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「ちょっと、ちょっと!待ちなさいよ、西門さんっ!」
「・・・なんで?俺、早く着替えてぇんだよ。暑苦しいし」

「そうじゃないでしょう!どこ行くのーっ!」
「・・・だから俺の部屋。ここの最上階にいつでも泊まれる部屋を持ってるから」

最上階に部屋?
ってことは私と同じ日から同じ階に泊まってたっていうの?!嘘でしょーっ!


このホテルのロビーを羽織袴がズンズン進んでいって、私は再びこのホテルに戻ってきた。
フロントにいる金髪のお姉さんがチラッと見たような気がするけど慌てて顔をそらして、西門さんの陰に隠れようとするけど「くっつくな!暑苦しい!」と撥ね除けられた。

「だって、私はさっきここを出ていって、本当なら頼んでたシャトルバスで空港に向かってるはずだったのよ?フロントにいた人が不思議そうな顔してたもん!恥ずかしいじゃないの!」
「引ったくられたんだから仕方ねぇだろ?それとも野宿するのか?」

「誰もそんな事は言ってないけど、もう少し優しい言葉はかけられないの?なんでそんなに意地悪なのよっ!」
「あー・・・余所見してる女は苛めたくなるもんなぁ。そういうことじゃねぇの?」


「・・・は?余所見って?」

その時にエレベーターが開いて西門さんはその中に入って行った。
私は今の言葉がよくわかんなくてポカンと口を開けて立っていたら「閉めるぞ」って睨まれて慌てて飛び込んだ。

エレベーターの中は2人きり・・・チラッとまた横目で見たけど・・・やっぱり格好良かった。
横顔だから少し長めの前髪で顔は隠れてるんだけど、そこから出てる鼻の高さが日本人じゃないみたい。自分の鼻を確認したら・・・日本人だなって思った。
いつも思うけどすごく色気のある唇なのよ・・・形もいいし厚みも程よくて・・・って、何考えてんの!

見ちゃいけないと思って西門さんと離れて立って目を閉じた。
あんまり近くにいるとあの香りがしてきてクラクラする・・・そんなアホな姿を晒すわけにはいかないもの。だから目を閉じてエレベーター着くのを待っていた。


「・・・おい」

「・・・はい?」

急に声が聞こえたから目を開けて横を見たら・・・西門さんの顔が目の前15㎝の所にあった!!

「きゃああぁーっ!何よ、何でそんな近くにいるのよっ!は、離れなさいよっ!」
「・・・いや、着いたんだけど」

は?と、扉の方を見たら見慣れた最上階のフロアが広がっていた。西門さんが片手でドアを押さえて閉まらないようにしてくれてて、でもその顔は怒ってた。
今度は急いで飛び降りて、その後で溜息つきながら彼はエレベーターを降りた。

「・・・何ぼーっと寝てたんだよ!降りねぇからまた下に行く気かと思った」
「・・・ごめんなさい」


道明寺の部屋はエレベータを降りてから左側の奥だったけど、西門さんの部屋は右側の奥だった。ここでも私のことなんか無視して進んでいく西門さんの後を必死に追いかけて、そこの部屋に着いたらカードキーでドアを開け彼は中に消えて行った。


この中に入って無事に出てこられるのかしら・・・怖くて入れないんだけど。


**


部屋の中は道明寺の部屋と大差ないぐらい広くて、反対側だから見える景色が違うくらい。
無駄に広いリビングに大きな窓・・・またこの景色を見るとは思ってなかった私は窓辺に張り付いて昼間のマンハッタンを見下ろした。すぐ横にはキングサイズのベッド。
それを見た瞬間ドクン!と心臓が・・・いやいや、いくら何でもこんな部屋にはゲストルームがあるんだから一緒に寝るってことはないわよ。

それに西門さんが私にそんな要求するはずがないわ。
今まで何度もご飯食べに行って夜遅くなっても1回だってそんな話になったことないもん。多分、彼は私のことを女だとは思ってないはず。友達・・・だといいけど、下手したら性別不明かもしれないわ。

そんなことを悶々と考えながらそこを見ていたら西門さんが奥の部屋から出てきた。

着物を脱いでジーンズにシャツ姿。でもシャツの前を結構開けてるから漏れ出す色気が半端なかった!そこに光ってるのはゴールドのネックレス。ちゃんと耳にもピアスがつけられててさっきまでの凜々しい男から妖しいお兄さんに変わってしまった。

「なに?そんなに見つめるほどいい男?俺」
「・・・バカじゃないの?自分で言わないでよ!」

くくっと笑いながらベッドルームに行き、そこでごろんと横になった。

しばらくしたら小さな寝息が聞こえてきた。
まさか寝ちゃったの?ってそーっと傍まで行ったら西門さんはホントに寝ていた。

「うわ・・・初めて見る、この人の寝顔。睫、長いんだね・・・えっと、何かお腹にかけなくてもいいかしら。大丈夫かな、寒くはないけど」

周りを見たけど何もなかった。
だけど最高級ホテルで空調管理は完璧。風邪を引く季節でもないからそのままにしておいた。

人の寝顔を見てたら自分も眠くなるのはなんでだろう。
私も急に睡魔が来てベッドルームから離れてソファーに倒れ込んだ。朝からの緊張で疲れてたのか、泥棒を追いかけて疲れたのか・・・それとも西門さんで疲れたのか。

とにかくここで一晩寝たら日本に帰れる。
どんなに怒られても強い味方がいるから平気・・・そう思ったら私も完全にダウンした。




そして目が覚めたのは夕方・・・自分の顔に夕日が当たって眩しくて目が覚めた。

「あれ・・・もしかしてすごく長いこと寝てた?今何時だろ・・・西門さん?」

身体を起こしたけど西門さんの姿はなかった。
ほんの少し乱れたベッドには誰もいなくて、部屋にも人がいる気配はしなかった。途端に・・・怖くなった。
西門さんにまで置いて行かれた?私、こんな知らない土地で1人になった?

急いでソファーから立ち上がって、外に行ってみようとドアを開けようとしたら、バン!と逆にドアが開いてびっくりして後ろに倒れ込んだ!

「・・・何やってんだ?そんなとこで寝るな。踏むぞ」
「誰も寝てないわよっ!起きたら西門さんがいなかったから・・・それで!」

「寂しくなって探しに行こうとしたのか?今度は盗るものないから身体ごと持っていかれるぞ?」
「・・・か、身体?なんてこと言うのよっ!」

「この国には色んな趣味の人間がいるから東洋人の子供が好きってのもいるかもしれねぇぜ?」
「・・・こ、子供?」


ムカつく・・・!

でも西門さんの手にはいくつかの袋があってそれをソファーに投げるように置いたら「着替えろ!」って一言。

恐る恐る袋の中を見たら・・・そこにはドレスがあった。
少し大人っぽいターコイズのドレス。それにヒールの靴とバッグ。加えて高級感溢れるメイク道具が一式。

もうひとつの袋にはカジュアルな感じの服が数点・・・それにご丁寧にめっちゃ可愛い下着の替え。
でも、なんでサイズが当たってるんだろう?


「今から飯食いに行くから。その格好じゃどの店にも入れねぇし」
「・・・でも、私こんなの払えないよ」

「誰がお前に払えって言ったよ。これは男の仕事だから気にするな」
「そんなのいいよ、私は何処かで買って来るから・・・あ!」


「・・・無一文のくせに」
「そうでした」



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2018/07/29 (Sun) 14:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

ふふふ、だんだん総ちゃんの気持ちがわかってきましたかね・・・。
ここでは完全に鈍感つくしですので総ちゃんも大変なのよ。

素直にこの後帰ればいいけどねぇ・・・。

実は総ちゃんが遊んでしまいますのでもうちょっとアメリカが長引きます。
日本が遠いなぁ(笑)

喧嘩と違って総ちゃんが怒鳴らないので私の方がストレスが溜まる・・・(笑)

2018/07/29 (Sun) 21:48 | EDIT | REPLY |   

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