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「この男性達全員が恋してる特別な人ですわ・・・って、私がお話ししたんです。そしたらそこに写ってる西門さんを指さして・・・この男はって聞いたから茶道の西門流の次期家元ですわって答えました。何故かそこを凄く聞いてくるので気になってました」


ここでエレベーターは6階に着いたが先に桜子の話を聞くことにした。
気持ちは焦ったが手術は終わってると言われた・・・病棟に入ったんなら問題なく終わったと言う事だから。

ナースステーションの手前にあった談話室に入り、そこの窓際で立ったまま桜子に続きを話させた。


「1年半近く前に会社を起ち上げたとき、本当にこの病院にお世話になった方が入院されてお見舞いに来たんですの。
その時の担当医が秀一さんで、私の一目惚れ・・・それからしばらくここに通ったりして彼のことを見てましたら、内科の看護師が恋人だとわかりました。だから諦めようと思ったけど忘れられなくて・・・知り合いが退院した後でも誰かの見舞いを装ってここに来ていたんです」

「・・・らしくねぇな」

「自分でもそう思いますわよ!でも、仕方ないでしょ?・・・そのうち看護師と別れたって外科の看護師の立ち話を聞いてしまったんです。それで私、思い切って声をかけましたの・・・それからお付き合いが始まったんです」

「桜子から?お前の色気に落ちなかったのかよ」

そう言ったら嫌そうな顔して俺を睨み付け、いつもの手法が竹本には通じなかったと無言で教えられた。

「始まりはどうだっていいんですよ!・・・それからは彼のマンションにも何度もいきましたわ。いつだったかしら、私が昔話をして『凄い友人がいる』って教えたら写真が見たいって事になって見せましたの。私を含めて6人で撮った写真・・・欲しいって言うから彼のスマホに送りましたわ」


つまり・・・ロスで如何にも初めて会ったようなフリをしたけど牧野の顔も近くにいた俺の顔も知ってたってわけか。

もしかしたら先に俺に気が付いて、あとで牧野を見つけたってことも考えられる。
確かに凄い偶然だけど、羽田に着いてまで声をかけたって事は飛行機を降りてからも俺達の事を待っていたか探していた・・・か?


「半年以上は順調だったんですけど私の仕事が忙しくなってきたら機嫌が悪くなって、約束を1度でも守れなかったら許してくれないんです。仕事の都合でデートを延期したいって言っただけでも怒鳴りだして・・・でも、お医者様でストレスも多いし、そこは理解しようと思ったんですが・・・」

「自分の言うことが絶対だから従えねぇなら別れるって?」

「・・・えぇ、そんな感じですわ。まぁ、信じられないでしょうけど私も未練がましく病院の中ををウロウロしてしまって、患者さん同士の会話から西門っていうお医者様が内科にいて、この度婚約したって耳にしましたの。それで色々調べたら秀一さんの前の彼女が西門さんのお兄様とお付き合いしてるって事がわかりまして。あぁ、それで写真を見て西門さんの事を聞いていたんだと思いましたわ。西門さんとお兄様、似てるんでしょう?」

「まぁな・・・」


似てると言えば似てる・・・俺よか少し穏やかな顔してるけどな。

ここまで話すと諦めたのか、今日も竹本が夜勤なのかどうか確かめに来たんだと言った。
マジでこいつらしくない行動だが相当惚れてるんだろう、仕事は辞められないがなんとかやり直せないかと話し合いをしたかったんだと桜子は言った。


「それもあるんですけど・・・実は先輩がロスで男性に声をかけられたって聞いて、それがT大付属病院の人だって言うから気になりましたの。それが秀一さんなら先輩のことを何かに利用しようとしてないかって」

「牧野を利用?司や類と知り合いだから?医者には関係ねぇだろうに」

「・・・出世欲は強い人ですもの、それもありますけど。でも一番気にしていたのは西門さんのことですからね・・・西門さんと彼が一緒のマンションだって先輩が言うからびっくりしましたわ。そんな偶然が重なる事ってあるのかしら・・・」

「重なっちまったんだから仕方ねぇや。俺がマンションを買ったのは半年ぐらい前だからな。向こうの方が先に住んでるんだろうし」


ここで話はやめてナースステーションに向かった。
やたら関係を聞かれるから「同居人だ」というと渋々牧野の病室だけ教えてくれた。


「同居人・・・何回同居しましたの?」
「・・・同居だけなら何回もあるっての!」

「生殺しですわねぇ・・・」
「喧しい!」



*************



牧野の病室は625・・・この病棟で1番奥だった。

ガラッ!と乱暴に音を立ててドアを開け、窓際のベッドに向かって行き、そこの閉まっていたカーテンを思いっきり引っ張ると同時に大声を出してしまった。

「牧野、大丈夫か!」


だが、牧野のベッドの横には私服の竹本がいた。
途端にビクッとして立ち止まったのは桜子・・・桜子を見て竹本も固まっていた。


「なんだ・・・今頃来たのか?そう言えば彼女の実家の電話番号聞かなきゃいけなかったな。入院手続きが出来てないから」

「そんな事はどうでもいい!牧野はなんで手術したんだ!」

「あんた、近くにいたのに気が付かなかったのか?それともまだ遠慮する間柄だった?男友達・・・のままか?」

「うるせぇ!何があったか説明しろ!」
「西門さん、ここは病室ですわ!声を鎮めてください!」

「桜子は黙ってろ!病名は何だ!早く言え!」

余裕で足なんか組んで牧野のすぐ傍でこいつの寝顔なんか見て・・・俺の知らない時間をこいつが知ってるかと思ったら我慢出来なかった。掴みかかろうとする勢いで竹本に近寄った俺を桜子が両手で引き留めた!


「桜子の言う通りだな、他の患者の迷惑だ。廊下に出ろ」
「牧野の病名を言え!」

「・・・虫垂炎だ。腹膜炎寸前だったから緊急手術した。あとは回復するのを待つだけで問題ない」


「は?虫垂炎・・・?」


竹本は椅子から立ち上がると俺の横を通り過ぎて病室を出て行った。それを見る泣きそうな顔の桜子は牧野と竹本を交互に見ながら、俺よりも先に病室を出て行った。

俺は2人が出て行ったあとに牧野の横に行き、まだ酸素マスクをしている牧野の寝顔に手を当てた。
心電図モニターがつけられてて点滴も2つ・・・呼吸も安定してるみたいだし、麻酔から1度は覚めただろうがまだよく寝ている。その頬を撫でてから耳元に顔を近づけた。


「この馬鹿野郎・・・俺にはなにも言えなかったのかよ!」


もちろん返事なんかねぇけど。
目が覚めたらちゃんと話そう・・・そう思いながら竹本の所に向かった。

**

廊下に出たら竹本と桜子は何も言わずに顔を背けたまま立っていた。
そして俺が病室から出ると指で「こっちに来い」と偉そうに指図して、ナースステーション横の説明室って所に入れられた。

ここは手術した後の患者の家族が医師から説明を受ける部屋・・・本来なら牧野の両親が聞くんだろうが竹本は牧野のカルテのようなものを持ってそこに座った。
俺と桜子はこいつの対面・・・俺はそんな書類を見る気もしなくて竹本を睨み付けていた。


「そこまで睨むな。俺は医者として執刀しただけでわざと病気を起こさせたんじゃないだろ?」
「・・・そんな事はどうでもいい。なんであんたが牧野を救急車で運んだんだ?また偶然エントランスで牧野が倒れたのか?」

「知りたいのか?」
「当たり前だ!まさか俺の部屋に入ったのか?」

「・・・そっちの方がよかったんじゃないのか?」
「どういう意味だ?」

イチイチ俺を怒らせようと煽ってるってのがわかる。俺がイラつくのが面白いんだろうがそれに乗るものか!と平静を装った。
ニヤッと竹本の口角が上がり俺の事を軽く笑いながら見やがった。


「つくしちゃんは俺の部屋で倒れたんだ。俺のために夕食を作ってくれてたんでね。エプロンまで持ってきてくれて頑張ってくれてさ。体調が悪かったのに気付くのが遅れて、医者としては面目なかったけどあまりにもその姿が可愛らしくてね」

「お前の・・・部屋で?」
「秀一さん!それって先輩が自分から?」


牧野が・・・竹本の部屋でエプロンつけて・・・だと?



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2018/09/19 (Wed) 12:59 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 頑張れ竹本センセ

オレンジ・・・様、

初めまして♡ご訪問&コメントありがとうございます。

そして・・・(笑)なんとっ!!竹本センセに応援団がっ!

嬉しいですねぇ!
どんな悪役も一生懸命考えた人物設定なので(笑)

この人も自分の将来を自由に選択できなかった部分と、プライドを高く持たなければやっていけないって環境の中でこのような性格になったけど、何処かで癒やしも求めてるイメージなのです。

この先も登場してきますので最後まで応援してやっていただけると嬉しいな♡

2018/09/19 (Wed) 16:46 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/20 (Thu) 00:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは


そうなのよ・・開腹の場合は剃るはずなんだけど。
調べたけどわかんなかった・・・そんなこと書いてなくて(笑)

E様も気にしてたけど、ホントはどうなのかしらね?

確かにドクターはしませんけどね。

ちなみに私がアキレス腱を切ったときには足のムダ毛は剃られました。足よ、足!


総ちゃんが穴の中・・・穴の中?穴・・・?

いかんいかん!

2018/09/20 (Thu) 12:39 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/20 (Thu) 13:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは。

はいはい!アキレス腱完全断裂してます。

これもね・・・数年前の8月25日に手術したんですが、会社の上司が困るって言って、9月1日には出勤しました(笑)
3週間の入院を5日で切り上げて、タクシーと松葉杖で出勤!

松葉杖が終わると足に補助具をつけて半年。何もなく歩けるようになったのは2月でした。

子供が小学生だったから秋の行事が大変でねぇ!運動会も松葉杖だし、学習発表会は補助具だし。

で、ギブスは4週間ぐらいつけていましたが、会社の子が落書きばっかりしてね!
象さんの顔を描かれて大変でしたよ(笑)

そんなんで買い物に行ったしね。


怪我はいかんいかん・・・
Rもいかんいかん・・・

おとなしく、おとなしく・・・今年は何も書きません。

2018/09/20 (Thu) 19:19 | EDIT | REPLY |   
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2018/09/20 (Thu) 21:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんばんは!

え?バレーボールですけど?

しかもバックライトでレシーブもせずに構えただけで切れたんですけど何か?
(ボールとは関係なく1人で転けましたけど?)

でも、恥ずかしいから病院では

「アタックをして着地したときに切れました」って嘘ついたから、病院と手が切れるまで
呪文のように「アタックで切れた、アタックで切れた・・・」って呟いてました(笑)


2018/09/20 (Thu) 21:33 | EDIT | REPLY |   

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