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plumeria

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西門に帰るのとは反対方向に車を飛ばした。
どうしても真っ直ぐ自分の部屋に帰る気にはならなかった・・・あいつの言葉が頭から消えねぇから。

最近はもう出歩くこともなかった街で昔馴染みの店にでも行ってみるか・・・1人で飲んでもいいし、誰か近づきゃ一緒に飲んで、そのあとを過ごしてもいいかってぐらい気分が荒れていた。


車を適当にパーキングに突っ込んでぶらぶらと懐かしい通りを歩く。
この店は名前を変えたのか・・・この店はまだあんのか。2年近く離れると結構変わってんなって思いながら足が向くままに進んだ。

何でこんな場所に毎日のように来てたんだ?って思うぐらいの違和感・・・やたら派手な照明に喧しい音楽、そんな所で気晴らしなんてしようもんなら話しかけてきたヤツを殴るかもしれない。
多分、今の俺はそんぐらい怖い顔して歩いてると思う。


「あれ?西門くん?珍しいねぇ~!」
「やだぁ!総二郎じゃん!どうしたの?夜遊びまた始めんの?」

こいつらは誰だ?って思う厚化粧の女が声を掛けてきたけど無視。昔ならひと言返事をしたかもしれねぇけど、今はもうそんな気分にはならなかった。

「は~い!西門くん、1人?これから何処行くの?」
「あらぁ!お師匠様が来たわ~!相変わらずいい男っ!一緒に飲まない?」

今度の女は下着みたいな服で腰を捻るような女・・・そいつらにもチラッと目線を送ったけどその横を通り過ぎた。スッと伸ばされた手があったけど俺に触れる前に払い除け、無表情なまま行き先も決めずに歩いていた。

後ろから俺の事を罵倒するような声が聞こえる。
何とでも言ってろ!これっぽっちの興味も湧かねぇ!


そのうちいい雰囲気の店があったからふらっと入ってみた。会員制のようだったけど俺の顔を見たら何故か店員が奥へどうぞ、なんて言いやがるから黙ってそのまま奥に進んだ。

そこは静かで上品な内装の落ち着いたバーだった。
そこのカウンターの1番端に座ってドライジンを頼んだ。そして出されたのは冷凍庫から出してきたと思われるキンキンに冷えたヤツ。

ジンは冷やすと飲みやすくなるし、アルコール度数が高いから凍ることはない。このぐらい冷えた方が今の俺には丁度いいような気がして口に運んだが全然酔えそうにはなかった。


「友達・・・か。確かにそう言ったのは俺だけどよ・・・」

牧野の気持ちが全部俺に向くまで・・・そう思って時期を見計らっていたが、もしかしたらそれが逆にあいつを迷わせてんのか?それとも俺の思い上がりか・・・?いや、そんなはずは・・・
西門と道明寺の関係、司への気持ち・・・もうしばらく時間をかけた方がいいと考えたが、それも余計な事だったのか・・・。

どんな女でも一発で堕としてきた俺が何で牧野には・・・


「・・・お隣いいかしら?」

不意に声を掛けてきたのは全然見たこともねぇ女。だけどすげぇ美人で上品で極上の女だった。
だからってわけじゃねぇけどそれを断らずに知らん顔したら隣に座ってきた。

でも無理に近寄るわけでもないし甘い言葉を出すわけでもない。キツい香水の匂いもさせてないし真っ赤なネイルも見当たらない。必要以上に胸の開いたドレスでもなく、色っぽい脚のラインも見せつけてるわけじゃない・・・とにかくいい女だ。


「ふふっ・・・何かお悩みなの?難しい顔してる・・・私で良ければ聞きましょうか?」
「・・・あんたが?なんで?」

「だってその顔は仕事じゃなくて恋の悩みでしょ?女の気持ちは女にしかわからないかもよ?話してみたら?」
「・・・はっ!悪いがあんたにはわかんねぇと思うぜ。俺の惚れてる女はそんじょそこらの女とは訳が違うからな」

「あら・・・女性を知り尽くしてるって意味かしら?その中でも彼女は特別・・・そう言いたいの?」
「似たようなもんだ。そんな事を聞きたいんなら喋る気はねぇからどっか他に行きな」

普通ならここでキレて席を立つだろうに、この女はクスクス笑って隣の席から動こうとはしなかった。
その様子がいつも五月蠅く付きまとう飲み屋の女とは違う。何処か謎めいて艶やかで、だけど知性すら感じさせる女。何となく誰かに似た視線を送ってくるなと思えば・・・俺に似てるんだ。

わざと意味ありげに目を細めて、近寄りすぎずに・・・でも、ありったけのモーションだけはかける。
「そっちから墜ちてこい」・・・そう言わんばかりに。

酒の飲み方も色気がある。グラスから唇が離れた瞬間・・・チラッと俺の方に視線だけ送ってくる。


「・・・あなた、彼女は他の誰とも違うって言ったけど・・・女なんてみんな考えることは一緒よ?」
「くくっ、そうか?」

「えぇ、そうよ。みんな同じ・・・」
「じゃ、惚れた男以外のヤツの匂いを付けて帰るってのはどういう意味だ?」

「そうねぇ・・・無理矢理じゃないのなら気を許してるのよ。惚れてる男が余所見をしてるならもう目移りするチャンス・・・ってとこかしら?」
「余所見をしてるなら・・・ねぇ」

「恋人って存在になっていたらそんな事はさせないと思うけど?」


つまり・・・牧野があんなことになったのは、いつまで経ってもはっきりしない何処かの馬鹿な男のせいってか?

・・・そうかも知れねぇな。
この女と話が終わる頃にはドライジン3杯目・・・今日はたったこれだけで頭が重くなった。


「帰るわ」
「あら・・・もうお話はないの?それなら・・・このあとはどう?」

「・・・悪いが他の女の匂いは付けたくねぇからな。じゃあな」


このあと車をパーキングに置いたままタクシーで自宅に戻った。


いきなり俺があんなに恐ろしい顔で問い詰めて・・・牧野、今頃どうしてんだろう。怒ってるだけならいいが・・・まさか泣いてねぇよな?
泣き疲れて寝るだなんて寂しいこと、してねぇだろうな・・・。



************



「そうですか・・・どうもすみません。お手数かけました」

はぁっ・・・と溜息をついてベッドに倒れ込んだ。
さっき竹本さんと食べに行った料亭に電話をかけてみた。入り口付近で躓いた時にネックレスが外れて落ちたと思ったのに、お店の人にはそんなものはなかったと言われた。

そこで落としたっていう確証もなかったけど他には思い当たらなかっただけ・・・。
料亭にないならタクシーかと思ったけど何処のタクシーかも見てないし車番だって知らないし。そうなったらもう探せない・・・私は目の前が真っ暗になった。

竹本さんに聞いてみる?いや・・・それは出来ない。って言うか今は会いたくない。

「はぁ・・・もう、ヤだ!」


西門さんには怒られるし。
ネックレスは無くすし。
お腹は痛いし・・・もう最悪!

シャワーだけ浴びてベッドに入ったけど、何故か目の前が歪んで歪んで・・・西門さんの怒った顔が頭に浮かんで・・・。


何なのよ・・・どうしてそんなに怒るのよ。

西門さん、私の事は友達だから手を出さないって言ったクセに今度はキスなんかしてくるし!
こんなマンション貸してくれるし服は買ってくれるし、仕事は無理矢理変えるし・・・それなのになんで帰るのよ・・・!
干渉する理由ぐらい説明して帰りなさいよ・・・!

ばか・・・ばかばか!!

西門総二郎の大馬鹿野郎っ!!

あんたなんか・・・あんたなんか・・・!


「もう、知らないっ!」

暑苦しいのに布団を頭から被ってそこで溢れ出るものを拭いた。
頭も痛いしお腹も痛いし・・・でも、1番痛いのは胸の奥。


今、頭に浮かんでくるのはカジノで勝った時の嬉しそうな西門さんの笑顔・・・ホテルのベッドで見た彼の寝顔だった





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Comments 4

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2018/08/30 (Thu) 14:18 | EDIT | REPLY |   
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2018/08/30 (Thu) 15:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは🎵

meimei様 こんばんは。

コメントありがとうございます。

あらら!不安になりましたか?
この総ちゃんはそんな事しませんよ~(笑)

どうでしょうねぇ・・・そろそろ固まったんじゃないですか?ふふっ!近いかもですよ?

それはまだ何とも。
でもこの痛みは私の経験からなんです。最終的には・・・とんでもないことになりましたけどね!
今は余りいないんでしょ?そう書いてありました。
でも、低年齢化してるんですって!

小学生低学年でもいるらしいです。これも食生活とかなのかしら。


竹本さん?
えっと・・・そうね、松田翔太くんでもいいですか?(笑)

2018/08/30 (Thu) 23:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

あはは!ヘタレ言わんといてーっ!!(爆)その通りですけど~!!

格好つけてる割にはヘタレ!これがいいのよ・・・ってか、書きたかったのよ♥
何で言わないのーっ!!この人💢って感じ?それなのに気障なことばっかして(笑)

原作もそうだったでしょ?言えなくて言えなくて・・・最後には泣く(笑)
(いや、私は泣かさないけどね)


ちなみに・・・そんな事あるわけないでしょ?
つくしちゃん以外で・・・無理無理っ!多分1回も書いた事ないと思う・・・(イベントでは書いたけど)


多分反省したと思います。
で、つくしちゃんに会わせる顔がなくて自宅に戻ったと言うことにしましょう。
(だって戻ったら速攻始まるじゃん。それはまだダメ!)

2018/08/30 (Thu) 23:26 | EDIT | REPLY |   

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