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plumeria

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「嘘っ!なんで・・・何処に?!」
「今、お前の部屋のカーテンの向こうに人影が見えた」


西門さんがそう言って車を降りて、私より先にアパートの階段を上がっていった。私はその後ろを走ってついて行ったけど、ヒールの音が煩いから「足音を立てるな!」と睨まれた。

「お前は車に入ってろ!俺1人でいい」
「そんな・・・だって私の部屋だし。見間違いじゃないの?」

「・・・いや、確かに誰かが動いた。視力には自信がある。来るんならドアの外でジッとしとけよ」
「飛び出してきたらどーすんの?」

「ドアから逃がすようねヘマはしねぇよ」


2階の私の部屋の前に行ったら西門さんはドアの横の壁に背中をつけて中の様子を窺ってる。
その横にくっついてドアと西門さんを交互に見ていた。

「・・・お前、鍵かけたよな?まさか忘れてねぇよな?」
「えっと・・・西門さんが迎えに来てくれたから焦ったけど鍵はかけたわよ。うん、確かにかけたわ」

「鍵、差しっぱなしで出てきたって事はねぇよな?」
「大丈夫だと思うけど引ったくられてるからよく考えたら鍵持ってないし」

「・・・牧野、巫山戯てんのか」
「ごめん・・・」


西門さんはドアノブに手をかけた。そしてゆっくり回したら・・・小さくカチャと音がしてドアが開いた!
私は驚いて口を手で塞いだけど、西門さんは私にもう1度「ここで待っとけ」って言ってドアを静かに開けて中に入った。


あれ?

ちょっと待ってっ!いきなり西門さんが私の部屋を見るの?洗濯物、室内に干してるんだけどーっ!!


**


牧野の部屋に誰かがいる。
適当に留守の部屋を狙った泥棒ならいいが、そうじゃなくてストーカー紛いのヤツで牧野狙いなら許せねぇ・・・そう思ってそいつを捕まえようと部屋の中に入った。

これだけ長い間牧野との付き合いはあっても部屋に入ったことなんてない。
だから勝手がわからなかったが所詮この大きさのアパートだ・・・隠れる場所もねぇから捕まえる自信はあった。

靴も脱がずに玄関から室内に入り、そのまま繋がってるキッチンを見たけどそこには誰もいなかった。
ただ、奥の方からガタガタと音が聞こえる。誰かが何かを漁ってる・・・凶器を持ってることも想定してグッと拳に力を入れた。

部屋入るドアの取っ手に手をかけ・・・1度大きく深呼吸した。

そして、バン!!と大きく音を立ててドアを開け、中に飛び込んで行った!

「誰だ!そこで何してやがる!!」
「・・・はっ!うわあっ!!」

小さな部屋が2つ、そのベッドが置いてある奥の部屋に1人の男がいて、座り込んで何かを探していた。
俺はそこに飛び込んで行ってそいつの背中に蹴りを入れ、ドサッと倒れ込んだところを上からもう1度踏みつけて片腕を背中側に回して掴みあげた!

意外と若い男で茶髪、身体を鍛えてる風でもなかったから押さえ込んだらジタバタしたが俺を動かすほどの力はないようだ。

「うわあっ!痛ぇっ!!離せ、離せーっ!!」
「離すか、馬鹿野郎!」

「返せばいいんだろう!腕が・・・腕が折れるって!早く降りろーっ!」
「返す?何を盗んだんだ!牧野ーっ!サツを呼べ!」

そう言うと牧野は部屋に飛び込んで来て、その男を見て「きゃああぁーっ!」っと悲鳴を上げてその場に座りこんだ。
・・・ミニワンピだからそんな腰の抜かし方したらパンツが丸見えだっての!

「お前まで腰抜かしてんじゃねぇよ!さっさと電話しろって!・・・それに倒れ方をどうにかしろ!」
「倒れ方・・・あ、きゃああああぁーっ!!」

「アホか!いいからサツに電話だ!」
「に、西門さん・・・その電話がないんだってば!!」


「・・・あっ、そうか」

そうだった・・・牧野は全部引ったくられてるから何も持ってないんだった。
仕方なくこの男を押さえ込んだまま、自分のポケットからスマホを出して牧野に投げて「これでかけろ!」って言うと、動揺のあまり操作に手間取ってかけられない。
「ロックかかってるー!」って・・・それもそうだ。イチイチ面倒臭いなって思った時、俺の手が緩んで倒れていた男が急に向きを変えて俺の脇腹を蹴り飛ばしやがった!

「うわっ!!くそっ・・・よくもこの俺を・・・」
「・・・だ、誰がお前なんかに捕まるか!」

「お前なんかだと?巫山戯たこと言ってんじゃねえよ!2度とそんな事が言えねぇようにしてやる!」

もう1回蹴り飛ばしてやろうと向かって行ったら牧野が急に「あーーっ!!!」と、この男を指さして大声を出した!

「はっ?なんだよ、どうした!」
「くそっ・・・!!」

牧野の声に驚いて振り向いた隙に、そいつはベッドの向こう側にあった窓から下に飛び降りて逃走、「しまった!」と、窓から見た時にはもう塀の向こう側だ。ここで飛び降りてまで追いかけるのかと躊躇っていたらその姿は見えなくなった。

振り向いたら牧野がでっかい目をして座り込んでる。
さっき出した指はまだそのままでポカンと大きな口を開けて。


「なんで大声出すんだよ。逃がしちまったじゃねぇか!」
「だって・・・あの人・・・」

「は?まさか知ってるヤツか?」
「・・・うん、殆ど休学状態の・・・同級生の森本君・・・だったと思う」

「・・・お前の同級生?」


**


西門さんが捕まえてくれた泥棒の顔が見えた時、驚いて大声を出してしまった。
それは同級生の森本哲也君・・・殆ど大学には来てないけど、去年1回告白された人だったから。私が道明寺の彼女だって知ってたけど、もう無理そうなら付き合ってくれないかって。

その時、道明寺の事は確かに自分でも無理だって思ってたけど、森本君のことはもっと考えられなくてその場で断って・・・それっきり。

青白い顔でオタク系で、こんな人が同級生にいたっけ?って思うような人だった。
しかもみんながいる前で言うから大騒ぎになっちゃって、中には「道明寺様よりあんたにはお似合いなんじゃない?」って笑う子もいて・・・とにかく迷惑だったわよ!


その人がなんで私の部屋に入り込んでたの?
それって偶然・・・?それともここが私の部屋ってわかってて侵入したの?

それを考えたら怖くなって、その場から動けなくなってしまった。
西門さんにはそこまで説明したけど、呆れた顔して私の事を見てて・・・ドカッとその場に彼も座り込んだ。


「あいつ、お前の事をいつもつけ回してたんじゃねぇのか?」

「そんな事はないと思うんだけど。付き合ってって言われたのも1回だけよ?それにアパートの周りで見かけたことはないし」

「牧野が気が付いてないだけでウロウロしてたとか?」

「えっ?そんな馬鹿な!確かに大学で学部も違うのにばったり出会ったりはあったけど。バイト先にもたまーに来てたし、お買い物してても時々レジで一緒になったり・・・バスでも気が付いたら隣に立ってたかも」

「そういう時には必ずスマホ、手に持ってねぇか?」

「うん、いつもスマホで顔が見えないけど」

西門さんが「はぁ・・・」って溜息ついて頭を抱え込んだ。
さっき蹴られたからかしら、右の肘が少し赤くなってて森本君に引っかかれたのか手の甲にも小さな傷があった。
私の為に闘ってくれたんだなぁ・・・ってしみじみ感じてたら、頭を抱えていた指の間からジロッと睨んでる目に気が付いた。


「牧野・・・それ、ストーカーってんだよ」
「・・・えっ?!」

「無音カメラで撮られまくりだな」

「・・・そうなの?」



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2018/08/12 (Sun) 13:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

またまた気持ち悪い人が出て参りましたね(笑)
何故部屋に入れたか・・・は後日わかります。

でも、この森本君は「喧嘩」で言えば綾小路さんみたいな感じであまり出てきません。
でも覚えておいてくださいね♥

ちゃんと守っていきますよ~!!


話変わるんですが、

携帯のCMで「喧嘩するほど仲がいい!」って台詞を言うヤツを初めて見ました(笑)
あんまりテレビを見ない人なので知らなかったんですが、今は子供が帰ってきてるので
テレビがずーっとついてるので。

一瞬ドキッとして画面を見ちゃった。

心臓に悪かったわ・・・ってか、思い出しちゃった(笑)
小次郎爺ちゃん、元気してるかなぁ~!

2018/08/12 (Sun) 23:11 | EDIT | REPLY |   

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