分、いつもと違う場所だし、少し酒が残ってたのかも。ごめんね・・・」

怯えられたらどうしようかと思ったけど、牧野を抱き寄せたら素直に腕の中に入ってきた。
だから優しく抱き締めて、今度は軽めのキスをした。

すぐに離したら「類が怖がってる!」って牧野の方がクスクス笑って。

俺もローブを羽織ってそのまま横になった。
牧野はもう安心したのか俺の腕の中で寝息をたててる・・・その髪を撫でながら自分の夢のことを思い出していた。


誰かが囁いたんだ。覚えているのはその声だけ・・・。
俺がベッドに横になってウトウトしたときに・・・頭の中で誰かが囁いた。


『隣にいる女が邪魔をするの。類・・・その女を消してくれない?優しくキスするフリをして・・・そのまま息を止めてあげて・・・』

『そんな事は出来ない。彼女は俺の恋人だし大切な人だから・・・』

『類の大事な人は私だけよ・・・ね?その女は要らないでしょ?愛してるのは私の方よ・・・もうずっと前から・・・』

『俺はあなたを知らない。あなたが誰だかわからない・・・』

『思い出したいでしょう?それには・・・類だけでいいの。他の人は・・・ここにいてはダメ・・・わかるわね?』


『俺だけで?・・・』


『そう・・・だからその女を・・・』


その声はすごく甘い声だった。
まるで催眠術にでも掛かったかのように俺の身体は動いた。

心の奥で止めようと動く俺自身もいたのに、それさえも制御して俺の身体をコントロールしたその声・・・。
その声はさっき庭で俺を呼んだ声だった。



『・・・途中でやめちゃったのね・・・類・・・』



「・・・誰だっ!!」

不意に聞こえたその声に向かって大声を上げた。
だけど誰もこの部屋にはいない。


閉めていたはずの窓が開いていて、生温い風が入ってきた。



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2018/08/23 (Thu) 15:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは🎵

yuka様 こんにちは。

はい、申し訳ございません💦
だって取り憑かれてるんだもん・・仕方ないってことでお許しください(笑)

ちゃんと気が付く当たり、そこが愛でしょ?
普通はひと思いにやってますって!

え?それは怖い?あはは!ご尤も!

いくら私でもそこまでは書きませんっ!キリッ!



まだ・・・続くかな?ごめんなさいね!

2018/08/23 (Thu) 15:43 | EDIT | REPLY |   

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