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「ちょっと離してよっ!」

本気で掴んでなかったから牧野が手を思いっきり振り解いたらあっさり俺から逃げた。いや、それも計算済みだけど。
今度はベッドの頭側・・・枕やクッションが置かれた所に牧野は下がって行く。

慌ててローブの前を引っ捕まえてるけどその手を外せばまた同じ・・・しかも膝を立ててるからラベンダーの下着がチラ見え。


ビクビクしやがって・・・まるで今から襲われるとでも言わんばかりの怯えよう。それに片手をゆっくり動かして掴んだのは小さめのクッション。いつでも俺の顔面に投げられるように準備してんのか?

馬鹿なヤツ・・・そんなものでこの俺をどうにか出来るとでも思ってんのかよ。


「おい・・・まさかそれで殴る気じゃねぇよな?」
「・・・そ、それ以上近寄ったらわかんないわよ!ね?殴られたくないよね?だから・・・だから・・・!」

「だから?だからやめろっての?」
「え?なにをする気なのっ!」

「なにをって・・・この状況で他にすることあるのかよ。お前は俺に肌を見せたいだけ見せて煽って、俺の身体もそんなに見つめちゃって。くくっ・・・もしかして初めてか?どうしよう・・・優しく出来るか自信ねぇなぁ・・・」

そこまで言うと完全に固まった。


マジで・・・?本当にこいつ・・・司とは何もなかったのか?本当にまだ守ってたのか?

そう思ったら焦った・・・。
”男”の顔は崩さずに牧野に向けていたけど、内心ヤバい・・・そう思って出しかけた手が止まった。



「・・・ばーか!本気にすんな。ほら、寝るぞ。俺はこっち側に寄るからお前もそっちで寝ろ。そんぐらいの幅はあるだろ?」

「・・・へっ?西門さん?」

「悪いけど俺はそこまで困ってないからな。牧野がアメリカまで来て辛い思い出しかなかったら可哀想だから遊んでやっただけ。あんまりマジな顔するからここらで止めといてやる。くくっ・・・スリルがあっただろ?」

「・・・・・・」


牧野の前から移動してベッドの端に寝っ転がった。そして牧野に背中を向けた。
しばらくしたらモゾモゾと動く気配がして牧野も布団に入ったようだ。だけどそれを確認することもなく、ただ耳だけを澄ましていた。


やがて小さな寝息が聞こえてきて、そこでゆっくりと身体を動かしたら牧野の身体が丸まってるのが見えた。
俺の事を警戒してるのか頭を僅かに出しただけであとは布団を被ってる。
自分を抱え込むようにして寝ている姿が子供みたいで笑えた。

同時にドキドキした・・・まだ、男を知らないんだと思ったら。


誰が1番始めにこいつを抱くんだろう・・・ふと、そんな事を考えた。
俺はその時が来るまで、こいつとこれまでと同じような「男友達」なんだろうか。それとも・・・もう横にはいないんだろうか。

司でもなく、類でもあきらでもなく・・・俺の知らない誰かのところに行くんだろうか。


身体の真ん中がまだ熱い・・・何かが疼いて俺を急かす。


その時くるりと寝返りを打って俺の方に顔を向けた牧野。
白い肌がベッド脇のランプに当たってオレンジ色に光る・・・いつもは隠れてる耳朶から首筋までラインが露わになって乱れた髪の毛が色っぽい。

そっと近づいて・・・こいつの顔を覗き込んだ。
柔らかそうな唇には届きそうにないから・・・触れたかどうだかわかんねぇようなキスを耳朶にしてみた。

「・・・・・・ん・・・どぅ・・・」


ビクッとして身体を離した。

どう?・・・まさか道明寺・・・司のことを呼んだのか?司と寝てる夢でも見てるのか?


音を立てないようにベッドから降りてリビングに向かう。
火照る身体の持って行き場がなくなったから、もう1度独りで強めの酒を出して飲んでいた。

窓からマンハッタンの眠らない夜を見下ろして・・・目の端にはあいつの背中を映しながら、グラスの中の氷が溶けていくのを見ていた。



***********



・・・なんだか暑い。
そう思って足を動かした。いや・・・何も乗ってはいない。じゃあなんで暑いの?

自分がすごく汗をかいてる気がして眠たいのに身体を動かした。まだ目を閉じてる状態のまま寝返りを打ったら、布団を頭から被ってることに気が付いて両手をそれを退けた。

はぁ・・・涼しくなった。やれやれ・・・これで寝られる、そう思った瞬間、身体がガクンと傾いてベッドから落ちた!

「きゃああぁーっ!!」

すごい音と共に床に落ちて、夜中と同じ所をもう一度ぶつけた。
あまりに痛くてその場に寝転がったまま腰をさすってると、目の前に既に服に着替えた西門さんが立ってる・・・?


「何回落ちたら気が済むんだ、学習しろ!自分が寝相いいと思ってんのか?」
「・・・いたたた!夜中に人に抱きつく西門さんに言われたくないわよ!」

「ついでだからもう起きろ。8時だぞ」
「・・・えっ!もうそんな時間なの?西門さん、何時から起きてたの?」

「俺は6時から。夏は朝茶事のせいで日本でも5時には起きてるからな。時差とか関係なくどうも早起きになるらしい」
「へぇ~!そう言うもんなのね・・・痛かったぁ・・・・・・はっ!」

ここでも自分の格好を見て驚いた!
またローブが開けててブラとパンツが丸見えっ!慌ててローブの前を引っ捕まえたけど西門さんはそれを見ても眉1つ動かさないし、当然赤くもならない。

少しは動揺しなさいよっ!!私の立場がないじゃないのっ!そう思って睨んだら、クスって軽く笑ってる。


「今更隠さなくても昨日の夜に見てるし。朝見るのも新鮮だけどな」
「そんなもの今すぐ記憶から消去しなさいよっ!馬鹿!!」

腰を摩りながら立ち上がって、服を着替えようと荷物の所に行った。
そしたらそこには見慣れない服があって、可愛いサンダルまで置いてある。オフホワイトのレースのトップスに紺色のミニスカート。サンダルはスカートに合わせて紺色だけど白いパイピングがしてあって夏っぽい。

振り向いたら西門さんは何処かに内線してる。モーニングを頼んでるみたいだった。
その電話が終わったらまた戻って来てソファーに座った。


「あの・・・この服、西門さんが?」
「あぁ、そうだけど。牧野には似合うと思ったんだけど好みじゃなかったか?」

「いや、可愛いんだけど・・・どうして?昨日も食事に行くからってあんなドレス・・・私、日本に帰れるだけで嬉しいからこんなこと困るんだけど。帰っても旅費を返すだけで精一杯だもん」

「俺が金を要求してまでお前に揃えるわけがねぇだろ?一緒に帰るのに俺がその方が好きだから用意しただけ」


西門さんは白のラフなシャツにヴィンテージのジーンズ。
少し開けてる胸元からシルバーのネックレスが光った。そして左側の髪を掻き上げたらそこにはシルバーのピアス。
少し大きめのバングルがやけに目立つんだけど彼には似合ってる。どこをとっても・・・なんて綺麗なんだろう。

その時にルームサービスが届いて、私は慌てて服を抱えてドレッシングルームへ向かった。彼のいる前ではとても着替えられないし!

そこで用意してもらった服に着替えてサンダルを履いて、髪も整えて化粧して・・・ひと通り支度を済ませたらリビングに戻った。西門さんはソファーからテーブルの方に移動してて、もうそこで珈琲を飲んでいた。

長い脚だこと・・・その嫌みなほど長い脚を組んで座っちゃって!
私がモジモジしていたら指で向いの席を指さして「座れば?」だって!


そこに並べられたのは美味しそうな朝食。昨日の朝は持って来てもらっても美味しそうだとは思わなかったのに、今日は何故か全部が美味しそうに見えた。
だから気分が一気に浮上して「いっただっきまーす!」なんて声も元気よく、急いでオレンジジュースに手を伸ばした。

「うわっ!このヨーグルト、フルーツがこんなに入ってる!こっちは何?・・・ハムサンド?あっ!このパンまだ温かいって事は焼きたて?バターどこだろ・・・あ、これかな?きゃあーっ!食べるの勿体ないぐらい可愛いサラダ!朝から幸せ~!」

「・・・くくっ、可愛いな、牧野」


「・・・へ?」

顔を上げたらテーブルに片肘ついて身体を横向きにして、いつもの角度でクスクス笑ってる西門さんがいた。
その顔は夜に見る妖しい微笑みじゃなくて、朝日のせいかしら・・・すごく爽やかなものだった。

だから余計にドキドキして、今度は食べようとしたものが食べられなくなった。


西門さんが今度は右側の髪を掻き上げた。
あ・・・耳にホクロがあるんだ。

そんな事にイチイチ反応してたら手に持ってたハムサンドのハムが落ちた・・・。
せっかく色っぽかった西門さんの顔・・・急に怖くなって眉を寄せられて「ごめんなさい」って言ったらひと言。


「俺の事・・・見つめ過ぎなんだよ」
「はぁっ?!馬鹿じゃないの?!」




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2018/08/04 (Sat) 17:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

ふふっ!だんだん総ちゃんの気持ちが出てきましたね。

さとぴょん様のお考えは結構当たってるかな?(笑)
総ちゃんはつくしちゃんの気持ちを探ってる感じ・・・かな?

本気の恋には奥手な総ちゃんですからね~♥

表向きの色気と心の中には意外と差がある男・・・西門総二郎。
思いっきり見せてる鈍感と天然・・・中身と差のない女・・・牧野つくし。


ふふふ、あたり!
寝てないんですよっ!横目でつくしちゃんを見ていたんですね、きっと!

2018/08/04 (Sat) 23:56 | EDIT | REPLY |   

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