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数日後、久しぶりにバイトが午後しかなかった日の午前中、のんびりしていたら電話が鳴った。
携帯を変えてからは数人しか電話番号を教えてなかったから、もしかしたら西門さんかと思って急いで手に取ったら・・・同級生の加奈子だった。

なんだ・・・違った。なんて軽くショックだったけどその電話を取った。

「もしもーし、久しぶりだね!加奈子」
『つくしー!元気してたぁ?』


加奈子は大学に入ってから出来た数少ない友人の1人。
当然道明寺のことも知ってるし、西門さん、美作さん、花沢類の事も知っている。

そして森本君のことは同じ学部だったから私よりもよく知っていた。
ただ、私の部屋に不法侵入したことは話してなかったけど噂というものは広がるから、森本君がストーカー行為して下着泥棒で警察に捕まったことは知っていた。

『驚いたよねぇ!森本ってさ、結構オタクでヤバそうだとは思ったけど下着まで盗るなんて思わなかったよぉ!タダのゲーマーだとばっかり思ってた。あんた、大丈夫?』
「は?だ、大丈夫って何が?」

『森本って1回あんたに告白したじゃん!道明寺さんがいたら殺されてるってみんなが言っててさ。覚えてるでしょ?』
「あぁ、うん、もちろん覚えてるよ」

『何かとあんたのこと追っかけてたからあんたの下着を盗ったのかと思ったの!大丈夫なのね?まさか・・・被害に遭ってないでしょうね?』

遭ってるって言ったら私が怒られそうな勢いで言うから「知らないって!」を繰り返したけど加奈子の心配は凄かった。
そんなに私ってぼーっとしてるの?西門さんもよくそう言って怒るけど、そんなに隙だらけなの?

その後も適当に話を合わせて頷くだけで、加奈子の大学の事や就職のことを延々と聞いていた。


時計を見たらもう30分も・・・そろそろ切ろうかと思ったら加奈子も「これで最後!」なんて言い出した。

『そうそう!初めに話した森本だけどさ、なんか取り調べが終わって暫く拘留されてたんだけどもう家に帰ってるんだって。これから刑が決まるらしいけどやっぱり執行猶予っての?それになるらしいよ。だからさ、つくしもあいつに気に入られてたから気をつけなよ?何するかわかんないヤツだからさ』

「そうなんだ・・・うん、わかった。ありがと、加奈子」
『また今度ご飯でも行こうねぇ!バイバイ!』


森本くんが自宅に戻ったんだ。
もしかして逆ギレして私たちの事を逆恨み・・・ってことはないよね?現に下着は盗んでたんだし。

でも、西門さんに話しておいた方がいいのかしら。この前の事・・・もうなんとも思ってないかな?
加奈子との通話を切ったけど、そのままスマホの画面を覗いていた。そして着信履歴から西門さんを選択、通話をタップしてみた。

数回鳴るコール音・・・でも、電話には出なかったからすぐに切ってしまった。仕事中かもしれないし・・・。
そしてテーブルにスマホを置いてキッチンでお昼ご飯の支度をしようとしたら今度は電話が掛かってきた!

急いで名前を見たら今度こそ『西門総二郎』・・・急いで通話をタップして耳に当てた。


『・・・どうした?何かあったのか?』
「あ・・・ごめん、仕事中だった?」

『仕事はしてるけど本邸でエッセイだから問題ない。で、どうした?』

なんだ・・・全然今までと変わらないじゃない。ホントは間違ってキスしたんでしょ?なんて、言いたいこととは全然違うことを考えて言葉が出なかった。


『・・・おい!用件言わねぇなら切るぞ!』
「あぁっ!ごめん、あのさ、この前のストーカーの森本くんなんだけど!」

『お前の下着を盗んだヤツか?』
「・・・そっちで覚えるのやめてくれる?そうじゃなくて!森本くん、警察から自宅に戻ったんだって。友達から聞いたの。執行猶予がつくだろうから刑務所には入らないみたい」

『・・・だろうな。牧野はそこに住んでることを色んなヤツにべらべら喋るなよ。人伝に聞いて現われる可能性もあるから。俺の部屋に入るまでは自分の周りを注意しとけ。いいな!』
「うん、わかった。それを言いたかったの」

そう・・・ホントにそれを言いたかっただけ。声が聞きたかったわけじゃないから。
なんて思いながらもスマホを両手で持って耳に押し当てて、少しでも向こうの音を聞こうとしてる自分がいる。


『・・・稽古、悪かったな。急な仕事が入ったから・・・』

「いいよ。あのさ・・・次のお稽古は・・・どっち?」

これから先は志乃さんでって言われたらどうしようかと思ってドキドキしながら聞いてみた。
電話の向こうがやけに静かで物音がしない・・・もしかして切れた?思わず画面を確認したときにボソッと声が聞こえて、慌ててまた耳に戻した!


『・・・でいいか?』
「あっ・・・ごめん、よく聞こえなかった!もう1回言って?」

『・・・俺でいいのかって言ったんだよ!2回も言わせんな!』

そんな言葉だったなんて知らずに繰り返させて、西門さんに怒鳴られてしまった!元はと言えば時間をあけた西門さんのせいだと思うんだけどーっ!

「うん!あ、あの・・・西門さんがいい!あっ、深い意味はないけど!」

この後もまた暫く返事がなかったけど今度は耳から離さなかったら、暫くして「じゃ俺が見てやるよ」ってボソッと声が返ってきた。


電話はこれで終わり。
どうしてこんなに緊張するのかわからないけど電話を切ったらその場に座り込むほど疲れてた・・・。


**********


『うん!あ、あの・・・西門さんがいい!あっ、深い意味はないけど!』

なんだ!その言い方・・・意味ねぇのかよ!と、瞬間ムカッとした。
『西門さんが』ってのと『西門さんでも』ってのはすげぇ違いがあるんだ。わざわざ『が』を出しておきながら意味はねぇのか!

まさか、こいつの方が俺の言葉の意味をわかってねぇのか?誰とも間違えてねぇって言ったら「お前にキスしたかった」って事なのにやっぱり伝わってない気がしてガックリした。

「じゃ、俺が見てやるよ」
『うん!宜しくー!』


言うことはそれだけか!
牧野からの電話でドキドキしたのに、内容がこんな事で切った後はすげぇ疲れた・・・。


牧野にはエッセイの仕事だと言ったが本当は兄貴の祥一郎が婚約者を連れて来ていた。

茶道をやめて医者になりたいと言った祥一郎は一時期両親に勘当されたも同然の状態で西門を出ていたが、本人が必死に勉強して医師免許を取った途端にこれまでの事を許し、この度開業までさせてやった。
こいつが家を出たせいで急に次期家元にされた俺としては複雑・・・でも、それも数年前のことで今更腹を立てても仕方ない。

そして今回は結婚したい人がいるからと連れて来て親父達に紹介していた。
ついでに俺にまで会わせたいと言うから自宅に居たって訳だ。


「藤沢真由美と申します。宜しくお願いいたします。弟さん・・・ですか?」

「初めまして。西門総二郎と申します」
「おい、総二郎!そこまで畏まらなくてもいいだろう。義姉になるんだ、宜しくな」

「・・・初対面でいきなりタメ語は出来ねぇだろ?じゃ、俺は仕事があるから・・・」


祥一郎のヤツ・・・随分綺麗な女を選んだもんだな、と感心しながら廊下を歩いて自分の部屋に帰ろうとしたらお袋がソワソワとやってきた。手には沢山の菓子を持って。

「ご苦労だな。嫁ってのは楽しいもんなのか?お袋、嬉しそうじゃん」
「あら!楽しいわよ、娘が出来るんですもの。それに色々あったみたいなのよ、あの2人・・・だから幸せになってもらいたいじゃない」

「色々?問題でもあったのか?」

「真由美さん、元々お付き合いしてる男性が他にいたみたいなの。やっぱりお医者様でね、祥一郎さんよりも年は上だし、大学病院の先生だから収入もいいし。でもね・・・真由美さんが祥一郎さんのことを好きになってお別れしてしまって・・・祥一郎さん、その大学病院で勤務予定だったけどやめちゃったのよ。だから思い切って開業させたの。真由美さんは看護師さんだから一緒に働いてくれるんですって」


・・・言葉悪く言えば祥一郎が浮気相手ってこと?

振り向いてもう1度2人を見たら仲良さげに笑ってる。
まぁ、途中経過はどうでもいいけど好きな女を自分のものに出来たんだ。大事にしてやれよ・・・なんてガラにもなく心の中で呟いた。


「しかし、色んな所に医者が出てくんな・・・なんかムカつく!」




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2018/08/24 (Fri) 15:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。


ふふふ、だんだん竹本の正体がばれてきましたね!
総ちゃん、早くしないとヤバいよーっ!!(笑)

深い意味・・総ちゃん何気に傷ついてるところが私的にはお気に入りです(笑)

総ちゃんもだんだん最初の格好いい部分がギャグになってきましたね・・・。
やっぱり私じゃこうなるのよね~・・・


って事でイベント運営本部から今回の禁断のお話しのさとぴょん様予想を聞き出してこい!
との命令を受けましたので宜しくお願いします!(笑)

ちなみに続続続・・・の続きはさとぴょん様が書いてうちの「愛の小部屋」に載せる事になりました。
期限はないので書き上がったら私に下さい(笑)!!

2018/08/24 (Fri) 18:38 | EDIT | REPLY |   

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