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plumeria

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夕食が終わったらまたリムジンでホテルに戻った。
あれ?・・・飲みに行くんじゃなかったの?って思ったらここのホテル内のバーに向かうと言った。

さっきのフレンチレストランでも少しお酒が出されたから、それだけで脚がふらついてるのに・・・そう思うけど逆らうことも出来なくて西門さんの腕を掴んでそのバーに入った。

そこはオレンジ色の間接照明だけの薄暗いお店で、いつものように夜景を見ながらじゃなくてカウンターで。
座っている人はみんなお洒落で落ち着いた大人ばかり。彼と入ったら数人が振り向いて私たちを見てる・・・いや、西門さんを見てる。この色気はやっぱり世界に通用するのね・・・。


西門さんの隣に座ったら「希望はあるか?」って言われた。
格好いいバーテンダーさんは私を見てニッコリ・・・でも、その周りに沢山あるお酒の銘柄も種類もさっぱり。「メニューってあるの?」って聞いたら凄く呆れた目で見られた。

知らないわよ!メニューがあるお店にしか入ったことがないんだもん!

「あのさ・・・この私がこんなお店に入って注文できるほどお酒に詳しいと思ってるの?わかってるよね?」
「くくっ、まぁな。でも聞くのもマナーだと思ったからさ。じゃ、俺に任せるか?」

「・・・軽めのね。強いのとかダメだよ?それもわかってるだろうけど」
「子供だからな」

西門さんはバーテンダーにカクテルを注文していたけど、勿論私にはわかんない。
私は西門さんの右隣・・・右手に光る指輪にドキドキしてる・・・。こんなの見慣れてるはずなのに、いつもと違う雰囲気だから?それとも何か・・・別の事を想像してる?

さっきのレストランの言葉・・・『言っとかないと心の準備が出来ねぇだろ?牧野、経験少ないから』・・・あれ、どういう意味なんだろう。このお店の後に何か起こるの?・・・いや、ダメダメ、想像しちゃ!

そして頼んでもないけど目の前で生ハムのような塊が出てきてそれを削いでお皿に綺麗に盛り付けて出された。
それが何度か食べたことがある生ハムとは全然違う!香りが豊かで噛むと鼻の奥にふわっと広がって・・・思わずに笑顔になったら
「やめろ、恥ずかしい」とまた睨まれた。



カウンターの少し向こうの席の女の人がこっちを見ながらクスクス笑ってる・・・西門さんにモーション掛けてるんだ。私が居ることなんてお構いもなしに。
西門さんは私の方を見ることもしなかったけど、その女の人を気にする風でもなかった。

私1人がモヤモヤしてるみたい・・・前髪で隠れた瞳は今、何を見てるのかしら。
それを考えていたら思いっきり顔を西門さんに向けていたみたい。彼が前髪を掻き上げた瞬間、至近距離で目が合った!

「・・・なに?そんなに見惚れなくてもよくね?今更だろ」
「そっ、そんなんじゃないわよ!向こうの、お・・・女の人がこっち見てるから気になっただけよ!」

「・・・気になんのか?」
「別に・・・」


西門さんの前には赤いカクテルが出された。
名前は「ニューヨーク」。ウイスキーをベースに、グレナデン・シロップって言うのを加えて仕上げたカクテルなんだとか。すっきりとした味わいの都会的なカクテルだって説明されたけどさっぱり。でも、色が彼に似合ってて妖しい感じ・・・透明感のある赤がお店の照明でちょっとエロく見えるんだもん。

私の前に置かれたのは「マンハッタン」。
カクテルの女王と呼ばれるウイスキーベースのカクテルらしい。べルモットが持つ甘さをアンゴスチュラビターズのハーバルな香りで引き締める?その説明の意味が既にわかんなかった。

「くくっ・・・そこまで強くないのを選んだだけ。あとはただ単に地名でな・・・記憶に残るだろ?」
「ニューヨークとマンハッタンだから?・・・記憶になんて残さなくてもいいって!別れ話で来たんだよ?盗難にも遭うし、いいことなんてなかったんだから忘れたいぐらいなのに!」


「いいことねぇ・・・今、俺とここにいるだろ?」
「はい?」

うわっ!!また・・・顔は正面向けてるのに目だけこっち向けて・・・!ニヤって笑うのやめなさいよーっ!!
西門さんが唇に指を当てて、その瞳を細めた・・・私は慌てて出されたカクテルをクイッと飲み干して知らん顔した。

「あー・・・ダメだろ?そんな飲み方しちゃ酔うぞ?」
「・・・だ、大丈夫!そんなに私に近づかなくてもいいから!」

「牧野・・・耳が赤い。熱でもあんの?」

そう言って今自分の唇に当ててた指を今度は私の髪を掻き上げて耳にーっ!!
その瞬間頭がクラクラして身体がふらっと傾いた!マズい・・・たった一杯で酔ったかも・・・。


そのあとの事がイマイチ記憶にないんだけど、私の回りがやけにいい香りで包まれていたのは覚えてる。


*********


「・・・ホントに一杯で酔っちまったのか?・・・ガキだな」

カウンターの上で顔を伏せてる牧野を見ながら自分のカクテルを飲んでいた。


どんな風に話し合って司と別れたか、そんなことはもうどうでもよかった。これからは情けない顔して稽古に来ることもなければそれでいい。暇つぶしで飯を食いに行く時でも、何処か遠くを見てるような顔をしなければそれで・・・。

昔のようなこいつの笑顔が見られればいいや、なんてことを思いながら空になったグラスを差し出すと同じものが出された。
それを口に運んでチラッと隣を見た・・・何も付けてない左手薬指にホッとしてる自分に苦笑いだ。



「Do you not drink with me?」(私と飲まない?)

振り向いたら少し離れた所にいた女が真横まで来て、すげぇ色っぽいウィンクをしながら誘ってきた。金髪ストレートでブルーアイ、まるでモデルのような美人。連れて歩くにはもってこいって感じの女。

「Will I be better than the child?」(その子より私の方がいいでしょ?)

child・・・くくっ、外国でまで子供扱い。確かにこの寝顔見たらこいつが21にもなってるって思わねぇよな。
俺が笑うとその女も脈ありと判断したのかもう1歩俺に近づいて腕を絡ませようとした。だからそれを止めて、顔も見ずに言い返した。

「No, can you ask someone else?」(いや、他のヤツを誘ってくれる?)

ムカッとしたのか、プライドを傷付けられたと思ったのかガタンと大きな音を立て、長い髪を振り回してこの店を出て行きやがった。
その時の音にビクッとして目を半分開けた牧野が情けない顔で俺の方を見あげた。額を腕にくっつけていたからそこが真っ赤になってて、「何が起きたの?」って目を擦るからアイメイクはボロボロ。


「何でもねぇよ。お前、歩けるのか?もう部屋に戻るか?」
「・・・へ?歩く・・・歩けない・・・もう無理・・・」

「・・・ったく!もう少し強くなれっての!」
「・・・・・・にし・・・か」


またそこに倒れ込んでしまった牧野を抱きかかえた。
完全に力が抜けてるこいつは腕もダラリと落として、もう目も開けられない。それを見て周囲の奴らは驚いて、店員は『私がお運びしましょうか?』ってなことを言って両手を出してきた。
酔っ払った女を抱えることがみっともねぇとでも思ったのか?

「It doesn't bother me at all」(まったく気にならないから心配ねぇよ)

確かにこのホテルでこんな光景は滅多に見ないだろうから、客も含めて全員が呆れてやがる。
けど、そんな奴らを無視してこの店を出た。




それにしてもこの軽さ・・・高校の時から全然変わってねぇや。

細すぎて今にも脱げそうなハイヒール。
俺の肩に乗っかった顔には似合わないメイク、控えめにしたつもりでも本人よりも輝いてるネックレスとピアス。
探すのが大変な胸の谷間・・・くくっ、こんな女の何処がいいんだか!


「・・・ん・・・う、ん・・・」
「・・・襲うぞ?牧野・・・逃げられねぇぞ、そんなに酔ってると」

「・・・ダメ・・・」





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2018/08/01 (Wed) 16:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

あら?ちょっとは総ちゃんが大人になってる?
成長してるかしら・・・?

色気・・・少しは感じていただけたら嬉しいです。

ほほほ、頑張ればこういう総ちゃんも書けるのかもしれない・・・でも、長くは続かない(笑)


あぁ・・・書こうと思ったけどやめておきましょう。
甘い余韻は大事だよね♥

2018/08/01 (Wed) 19:48 | EDIT | REPLY |   
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2018/08/02 (Thu) 00:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

まりぽん様 おはようございます。

あっはは!そうでしょう?

あんまり喋らないんです(笑)
そのうち喋りますけど、今までと比べたらわかりにくい総ちゃんですね!
書くのは難しいのですが・・・大人総ちゃんを目指してます!

イメージ的には捕虫植物のような感じでしょうか?
迫ると言うより・・・待つんですよ(笑)

そう言いながら上手く書ける自信がイマイチないですけどね!
基本、ギャグの人なんで!!
私にも挑戦のお話しです。

2018/08/02 (Thu) 06:04 | EDIT | REPLY |   

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