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次の日、木元さん礼を言って早い時間に屋敷を出ることにした。
牧野はあまり寝られなかったのだろう、少し頭痛がするらしく薬をもらっていた。

「総二郎様、お嬢さんは少し熱がおありのようですが・・・昨日は寒かったですか?風邪でもひかれたんですかね。
お薬は渡しましたが心配ならお医者様に連れて行ってあげて下さいね」

木元さんの奥さんからそう言われ、車の中の牧野に声をかけた。

「牧野、お前熱あるんだって?大丈夫か?辛いなら近くの病院に行くか?」

「ううん。平気・・・それよりも早く帰りたいかな・・・」

少しだけ赤い顔して、でもそこまで元気のない感じじゃなかったから自宅に戻ることにした。
2人が心配そうにに見送ってくれるのを、牧野は車の中から手を振って答えていた。


「お前、やっと全部話せて楽になっただろう?俺も同じだけど・・・もうこれで俺たちには隠し事はないんだから
心配すんな。もし、これからでも類が現れたら必ず俺が守ってやるから。類の声が聞こえてきたら俺が話しかけてやるよ。
お前を見てくる眼があるなら、その時は俺の方を向かせてやるから・・・」

半分目を閉じている牧野にそう言うと、少しだけ笑った。

「でも、類にも・・・もうゆっくりしてもらわないとな。あいつもきっと疲れてんだよ」

牧野が眼を開けて俺を見た・・・そんなに変か?こう見えてもあいつの幼馴染みだからな。
心底憎む事なんて出来ないんだ。許せない事もあるけど・・・助けてやりたいと思うよ。


「なぁ、・・・類に会いに行くか?2人で」

シートを倒して寝ていた牧野が起き上がった。熱が上がったのか、朝より赤い顔している。
それでも、俺のこの発言にはすぐに反応した。それだけ牧野も心配してたんだろうな。

「会ってくれるのかな・・・。私はもう許してるんだけど、類は私のことを許してくれるのかな・・・。
私が幸せになることを喜んでくれると思う?」

「それは時間がかかるかもしれねーな・・・元々あいつはお前の幸せだけを願っていたけど、今はちょっと心の方が
迷子になってんだろうよ。早くそれを自分の身体に戻してやらないとな。・・・もう少し時間がかかるから寝とけよ」

牧野に俺のコートを掛けてやって、もう一度寝とくように言うと、素直に横になった。
額を触ると随分と熱が上がっている・・・車のスピードを上げて自宅へと急いだ。


******


自宅に戻ると前もって連絡していたので主治医の吉岡先生が待機してくれたいた。
車から牧野を抱きかかえて降ろし、自分の部屋に向かう。牧野はもうほとんど眼を開けられなかった。
すぐに点滴がされた。風邪をひいてるだけで他に問題はなかったのでそのままベッドに寝かせ、お袋の部屋に報告に行く・・・
もちろん類の話なんかはしない。言っても信じられないだろうから。

「せっかくゆっくりさせてもらったのに、思ったより寒かったので風邪をひいたようです。でも、大丈夫ですから
ご心配されませんように」

「総二郎さん・・・あなた、無茶なことはしてませんわよね?」

「・・・俺が信じられませんか?そっちもご心配なくと毎回申し上げてますよね?」

全く、自分の息子を何だと思ってんだか!お袋には言えないけどそんな事出来る状況じゃなかったんだって!
違う意味で震えているあいつをずっと抱いてたんだから、俺だって死ぬほど辛いんだよ!

「少し側についてますから何かあったら呼んでください。昨日は茶会を代行いただきありがとうございました」


部屋に戻ったら牧野が目を覚ましていた。点滴のお陰なのか顔色も良くなっていて落ち着いてるようだ。

「心配かけてごめんね。総二郎も運転で疲れてるのに私がこのベッドを占領してたら寝ることが出来ないね・・・。
私、自分の部屋に戻るから総二郎が休んでね?」

そう言って身体を起こそうとするから、両手で押さえこんだ。
牧野はキョトンとした顔で俺を見ている。・・・そんなに大きな眼をしなくてもいいだろうに。

「いいよ。ここで寝ててくれないか?こんな時は一緒にいた方が安心だろう?今は離れたくないな・・・」

そう言って牧野にキスをする・・・牧野の腕は自然と俺の背中に回る。
今は風邪をひいてるからこれ以上何かしようなんて気はないけど、せめてこうやってお前を確かめてもいいよな・・・
一度唇が離れたんだけど、今度は牧野が強請ってくる。そんなとこは少し成長したみたいだ。
まだ口ん中が熱いんじゃねーか?また熱が上がったらお袋に何言われるかわかんないから今日はここまでにしとくよ。

そして俺のベッドで2人並んで昼寝をしてた。

それを起こしに来た志乃さんに見られてお袋に報告され、すごい剣幕で怒鳴られたのは後日のこと。


******


「牧野、お前が言ってた忘れ物を取りにいくぞ。」

2人で離れに向かう。少し緊張しているようだけど牧野は俺の後についてきた。
牧野の言う『忘れ物』を掘り出してからどうするか・・・この時はまだ何も考えてはいなかった。
ただ、この場所からなくなれば牧野が彷徨うことがなくなるかもしれない・・・それだけを思っていた。


冷たい風がサワっ・・と流れた。
途端に牧野が止まった。俺の足もそこで動かなくなった・・・まるで金縛りにでもあってるかのように。


類の気配を感じる・・・!

今、ここに類が来ている?・・・俺にもその気配がわかる。その証拠に牧野の様子が変わった。
表情が消えて、俺を追い抜いてフラフラと歩き出した・・・手を掴もうとしても振りほどかれまっすぐに桜の木に向かう。

「牧野!」


大声で叫ぶとゆっくりと振り向いた・・・その牧野に寄り添うように現れた青白い類の幻影・・・

とうとう俺の目の前に現れた・・・まっすぐに見つめる強い眼差しが俺の動きを止める。
まるで牧野を包み込むかのように、類の幻影は牧野と重なって見えた。


氷のような笑顔の幼馴染みがそこに立っている。


20170327121156e75.jpg
怖くない怖くない・・・
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Comments 6

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2017/04/16 (Sun) 12:21 | EDIT | REPLY |   
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2017/04/16 (Sun) 12:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

M様、こんにちは🎵

結構、怖いって言われるので!笑
類が大好きなのに、私ったらこんなに悩ませちゃって。
早く助けにいかないといけませんね。

色んな方に怒られそう!
もうすぐ総二郎が救ってくれるかも?

まだ、類が暴走するかも?

頑張って終わらせますから‼

今日もありがとうございました。

2017/04/16 (Sun) 15:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

W様、こんにちは🎵

オカルトじゃないんですよ~❗
こう見えて総二郎のラブストーリーなんですよ~❗

最終決戦ではありますが、実体がないからなぁ。
殴るわけにもいきませんね。

こんなに皆さんに心配をかけるとは申し訳ない!

こんなにオカルト的に盛り上げて、どう終わればいいのか悩んできました❗

どうしましょ‼

今日もありがとうございました!

2017/04/16 (Sun) 15:51 | EDIT | REPLY |   
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2017/04/16 (Sun) 15:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、相変わらず楽しいコメントありがとうございます🎵

ね?怖くないでしょう?
格好いい人はどんな事があっても怖くはないんですよ。

あ?いやいや❗
これは、総二郎のお話ですから。
総二郎が格好よくないといかんのですよ!

頑張って!総二郎❗

明日もぜひ、お立ち寄りくださいませ。

2017/04/16 (Sun) 16:54 | EDIT | REPLY |   

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