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次の日、確かにやることが多かった。

お財布の中に入っていたものは銀行のキャッシュカードと付き合いで作らされたクレジットカードが1枚。
幸い使われた形跡がなかったから大至急停止してもらって再発行の手続きを取り、僅かな預金を引き出して生活費を用意。クレジットカードは丁度良かったからそのまま解約した。

アパートの大家さんに退居を申し出たついでになくした鍵の弁償。引っ越しは近日中にするけど、取り敢えず必要なものを鞄に詰めて西門さんのマンションまで戻る。
すっごく暑いのに1日中外を歩き回って、出来たのはここまで・・・マンションの近くで食材の買い物を済ませて、大量の荷物を抱えてマンションの入り口に来たら、地下の駐車場から西門さんが現れた。

「・・・すげぇ荷物だな。軽いもの持ってやろうか?」
「重たいものを持つの間違いでしょ!」

わざと巫山戯てそんな事を言うけど、1番重たかった買い物袋をひょいっと抱えてくれた。
そしてエレベーターのボタンを押して「急げよ!」って。偶然に驚く暇もなく、急いでエレベーターに乗り込んだ。


「・・・今日はどうしたの?お仕事終わったの?」

「あぁ、昨日までアメリカだったから今日はもういいらしい。明日から忙しいけどな」

「アメリカって・・・西門さん、カジノして帰るの遅くなっただけでしょ!」

「そうガタガタ言うな。カジノの儲け、持ってきてやったんだから。でも必要経費差し引いたら少なくなっちまってさ。やっぱり最後は俺がやれば良かったなー・・・この倍ぐらいは勝たねぇと面白くねぇよな」

「えっ!上等でしょ!あれ以上のスリルは心臓に悪いって!」

「牧野がビビるから簡単なのしか出来なかったじゃん。お前がやったのって運だけだろ?頭も使って勝つともっと面白いって。また行こうぜ?」

「西門さんを見てるだけならいいけどさ・・・」


エレベーターが最上階に着いて2人で部屋に向かった。
なんか・・・この光景、同棲してるみたいじゃない?彼がドアを持って「早くしろよ」なんて言ってる横をドキドキしながら中に飛び込んだ。同じ場所で彼が靴を脱ぐ・・・それを見てたら「そっちも持ってやるから」って私の手から荷物を全部奪い取った。


部屋に入ったら西門さんはソファーに座ってポケットから封筒を出してる。
私は持って帰った荷物を仕分けして、自分のものはゲストルームに、食品はキッチンにと置いていってパタパタ走り回っていた。

「牧野、こっちに来て座れ」
「え?はーい!」

リビングの西門さんの前に行くと横に座れって言うからチョコンと床に直に座って、西門さんが差し出した封筒を見た。結構分厚い・・・それが何かわからなくて不思議そうに彼を見たら「中身はお前の分」って。
恐る恐る封筒を開けたら・・・中には札束が入っていた!!

「うわあっ!なにこれ!なんでこんなお金がここに来るの?どーしたのよ!!」
「何驚いてんだよ。さっき言っただろ?カジノの儲け。牧野の勝った金だからお前のものだ」

「私のもの?って・・・い、いくらあるの?」
「だから随分減ったって。牧野の取り分は400万かな・・・ま、これで我慢しろ」

「400万?!」

西門さんの説明によると1500万円の賞金だったけどその中から税金を約30%納めるらしい。これは西門さんが自分の確定申告でやるからって事で西門流に一任したとして残りが1050万円。
そのうち西門さんが出した元金500万円を引いて、ファーストクラスの飛行機代150万円を引いて・・・400万円?

「明日、これでスマホ買っとけよ?連絡取れないと困るだろ?」
「こ、これでって・・・ホントに400万円も私?」

「よくわかんねぇけど1ヶ月ぐらいは生活できるだろ?住む場所はここでいいんだから」
「えっ!!1ヶ月ぐらいって・・・」

「イチイチ驚くな!余るんなら銀行に持っていっとけ!」
「・・・はーい」

400万で1ヶ月に驚いたのよ!って言いかけてやめておいた。アメリカでのホテル代は?って聞いたら俺の部屋に泊めただけだからいいって。


「ねぇ、道明寺の・・・メープルのあの部屋代を請求してくれって言ったんだけどいくらぐらいあれば足りる?これで払える?」
「・・・は?司の部屋か?」

「うん・・・泊めてもらったから日本に帰ったら払うって言ったの。いくらぐらいかなぁ?」

西門さんは呆れた顔で私を見てる。
もしやこれでも足りないとか?ってビクビクしたらあっさり言われた。

「あの部屋は論外だ。専用プールとかがないから少しは安いけど1泊500万ぐらいじゃね?・・・どう考えても足りねぇな!」

「ご・・・500万円?!!」

「アホか!1泊700万ってホテルも世の中にはあるんだよ!しかも司の部屋にはそもそも値段はねぇって。で、本当に請求してきたら俺に教えろ。司に話つけてやるから」


西門さん曰く、道明寺からの請求なんてないだろうって言われた。
そんな事、あいつのプライドが許さないからって。

・・・それも、そうかも。



「・・・あぁ、それと警察から電話があったぞ。森本って男、捕まったらしい」


いきなり森本君の話に切り替わって、私は札束を持ったままキョトンとしてしまった。警察に捕まった・・・森本君が?
テーブルの上にお金を置いて西門さんを見た。彼は全然表情を変えずに淡々と・・・長い脚を組んだまま背もたれに寄り掛かって私に説明を続けた。

今日も光ってるピアスはアメリカで見たものだ・・・同じように右手にキラリと見えた指輪もあの時のもの。
今日は時計をしてなくてバングルが2つ。男にしては数が多いアクセサリーなのになんでこうも似合ってるのか・・・森本君の話を聞いているのに何故か目では西門さんの色んな所を探ってしまっていた。


「あの男、俺達に見つかったから自宅には戻らなかったけど、名前もわかってたから簡単にネットカフェにいるところを職質されて一発で全部吐いたらしいぞ。で、警察がお前に見てもらいたいもんがあるって言ってた。明日にでも行ってこいよ」

「え・・・私に?なんで?」

「盗まれたパンツとブラじゃねぇの?結構あったらしいぞ?もしかしたらこの前が初めてじゃないんじゃねぇの?」
「うそっ・・・」

「それもわかんねぇのか?」って呆れ気味に言われたけど・・・そう言えば数がだんだん減っていたかも?
私が頭を抱え込んだら西門さんはスっと立ち上がった。


「じゃ、そう言うことだから。帰るわ」
「え・・・帰るの?」

「・・・泊まって欲しいのか?」
「いや、別に・・・」


くくっと薄笑いを浮かべて彼は玄関に向かった。
なんだ・・・泊まらないんだって思ったのは正直な気持ち。

ガチャッとドアが開いて西門さんが出て行く・・・何故かそれを寂しいって思いながら見送った。



*********



「それではこちらが本体ですね。充電器はお持ちですか?」
「あ!いえ、全部なくなったのでそれも下さい!」

次の日に携帯ショップで新しいスマホを買った。
真っ白で可愛くて・・・最新の機種。気にいったスマホケースも買って取り付けてもらって、硝子フィルムまで貼ってもらって、今までで1番贅沢なお買い物!

早速1番にかけたのは・・・西門さんだった。


『・・・・・・誰だ?』
「あっ!あたしあたし!スマホ買ったの!登録しといてよ!」

『あぁ、牧野か!名前が出ないから誰かと思った』

そりゃそうだよね。番号そのものが違うんだから。
こんな何でもないことが何故嬉しいのか・・・このスマホに初めて登録したのが「西門総二郎」・・・今はこの人しかこのスマホの中には居ないんだと思うとニヤニヤしてしまった。


『・・・お前、今何処にいるんだ?今日は稽古の日だけど』

「・・・は?今日・・・何曜日?」
『だから今日は金曜日!お前の稽古の日でもうすぐそれが始まる時間だ!何処ほっつき歩いてんだ?休むのか!』

「きゃあぁーっ!違う違う!すぐにいくから待ってて!」


アメリカでの色んな事件と大学が夏休みって事で曜日を全然気にしてなかった!
私は急いでバスに乗って西門さんの自宅に向かった。ここからだと40分ぐらい?ホントにギリギリだわ!


そしてバスを降りたら暑い中を猛ダッシュして西門邸へ!
お屋敷の門をくぐったら玉砂利を蹴っ飛ばして玄関に向い、靴を揃えたら深呼吸・・・。

お弟子さん達に驚かれながら廊下を小走りでお稽古用のお茶室に入ったら、西門さんが涼しい顔して座っていた。


「3分前・・・師匠より遅いとは問題だが遅刻じゃねぇな」
「はぁ、はぁ・・・う、うん!なんとか・・・暑かった・・・もうダメ・・・」

「くくっ・・・少しだけ待ってやる。呼吸を整えろ」


西門さんがスッと差し出してくれたのは冷たい番茶・・・この部屋には似合わないグラスに入れられたお茶が出されて、それをコクコクと飲んだ。

その間、背筋をピンと張った西門さんの凜々しい姿を見ていた。


暑くて暑くて堪んないのに・・・流れる汗も拭かずに彼の横顔を見ていた。





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2018/08/15 (Wed) 15:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

あはは!総ちゃんが格好よくなってる?そうだといいんですが♥

なんといってもギャグの専門店ですからすぐにそっちに走ろうとするので総ちゃんが暴走しそうになるのよね~💦
何度「ここは格好いい総ちゃん!こんな事しちゃダメ!」って書き直したか・・・。

えっとね、1泊700万はスイスのホテルでした。
1泊10000円を悩む貧乏人にはその世界はわかりません・・・

若いときなんかホテル代ケチって車中泊とかしてましたもん。
(それで警察の職質を受けた人です・・・はい!)

ふふふ、この格好いいのが最後まで続くかどうかはわかりませんが
頑張って格好いいまま突入したいと思います!!(何にだ?笑)

2018/08/15 (Wed) 23:22 | EDIT | REPLY |   

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