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総二郎にすべて話したら少しは気持ちが楽になった。
けれど、いつまた自分がおかしくなるかわからなくて、その不安だけは消えない。

本当にこんなことってあるんだろうか・・・類が私を呼ぶ事なんて。
私に聞こえるように話しかけてくるなんて・・・類はフランスにいるのに・・・。
私が知らないことと言えば、現在の類の様子だった。

総二郎は知っているのかもしれないけど、それを聞く事はどうしても出来なかった。
第一、私が知ってもどうしようもないことだから・・・もう類はあの人と結婚したんだから。
あれからはどうしているんだろう。あの金髪の女の人を大切にしてあげてるの?幸せにしてるの?

いや、多分類はあの時から何も変わってはいなくて、幸せになどなっていなんだろう・・・
だって、幸せなら私が類の声を聞くはずはないもの・・・


自分のお部屋でおば様からいただいた婦人会の春の催しについての資料をぼんやりと眺めていた。
そうか・・・これも今度からはおば様について、私も主催者側になるんだ・・・なんだか変な感じ。


******


「牧野、ちょっといいか?」

「どうぞ・・・あれ?今日は・・・今の時間って家元の代行で茶事があるんじゃなかったの?」

総二郎がどこかへ出かけるような支度をして部屋に来た。それは茶事の着物じゃなくて、普段の遊びに行くような格好・・・。

「お袋が替わってくれたんだ。お前をどこかへ連れて行ってやれってさ。せっかくだから行かないか?
年末に話してただろ?年が明けたら旅行にでも行こうって。旅行ってのは無理だけど、鎌倉にうちの別邸があるから
そこに行かないか?丁度お前も雪が見たかったんだろ?」

「鎌倉に?うん・・・行こうかな!雪が積もってるの?」

「らしいぞ。じゃあ、車の準備しとくから支度しとけよ。帰るのは明日の午前中だから」

おば様が気を遣って下さったんだろうな。
お言葉に甘えて出かけることにした。鎌倉の別邸はお家元のお気に入りで手入れが行き届いている純和風の
お屋敷だって聞いたことがある。前から一度行ってみたかったからとても嬉しかった。

総二郎が車を運転してくれて、その途中は仕事のことでもなく類の事でもなく・・・ただ他愛もない会話をした。
総二郎も何か私に話したいことでもあるんだろうか・・・少し様子がおかしい。

この別邸で何かを言われる予感がした。


******


鎌倉の別邸に着いたら、そこには住み込みで管理をされているご夫婦がいて、夕食の準備をしてくれていた。

「わぁ・・・さすがお家元がお好きなだけあるわね。すごく綺麗なお庭じゃない?本邸によく似てる」

「そうか?ここは昔はよく来たんだけど最近は来てないな。でも昔っからこんな感じだな。中々いいところだろ?
ここの管理をしてくれてる人の料理もすっげー美味いぞ?」

今来た道路にはそんなに雪はなかったけど、ここの庭には雪が積もっていた。
それがお庭の池や木にも積もっていて、いかにも冬らしい・・・とても綺麗な景色だった。


「若宗匠、お久しぶりですね。今回はこちらのお嬢さんとお泊まりですか?いいですなぁ!」

その管理人さんが挨拶に来てそう言ってけど・・・今回は?今回はってどういう事?

「木元さん!勘違いされるようなこと言わないで下さいよ!ここに女性を連れてきたのは今日が初めてでしょ?
こちらは牧野つくしさん。もう家元にお許しをもらっている方ですから、これからは宜しくお願いしますね」

「あぁ、そうでしたか!申し訳ないことを言いましたね。若宗匠は噂が絶えない方だったからねぇ。牧野さんと言うのですね?
ここの管理をしております木元です。若宗匠とのお付き合いも大変でしょうが、こう見えて優しいいい男ですから・・・
でも、しっかりと見張っておきなさいよ?」

「はい。そういたします。木元さんも噂を聞いたらすぐに教えて下さいね?」

「ほぉ~!これはなかなかお話しの出来そうなお嬢さんですね。お家元もこんなお嬢さんはお好きでしょうよ!
いい方を見つけられましたねぇ。今日はゆっくりとしていって下さいね」

総二郎は苦笑いしてるけど、この人本当にこんな所まで噂が広まってるなんて・・・。

木元さんが用意して下さった夕食は一流の料亭で出されるような綺麗な盛り付けで上品だった。
もちろん味も最高で、総二郎に教えてもらいながらその会席料理をいただいた。
お稽古じゃないから、普通に話ながら食べるんだけど総二郎は色んな事を知っているから食べ方や
その順番を説明してくれる。


でも、やっぱりどこかが違う・・・。
時々見せる悲しそうな表情が、総二郎が何かを悩んでいることを教えてくれる。

食事も終わって、お風呂も済ませてからお部屋に戻ると総二郎は黙って窓の外の雪景色を見ていた。
私には何も言わずに、ずっと睨み付けるように見ている。


「総二郎・・・何かあったの?私に話があるんじゃないの?」

思い切ってそう声をかけると、総二郎は私の方を見ずに答えた。


「お前に一つだけ・・・まだ言ってないことがあるんだ」

「言ってないこと?どんなことなの?・・・悪い話なの?」

総二郎が私の方に向き直った。その思い詰めたような表情で次は何を言うの・・・?

「クリスマスの日にバラが届いただろう?実はお前宛にもう一度プレゼントが届いていたんだ。誕生日にな。
もちろん送り主は類だった。それを・・・お前に見せずに俺が処分したんだ」

「何が届いたの?今度は・・・何が?」

「ロイヤルブルーのドレスだ・・・あの時と同じようなドレスが届いたんだ」


その話を聞いたときに一瞬・・・身体が強張って固まった・・・そしてすぐに震えが来た。
ブルーのドレス・・・私が着て、類と行くはずだったパーティーの・・・あの時と同じドレス?

「うそ・・・そんなものを送ってきたの?どうして?」

「わからない。でも届いたのは事実だ。それを黙って処分したのは悪かったと思ってるが、どうしてもお前に見せる
気にならなかったんだ。でも、記憶が戻っても俺を選んでくれたなら・・・話しておこうと思ったんだ」

「処分したのはもういいよ。私も受け取れなかったと思うし・・・」


私がそう言ったときだった。

いきなりものすごい風が吹いて窓ガラスが大きな音をたてた!何かが窓にぶつかったかのような音に驚いて
総二郎が私の側に寄ってきた。ガタガタと窓ガラスが今にも割れそうな程揺れている!

「きゃあああっ!なにっ!何の音っ?!」
「牧野っ!こっちに来いっ!窓から離れろっ!」

それでも鳴り止まない音と風にびっくりして立てなくなった。総二郎の腕にしがみついて震えていた!
吹雪のような音と、木に枝がぶつかり合うような音とまるで何かが爆発でもしているかのような音が
重なり合って、2人で耳を塞いだ!


それでも、その轟音の中・・・はっきりと聞こえた声があった。


ーーーーソウジロウ、アレハマキノヘノプレゼントダヨ?ーーーー

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Comments 6

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2017/04/14 (Fri) 12:45 | EDIT | REPLY |   
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2017/04/14 (Fri) 13:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

えみりん様、こんにちは🎵

怖くないから‼大丈夫ですよ。類だもん。
どんな姿でもウェルカムしましょう!

窓ガラスを叩き割って飛び込んでくるかも!
そして、雪合戦始めてみたりして。

いつも楽しいコメントありがとうございます🎵

2017/04/14 (Fri) 16:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花様、こんにちは❗

そんな伝説ができましたか?
そりゃ、大変❗

もう一人呪い殺される人を作ってしまった?
おかしいなぁ…私、類も大好きなのに、何故こんなに
彼を突き落としたんだろう。

こんなはずではなかったのに、書いてたら意外と恐いことになったんですよね。
確かに、吹雪の中にニヤリと笑う類がいたらひくかも。

でも、まだまだっ!ここからですよ?

良かったらまた、来てくださいね🎵

ありがとうございました❗

2017/04/14 (Fri) 16:46 | EDIT | REPLY |   
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2017/04/14 (Fri) 18:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: るいるい…

もも様、こんばんは🎵

はじめまして。そしてありがとうございます❤

類がお好きですか?
私もこんなこと書いてても類が大好きです❗

決して類を死なせたりはしませんから、最後まで
お付き合いくださいね。

こんなになるくらい、つくしちゃんが好きなんですよ。

あしたは怖いかな?
でも、大丈夫!お待ちしております。

今日はありがとうございました❗

2017/04/14 (Fri) 19:04 | EDIT | REPLY |   

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